誘惑蝶
No.93 2014/06/14 08:46
ハル ( deZwBe )
あ+あ-
「…落ち着いた?」
「…はい」
蛍先輩の髪が、夕日に当たって
オレンジ色に染まっている。
私は少し身体を離し、蛍先輩の髪に触れた。
「サラサラ…」
「はははっ、ハルちゃんの方が、サラサラだよっ」
蛍先輩は、笑った。
蛍先輩の手が私の頬に触れる。
そして、そのまま唇を重ねた。
長い長い、フレンチキス。
…エッチの時にする
どんな深いキスよりも、
ドキドキした。
唇を軽く合わせているだけなのに、
こんなにも胸が高鳴る。
胸の奥から指の先まで
身体に、ジーンと熱い感覚が染み渡る。
何度も何度も、キスをする。
そして、
「ハルちゃんが嫌なら、ユキナちゃんとは、もうしないよ」
蛍先輩は囁いた。
「えっ…?」
「でも、ごめんね。他のセフレに求められたら、俺は断れない…。俺も、きっと………」
その時、ざぁっ…と
強い風が吹いて
最後の方の言葉が、
よく聞き取れなかった。
「先輩、いまなんて…?」
「ごめん、何でもないんだ。今のは、忘れて」
「…?」
そう言われると、聞けなかった。
「ユキナちゃんの事は、俺に任せて」
蛍先輩は穏やかに笑うと
私の頭を優しく撫でる。
「…わかりました」
私は頷いた。
「そろそろ、帰ろうか」
「はい」
私と蛍先輩は立ち上がり、
沈みかけている夕日を背に
駅に向かって歩き出した。
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