誘惑蝶
No.106 2014/06/23 14:48
ハル ( deZwBe )
あ+あ-
「…じゃあ、言っちゃおうかな。私の好きな人は…」
私とアキホは、ごくっと唾を飲んだ。
ドキドキしながら、ナツの言葉を待つ。
「…ハチ先輩だよ」
ナツの口から出た名前を聞いて
私とアキホは一瞬固まる。
「蜂(ハチ)先輩って、サッカー部の…?」
「ホテルでナツとペアだった…?」
「うん、その、ハチ先輩…」
ナツは顔を赤らめて言う。
「…マジ?」
アキホはぽかんとしている。
「うん、マジ」
「え?いつから…?」
「皆でホテル行ってから、そのあとも結構会ってたんだよね。一緒に出かけたり、まぁ…いろいろね」
「うんうん」
「でも、やっぱり意識してたのは最初から…かなぁ。初めてキスして、抱いてもらって、ドキドキしちゃってさ。ハチ先輩、ちょっとマイペースだけど、カッコいいし優しいんだよね。蛍先輩ほどモテないけどねー」
ニヤっとしてナツは私を見る。
…だんだんいつものナツに戻ってきた。
「気付いたら、どんどん好きになっちゃってさぁ。もう、どーしたもんかねぇ」
ふう、とため息をつくナツは
すごく女の子の顔をしている。
「ナツ、変わったね。可愛くなった」
「えっ!どこが!?」
私が言うとナツは慌てる。
「今更だけど、最近よくトイレの後に鏡チェックしてるし、スカート短くしたり、髪もピンでとめたりしてるし…」
思えば、ナツはわかりやすい。
恋すると女は変わるって言うけど
ナツはその典型だ。
なぜ今まで気付かなかったのか。
「私もハルも、自分の恋で手いっぱいだったから、ナツのわかりやすい変化も見えてなかったのかも。変化に気付いてはいたけど、そうゆう事だったのね〜」
アキホはニヤニヤしながら頷く。
自分の事で手いっぱい、か。
確かに、その通りだ。
「べっ、別にそうゆうわけじゃっ…」
ナツはごまかそうと必死だ。
そんなナツが、とても可愛く見える。
「はいはい!我ら片思いファイター、目指せ両想い!」
アキホは笑って言う。
私とナツはつられて笑った。
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