【水の檻・水の月】
「アイスコーヒーお待たせ」
キッチンから出てきたドリンクを1番卓に持って行く。
ドリンクホルダーをセットして、アイスコーヒーをホルダーの中に置く。
「ごゆっくりどうぞ」
囁くように言わなければならない。
ここはアングラカジノだからだ。
カードに夢中になっているお客様の邪魔になってはいけない。
違法カジノって言ったほうがわかりやすいかな?
この店でウエイトレスとして働きだして、1年が過ぎた頃だった。
14/09/29 21:46 追記
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【水の檻】感想スレ
にてお願いします。
m(_ _)m
14/09/30 21:41 追記
【水の檻・水の月】感想スレのURLです。
感想いただけたら嬉しいです。
m(_ _)m
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この店は1時間に一度、休憩が10分ある。
まかないの時は40分。
休憩室はマンガや灰皿、脱ぎ捨てた服が乱雑にあって綺麗とは言い難い。
奥にある着替え用の簡易なカーテンの向こうで声がする。
(ああ、またか)
そう思いながらタバコに火をつけた。
煙を吐き出した時に、その声はあえぎ声になった。
たまにある事だった。
ディーラーがウエイトレスに手をつけるのだ。
ホテルでやればいいのに、と最初の頃は思ったが今はもう慣れた。
シフト前やシフト後のウエイトレスの体を数人で触り、感じさせる遊びだそうだ。
私には関係ないから気付いてないフリをしていた。
数人に触らせる神経がわからないと思っていた。
思って「いた」のだ。
ある日、まかないを食べようと休憩に入ると古参ディーラーの浜さんに声をかけられた。
古参と言っても、まだ20代だ。
明るい人柄でよく冗談を言って笑わせてくれるので、いい印象しかなかった。
浜「なんか着替え室に、ジーパンあるけど桜ちゃんの?」
確かに今日はジーパンだ、しまい忘れたかな?
と思い、確認しに着替え室のカーテンを開けた。
脱ぎ捨ててあったのは色が違うジーパンで、明らかに私のものじゃ無かった。
「私のじゃないですねぇ、誰のだろ?」
振り向いて答えると
浜さんが私を見下ろしてた。
「どしたんです…」
言い終わる前に押し込められ、カーテンを引かれた。
脱ぎ捨てられてクッションのようになっている服の上に押し倒された。
制服はチャイナ服だから、スリッドから簡単に手が入ってきてしまう。
すぐに無骨な指が下着をこすり始めた。
浜「声だすとバレちゃうよ」
状況が飲み込めないままの私に耳打ちしてきた。
浜「ちょっと気持ちよくなろうよ。これすると仕事も調子いいんだよね」
指を動かしながら、楽し気に言う浜さん。
マズい…指使いが上手だ。
感じる部分を執拗に攻められ、体の力が抜けて行く。
「はぁ…んんっ」
声が出てしまうと唇をふさがれた。
私が声を出してしまった事で更にエスカレートしてしまった。
指が直接触れてきた。
ピリピリと痺れるような快感が背中まで走る。
もっと触って欲しい…。
快感を逃さないように集中して、受け入れてしまっていた。
優しくなぞったり
強くこすってきたり
中指で円を描くような動きに私は夢中になっていた。
沢「感じやすいんだね、でもご飯食べる時間なくなっちゃうから、今はお終いな」
体が中途半端で辛かった。
下着が濡れてしまったので、ナプキンをつけてからまかないを食べ仕事に戻った。
次の休憩まで体が辛かった。
敏感になっていて、肩に手を置かれただけでも過剰反応してしまう。
同じウエイトレスのカオルが心配してくれた。
カオル「顔赤いし、なんか動き変だよ?風邪ひいた?」
さっきの事はさすがに言えない。
「ん~熱っぽくは無いし、大丈夫!ありがとう」
嘘。
体は火照ってるし、早く休憩室に行きたくて仕方ない。
休憩まであと20分…
早く
早く
はやく
「桜ちゃん、休憩だよ」
声をかけられ、急いで休憩室に向かう。
もちろん休憩なんか頭に無い。
浜さんに触られたかった。
続きをして欲しかった。
カチャ
休憩室のドアを開けて部屋に入る。
ディーラーさんが2人、タバコを吸いながらソファで待機していた。
浜さんの姿は無かった。
ちょっとガッカリしていると、待機しているディーラーさんが話しかけてきた。
「桜ちゃん、エッチなんだって?」
「俺達ともしようよ」
浜さんが喋ったんだ!
知られた!
一瞬、体が固まった。
が、私の口から出た言葉は
「いいよ、カーテンのほうでね」
私の手首を掴みながらカーテンに向かう2人。
この人達でもいい…
体の火照りで思考がおかしくなっていた。
同じように脱ぎ捨てた服のクッションに横たわり、男達の手を待った。
「浜さん、客を撃沈させたって自慢してたぜ。桜に触ると御利益あるって」
そう言いながらチャイナをめくる。
「赤かよ、マジ話だったんだ!」
下着の色を確認していた。
そんな事まで話してたんだ。
1人が背後から私の胸を揉み始めた。
首筋に舌が這う。
もう1人はストッキングと下着を脱がし始めた。
下半身に指が触れる。
ピクンと体が反応する。
ああ…
今まで軽蔑していた女の子達も、こんなふうに堕ちていったんだろうか…
胸を揉まれながら、クリトリスを触られる。
2人の男に。
それは、最高に、私を、興奮させた。
「気持ちいい…もっと触って…んんっ!そこ…いぃ」
全身で快感を味わっていた。
胸も
首筋も
下半身も
「声…出して平気だよ、他の人は来ない」
許された気持ちになった。
我慢しなくてもいいんだから。
胸は服の上から的確に乳首をこすり、クリトリスは舐められようとしている。
「あぁっ…はっ…ん」
舐められ、吸われ、快感の波が押し寄せる。
「んっ…もっと優しくして…欲しい」
お願いするとソフトになった。
ソフトでゆっくり…いやらしさが増した。
「あっ…ああっ…あっ…」
「もう…イキそう…」
同じリズムと強さでクリトリスをこすってくる舌。
私はこれに弱い。
「あぁぁぁ…イッちゃう…」
腰をくねらせようとしても、ガッチリと掴まれてる。
逆に感じてしまう。
全身に走っていた快楽の電気信号が高まった。
「…っ!あぁぁぁーっ」
私をイかせたディーラーさんが、濡れた部分をタオルで拭いてくれていた。
そして説明をし始めた。
・客との勝負前に愛液に触ると勝負に負けない事
・もし負けても少額で済む事
・勝負前に触る女は1人、決まった女である事
・選ばれた女の愛液に触れると、ツキや富が得られる事
・選ばれた期間中はそれが仕事になるので、ホールには出ない事
・挿入は絶対にしてはいけない事。フェラチオもダメ。
・気持ちよくさせてツキをもたらす愛液に触れる事が目的
それを聞き、風水や宗教好きな社長の考えそうな事だと思った。
社長は怖い時もあるけど、何故か憎めない人だった。
縁起がいいからと、黄色い財布をくれた時にはちょっと困ったが。
とにかくその社長から通達があったようだ
「次の福女は桜だ」
そして手始めに古参ディーラーが私を試したと言う事だった。
この業界は確かに占いやツキを気にする。
妊婦が店にいると店が潰れるという事も聞いた事があるし、実際に妊娠した女性ディーラーはクビになった事もあった。
でも
「福女(ふくめ)」
というのは初耳だった。
「そりゃ隠す存在だからだよ。大っぴらにできないだろ?ただでさえ違法な店だし、やってる事は猥褻行為だしなあ」
うん、確かに。
「これからの事は社長から説明あると思うけど、それまで休憩室から出ないでね」
いきなりオカルトな世界に入った気がした。
それから3時間程、マンガを読んで時間を潰していた。
「桜ぁ~、いるか?」
社長の声だ。
やっと来た。
「お疲れ様です、あの…」
「ああ、今回はスマンな。だが待遇は保証する、やってくれないか?」
「開店前や休憩時間にディーラー達にツキを与えるだけだ。ホールの仕事はしなくていい、時給は2千円だったな?時給1万にする。浜は黒服にしたよ、お前を試した2人も負けてない」
「トイレもシャワーもついた専用の部屋がある、お前はそこでツキを与えてくれりゃいい。他のウエイトレスに嫌がらせされる事も無い。強姦の心配は一切しなくていい」
「どうだ?福女になってくれないか?」
一気に話され、戸惑った。
社長はそんなに福女とやらを信じてるのか。
だけど悪い話では無い、時給1万円。専用の部屋。
社長が飽きるか、迷信だとわかるまで福女になるのもいいだろう。
「わかりました、あまり自信ないけどやります」
「そうか!助かった、ありがとう!じゃあ早速こっちに来てくれ」
いつも鍵のかかっている青いドアが休憩室にある。
使ってない倉庫か何かだと思って気にしていなかった。
取り出した鍵で社長がドアを開けると、意外な程綺麗な部屋があった。
奥にはベッドがあり、透けたカーテンが吊されている。
バストイレ、ミニキッチンまでついている。
「どうだ?まあまあだろ?」
「じゃあ早速、俺にもツキをくれ」
ベッドに押し倒された。
「んんっ…あっ…社長…」
スルリとチャイナ服を脱がされ、あっという間に裸にされると
社長は貪るように私の体を舐めまわしてきた。
舌で舐め、手で触り、太ももは私の股間に押し当てている。
本当に全身で私から「ツキ」を取ろうとしているようだ。
股間に当てられた太ももに感じてしまう。
グリグリと左右に動かされ、逃げられない。
「あぁっ…いい、いぃ…。足がいやらしくて…感じちゃ…う…っ」
「感じてくれ、もっと感じてツキをくれ」
ツキなんてただの人間の私にあるわけない。
社長が信じている間だけ、話に乗るだけだ。
あぁ、でもなんて気持ちいいんだろう…
「桜が淫乱で助かったよ、お前の体からツキが溢れでている」
「淫乱じゃ…な…い。あぁんっ…太ももが…当たるんです…っああ」
「ん?どこにだ?クリトリスか?」
更に力強く押し当てられた。
「ひゃうっ…や…もうダメ…イッちゃう」
「おっと、いかん。イかせる前に舐めておかないと」
足を広げられ、社長の顔がもぐりこんだ。
私のアソコをすくい舐める、丁寧に丁寧に。
自然と腰が浮いてしまう。
「あ~…あっ…あ……んっ…んんっ!」
舌がクリトリスを攻めてきた。
優しくそっと舐めたり、強く当ててきたり
「あぁっ!イッちゃいます…イク…あっ…あぁんっ」
社長はイッた私のアソコをそっと舐めている。
ふとおかしな事に気づいた。
私は1度イクともう触られるのは、痛かったりくすぐったかったりして無理だ。
でもイッた後も社長に愛液を舐められ、吸われているのに痛みを感じない。
社長が上手いって事なのかな?
「桜、ツキをありがとう。早速試してくるよ」
社長はそう言い残し、部屋を出て行った。
きっとどこかの賭場に行くんだろうなぁ。
シャワーでも浴びよう、ベッドから体を起こした。
「桜、桜起きろ」
体を揺さぶられ目が覚めた。
興奮した様子の社長がそこに居た。
「あ~お疲れ様です。すいません寝ちゃってました」
「そんな事はいいんだよ!見ろこれ!」
札束だ。
店で見慣れてるから驚かない。
300万くらい?
ぼんやり考えてる私に社長が言った。
「3万が300万超えたぞ!?カードでだ!お前は本物だ!」
えーどうしよう
たまたま、偶然、まぐれ当たり
そのどれかだろうに。
さすがに面倒になってきた。
暴走する前に社長を止めよう。
「え~ゴホン!社長、そなたは激しい勘違いをしておられる!落ち着きたまえ!」
頭を軽く叩かれた。
ジョークのキャッチボールは失敗したらしい。
「いいか?今までこの部屋に誰か居た事あったか?」
ない。
そういえばない。
「こないだな、店に来た占い師がお前を見て言ったんだよ、福女として扱う女だって」
「俺がやる店で福女を置くのは久しぶりなんだよ!今までは適当な女を代わりにしていた。だけど全員、若さや運や体力を無くしてしまうんだ」
この1年、カーテンの向こうで声をあげていた女達。
彼女たちは「代わり」をやらされていたのか…。
「お前は違う!少し寝ただけですっかり元に戻っている!」
ゾクリ、とした。
彼女たちはどうなったんだろうか。
死んだ?
殺された?
違う店に行った?
どれも違う気がして、どれも当たっているような気がした。
「福女(ふくめ)役、これからも頼んだぞ。今日はもうあがっていいからな、タクシー代だお疲れさん」
時計を見た、夜12時過ぎ。
手には社長からもらった10万円があった。
自宅は職場からタクシーで30分程だ。
いつもは電車を使うけど、終電も間に合わないと思うしタクシーで帰る。
体は程よく疲れている程度だった。
ウエイトレスとして働く時間は夕方から早朝までだから、こんな時間に帰れるのが嬉しい。
福女(ふくめ)か…。
なんだか話がオカルトチックで、まだ実感がない。
座敷わらしみたいなものかと思うとなんだか笑えた。
2ちゃんでスレでも建ててみようかな。
「福女だけど質問ある?」
…やめよう。
社長が激怒しそうだ。
生きてる人間が一番怖い。
「あ、この辺でいいです」
タクシーの運転手さんに告げ、料金を払い降りた。
自宅から一番近いコンビニは、いつもと変わらない。
冷凍のカルボナーラとパックのレモンティー、タバコも買って自宅のアパートに着いた。
ワンルームだけど新しくて収納スペースも広い、気にいってる部屋だ。
靴を脱ぎ、ベッドにうつ伏せになる。
こんな時間じゃまだ眠くない。
シャワーを浴び、再びベッドへ。
枕元にあるジョジョの奇妙な冒険を手にする。
名作だよな、これ。
食べる事も忘れ、読んでいるうちに眠った。
目が覚めた。
まだ午前11時だ。
3時に家をでれば間に合うから、だいぶ時間がある。
携帯を見ると社長からのメールがきてた。
「今日から早めに出勤お願いします」
「福女」の事かな?
知らない事がいっぱいあるし、聞いておきたい。
しかし素っ気ないメールだ。
シャワーを浴び、身支度を整え2時に家を出た。
店がある雑居ビルに着き、店の鉄の扉の横にあるインターフォンを押す。
普段と同じようにガチャリと扉が開いた。
「おはようございまーす」
「オハヨー、社長マテルヨ」
フロント係のエドだ。
黒人、身長197センチ。
一見かなり怖い。
てか、怖いし室内ではサングラス取れ。
社長はもうカウンターで飲んでた。かなりご機嫌だ。
「桜、ビールでも飲んでおけ」
「いや、これから仕事ですよ。お酒はマズいです。早めに来たけど何かありました?」
笑いながら答えると
「お前の制服変わったから試着しとけ」
そう言い、昨日の部屋に行った。
昨日と変わらない部屋に服があった。
ワンピース3着とバスローブ。
ミニスカのワンピースを着てみた…が、肩ヒモすら無かった。
胸を包むだけのチューブトップのミニスカワンピース。
まるでバドガールだ。
「うん、いいな!それでツキを与えてくれ」
嬉しそうに言いながら、着たばかりの服を下ろした。
簡単に胸があらわになる。
「はぁ…んんっ」
胸を舐められ、声が出る。
右の乳首を舐められながら、左の乳首をつままれる。
私はこれに弱い、立っていられない。
下も…下も触って欲しくなる。
思わずしがみついてしまった。
「ベッドで…んっ…」
「今日は胸だけだ」
社長の残酷な言葉が聞こえた。
「ぁんっ…お願いします…下も…もう」
懇願してもダメだった。
「桜は本当に福女だなぁ、ツキのある体液、淫乱な体。」
「極めつけに処女だ」
どうしてわかったんだろう…。
確かに触られたり自分で触る快感は知ってる。
でも誰にも言ってない。
恥ずかしいから。
まだ経験が無いなんて言えないから。
「驚いたか?」
私の体から離れた社長は、笑いながらそう言った。
「確かに…まだです。でもどうして?」
「占い師」
「占い師が言ったんだ。処女で…処女なのに淫乱の気を出している」
「だから誰もお前を抱かなかった…抱けなかった、が正しいかな」
心当たりは…あった。
今まで私を抱こうとした人は、何故か萎えたり体の不調を訴えたりした。
だから昔はコンプレックスだった。
抱いてもらえないという事が。
魅力が無いと言われてるようで。
「体質みたいなもんらしいぞ。お前のせいじゃない。」
ショックを受けている私を見かねてか、社長の声が優しくなっていた。
涙が出た。
好きになった人に抱いてもらえなかった理由が、体質?
訳のわからない体質?
私のせいじゃないか。
好きになった人を自分ではねつけてたんじゃないか。
「泣くな」
察したんだろうか。
社長が私の涙を拭う。
「お前のせいじゃない。涙も体液だ。悲しい体液より、喜びの体液を出せ」
私の頭を撫でてから、ベッドに連れていかれた。
「喜べ、体も心も」
太ももがまた、私の両足のあいだにすべりこんできた。
「はぁっ…あ…んっ、んっ…」
社長の動きに体が喜ぶ。
もっと、もっと、もっと
「あっ…そこ……イク…、イっちゃう…」
「思い切りイっていいぞ」
でも…これじゃ、ツキは?福は?
社長の太ももだけでイっちゃう事になる…。
「はぁっ……んっ…あああぁっ!」
自然と閉じたまぶたに力が入った。
達したせいで呼吸が荒くなっていた。
「今日はギャンブル諦めるわ」
笑いながら言う社長に、救われた気がした。
午後4時だ。
ドアの向こうに人の気配がする。
気を…取り直そう。
社長はあの後どこかへ行った。
自宅か愛人の所だろう。
シャワーを浴び、バスローブをまとう。
一度洗ってあるのか、バスローブは水滴をよく吸ってくれて着ごこちが良かった。
ぼんやりしているとドアが開いた。
ディーラーの大山さんだ。
「ツキ、くれますか?」
少しビクビクしながら言ってきた。
そんなに緊張しなくてもいいのに。
頬がゆるむ。
「どうぞ、きて?」
ベッドに座り右手で誘う。
私の右手をとり、大山さんは体に乗ってきた。
バスローブをはだける。
もう全身丸見えだろう。
左の乳房を舐めまわしながら、下を触ってくる。
「んっ…は…あ」
たまらず声を出す私に安心したのか、動きがなめらかになった。
男の人のテクニックは本当に見た目じゃわからない。
バカにされがちな大山さんだが、優しく力強く触ってくれる。
「あっ…あっ…そこ」
「ここ?ここがいいの?」
絶妙な力加減でせめられる。
私の弱い場所をまるでわかっているかのようだ。
「あっ…!」
何かが入る感触がした。
指だ。
私に入れた指を左右に動かす。
「あぁぁぁ…あっ…はっ…あぁっ…!」
すごい快感の後に下半身が一気に濡れた。
「潮、吹いちゃったね」
指を舐めながら嬉しそうに言う大山さん。
私は初めての快感に返事もできないまま、荒い呼吸を整えていた。
「ツキ…もらうよ」
濡れた太ももを舐められ、舌が徐々に敏感な部分に近づいてくる。
器用に動く舌に、私の小さな突起は捕らえられた。
「んっ…ダメ…また…」
クリトリスを優しく舐められ、背中がそりかえる。
「あぁ…あっ…いぃ…あ…んんっ」
またイく、イっちゃう。
「はぁんっ…んっ!」
イった私の体液を丁寧に舐める大山さん。
この人とこんな事をするなんて、昨日までは思いもつかなかった。
「ありがとう、勝てそうだ」
グッタリした私の体に手を置き、部屋を出て行った。
大山さんが出て行った後、不安が一つ湧いた気がしたが頭が痺れて不安の正体にはたどり着けなかった。
横になりながら、別の事が頭に浮かんできた。
どうして処女なのに潮が吹く程、指で感じたんだろう?
普通は痛いんじゃないのかな?
指くらいの太さなら感じる事もあるんだろうか…
それに一度達したのに、さっきは2回目の絶頂がきた。
…体が変わってきてるんだろうか?
答の出ない疑問を繰り返していると、ウトウトしてきて眠りに落ちた。
そして、その数日後に事件が2つ起こった。
事件が起こる頃、店のディーラー全員が私の体液を口にしていた。
1つの事件は大山さんだ。
余りにも勝ちすぎる。
加えて私生活でのパチンコも負けなかったらしい。
それで調子に乗って口が滑ったのか
「桜に潮吹きさせた」
と自慢したらしい。
私に事実確認した社長の怒りは凄かった。
殴られ倒れた大山さんの顔面を更に蹴っていた。
人間の鼻からこんなにも血が出るのか、と恐怖で動けなかった。
社長が怒った理由は2つ。
・指で私の体に傷がつく可能性
・あまり強いツキだと客が離れてしまう事。
店側が勝ちすぎると当然イカサマを疑われ、もう店に客は来なくなる。
「生かさず殺さず」が鉄則だからだ。
動けなくなった大山さんはどこかに連れて行かれて、店に戻る事はなかった。
以前聞いた事がある処分場で処理されたんだろう。
体が見つからなければ単なる失踪扱いで終わる。
私も社長に怒られた。
「自覚しろ」
…重すぎる一言だった。
2つ目の事件も、私の自覚が足りないせいで起こった。
私は大山さんの事の後、少し荒れた。
「なにが福女だ」
「自覚したって、防ぎようがない時だってある」
「どうせ私を利用してるだけのくせに」
「ただの迷信に巻き込んだのは社長なのに」
人のせいにして罪悪感から逃れたかった。
態度も投げやりになっていたんだと思う。
「今日はもう早退しろ、ただし必ずタクシーを使え」
社長が少し怒ったように言った。
この部屋にいたくなかった私は無言で着替え、店を出た。
まだ電車がある。
タクシーなんてもったいない。
そう思い、駅に向かった。
男性とすれ違ったその瞬間、お腹に衝撃が走り膝が折れた。
誰かに抱えられた所で意識が無くなった。
これが2つ目の事件だった。
目が覚めると、店のいつもの部屋だった。
お腹が痛い、吐き気も少しある。
何が起きたのかわからなかった。
社長と浜さんが部屋に入ってきた。
「社長…私どうし…」
「馬鹿やろう!タクシー使えと言ったろうが!」
いきなりの怒声に固まった。
「お前、拉致られる所だったんだ!だから自覚しろっつったろうが!」
「社長、落ち着いて下さい」
浜さんが宥めてくれたが、社長の怒りは収まらないようだった。
「拉致って…私を?どうして…」
「だから自覚持てっつってんだろうがぁ!」
社長を制して浜さんが説明してくれた。
他の店に私の存在が知れた事。
車に乗せられそうになった時に
シキテン(店外の見張り役)のラウさんが助けてくれた事。
今更ながら体が震えた。
さらわれてたら…どうなっていたんだろう。
社長が深いため息をついた後、つぶやいた
「桜、もう危険だ。お前ここに住め」
「ここに住む…しかないんですか?」
強く反論できなかった。
自分の小さな反発心でこんな事になってしまったのだから。
社長が答えてくれた。
「福女の扱いを正しく知らずに欲しがる奴もいる。」
「例えば、仏像拝みながら賛美歌を捧げるようなもんだ。」
「レイプや輪姦ならまだいいほうだ。福女の肉を食って力を得ると思ってる奴もいる。」
吐き気が強まった。
肉を食べる?人間の肉を?
いくらなんでも信じられない。
ここは日本だ。
そんな事したらすぐに捕まる、そんな事する人がいる訳ない!
「昔、いたんだよ桜ちゃんの前に」
「……え?」
浜さんが下を向きながらポツポツと喋りだす。
「さらわれて、たぶん輪姦されて、見つけた時には手足と内蔵が無い状態だった…」
「そんな状態の人間はどうしたらいいと思う?親には渡せない、警察には届けられない。葬式もあげてやれない。」
まさか…まさか…
「処分場で魚の餌だ。体が見つからなければ失踪扱い、知ってるよね?」
私はこの部屋に住む事にした。
アパートの家賃等も社長が支払ってくれるそうだ。
食事の心配も無いらしい。
「一週間は福女やらなくていいぞ、そろそろ客にも勝たせないとな。バランスだ。」
「っと、それからお前の事をバラした奴も特定できた。ほとぼりを冷ますまでちょっと待っててくれ」
それから私は携帯で調べた。
福女…福女…
検索にヒットするものは無かった。
浜さんはテレビやDVD、マンガに小説。
気を紛らわすものを色々持ってきてくれた。
そして部屋を出る度に、鍵を、かけられるようになった。
まるで檻だ。
私を傷つけるものは無いけれど、出る事もできない。
水の檻だ。
「あらあら、いい部屋ね~」
ビックリした。
マンガに夢中になっていたせいか、ドアが開いた事に気づかなかった。
そこには社長と女性がいた。
30代後半?
穏やかな笑顔の綺麗な人だった。
「桜、占い師の…」
「ゆきです、よろしくね桜ちゃん」
凄いこの人、社長の言葉を遮った!
「はい、けんちゃんはもう出てって」
ぶはっ!
社長がけんちゃん呼ばわりされてる!
「全くデリカシー無いから嫌よねえ。あ、ベッドに座りましょ?」
「あ、はぁ…」
笑いをこらえて曖昧な返事しかできない。
「今日来たのは、桜ちゃんに会いたかったからなの。今の気分はどう?」
言葉にするのが難しい。
「えっと…やっぱり気持ちは暗いです。色々ありすぎて、理解できない事もあるし…」
「福女の事?」
「たまたま当たってる迷信なのに、周りが疑わずに信じてるのが怖いです。そのせいで…人も…」
「あぁ、大山ね。ほっといても自滅したのにねえ。ま、元は大山のせいで桜ちゃんがこんな状況になっちゃったんだし、気にしない事よ」
…自滅?
「自滅ってどういう事ですか?」
ゆきさんは私の目をジッと見つめてきた。
「人間にはね、相応の運があるの。ツキの量も決まってる」
「体に多すぎる量のツキを入れたら…バーン」
手をパーに開いて、はじける動作をしている。
「それから福女は迷信じゃないわよ?雨男とか晴れ女とか聞いた事あるでしょう?」
「あ…はい、出かけた時に雨が降る事が多い人ですよね?」
「そそ、福女はそれと一緒。」
「ただ、ちょーっと影響が特殊で強いだけ」
「あの、体も以前と違う感じなんですけど…」
ゆきさんはケラケラ笑った。
「そりゃ当たり前よ、ずっとペン握ってたらペンだこできるでしょ?水泳選手で手に水かきができた人もいた」
「さ、リラックスするお香でも焚こうか。横になって、目のクマがすごいよ」
お香の匂いが心地良い。
気持ちをほぐしに来てくれたんだな、とわかった。
「私は帰るから眠っちゃっていいからね、またね桜ちゃん」
(桜か…福女には皮肉な名前ね)
ゆきさんにそう言われた夢を見た。
久しぶりにぐっすり眠れた。
昼の12時だ。
『ずっとペン握ってたらペンだこできるでしょ?水泳選手で手に水かきができた人もいた』
ゆきさんの言葉を思い出していた。
体は順応するっていう事なんだろうな。
体の変化も納得できる気がした。
ドアが開く
「浜さん!」
「おはよう、なんか今日は元気だね」
「久しぶりにぐっすり眠れたの、今日は何持ってきてくれたの?」
浜さんが持つ紙袋を見る。
「そっか…そっか、良かった」
「…浜さん?」
「今日は読みたがってたブリーチ全巻セット!」
「ありがとうっ!千本桜でお礼する!」
嬉しくて思わず抱きついた。
「死ぬだろ、それ…」
「大丈夫!唾液も体液だよ?」
「………桜?」
浜さんにキスをした。
深い深いキス。
戸惑っていた浜さんも途中から舌を絡めてきた。
「ツキ、持って行って」
私は自分から足を広げた。
ピチャピチャといやらしい音がする。
「あ…っ…はぁっ…ん」
簡単にイかされたのに、呼吸は乱れていない。
「ツキは店で使っちゃダメだよ~?」
手を振る私に複雑そうな笑顔を向け、浜さんは出ていった。
「はぁっ…んっ…ん」
今は2人相手だ。
胸を舐められ、愛液を吸われている。
「あんっ…は…んっ…イキそう…だよ」
乳首とクリトリスへの執拗な攻めが始まった。
「は…あっ…あっ…あぁぁぁ!」
交互に舐められる。
汗も愛液も。
体から出る体液は全て。
「…ねえ?こんな事で本当に勝てるの?」
初めて自分から聞いてみた。
「勝率8割以上っすよ!」
「だよな!デカい張りだとすっげえ気分いい!」
「そう…この後あるんでしょ?頑張ってね」
「うっす!いつもあざーす」
入れ違いで今度は1人だ。
「シャワー浴びちゃうから、ちょっと待ってね」
「時間無いんです!このままでお願いします!」
「…そう?じゃあきて?」
背中の汗を舐めてきた。
「んっ…」
手が股間に伸びる。
「あぁ…んん…っ」
体を倒され、またクリトリスを舐められる。
「あっ…あっ…んんっ…ああっ!」
愛液をすくい舐められる。
「はぁ…んんっ…」
充分にツキを舐めて、安心した顔で部屋を出て行く。
その背中をぼーっと見ていた。
「社長、桜の様子おかしくないですか?」
「………。」
「…何かあるんですか?」
モニターを見つめたまま、何も答えない。
「俺ちょっと行ってきます」
「ここにいろ、浜」
「でも…変ですって!」
「いいからモニター監視だけしてろ!」
『今日から入りました桜です!よろしくお願いします!』
桜が入店した時は驚いた。
ストレートの長い髪
スレンダーな体
冷たそうに整った顔で意外によく笑う。
好みストライクだった。
『浜さん、浜さん!これ見て下さいよ~』
よく喋りかけてくるのが嬉しくて、俺もからかってよく笑わせた。
可愛く思っていたが、恋愛感情ほどでは無かった。
桜が入店して半年くらいの事だった。
大勝ちした客が浮かれて言ってきた事があった。
「桜ちゃんて、いくらで交渉できる?」
怒りが沸いた、が相手は客だ。
「すみません、うちの店ではそういった事は…」
「だよなぁ!冗談、冗談!吉原行ってくるわ!」
その頃からはっきりと意識しだした記憶がある。
気づかれないように目で追ったりして
「情けねぇなあ、俺」
と家で酔いながら思った。
それが一変したのが社長の一言だった。
「桜を正式な福女にする」
「福女って…またやるんですか?」
「おう、俺の愛人の占い師いるだろ?あいつのお墨付きだ」
「危ないですよ!前の子だってあんな事になって…」
「だから今回はキッチリ守る。福女部屋に監視カメラも設置した」
以前ディーラーに騙され、さらわれた女の子の酷い姿を思い出した。
そんな危険な目に合わせたくない。
「でも…桜ちゃんはジョジョネタで笑うような子ですよ?」
「…関係あるか?それ」
「…無いですね、すいません」
「ディーラー集めて説明しとけ。最初に桜を試すのはお前に頼む」
「…本気なんですね」
「最後までやるなよ?まあ、やれねぇと思うがな!」
「やりませんよ…」
「あいつ特殊体質らしくてな、男は何故か萎えるんだと。だからまだ処女だ」
「……!」
「まさに福女だろ?じゃ、報告しろよ」
それから俺はディーラーを集め、説明した。
信じない奴もいたが当然だろう。
そして休憩室で桜が来るのを待ち、わざとらしい演技をしてカーテンの奥に押し倒した。
桜の驚いた顔は忘れられない。
興奮しながら触ると桜の体はすぐに反応した
(本当に処女か?)
と思ったが、漏れる声が可愛くてキスで唇をふさいでしまった。
抱きたい欲望に襲われ、慌ててやめた。
(社長、嘘つきやがった!)
桜を触った手で、バカラ台に座った。
嘘のように勝てる。
客が勝手に負けていく。
…本物だ。
絶望しながら社長に結果を話した。
「下着の色は?」
「…赤でした」
「よし!他のディーラーにも試させて、それから福女部屋だ!」
これから色んな男に触られる桜を想像して、絶望が深くなった。
「それから浜!お前今日から黒服に昇格な」
…これも桜の福なんだろうか。
「おう、黒服!スーツ似合ってんじゃねえか」
「ネクタイが苦しいッス」
「お前は監視カメラのモニターチェックな」
「俺がやるんですか?」
「タダでエロビデオ見れるんだ、役得じゃねえか」
「……はい」
好きな女が他の男に感じてる姿なんか見たくねぇよ…。
仕方なくモニターチェックを続けた。
感じる桜を見て抜いた事も何度かあった。
社長との絡みはモニターから目をそらした。
大山の件はモニターの死角になって、見逃した。
いつもより感じている桜の姿に違和感を感じながら興奮してしまった。
社長が殴る前に殴ったのは秘密だ。
大山が桜の事を飲み屋で話し、他店の黒服に聞かれたとわかった時はもっと殴っておけば良かったと思った。
さらわれかけた時は本当に焦った。
ラウから桜を渡され、ベッドに寝かせた時は安心して泣きそうになった。
ついでにキスしといた。
福女部屋に軟禁状態が見てられなくて、喜びそうなものを探して回った。
社長の愛人が来た次の日、元気になった顔が嬉しかった。
様子が少し変だったのが気になった。
そして今、モニターの桜は明らかにおかしい。
モニターを見つめながら聞いた。
「桜に何したんですか?」
「うーん…お前トランス状態って知ってるか?」
「まあ、一応。何となくですが」
「桜は今その状態だ」
軟禁状態のせいか?
確かにあんな生活じゃおかしくもなる。
が、違った。
「じゃあニンフォマニアって知ってるか?色情狂って言ったほうがわかりやすいか、桜は今それにする為に軽いトランス状態にしてる」
「っ!どうして!」
「そのほうが都合がいいじゃねーか。精神病んで手首切られても困る」
「そこまでしなくても…」
「貴重なんだよ」
「え?」
「福女の体質で淫乱で処女。同じ女を用意できるか?桜を福女にしてから店の利益は1日500万切ってない」
「な?貴重だろ?」
ダメだ。正論言っても納得する訳がない。
いま逆らったらクビにされて、二度と桜に会えなくなる。
「確かに貴重ですね、もしかして昨日のお香ですか?」
「おう、それそれ!俺もこんなに効くとは思わなかったわ」
あのババアもグルか…
「お、またディーラー入ったぞ…。さすがトランス状態だな、立て続けでも濡れまくってるな」
「この状態を続けるとニンフォマニアになるんですか?」
「おう、そうらしいぞ。だいたい一週間らしい。シャブ塗ると早いが、ありゃ良心痛むしなー」
善人のつもりかよ!
やってる事は変わらねえよ!
「ちょっとトイレ行ってきます」
「桜の乱れっぷりに我慢できなくなったか?ちゃんと手ぇ洗えよー」
「勘弁して下さい、ただの下痢ッス。桜に今更興奮しませんよ」
モニター室を出て、トイレの個室で頭を抱えた。
考えろ、どうすれば助けられる?
あれから3日、まだ打開策は浮かばない。
「トランス状態とか危ないから、昼間は俺寝泊まりして見張りますよ」
社長の許可を得て、桜と同じ部屋で寝ている。
このままさらってもすぐ見つかる。
第一、桜の体調じゃ逃げるのは無理だ。
「浜さん、ツキいるの?」
「キスがいいな、体調悪いんだ」
「じゃあ私のキスで治るね」
ディープキスをしてくる。
これがこの3日のやり取りだ。
無邪気に笑う桜が痛々しかった。
毎日、男達に体からしぼりとられてるんだ。
休ませてやりたい。
海外…桜の体が無理だ
病院…すぐに見つかる
警察にタレコミ…あと4日で摘発くるか?
放火したドサクサ…下手したら焼け死ぬ
桜を買いとる…そこまでの金がねぇよ
あの時に桜が嗅いだお香の種類がわかれば…何とかなるかもしれない。
皿を調べたが燃えカスしかない、当たり前か…
早くしないと桜が壊れちまう。
考えても考えてもいい案が浮かばない。
…不覚にも寝てしまった。
夜になりまたモニターを見る。
「手ぇ出してねえだろうな?」
「まさか。それに騙されましたけど、桜を抱こうとすると萎えるんでしたっけぇ?」
「騙すって何だよ。そりゃそうか、勃たなかったら襲いようがねえな!」
…笑ってる?
あれデマじゃなかったのか?
俺が最初に試した時には勃ったぞ?
「あ~それから、明日の昼間にゆきが行くから」
「ゆきさん?何でですか?」
「桜の体のチェックだ」
まずい、またアレを嗅がされたら終わりだ。
「んじゃ俺メシ食ってくるわ、んでそのままキャバ。いい女見つけちゃってよ~!お前も今度連れて行ってやるから」
「お疲れっす!」
ゆきさんはまずい。
桜は完全に戻れなくなる。
社長には面倒見てもらったけど、恩を仇で返すしかねーか…。
桜がうつろに喘ぐ画面を眺めながら、覚悟を決めた。
朝6時
掃除も終わり、営業終了した。
「じゃ浜さん、外鍵かけますんで。お疲れ様でした」
「サンキュ、お疲れ~」
ベッドを見ると桜はよく寝ている。
やっぱり疲れるんだろう。
これから自分がする事を考えると、可哀想になり決心が鈍りそうになる。
シャワーをゆっくり浴びてから、テーブルでタバコを吸った。
不思議と恐怖感は無かった。
タバコを消し、ベッドに座る。
もし桜が暴れて逃げても、ドアは内側からは開かない。
「ごめんな」
髪をなでながら先に謝っておこう。
布団をめくり、桜の体をなでる。
可愛い寝顔にキスをする。
「…ん、浜さん?」
「起こしたな、ごめん」
「いいよ~、ツキ?」
「そう。今日はお前のツキをくれ」
抱きしめる。
ゆっくり体じゅうに口づけをする。
小振りなバストを愛撫する。
「んっ…下も…」
下着の上からなぞる
「はぁ…あっ…」
濡れてきた。
下着を脱がせ、触りながら胸も舐める。
桜の温かい肌を忘れないように、ゆっくりと味わう。
「あぁ…あっ…んんっ…ダメ…指で…イく」
「いいよ」
桜が腕にしがみついてきた
「はぁっ……あぁぁっ!」
達したであろう、桜の足を広げた。
「…浜さん?」
「ごめん、桜」
もう充分に濡れている桜の体に
ゆっくり…
ゆっくりと…
入っていった。
「痛い!浜さん痛い~!」
「はっ…はっ…ごめん、止まらない」
「痛いってば!」
左の頬にビンタを食らった。
「桜…正気か?」
「正気じゃないよ!痛いよ!」
笑いがこみ上げてきた時だった。
「何…してるの?あなた達」
ゆきさんが立っていた。
「ゆきさん!なんで?」
「浜さん!痛い!早く抜いてよ!」
「あはははは!凄いわ、浜くん!お見事よ!」
ゆきさんが突然笑いだした。
訳がわからない。
ゆきさんは持参したビニール袋から…
バイブを取り出し見せつけてきた。
「初めてがバイブじゃ可哀想だと思ってたのよ」
眩しい笑顔だった。
お香は桜の体に溜まるツキを吐き出させる為だったらしい。
そしてある程度減らした所でバイブで処女喪失。
荒っぽいというか、なんというか。
「こうでもしないと、けんちゃんは桜ちゃんを廃人にしちゃってたわ」
そして桜を見て
「もう大丈夫、浜くんが体質治してくれたわ」
俺は、痛みと状況がわからず泣く桜を抱きしめながら
とにかく謝った。
謝って謝って、好きだと告げた。
「ホントに?ホントのホントに?」
「ホントのホントに好きだ」
「いいシーンだけど続きは後でね。あと1人、盛大に怒る人がいるでしょう?」
店長……
ゆきさんからの連絡で
店長は5分で来た。
さすが金の亡者だ。
「浜……首出せ、叩き切る」
「すいませんっ!」
「言葉はいらない、首を出せ」
「も~、けんちゃん聞きなさい!」
ゆきさんが入ってきた。
「いい?この業界は水ものよね?ツキも本来、水ものなの!
ツキツキ言っててわからなかった?空の月も満ち欠けする。それと一緒でツキも…」
「水の月なの!」
ヘタレな俺は心の中で、ゆきさんを応援した。
(いいぞ、ゆきさんもっと行け)
「でもよう、福女は…」
「だから福女でいられる時期なんて、一生のうちの一時期だけなの!桜ちゃんはたまたまそれが長かっただけ!」
「まぁ桜ちゃんは力は戻るでしょうけど、60年後くらいね~」
「マジかよ…」
「陽炎、稲妻、水の月ね。
手に取れそうで、手に取れない。諦めなさいな」
にっこり笑ってゆきさんの完勝だった。
その後、警察の摘発があり店はなくなった。
社長は捕まったけど執行猶予がついた。
俺は普通の仕事に就く事ができ、桜と一緒にいる。
来月にはパパになる予定だ。
~~~終わり~~~
サイドストーリー
~福男~
「ねえねえ、浜くん。あなた素質あるわよねぇ」
「何ですか、ゆきさんいきなり。何の素質ですか」
「いや福男の」
「は?」
「桜ちゃん抱けるくらいだから、福男の素質あるなぁって」
「は?」
「やらない?福男。時給1万円でバストイレ付きの個室。
ディーラーに福を与えるだけの簡単なお仕事。生卵飲めば1日4回はイケるんじゃないかなあ」
「お先に失礼しまーす」
~桜~
「桜の名前の伏線回収忘れた」
「私の名前?」
「うん、桜ってすぐ散るじゃん?絡めるの忘れた」
「……」
~社長~
「浜のせいだ浜のせいだ浜のせいだ」
「諦められないの?」
「浜のせいだ浜のせいだ浜のせいだ」
「男にツキを与える福男ってのもあるわよ?」
「浜呼んでこい」
ホントのホントに終わり
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