誘惑蝶
No.122 2014/06/23 22:38
ハル ( deZwBe )
あ+あ-
「昔、俺が引っ越すまでは毎年一緒に行ってたよな」
「そうだねぇ。私、今でも覚えてるよ。迷子になった私を……」
私が言いかけると、
ゆぅくんは言葉を遮った。
「ハル、連れが来たみたいだぜ。俺も行くわ。じゃーな」
そう言うと、ゆぅくんは
人混みに紛れていった。
振り返ると、そこには
蛍先輩がいた。
「蛍先輩っ!」
「ごめんね、今回は俺が待たせちゃった」
…蛍先輩、仁平だっ!!
和服、めちゃくちゃかっこいい…!
「いえ、私だいぶ早く来ちゃって…ほら、まだ15分前ですよっ」
「はは、ありがと。今の、友達?」
「はい、幼なじみなんです」
「あぁ…この間階段にいた子か。幼なじみって、あの子の事か」
ふんふん、と蛍先輩は頷く。
「蛍先輩、行きましょっ!私、お祭り大好きなんですっ」
「はは、俺も祭りは好きだよ。この町の祭りは大きいから、俺も友達とよく来てたよ」
「そうなんですかぁ」
すっと蛍先輩が手を差し出す。
「手。はぐれないように、ね?」
「…はい」
蛍先輩の手を取り、歩き出す。
「ハルちゃん、浴衣可愛いね。すごく、綺麗だよ」
蛍先輩は、はにかみながら笑って言ってくれた。
「…ハルちゃん、さっきから、見すぎだよ…」
「へ?あっ、すみません!蛍先輩の仁平姿があまりにもかっこよくて…!すごく似合ってます!」
「はは、嬉しいな。ありがとう。でもあんまり見られると恥ずかしいからさ」
ぎゅっと、手を握る力が強まる。
大きくて、あったかい…。
蛍先輩の手、大好き。
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