雑話

短編―【裏切り】

騙されてたんだよ
俺はお前にな
弱い女
悲しい女と思ってたからな
俺は鈍いからよ
すっかり同情しちまって(笑)
いや、同情だけじゃないな
惚れちまったんだろな
お前の嘘にも気付かず
金は、ありったけ呉れてやったぜ
その金でお前を救えるならと俺は喜んで出したさ

ところが、お前は他の男に貢いでたんだよな
とんだ笑い者だよ、俺って奴は。

見たんだよ、俺は
お前が男と抱き合ってた所をな

お前は男に札束を握らせながら微笑んでたよ
あの雑居ビルの立ち並ぶ歩道で人目を避けるようにお前らは逢って、そして闇に消えて行ったのさ

数日後、お前を俺は電話で呼び出した

金をあげたいからと言ったら迷わず来たよな

時刻は23時
お前と何度か行ったラブホ近くで待ち合わせした――

約束の時間に
お前は現れた
当然のように俺たちはホテル内に入った
金を持ってきたふりをしてベッドに押し倒した――

こんな雌豚
ハナから抱くつもりなどない俺は首を力任せに絞め上げた

白目を向き俺の手をふりほどこうと必死にもがくお前

さんざん俺を騙して陰で嘲笑ってたんだよな

俺は、容赦なく首を絞めた
やがて、グッタリしたお前を置いて
俺はホテルをあとにした
フロントには彼女は朝に出ると言い残し
外に出たら、やけに風が爽やかだったな
その風に吹かれながら俺は交番へと向かった―――完

哀れな男の話だが
勿論、フィクションである。
が、よくある話かもしれんよ

逆に女が男に貢いで棄てられるケースもある(笑)