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誘惑蝶
No.121 2014/06/23 22:28
ハル ( deZwBe )
あ+あ-
夏休み。
毎日、蝉の鳴き声が
うるさいくらいに聞こえてくる。
外はジリジリと日が照り付けて、
ものすごく暑い。
「夕方なのに、あづいよー…」
今日は、蛍先輩と
夏祭りに行く約束をしている。
夕方、お母さんに浴衣を着せてもらった。
紫に近い、淡い紺色の地に
ピンクの桜柄の浴衣。
「帯は…濃い紫にしようかね。昔はピンクが可愛かったけど、ハルも高校生だもんねぇ」
お母さんは、濃い紫の帯を
きゅっと締めて、
「ほい、完成!」
と言った。
長い黒髪をアップにして、
かんざしをさす。
「髪もできた…お母さん、ありがとう!」
「もう行くの?」
「うん、18時に待ち合わせなのっ」
「ハル、今日は帰ってくるんでしょ?」
「う、うんっ」
「気をつけなね〜」
「いってきまぁす」
下駄を履いて、
蛍先輩との待ち合わせ場所に向かった。
「履き慣れないから、足痛くなりそう…」
カラン…コロン…
音を立てて歩く。
電車に乗って2駅。
隣町のお祭りは、大きい。
昔から毎年家族や友達と
一緒に来ていた。
でも今年は…
私は、一人でニヤニヤして
蛍先輩を待った。
すると、
「あれ?ハルじゃん」
よく知っている顔が見えた。
「ゆぅくんっ…!」
ゆぅくんとは、あれ以来
よく一緒にご飯を食べに行ったり
地元をまわったりしていた。
「お、今日は浴衣なのか。似合ってんじゃん」
「あ、ありがとっ!」
「…すげぇ、可愛い」
ゆぅくんは、ぼそっと呟く。
「えっ?」
よく聞き取れなかった。
「…なんでもねぇよ」
「えー?なぁに?気になるじゃんっ」
「だーっ!もう、いいだろ!?うるせぇっ」
ゆぅくんはなぜか顔を赤くして言った。
「けちーっ。…ゆぅくん、これからどっか行くの?」
「ん?あぁ、祭りの手伝いに行くんだ」
「そうなんだぁ」
「お前は、祭りに行くんだろ?」
「うんっ!」
「…そっか」
私の嬉しそうに笑う顔を見て、
一瞬寂しそうにゆぅくんは笑った。
…気のせいかな?
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