禁断の恋 俺
なにもない部屋に、ただただ座り込む。
家具もなにもない。
どうしてこの場所に、なんの為に、考えても考えても答えは出ない。
そして俺は…普通の人とは違うみたい。
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…あれも俺達の仲間?
って事は死んでるのか?
「あっ!あの人…私と気が合いそう!!じゃあ私、そろそろ行くね?」
「…」
女はまたニッコリ笑う。
「あっ!貴方はまだ生きている人間と死んでる人の見分ける方法分からないよね?目を凝らすと分かるよ!!じゃあまたね♪」
女は一方的に話すと走り去ってしまった。
なんだ?アイツ…
取り合えず男は、女が仲間といっていた人達を、目を凝らして見て見ることにした。
ん?少し透けているような…
もし仮にあの人らが死んでいたら、
何故俺はあそこに行けないんだ?
チッ…またモヤモヤしてきた。
てかもっと教えろよ。
気の合う奴がいたぁ!とかいって
気の合う奴?
また俺は、何もない部屋に戻る。
何もない部屋に…
ん?
部屋には大量の箱
そしてお腹のでかい女と男がごそごそと何かをしている。
目を凝らして見てみる
あぁ。生きてるな
奇妙な3人の生活が始まった。
そんな奇妙な生活が数ヶ月経った頃、俺はまた出掛けようとした
あの横断歩道に…
そしたら部屋から女の苦しむような声が聞こえてきた。
行って見ると女はうずくまって大量の汗をかいている。
そういえば、今日は男を見ていない。
俺は、電話に手を添えてみた。
だけど、やっぱりすり抜ける
俺は何故だか何回も何回も持とうとした。
手に全神経を注ぐ
ガチャ
「ん?持てた…?!」
電話の横に置いてあった紙に書かれた数字を押していく。
数分すると沢山の人が集まって来て騒がしくなったかと思ったら静かになった。
最近女の姿が見えないとおもっていたら、
ニヤニヤしてる男と、お腹の小さくなった女…それに小さな人間。いやあれは…赤ちゃんだ。
赤ちゃんが1人増えただけで、凄く五月蝿くなった。
嫌いだ。子供なんて…
最近は俺を見てニッコリ笑ってくる。
無視しても
あぅ~とか言って涎でベチョベチョになったオモチャを渡してくる。
いらねぇし、生きてる奴は今寝る時間だろ?っていうけど、キャッキャッ笑ってるだけだ。
あ…また泣き始めた。
五月蝿い…
女が起きた。
いつの間にか、アイツはグッスリ寝るようになって今度は俺の後を追いかけるようになった。
疲れるしお前の口の中でぐちょぐちょした物なんて貰いたくない。
あれから住人が何回か変わった。
…今回は女か。
若い女が引っ越してきた。
若い女は、とにかく独り言が多い。
ん…?俺に話しかけているのか?
いや違うな。見えて無さそうだし。独り言か?いちいち五月蝿い奴だな。
「ふぁー♪ほらっ?見て?」
女はカーテンと窓を開け、身を乗り出した。まだ少し冷たい風が吹き、女の髪がなびく。
「凄く良い眺め♪今日から1人!夜更かししても、帰りが遅くなっても怒られない!欲を言えば、もう少し新しければもっと良いんだろうけど…でも仕方ないよね。家賃安いし!!ふふっ。自由ってなんて素晴らしいんだろう!!」
…。
数時間後
「1人の夜って何だか怖い…。あれ?なんか今聞こえた?」
「絶対なんか聞こえたよね?えぇ?絶対聞こえたもん!帰りたい帰りたい帰りたい…でも今更…無理だよね…絶対。笑われる笑われちゃう…どうしょう?どうすれば?誰か助けて?」
…はよ帰れや。
てか何も聞こえ無かったんだけど。アイツには何が聞こえたんだ?逆にこえーよ。
「えっ?ほらっなんか聞こえた!!聞こえたってば!!」
女は布団にくるまる。
もしかして、同じ階のじーさんが出してる音じゃ…
「ふぁっ?怖がってる場合じゃない!!新発売のマンガ取りに行く予定だったんだぁ私ったら忘れん坊な・ん・だ・か・ら♪」
ん?
「ふんふんふーん♪」
何だ?急にあんなに怖がってたのに嬉しそうだ。
「いけない…話す人がいないから独り言が増えちゃった…怪しい人だと思われちゃう!!」
…。
最近どこも落ち着かない
横断歩道にいると、白くてデカイ犬が来る。
ワフッワフッいいながら俺の目の前に座る。
俺は、どんなに触り心地が良さそうでも触らねぇーよ。って言うけど、人の言葉が分からないのか、毎回くる。
(アニキ!!今日も待っててくれましたか?あざーす!どうっすか?このフワフワでシルクのような手触りのボクを、今日こそさわさわしちゃいますかね?顔埋めてもイイっすよ?)
みたいな顔しやがって。
犬をさわさわして俺になんの得があるってんだよ。そりゃ…触り心地は良さそうだけど。
それもアイツは雨だと、犬なのにレインコート着ている。まぁ、可愛いって言えば可愛いけどさ。帽子ついてる意味あるの?それ。
飼い主は(小太郎ちゃんは、ここが好きなのねぇ)とかいってさ。
犬の目線の先、明らかにおかしいだろ。
気付けよ。見えてるんだよ!アンタの犬は!!俺の事が!!
はぁ。犬語なんて分からないしな。
どいつもこいつもキラキラな目にすれば、誰にでも好かれると思いやがって。
そういば、アイツは元気かなぁ。
「ねっ?行こう!」
「…。」
「ほらっ!」
女は男の手を握り、歩き始めた。
「あっ名前!!私は内藤 満里奈 (ないとう まりな)まりって呼んで?改めてよろしくね?」
「あぁ。よろしく」
男は満里奈の顔を見ずに歩き続ける。
「貴方の名前は?」
「思い出せない。」
「ふーん。そっかぁ。たまにいるみたいだよね?あっ!着いたよ!!ここ!!」
満里奈が指を指した方向に目をやると、真新しいラブホテルが建っている。
位置的には家と横断歩道のある場所の真ん中らへんだ。
「…。」
「ほらっ!!早く行こう?」
「あぁ。」
中に入る。
なんとも言えない雰囲気を醸し出している。
「ねぇ?貴方は何処がいい?ここなんてどう?」
「いいよ、そこで。」
見ないで適当に答える。
「ある日、俺の目の前に若い男女がいた。男は周りを見渡すと女にキスをした。女は恥ずかしいって小さい声で呟いた。男は、俺だって恥ずかしいけど、今すっごく可愛い顔してたからつい…と言った。その男の耳は真っ赤になっている。」
「えっ?うん…。それで?」
満里奈は突然の話にびっくりしながらも、
耳を傾けている。
「女が笑っているような、はたまた泣きそうな表情を浮かべながら男を抱き締めた。」
「嬉しかったんだね。彼女さん」
「嬉しい?」
「嬉しいよ!!いいなぁ。その彼女さんが羨ましい。」
満里奈の長い髪が男の顔に触れると、男は満里奈をどかし座る。
「でも俺、お前とキスしても恥ずかしくもないし、嬉しくもない。なんの感情も湧いてこないんだけど?なんで?」
満里奈の高笑いが部屋に響き渡たる。
「あっ!!私達死んでるから、もう金も必要ないか~!アハハ!!…でもさ、感情がないなんてただの強がりか、自分の心とちゃんと向き合って無いだけだと思うけど。だって私に謝ったでしょ?申し訳ないと思ってさ。」
「まぁ。確かに…」
「でしょ?だからきっと、大丈夫。」
「あぁ。ありがとう。」
「強がってたけど私ね、ずっーと、この生活が続くのかなぁ。もう嫌だ、寂しい。辛い。叫んで叫びまくったけど、なにもかわらなくて…もう嫌だ…いつまで続くのかな。」
さっきまでの勢いがなくなりうつむいている。
「…俺もこんな生活が嫌で叫んだ。」
満里奈は顔をあげ男の肩掴む。
「叫んだの?感情が無いなんて嘘じゃん!!慈しむ…あぁ。貴方は恋がしたいの?私とキスしてもなんの感情も沸かないのは、私の事が好きじゃないから…。そう!!それだけ!好きな人を見つければいい!!もしかして人を好きになったときないの?」
満里奈は男をガクガクと揺する。
「人を好きになる…確かにないかも。」
満里奈は大きなため息をついた。
「でも恋愛よか、どうやってこの生活に終止符を打つかの方がよっぽど大切だと思うんだけどなぁ。ってなんで私にこんな事言わせんのよ。成仏しろ!成仏!!それか私を満足させろ!!抱き締めろ!!…お願い…。」
「えっ?光ってる?泣いてる?大丈夫?ごめん…やっぱり嫌だった?」
「嫌じゃない。嬉しいの。私…父親に処女奪われて生きている間ずっーと、犯されて続けてたの。だから、だからね、今日抱き締めて貰えて本当に……本当に嬉しかった。ずっと幸せな人が憎くて……でもそんな自分が嫌だし惨めで辛かった…でも…たっくんのお陰で、私…人の温もりを知ることが出来た。本では分からない温もりを…。あっ!!本当の名前分かったら大きな声で叫んで?じゃあ…先に行ってるね?」
「うっ!!」
満里奈はもっと強く輝くと消えてしまった。
…消えた。
なんか心臓らへんがズキッとする。
心臓は動いてないから病気の可能性はない。
と言うことは、これが…寂しいという感情か…?
多分そうだ…。
あれからまた、朝がきて夜がきていつも通り横断歩道にいく。
「おーい♪」
男の目の前に見覚えのある女が手を振っている。
「ん?もしかして…」
「えぇっと。なんか成仏出来なかったみたい。てへぺろっ」
満里奈は可愛く見せたいのか舌を出している。
「…。」
「私ね…やっぱり可愛いウェディングドレス着て、新婦となる私は、新郎となるあなたを夫とし、良いときも悪いときも、富めるときも貧しきときも、病めるときも健やかなるときも、死がふたりを分かつまで、愛し慈しみ貞節を守ることをここに誓います。って牧師さんと神様に誓ってそれでイケメンの旦那様とラブラブな結婚生活してみたいなぁ。って思ったら成仏出来なかったみたいなの?キャハハハ」
部屋に住んでる女もだしコイツもそうだけど、女は何故こうも喋ると止まらなくなるんだ?
「だからもう少し、たっくんの幽霊生活に付き合ってあげるし、色々と満里奈が伝授してあ・げ・る♪」
やっぱり関わらない方が良かったな。
面倒くさい。
「あれれぇ~?今なんか面倒くさいなぁ。関わらなきゃ良かったななんて思ってる?そんなわけないよね?私可愛いし!あっ私たっくん容姿もいいし、お嫁さんになっても全然いいよ?そしたら…すぐ成仏しちゃう。どうしよう。困ったなぁ…」
はぁ…。一人がいい。
『ねぇ?あそこのクレープ屋さん美味しそうだよ?食べない?』
『あぁ俺…さっきご飯食べて来たんだよね。』
『そうなの?じゃあ今度食べよう?』
…。
今度は3人の目の前に小さなペットショップが見えてきた。
『あっ!!見てぇ?可愛い~♪いつか犬飼いたいね。』
『そうだね。』
『飼うならどの仔がいい?』
『うーん。あれかな?』
彼氏はピョンピョン跳ねている犬に指を指す。
…まぁ。確かに可愛いな。でも俺が飼うならあの白い奴がいいな。
けっ無防備な格好しやがって。
アイツは飼い主以外にもデレデレするな。
番犬に使えない。犬としていいのか?
あっ…アイツはボール遊び…
いけねぇ。すっかり惑わされていた。
ってここどこだ?
…何時も見ている景色とは違う。
そりゃそうだ。
たわいもない会話をしているとあっという間に大型ショッピングモールに着いた。
『やっぱ休日って人多いねぇ。』
『そうだな。』
…ん?
あいつも…。あいつも?!あそこにも…?
案外俺みたいな奴沢山いるんだな。
あんまし気にして人なんか見てなかったけど…
えっ?アイツ血垂れてんじゃん。大丈夫なのか?
さっきまで死んだ魚のような目をしていた彼氏が、何かを思い付いたのか、満面の笑みで彼女を見た。
『なぁ俺さぁ、こういう人多いとこ来ると、憑かれんだよなぁ。あはは漢字違い。なんつって。疲れるんだよなぁ。』
『あはは…』
そりゃな、俺に憑かれてんだもん。
でもそのギャグ…可哀想だが、笑えねぇ。彼女さんの顔、残念な感じになっちゃったわ。
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