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不倫
実のお父さんと…

誘惑蝶

No.117 2014/06/23 20:50
ハル ( deZwBe )
あ+あ-

目が覚めると、隣で蛍先輩が寝ていた。

まだ、外は暗い。
窓から月明かりが差し込んで
部屋を照らしている。

「私、寝ちゃったんだ…」

蛍先輩と、初めての夜…。

それどころか、男の人と一緒に
寝る事自体、初めてだ。

蛍先輩の寝顔は、とてもキレイだった。

静かに寝息を立てる先輩に
私は見入ってしまう。

引き付けられるように、
蛍先輩の唇に、自分の唇を重ねる。

自分から、キス、しちゃった…。

一人で照れてドキドキしていると、
蛍先輩が目を覚ました。

「ん…起きた?」

「あっ!すみません、私、寝ちゃって…」

「大丈夫だよ」

いつもの、先輩だ。
優しく、にこっと笑ってくれる。

…よかった。
キスした事、バレてない。

「それに、いきなり来ちゃって…迷惑かけましたよね…」

「ハルちゃん」

蛍先輩は、ぐっと私を抱き寄せた。

「…先輩!?」

「…さっきは、荒々しく抱いて、ごめんね」

「え…?」

「本当に、嬉しかったんだよ。ハルちゃんが来てくれて。俺、情けないけど、試合に負けてすっげーへこんでたから…」

「…先輩」

「これで終わりなんだなって。サッカーはこれからも出来るけどさ…部活で、同じメンバーでやるのは、もう…」

「………」

「同じ時間は、二度と巡っては来てくれないんだもんな。時間は、戻せない。…俺、まだ終わりたくなくて…」

蛍先輩は、私を抱きしめる力を強める。

先輩の痛みが、伝わってくる。
涙が、溢れてきた。

「ハルちゃん…ありがと…泣いてくれて」

「蛍先輩が、泣かないから…」

「はは、俺は男だからね。女の子の前では、泣かないよ」

そう言って、私の涙を拭う。

「でも、今は、ちょっと…」

再び、私を抱きしめる。

先輩の顔は見えないけど、
肩、震えてる…

私は、いつも蛍先輩の腕の中で
守られてばかりだったけど…

今日は、私が蛍先輩を包み込んであげたい。
そう、思った。

私は、自分の胸に蛍先輩の顔を埋め、
ぎゅうっと、抱きしめた。

蛍先輩は何も言わず、
私の腕を振りほどかなかった。

そのまま、二人で朝を迎えた。

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