ﾋﾘの呟き

それにしても今度は子供まで預けにきて、一体どういうつもりなんだろう…

いくら私が子無し専業主婦だからといって、うちは託児所ではない。

はっきりと断る事ができない自分にも私は苛ついていた。
こんな事を夫に愚痴ったって、おそらく夫は興味を示さないだろう。夫には関係がない、私の女友達の事なのだから、自分で対処しなければとは思っている。

私は正直、女友達が苦手だ。
彼女の事は昔からあまり好きではなかった。角が立たないように接してきた事が仇となって、この女に利用されてしまうくらい、私は舐めらるようになってしまった。

昔、夫に女友達を会わせた事がある。夫は、「綺麗な人だ」と彼女を褒めた。
そうなのだ。悔しいけれど彼女は美人だった。だから、彼女の愚痴をこぼしたところで、おそらく夫は信じないだろう。
男というのは、美人＝性格が良い、と思い込んでいるのだ。

女友達からの連絡が怖い。
次はどんな図々しい依頼をしてくるのか、気が気ではない。

「今度、ご主人も混ぜて、一緒に食事をしましょうよ」と言われた時はゾッとした。
女の感で私には分かるのだ。彼女は夫に何かちょっかいを出す気でいる。私はそれだけは絶対に避けたい。

もしまた彼女が我が家を訪ねてきたら…と思うと、落ち着かない。
女友達は威圧感が強く、横暴な人間だった。

彼女は離婚して、シングルマザーをしている。
「あなたはいいわよね、子無し専業主婦って女にとって最高の理想だもの」「子供がいない専業主婦って昼間は何をやってるの？」など、嫌な質問を投げ掛けてくる。

子供がいない専業主婦だって悩みはあるし、別に両手うちわで悠長に生活しているわけではない。
すかさず「嘘言うんじゃないわよ。暇でしょうに」と切り替えされた。

ムカついた私は弟に愚痴を聞いてもらおうと思い電話をした。
「どうしてそんなイヤな人と友達をしてるの？やめりゃいいじゃないか」と言われ、「そんな簡単に行かないの」と私が言うと、「理解できない。利害が絡んでいない相手と我慢して付き合う意味が分からんね」と。

やはり男には分からないのだと思った。
夫にしても弟にしても、エリート男というのは学歴や経済力はあるのかも知れないが、人情や優しさ、共感力は弱いのかも知れないと。