ひとりの夜
No.16 2016/06/07 13:57
寂しがり屋さん ( ♀ )
あ+あ-
『フウカの夜 2』
「よしっと。ふぅ…」
お弁当包みの端をキュッと結び、それを保冷バッグに詰めて、私は一息つきました。
独身時代は朝が苦手だった私ですが、ヒロトと結婚してからというもの、すっかり主婦らしく早起きになりました。
ですが、その一方…
私は、すっかり冷めてしまったハムエッグトーストとコーヒーを見やります。
飲みに行けば朝5時に帰宅し、お酒の匂いを漂わせながら8時に出社したり、徹夜明けでも早朝ゴルフに行ったりと、睡眠二の次な独身生活を送ってきたヒロトは、すっかり寝坊助になってしまいました。
同居人がいると安心するのでしょうか。
「ヒロトぉ、お仕事遅れるよー!」
階下から何度目かの声をあげましたが、物音一つ聞こえてきません。
仕方なく、私は寝室へ向かいました。
ガチャッ
寝室はカーテンを締め切っていて薄暗く、ベッドの真ん中に、こんもりと布団の山が出来ていました。
ベッドのそばに歩み寄ると、山の端っこにヒロトの顔が埋まっています。
抵抗するかのように布団に包まって…中学生みたい、可愛いんだから。
「ヒーローくんっ」
私は布団を揺すりました。
「朝ですよ、起きーー」
言い終る前に、布団からバッと手が伸びて私の腕を掴み、引っ張りました。
「わっ!」
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