禁断の恋 俺

レス163 HIT数 27298 あ+ あ-


2018/08/30 14:52(更新日時)

なにもない部屋に、ただただ座り込む。

家具もなにもない。

どうしてこの場所に、なんの為に、考えても考えても答えは出ない。


そして俺は…普通の人とは違うみたい。





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No.2394932 (スレ作成日時)

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No.1

普通って一体なに?

No.2

この部屋に俺は何故いるんだろう。

決まった場所にしか行けない。

No.3

周りの奴等と同じように横断歩道を渡ろうとする。


だが、俺は俺だけは、何故か最後まで渡れない。


俺の目の前に壁があるような


最初は信じられなかった。

だっておかしいだろ?

No.4

俺だけが渡れないなんて


普通じゃない。


病気か?


どうしてだろう。


過去になんかあったのか。


助けてと暴れたら誰か助けてくれるんだろうか。


あり得ない。


人に何を求めても無駄だ。

そんなの痛いほど分かっているハズだろう。誰よりも。

毎日毎日俺は渡れないと分かりながらここに来て、またあの場所に戻る。


俺は、普通じゃない。

No.5

最近なにもない部屋に家具が置かれ人が住むようになった。


でもその人には俺の事が見えていない。話しかけても無視される。


いつの間にか家具も無くなり人も来なくなった。


窓から外を眺める


俺って一体なんだろう。


暑かったのにいつの間にか寒くなっている。その繰り返しなだけで、思い出す事はない。


何を忘れているのかさえも分からない。

また俺は、何時もの横断歩道に行くだろう。



No.6

無意識にまた横断歩道の前に立っている。


また来てしまった。


横断歩道の先はどうなっているんだろう。

いつかここを渡ってみたい。

「いつもここに来てる人ですよね?」

No.7

ん…?

男は振り返る


「あっやっぱりそうだ!私も貴方と一緒。あっ怪しい人じゃないですよ?勧誘とかじゃないんで!!」

勧誘?怪しい人?俺と一緒って?なんだコイツ…

「俺と一緒?」


「うん。」

「なんのはなし?」


「えっ?なんのはなしって…貴方気付いてないの?」

この女はなんだ?苦手だ。

「…」


「死んじゃってますよね?私達。」

No.8

「は?死んでる?」

でもというか、だとするとなんだか…妙に納得出来る。


そっかぁ。俺は死んでたのか。

だから俺が、話しかけてもみんな気付かないわけか。



なんか胸が軽くなったな。


「そうです。死んじゃってますよ!!」



女はニッコリ笑う。


やっと人と話せたと思ったら死んでます宣言。

ニッコリ笑うとこか?


嬉しいような悲しいような…なんだろこの気持ち。


「ほらみて?あそこ」

女は指をさす。


「ん?あれがどうした?」


「沢山の人が行き交っているでしょ?あれも私達の仲間よ?」



No.9

…あれも俺達の仲間?


って事は死んでるのか?


「あっ!あの人…私と気が合いそう!!じゃあ私、そろそろ行くね?」


「…」


女はまたニッコリ笑う。

「あっ!貴方はまだ生きている人間と死んでる人の見分ける方法分からないよね?目を凝らすと分かるよ!!じゃあまたね♪」

女は一方的に話すと走り去ってしまった。


なんだ?アイツ…





取り合えず男は、女が仲間といっていた人達を、目を凝らして見て見ることにした。



ん?少し透けているような…

もし仮にあの人らが死んでいたら、
何故俺はあそこに行けないんだ?


チッ…またモヤモヤしてきた。


てかもっと教えろよ。
気の合う奴がいたぁ!とかいって


気の合う奴?

No.10

また俺は、何もない部屋に戻る。

何もない部屋に…


ん?


部屋には大量の箱


そしてお腹のでかい女と男がごそごそと何かをしている。


目を凝らして見てみる


あぁ。生きてるな


奇妙な3人の生活が始まった。



そんな奇妙な生活が数ヶ月経った頃、俺はまた出掛けようとした
あの横断歩道に…


そしたら部屋から女の苦しむような声が聞こえてきた。

行って見ると女はうずくまって大量の汗をかいている。

そういえば、今日は男を見ていない。


俺は、電話に手を添えてみた。


だけど、やっぱりすり抜ける


俺は何故だか何回も何回も持とうとした。
手に全神経を注ぐ

ガチャ

「ん?持てた…?!」


電話の横に置いてあった紙に書かれた数字を押していく。




No.11

数分すると沢山の人が集まって来て騒がしくなったかと思ったら静かになった。


最近女の姿が見えないとおもっていたら、
ニヤニヤしてる男と、お腹の小さくなった女…それに小さな人間。いやあれは…赤ちゃんだ。


赤ちゃんが1人増えただけで、凄く五月蝿くなった。


嫌いだ。子供なんて…

最近は俺を見てニッコリ笑ってくる。

無視しても

あぅ~とか言って涎でベチョベチョになったオモチャを渡してくる。


いらねぇし、生きてる奴は今寝る時間だろ?っていうけど、キャッキャッ笑ってるだけだ。

あ…また泣き始めた。



五月蝿い…


女が起きた。



いつの間にか、アイツはグッスリ寝るようになって今度は俺の後を追いかけるようになった。

疲れるしお前の口の中でぐちょぐちょした物なんて貰いたくない。



No.12

「なんだよ?無駄に目輝かせて。」


子供は相変わらず持っている物を渡そうとする


「だから…おまっ」

子供の手が男の手にふれる。


何時ものならすり抜けるはずなのに、小さな手は男の手をぎゅっと握る

No.13

あったかい。なんてあったかいんだろう


子供は男の手の冷たさに少し、きょとんとした顔したが、またキャッキャッと笑っている。


手…こんな小さいんだな。


「お前は俺の事が怖くないのか?」


「パパんっ!!」


「…。」


それからもたまに俺はアイツと少し話すようになった。


でもまた、ここから居なくなる。


女がせっせと荷造りをしている。

また1人。


いや、アイツに追いかけられなくてすむじゃないか…。


No.14

俺はこのままずっと、時の流れを見ているだけなのだろうか。

老けることもないまま。


ずっと。


また季節が移り変わる


生きてい奴は厚手の服を着ている。

俺には分からない。

寒くもないし暑くもない。


でもあの小さな手から伝わってきた、
あの温もりは何だったんだろうか。


あれだけは、あの時だけは、感じられた。 温かくて何だか懐かしい。

男は自分の手を見つめ、子供に手を捕まれた時のことを思い出した。

俺はどんな人生を送ったんだろうか。

No.15

今日は寒いねぇ~


もう冬だねぇ。

洗濯物が乾かなくて困るわぁ~。


この会話を聞くと、冬がやって来たんだなぁとしみじみ思う。


生きていた頃の俺も、今日は寒いなぁ。なんて呟いてたんだろうか。



あっ雨だ…。


まっ俺には関係無いけど。

今日こそはなんか手掛かりが見つかればいいな。

No.16

雨が激しく降り雷も鳴っている。


誰一人歩いていない。


わざわざ男は車の通る場所に立っている。



車も雨も男の身体をすり抜ける。


男はただじっと空を見つめる。


死んだら天国か地獄に行くと思ってた。

そんなの存在しない。

花畑に三途の川?

本当にそんな所があるのなら行きたい。


もう嫌だ。



もう嫌だよ。


辛い…誰か…助けてくれ…。




No.17

男は叫んだ。

声がかすれても叫び続けた。

No.18

彼の叫びは雨音でかき消されていく。


うぅっ…


俺はなんの為に存在しているんだ。



神様はこんな姿を見て、腹抱えて笑っているのだろうか…


腹も減らない怪我もしない。


老けもしないし、暑さも寒さも感じない。



そんな俺になりたいと思う奴はいるのだろうか。


空が段々明るくなり、雨も止んできた。


…そろそろ帰るか。



No.19


あれから住人が何回か変わった。



…今回は女か。


若い女が引っ越してきた。


若い女は、とにかく独り言が多い。



ん…?俺に話しかけているのか?

いや違うな。見えて無さそうだし。独り言か?いちいち五月蝿い奴だな。


「ふぁー♪ほらっ?見て?」

女はカーテンと窓を開け、身を乗り出した。まだ少し冷たい風が吹き、女の髪がなびく。

「凄く良い眺め♪今日から1人!夜更かししても、帰りが遅くなっても怒られない!欲を言えば、もう少し新しければもっと良いんだろうけど…でも仕方ないよね。家賃安いし!!ふふっ。自由ってなんて素晴らしいんだろう!!」


…。


数時間後



「1人の夜って何だか怖い…。あれ?なんか今聞こえた?」

No.20

「絶対なんか聞こえたよね?えぇ?絶対聞こえたもん!帰りたい帰りたい帰りたい…でも今更…無理だよね…絶対。笑われる笑われちゃう…どうしょう?どうすれば?誰か助けて?」


…はよ帰れや。

てか何も聞こえ無かったんだけど。アイツには何が聞こえたんだ?逆にこえーよ。


「えっ?ほらっなんか聞こえた!!聞こえたってば!!」


女は布団にくるまる。


もしかして、同じ階のじーさんが出してる音じゃ…


「ふぁっ?怖がってる場合じゃない!!新発売のマンガ取りに行く予定だったんだぁ私ったら忘れん坊な・ん・だ・か・ら♪」


ん?


「ふんふんふーん♪」

何だ?急にあんなに怖がってたのに嬉しそうだ。


「いけない…話す人がいないから独り言が増えちゃった…怪しい人だと思われちゃう!!」

…。

No.21

これ以上、アイツを気にしたら負けだ。


今まで通り…普通に…
ん?帰ってきたか?


女は嬉しそうに帰ってきた。
靴も脱ぎ捨て、廊下に立っていた男の身体を通り、ベッドにダイブした。


「待ってました!この瞬間!!」


と嬉しそうに本を眺め、包んでいたビニールを破くと、その辺に捨て読み始めた。


…。


「はぇー。あっ騙されちゃダメだよぉ。その女は…」


ん?悶えて…る?

「えっ?まじで?!そこでそうなちゃう?」


…。

「えぇー。ここで、終わり?はぁー気になる。てか恋したい…。彼氏欲しぃ…。」


女ってこんな忙しいのか?

いや、今まで見た女はもう少しなんと言うか…いや、気にしたら負けだ。

No.24

最近どこも落ち着かない


横断歩道にいると、白くてデカイ犬が来る。


ワフッワフッいいながら俺の目の前に座る。


俺は、どんなに触り心地が良さそうでも触らねぇーよ。って言うけど、人の言葉が分からないのか、毎回くる。


(アニキ!!今日も待っててくれましたか?あざーす!どうっすか?このフワフワでシルクのような手触りのボクを、今日こそさわさわしちゃいますかね?顔埋めてもイイっすよ?)


みたいな顔しやがって。

犬をさわさわして俺になんの得があるってんだよ。そりゃ…触り心地は良さそうだけど。

それもアイツは雨だと、犬なのにレインコート着ている。まぁ、可愛いって言えば可愛いけどさ。帽子ついてる意味あるの?それ。


飼い主は(小太郎ちゃんは、ここが好きなのねぇ)とかいってさ。


犬の目線の先、明らかにおかしいだろ。
気付けよ。見えてるんだよ!アンタの犬は!!俺の事が!!


はぁ。犬語なんて分からないしな。
どいつもこいつもキラキラな目にすれば、誰にでも好かれると思いやがって。

そういば、アイツは元気かなぁ。

No.25

最近の俺は、おかしい。


どうしたんだ?


男は、行き交う車を見つめている。


ん…?あれは…


見覚えのある女が手を振って近付いてくる


「久しぶり~♪あれぇ?貴方成仏してないの?キャハハ~」

…お前もだろ。


「まっ私もだけどね?」

…。

「あれぇぇ?お口チャックしてんの?私が、あ・な・たのチャック開けてあげようか?」

「なんだよ?お口のチャックってキモい。それも勝手に身体触ってんなよ。」


「イイコト教えてあげるよ?ちょっとここだとあれだし着いて来てよ?」

No.26

「うん。分かった。」


女は手を差し出す。


「じゃあ、手繋ご?」


「んな、着いて行くわけないだろ。てか皆に見えないんだからここだっていいだろ。」


「えぇ~嘘ついたの?」


「なぁ。おっぱい当たってる。」

女は男の腕にDカップのおっぱいを押し付ける。

「ねぇ。女に恥じかかせるの?」


「…。」


「私そんなに魅力ない…かな?おっぱい大きいの嫌いなの?」


…確かにコイツはデカイな。

No.27

「ねっ?行こう!」


「…。」


「ほらっ!」


女は男の手を握り、歩き始めた。


「あっ名前!!私は内藤 満里奈 (ないとう まりな)まりって呼んで?改めてよろしくね?」



「あぁ。よろしく」

男は満里奈の顔を見ずに歩き続ける。


「貴方の名前は?」


「思い出せない。」



「ふーん。そっかぁ。たまにいるみたいだよね?あっ!着いたよ!!ここ!!」


満里奈が指を指した方向に目をやると、真新しいラブホテルが建っている。


位置的には家と横断歩道のある場所の真ん中らへんだ。


「…。」


「ほらっ!!早く行こう?」


「あぁ。」


中に入る。

なんとも言えない雰囲気を醸し出している。



「ねぇ?貴方は何処がいい?ここなんてどう?」

「いいよ、そこで。」

見ないで適当に答える。

No.28



「じゃあ…ここね!」


細い廊下を通り、部屋に入る。

大きなベッドにカラオケ、オモチャ色々な物が置いてある。

「ねぇ。貴方の事なんて呼べばいいかな?」

なんで俺は、自らの意思で他の場所に行こうと思いつかなかったんだろう。
いつもいつも、家と横断歩道を往き来するだけで…

「ねぇってば!!聞いてる?」


「あぁ、わりぃ。なに?」

「だからなんて呼べばいい?」


「好きなように呼べよ。」

「じゃあ…たっくんね!」

「なんでたっくん?」

「えぇ?テキトー。」

「ふーん。そっかぁ。まぁいいよ。好きに呼べよ。」

No.29

「ねぇ…たっくん?」


男の横に座る。

「たっくんって貧乳派なの?私のダメかな?」


「そんな事ない。」


「じゃあ…なんでそんなに、興味無さそうなの?」


男は満里奈にキスをすると、白くてすべすべな太ももに手を添え撫で始めた。

「これでも興味無さそうに見える?」

男は満里奈の目をじっと見つめる。

「たっ…たっくん?」



「なぁ、俺もう止められなくなるけど、本当に最後までしていいの?」

No.30

「うっうん。」


「まりちゃんどうしたの?なんかさっきまでの勢いなくない?」


「そんな事ない…よ?」


「ふーん。そっかぁ。」


男は満里奈にキスをすると、舌を滑り込ませ、ねっとりと舌を絡み合わせる。

満里奈も一生懸命男の舌に絡み合わせた。


「んんっ…。」

静かな部屋に満里奈の甘い声が響く。


「さっきと表情全然違うな。」


男は満里奈の耳元で囁くとパクっと耳たぶを甘噛みする。

「そっそうかな…?」


「あぁ。全然違う。早くまりの中に入れたい。」

満里奈の首筋に舌を這わせながら髪を撫でる。


「んんっ。たっくん…。」

No.31

「今ってどんな気分?」


「えっ?どんな気分って…?」

「ドキドキするとか嬉しいとかってこと。」


「うーん。そうだね。緊張するけどワクワクしているかな?」


ふふっと小悪魔的な表情を浮かべると満里奈は男を押し倒す。


「たっくんは今どんな気持ち?早く入れたいとか?」


満里奈は男の服の中に手を潜りこませ、小さくて細い指でお腹や脇に這わせる。




No.33




「ある日、俺の目の前に若い男女がいた。男は周りを見渡すと女にキスをした。女は恥ずかしいって小さい声で呟いた。男は、俺だって恥ずかしいけど、今すっごく可愛い顔してたからつい…と言った。その男の耳は真っ赤になっている。」


「えっ?うん…。それで?」

満里奈は突然の話にびっくりしながらも、
耳を傾けている。

「女が笑っているような、はたまた泣きそうな表情を浮かべながら男を抱き締めた。」


「嬉しかったんだね。彼女さん」

「嬉しい?」

「嬉しいよ!!いいなぁ。その彼女さんが羨ましい。」

満里奈の長い髪が男の顔に触れると、男は満里奈をどかし座る。

「でも俺、お前とキスしても恥ずかしくもないし、嬉しくもない。なんの感情も湧いてこないんだけど?なんで?」

No.34

「えっ…?何にも?まだほら…キスしかしてないし、緊張してるだけだよ?きっと…それとも童貞?それなら大丈夫。私がリードするしね?」


満里奈の口調は少し焦っているのか、早口で、震えている。


「お前って確かに容姿は完璧だよな。容姿は。でもさ、なんか足りないんだよね。中身が空っぽっていうか、こんなこと男が言うのはカッコ悪いけど、俺は…、俺はさ、人を好きになって、胸の高鳴りや慈しむ感情ってどんなものか知りたいんだよね。お前を利用すれば、少しは知れるかなって思ったけど、俺の何かがお前じゃないって言ってんだよね。利用しようとして、ごめん…」

No.35

「慈しむ?はっ??アハハッ!!聖人になりたいの?私達死んでるの!分かってる?し・ん・で・る・の!!てかなに?私がアンタに好かれたいとでも思ってた?全然違うから。アンタで性欲処理しようと思っただけだからね。」

「あぁ。そうなのか。でもごめん。」


「そういえば、アンタまだ、憑依したとき無いでしょ?楽しいよ?人の人生ぐちゃぐちゃにするの。お前が見たカップルだって、自分の相手よかスペックの高い人にアプローチされたら、すぐ乗り換えるよ?だからさぁ~あんまり夢見ない方がいいよ?世の中、金か容姿これ基本だから。」




No.36

満里奈の高笑いが部屋に響き渡たる。


「あっ!!私達死んでるから、もう金も必要ないか~!アハハ!!…でもさ、感情がないなんてただの強がりか、自分の心とちゃんと向き合って無いだけだと思うけど。だって私に謝ったでしょ?申し訳ないと思ってさ。」


「まぁ。確かに…」


「でしょ?だからきっと、大丈夫。」



「あぁ。ありがとう。」


「強がってたけど私ね、ずっーと、この生活が続くのかなぁ。もう嫌だ、寂しい。辛い。叫んで叫びまくったけど、なにもかわらなくて…もう嫌だ…いつまで続くのかな。」

さっきまでの勢いがなくなりうつむいている。


「…俺もこんな生活が嫌で叫んだ。」

満里奈は顔をあげ男の肩掴む。

「叫んだの?感情が無いなんて嘘じゃん!!慈しむ…あぁ。貴方は恋がしたいの?私とキスしてもなんの感情も沸かないのは、私の事が好きじゃないから…。そう!!それだけ!好きな人を見つければいい!!もしかして人を好きになったときないの?」

満里奈は男をガクガクと揺する。


「人を好きになる…確かにないかも。」

満里奈は大きなため息をついた。

「でも恋愛よか、どうやってこの生活に終止符を打つかの方がよっぽど大切だと思うんだけどなぁ。ってなんで私にこんな事言わせんのよ。成仏しろ!成仏!!それか私を満足させろ!!抱き締めろ!!…お願い…。」

No.37

「えっ?」



「お願い…一回だけ…一回だけ抱き締めて?」


「えっ?あぁ。俺でいいの?」


「うん。お願い。でね…欲を言うと、頭もなでなでして欲しいの…」


満里奈は頬を赤くしながら腕を広げ男が、抱き締めるのを待っている。


「え?えぇっと。本当に俺で?」


「早くしなさいよっ!!」


「あぁ。うん。」


男は満里奈を優しく抱き締め頭を撫でる。

「こう?これでいい?」

「うん。ありがとう。あれ?なんか私…」


満里奈はまばゆい光に包まれた。


「私…成仏するのかも。私ね…好きになった人に抱き締めてもらって……。」

No.38

「えっ?光ってる?泣いてる?大丈夫?ごめん…やっぱり嫌だった?」



「嫌じゃない。嬉しいの。私…父親に処女奪われて生きている間ずっーと、犯されて続けてたの。だから、だからね、今日抱き締めて貰えて本当に……本当に嬉しかった。ずっと幸せな人が憎くて……でもそんな自分が嫌だし惨めで辛かった…でも…たっくんのお陰で、私…人の温もりを知ることが出来た。本では分からない温もりを…。あっ!!本当の名前分かったら大きな声で叫んで?じゃあ…先に行ってるね?」




「うっ!!」


満里奈はもっと強く輝くと消えてしまった。

…消えた。

なんか心臓らへんがズキッとする。
心臓は動いてないから病気の可能性はない。


と言うことは、これが…寂しいという感情か…?

No.39

多分そうだ…。


あれからまた、朝がきて夜がきていつも通り横断歩道にいく。



「おーい♪」


男の目の前に見覚えのある女が手を振っている。


「ん?もしかして…」


「えぇっと。なんか成仏出来なかったみたい。てへぺろっ」

満里奈は可愛く見せたいのか舌を出している。


「…。」


「私ね…やっぱり可愛いウェディングドレス着て、新婦となる私は、新郎となるあなたを夫とし、良いときも悪いときも、富めるときも貧しきときも、病めるときも健やかなるときも、死がふたりを分かつまで、愛し慈しみ貞節を守ることをここに誓います。って牧師さんと神様に誓ってそれでイケメンの旦那様とラブラブな結婚生活してみたいなぁ。って思ったら成仏出来なかったみたいなの?キャハハハ」


部屋に住んでる女もだしコイツもそうだけど、女は何故こうも喋ると止まらなくなるんだ?


「だからもう少し、たっくんの幽霊生活に付き合ってあげるし、色々と満里奈が伝授してあ・げ・る♪」


やっぱり関わらない方が良かったな。
面倒くさい。


「あれれぇ~?今なんか面倒くさいなぁ。関わらなきゃ良かったななんて思ってる?そんなわけないよね?私可愛いし!あっ私たっくん容姿もいいし、お嫁さんになっても全然いいよ?そしたら…すぐ成仏しちゃう。どうしよう。困ったなぁ…」


はぁ…。一人がいい。

No.40

「たっくんが長い長い静寂に包まれた夜をとてつもなく寂しく感じたら、何時でも私は駆けつけるよ?」


ニッコリと笑う満里奈。


こうやって笑うとホントに可愛い。いや笑わなくても可愛いが、女が笑うと、場が和やかな雰囲気をだす。なんでだろうな。


No.41

俺が笑ってもこんな雰囲気は出せない。


凄いな。

羨ましい。


「ねぇ?無視?あっそれよか、人に憑依す
る仕方教えてあげる♪知りたいでしょ?」


フフっと無邪気な表情を浮かべ笑う。

「憑依する仕方?」

「見極めるの。自分と相手の相性を。そしたら右肩に手を添え自分が相手の中に入ることを強くイメージする。それだけ。簡単でしょ?あっ黒いオーラを出してる人は止めた方がいいよ?自分まで染まってしまう。それだけは気をつけてね。」


No.42

その方法を使えばきっと、この横断歩道の先に行けるだろう。


ずっと行けなかった場所に。



果たしてそれでいいのか?


見れたら満足するだろうか?


…答えは分かってる。


きっと満足なんかしない。


この世を全て知ることが出来ても出来ないだろう。

もう少しきっともう少しで行ける。


それまで、楽しみにしておこう。



「ねぇ?私の存在忘れてるでしょ?すぐ一人の世界つくるんだから。」

No.44

「あぁ。お前まだ居たの?」


「居たの?ってずっーと居たわよ!!たっくんの隣に!!もう…?あれ?爽やかイケメンだ!!じゃあまたね?」


「…。」


女って…


でも俺って…前に進もうと努力してるって自分に言い聞かせて満足してるだけだよな。前になんて一歩も進んでないのに。


俺も…前に進まないと…。

No.45

でもどうすれば?


分からない。

やはり憑依してみるか?



目の前を歩く男を見る。


…やって見よう。



男は男の右肩に手を添えイメージする。


「うわぁっ!!」


…すっ吸い込まれた??えぇっ?
吸い込まれてない!失敗したか…でも後ろにくっついているよな?まぁいいか。

なんというか凄いなぁ。


というか、どこに向かっているんだ?


ん?あれは彼女か?こっちに向かって手を振っている。


女は手を振るのが好きなのか?いや、まてよ?もしかして今からデートか?

俺もデートに付き合わなきゃいけないのか?!離れたい。離れる方法は?…聞いてなかった…聞いてなかったよな??

No.46

やっちまった。


絶対デートだな。


恋人繋ぎしやがって。

まさかあれはないよな?流石に…


『ねぇ?今日どこ行く?』


『うーん。どこでもいい。』


俺は帰りたい。


『もうっ!!何時もそれじゃん?今日はりょー君が決めてよ!』


『えぇ…。』


もう帰ろよ。というか、離れたい。


俺の位置…さりげなく彼氏よか近いよな。それも恋人って遠くで見る分には無害だが、近すぎると有害でしかないよな。


こいつらは2人の世界だと思ってるんだろが、残念だが、3人だ。3人の世界だ。


今はっきり満里奈気持ちが少し分かった。破局させたい気持ちを…




No.47

『ねぇ?あそこのクレープ屋さん美味しそうだよ?食べない?』


『あぁ俺…さっきご飯食べて来たんだよね。』


『そうなの?じゃあ今度食べよう?』


…。

今度は3人の目の前に小さなペットショップが見えてきた。


『あっ!!見てぇ?可愛い~♪いつか犬飼いたいね。』


『そうだね。』

『飼うならどの仔がいい?』


『うーん。あれかな?』

彼氏はピョンピョン跳ねている犬に指を指す。


…まぁ。確かに可愛いな。でも俺が飼うならあの白い奴がいいな。

けっ無防備な格好しやがって。

アイツは飼い主以外にもデレデレするな。
番犬に使えない。犬としていいのか?


あっ…アイツはボール遊び…

いけねぇ。すっかり惑わされていた。


ってここどこだ?

No.48

…何時も見ている景色とは違う。

そりゃそうだ。


たわいもない会話をしているとあっという間に大型ショッピングモールに着いた。


『やっぱ休日って人多いねぇ。』


『そうだな。』


…ん?

あいつも…。あいつも?!あそこにも…?
案外俺みたいな奴沢山いるんだな。

あんまし気にして人なんか見てなかったけど…


えっ?アイツ血垂れてんじゃん。大丈夫なのか?

さっきまで死んだ魚のような目をしていた彼氏が、何かを思い付いたのか、満面の笑みで彼女を見た。

『なぁ俺さぁ、こういう人多いとこ来ると、憑かれんだよなぁ。あはは漢字違い。なんつって。疲れるんだよなぁ。』

『あはは…』


そりゃな、俺に憑かれてんだもん。
でもそのギャグ…可哀想だが、笑えねぇ。彼女さんの顔、残念な感じになっちゃったわ。

No.49

やっと活きのいい魚の目になって、ドヤ顔も決まったのになぁ。


ほらっ大丈夫。彼女240個の種類から選べるアイス屋さんに向かって行ったよ。ほら完璧な笑顔でおいでおいでって呼んでるよ。

さっきのことはもう無かったことになったよ?良かったな。泣くなよ?


『…。』


あっまた目が死んでる。

まぁそういう時もあるよな。

No.50

あれから数時間後…


映画見に来たんだよなぁ?

服を見に来たんじゃないよな?


それも同じような柄だし。


あっアイツ…もっと死んだ魚のような目になってる。

『やっと決まったぁ。ごめんね?待たせちゃって。』


『全然待ってないよ。大丈夫。良いの見つかってよかったね。』


結局一番最初に手にした奴ね。
大丈夫とか言いながらもう目があの世にいってるわ。

『あっ喉渇いた?あそこのカフェ行かない?』


『うん。』

もう一度言うけど映画見に来たんだよな?

No.51

さぁ…休憩しましょうね。って


映画じゃなくて…ホテルじゃん?!


まぁ映画館もホテルも暗くなるよねって…って違うだろ。

あぁ…来ちゃいましたか。

『今日はごめんね?結局映画見なかったし…』


『大丈夫だって。気にすんな。』

彼女の頭を撫でる。

『ありがとう…』


『りこの髪、サラサラしてて触り心地いいよなぁ~。あれ?シャンプー変えた?スゲーいい匂い。』

クンクンっと匂いを嗅いでいる。


『変えてないけどなぁ~。』


『あっ!俺があげたピアス着けてくれたんだ?似合ってるよ。可愛い。』

『ありがと~嬉しくって着けてきちゃった♪』


彼氏は彼女の頭の後ろに手を回したり、彼女の耳に髪をかける。


『りこってさぁ…たまに、こうやって耳に髪かけるじゃん?あの仕草見るとドキッとするんだよね。』


『えぇ~なにそれ?。』

No.52

『だってりこが可愛いんだもん?』


『そんなに、見つめないでよ?恥ずかしぃ。』


『あっテレビでもみる?』


彼氏がテレビをつけると、静かな部屋にロープで縛られた女の喘ぎ声が響き渡る。


『あっアハハ?なんか縛られてるね?』

というと、チャンネルを変えた。

『うん。ちょっとびっくりしたね?』


『ねぇ。りこも俺に縛られたいと思う?』

『えぇ。うーんどうだろ。』

彼女の腕を掴み袖をまくり上げた。


『俺はしたくないなぁ。俺と違って細くて白くて触り心地の良いりこの腕に、わざわざ傷なんかつけたくないなぁ。』


優しく抱き締めると、腰に手を添えながらもう片方の手を頭に回し、当たるか当たらないかくらいの優しいキスをした。


『んんっ…りょー君…』



No.53

『その声が俺を興奮させるんだよな…。』


もう一度唇を重ねる。


『ん~…』


『りこ…っん…ホント可愛い。』


テレビの音しか聞こえなかった部屋に、クチュクチュと舌が絡み合う音が混ざる。

『んんっ…っハァハァ…ん~』


『ホント…この顔誰にも見せんなよ?てか、絶対他の男になんて見せたくない…。』

彼女を押し倒す。


No.54

俺だって見たくない!!

男は両手を男の背中につける。


ふぁへっ?おぉ?えぇーっ?!

男は離れるつもりが、エッチの最中に憑依に成功してしまった。

今さら?今更憑依出来てしまったのか?!


で…どうする?
ここでやめるわけにはいかないよな?

俺がここでやめたらコイツらの関係がギクシャクしちゃうよな?

うーん…確かに俺は…俺だって男だ。でも二人の絡みを見てヤりたくなったとかそん汚い奴じゃない。


でもどうみてもそうだよな…


どうすれば?


『りょー君?どうした?』


えぇっと。けして俺はヤりちんではない。
だが今はただ流れに身を任せるそれだけだ!!


『ん?りここそどうした?』




No.55

『りょー君なんか、凄く雰囲気変わった…』


「えっ?そうか?」


『うん…。』


りこは憑依されたりょー君を抱き締める


『大好き…愛してる。』


「あぁ。俺も…りこが好きだ…愛してる。」

『えっ?初めてりょー君から愛してるって聞いた!!ふふっ嬉しい♪』


りこは男の顎に手を添え唇を重ねるとそのまま舌を滑り込ませる。


滑りこんできた、舌を嫌がらずねっとりと絡ませる。


『んんっ…』


男はりこの服をたくしあげると、淡い水色の下着が姿を表した。


ふーん。水色かぁ。まぁ可愛いな。

Cくらいか?あぁ。そうだ、今の同居人と同じくらいだな。


男は馴れた手つきでホックを外し、男らしいゴツゴツとした手を滑り込ませる。


『ん~…んんっ…あっ…ハァハァ…りょー君…なんか今日別人みたい…』



No.56

「りこが俺をそうさせるんだよ?」


優しく膨らみを揉みながら、もう片方の手は太ももを撫でまわす。


「りこ…?ちゃんとこっちみて?」

『えぇ…だって恥ずかしいんだもん。』


「ほらっ?見せて?」





No.57

『恥ずかしいよぉ…』

りこは自分の腕で目を隠しながら男の方に顔を向ける

「可愛いよ?ほらっ」


男は腕をどかし、まじまじとりこの顔を見ると、胸を優しく揉みもう片方の手は太股をさわさわと撫でる。

No.58

『んんっ…りょ…君…はぁ…あっ…あっんんっ。』


りこの目が潤んでいるのを見ると、男は止めるどころか、更に発情した犬のように、熱くそそりたつ肉棒を、太股にこすりつけながら胸に舌を沿わせる。


『ハァハァ…んっ…もぅ…んんっ…』




No.59

「わかる?もうこんなになっちゃった。」

りこの手を掴むと、硬くもっこりとしている場所に導き撫でさせた。


『うん…わかる…。』

りこはゴクリと生唾を飲み込む。

「入れて欲しい?」


男は、りこのビンビンに主張している物をペロッと舐め微笑む。

『あぅっ…!!んっ…うん…入れて…欲しいよ…』





No.60

「えぇ?ナニ?ナニを入れてもらいたくなっちゃったの?てか、りこの乳首こんなに硬くなっちゃってるよ?」

乳首を少しつねる。

『いやぁ…んんっ…りょー…くん…なんか…あぁっん…!!』

「あっ!そうだ。アソコまだだったよね?」

太股を撫でそのままスカートの中に手を滑り込ませパンツの上に手を当てた。

「あれぇ?今日ここ初めて触ったのに、パンツの上からでも濡れてるの分かるよ?」

優しく円を描くように手を動かすと、りこはビクンッと、身体をのけ反らせると、男にしがみついた。

「だって…だっ…ん~ハァハァ…気持ちいいとこ…ああんっっ…!!」

No.61

「あ~ごめん、刺激強かった?」


『大丈夫…ハァハァハァ…』



「じゃあさ、今度は俺の舐めてくれる?」


『うん。』


男はカチャカチャと、ベルトを外しズボンをおろした。


りこは無言で、男のパンツをおろす。

目の前には、血管が生々しく浮き、これ以上ないくらいそそりたつペニスが顔を出した。

りこは我慢出来ず自らカプッと口に含む

No.62

「んんっ…クチュ…クチュ…ペロッ……りょ…くん…。」


口から肉棒を出すと、透明な糸がだらっと厭らしく伸びた。


「ん?どうした?」


りこは顔にかかる髪を耳にかけ、男をじっーと見つめた。

…好きなわけじゃなのに…こんな表情見てしまうと、心まで持っていかれそうだ…。


男はりこの頭を撫でる。りこはペロッと舐めると、ギンギンになっている肉棒を両手で優しく包みこみ、動かし始めた。

「んっ…あぁ…。りこ…上手だよ?」

りこは男の表情を見ると、太股にすりより、
涎でねっとりとした舌で根元から舐めあげる。


「んっあ…良い子だ。」


男はりこを誉めると胸に手を伸ばし乳首をつねる。


「あぁっんんっ…!!」

No.63

『んんっ…んっあぁっ…だっだめぇ…』


舐めるのを止め、りこは男にしがみつき、俯いている。


「ん?りこ…顔あげて?」

りこは男から逃げようとするが、男は乳首をコリコリッと刺激する。


『あぁんっ……!!いっ今は…今は…顔見ちゃ…んんっあぁんだめぇ…』


「見たかったなぁ…。お前のとろけそうな顔…可愛いんだろうなぁ…。」


男は悲しそうにふぅーとため息をついた。

No.64

『えっ…じゃ…ちょっとチラッとだけだ…よ??』


りこは恥ずかしそうに見上げる。


…最初からずっと見せてた癖に何故今更恥ずかしがるんだろか?


でも今…


男はぎゅっと、りこを抱き締める

No.65

…なんだこの気持ち…


俺は彼氏でもないのに、これ以上していいのか?

だけど心も身体も満たされたい…俺はどうすれば…

『りょー君…そろそろ欲しいよぉ。』


りこの言葉を聞いた男は、考えるよりか先に身体が動き、女をベッドに押し倒した。

「りこ…俺のなにが欲しい?言ってみろ。」

No.66

『…りょー君の…これが…欲しいの…』


男のギンギンになったものを握る。

「欲しくなっちゃったの?」

りこはコクンッと頷く。


男は、りこの頭を撫でると、恥丘に痛い位にビンビンになった物を擦りつけ、りこに聞こえるようにグチュグチュと音をたて始めた。


「俺の我慢汁と愛液が混ざって凄いグチュグチュ言ってる。聞こえる?」


『んんっ…聞こえる…よ』


男は穴に肉棒を当てると、一気に根元まで挿入した。


『あぁんっっ!!』

「ッ!!凄い締め付けてくる。」





No.67

二人は貪りあうように絡みつき、動物の交尾のような勢いだ。


「りこ?何処に出して欲しい?」


『りょー君の好きな所に出して?』


「あぁ。分かった。」


男は何回か出し入れを繰り返すと、肉棒が穴から出るギリギリの所で止め、一気に子宮の入り口まで力強く押し付けた。

No.68

「ッ!!…イクぞ?」


『私も…ん~…!!イクっ~!!イッちゃう…んんっ…あぁっ!』


二人の動きが止まり、男はにゅるんと柔らかくなったものを膣から出すと少し経ってから白い液体がドロッと出てきた。


『ハァハァ…りょー君…』


りこは男の肉棒をしゃぶりペロペロと丁寧に綺麗にする。


「んッ!!…ハァハァ…」


男はビクッビクッと身体を動かした。




No.70


『ふふっなんか今日は激しかったね?気持ち良かったよ。』


りこは男にキスをする。

「俺も。」

ぎゅっと抱き締めた。



『あぁっ!!』


女はスマホを見る


『もうこんな時間だ…帰らなきゃ…』


「あぁわかった。」


二人は着替え別れのキスをすると、りこの姿が見えなくなるまで手を降り続けた。


…でこれから俺はどうすれば?


悩んでいると、ポケットに入っているスマホがブーッブーッと揺れ始めた。


No.71

俊介と表示されている


友達か?

男は電話に出る


「もしもし?何回も電話したけど…なんで出ないの?」


んっ?女…?俊介って表示してたよな?


「今日泊まりに来るんだよね?」

No.73

…この男は浮気してるのか?

一方的に女は話を進め、男は断ったが聞き入れて貰えず迎えに来ることになった。


…りこのお陰であんなに満たされたのに…俺はあの笑顔を裏切る事になるのか…


そんな事を考えながら、夜空を見つめていると、赤い車に乗った女が話しかけてきた。


「早く乗って?」


「あぁ。」

浮気相手か?


「どうだったぁ?物足りなかったでしょ?」


「ん?」


「ほらっ…あの地味な奴。」


女は男の太股に手を置くと撫でながら運転をし始めた。


No.74

男は窓から見える景色を眺め、聞こえていないフリをしている。


「ねぇ?無視?」

男は無視し続け、女も空気を読んだのか無言になりそのまま女の家に着いた。


「もぅ~!!今日なんか嫌な事でもあったの?亮君らしくないなぁ~」

と言いながら玄関の扉を閉めると、男にキスをし、男のズボンとパンツを下ろしまだふにゃふにゃのものを口に含んだ。


「ッ!!」


「ふふっ。これでいつも亮君機嫌治るもんね♪」


女は優しく袋を揉みながら、ふにゃふにゃの物をジュポジュポと吸ったりレロレロと口の中で大きくなるように強弱をつけながら促し始めた。


No.75

「…んっ。お前こんな所でホント恥女だな。」


ふにゃふにゃだった物がムクムクと元気になってきた。


「だって亮君に喜ぶ顔が見たいんだもん!!」




女が根元までズブズブとノド奥まで咥え込み上目遣いで男を見つめる。


「もっと絡ませろ。」


男は女の頭を股間に押し付ける。



No.77

「んぐっ…ゲホゲホッ…亮…君…?」

女は無理矢理奥まで押し付けられたせいで、むせている。


「…なに?もう終わりなの?全然足りないんだけど。帰ろうかなぁ。」


「ちょっ…」

男は女髪の毛を荒々しく掴み、女の口にはどう考えても収まりきらないほど極太で長く、異様なまでの威圧感を漂わせるものを、女の頬にペタペタと器用に手を使わず当てている。


「なに…?じゃあ早く奥まで咥え込めよ?お前は俺を…楽しませてくれるんだよな?」

No.78

「ねぇ…でもぉ…さっきよりか亮君の…おっきくなってるよぉ…全部なんか私の口に…」


「いいから早く気持ちよくしろよ。ちゃんと声もだせよ?嫌々だと萎えるからな。それにお前好きだろ?俺のちんこ。」


No.79

「好きです…亮君のおちんちんが……」


女は完全に男のペースに飲まれた。


「脱げよ。服」

「はい…」


女は玄関で服を脱ぎ始め、大きく形の良いおっぱいが顔を出した。

「玄関で裸になるなんてお前ほんと恥女だな。というか、早く気持ちよくしろよ?」


「はい…」


女は肉棒を唾液で滑り易くすると、柔らかいおっぱいに男の肉棒を優しく包み込み、ペロッと先っぽを舐め亀頭を擦り始めた。

「ご主人さまぁ…どうですか?私のおっぱい…」




No.80

「お前は黙って気持ち良くすればいいんだよ。てかパイズリとかいいから早くゴム持ってこいよ。」


「なんか…今日…亮君Sだね?別人みたい…」

「…別人?亮君じゃなくてご主人様って呼べよ。お前は性欲処理器だろ?」

「…はい…ごめんなさい…私はご主人様を気持ち良くする…道具です。」

女はゴムを手に持って帰って来ると、男の前でかがみ、包みを開封した。

No.81

「亮…ご主人さまぁ…美奈の穴で気持ち良くなって下さい…」


女はゴムを口に咥えると、男の肉棒に被せた。

「あぁ。ちゃんとお前の穴でご奉仕しろよ?」

美奈の頭を軽く撫で四つん這いの形をとらせ、手荒にスカートをたくしあげた。


「ふーん。白かぁ。」


男は白のショーツを脱がせず少しずらし、ヌレヌレの恥丘をそっとなぞった。

No.82

「あんッ…」

女は甘い声を漏らす


「すげー。お前のここ、もうこんなにグチョグチョ。」


中指で穴の周りに小さい円を描くように動かし始めた。


「んん…ッ」


「まぁ…お前に前戯は必要ないか。入れるぞ。」

美奈のお尻をぺしっ叩き、ショーツを脱がさず横にずらしたまま、そそり立つ肉棒を穴に押し付けた。


「んんっ!!ご主人さまぁ…」


「そうだ…私は玄関で肉棒を欲しがる恥女ですって言えよ。そしたら入れてやるぞ?」


No.83

「いわなきゃ…だめぇ?」


「ほら?欲しいんだろ?言えよ。奴隷なんだから。」


ガチャと男は玄関をあける。



「いやぁっ…見られちゃうよ?ねぇ…お願いドア開けちゃだめぇ…」


「あぁ?じゃあいらないの?俺帰るよ?」


「でも…でもぉ…私こんな姿だよ?見られちゃったら…」




「早く言わなきゃ誰かに見られちゃうし、聞かれちゃうよ?俺はどっちでもいいんだよ別に。お前の代わりなんて沢山いるから。」


No.84


「私は玄関で……肉棒を欲しがる恥女です…」

「よしっ良くできました。」

美奈のお尻に両手を添えるとズブズブと一気に奥まで肉棒を押し付けた。

「んんっ奥……あぁっ…!!」


男はぺしっとお尻を叩き腰を動かす。

「いやぁ…開いてるよぉ…んんっ…あぁんん!!ねぇ…開けっ放し…だよ?」


「お前が喘がなきゃバレないだろ?」

男は止めるどころか、獣のように腰を振っている。


「だめぇ…うっ…ハァあんッ!!いやぁ…んんっねっ?お願い閉めて?だっ…あぁ…気持ちいい…ご主人さまのおっきくて…んあっ…あちゅい…でっでも…んんっ…開いてるよぉ…」

美奈は涙目になりながら振り向きどうにか玄関を閉めて貰えるように悲願した。


「みんなに聞かせてあげようよ。可愛い喘ぎこ」


男は美奈の乳首をつねる。


No.85

「んんっ…!!」


「…違うな。」


と呟くと肉棒をヌルンっと穴からだす。


「ふぇっ?えっ?」



「もうこの関係止めよう?なんか虚しくね?」

男は身なりを整える。

「えっ?なに?どうしたの?」


「ごめん。今までありがとう」


No.86

男は振り向かず女の家を後にした。



…他人の身体を乗っ取って俺はなにしてんだ?
はぁ…。どうやったらコイツから離れられるんだ?てか好きじゃない奴とやっても全然満たせれない。


コイツもきっとそうだろう。
色んな女と寝ても満足なんかしていなかっただろう。

満足してる振りだ。きっと…。


公園のベンチに腰を掛けた。





No.87

…寒い。

手が冷たい…

ふーっと男は息を吐く


白い…

男は何度も何度も息を吐く

もう一度…もう一度生きて色んな事をしたい。


キィィィー…キィィィー

突然静かな公園に響く耳障りな金属音

ん?何の音だ?

男は周りを見渡す

No.88

あっ…

ブランコがひとりでに揺れている。


なんだブランコか…。


ん?風なんか吹いたか?
まぁいいか。…それより今日どこで寝よう…

ここじゃ寒すぎるもんな…

男はポケットに入っていた財布の中身をみる。


ん…?なんか通りすぎた…?


男は顔をあげる

No.89

ん?気のせいか…


えぇっと千円札が…


ササッ…


ん?やっぱり誰かいるのか?
まぁいいか…


一万円札が…

キャハハハ!!!


ん?

男はふっと後ろを振り返る。

…子供の笑い声?


見渡しても誰もいない。


男はまたお札を数えようと下を見た瞬間大きく叫んだ。



No.90

「やっと気付いた?」


ベンチの下から額から血を流した女の子がニタァと笑いながら顔を出している

「まじかよ…一万円札が一枚もないなんて…」


「…。」

「小銭は?…嘘だろ?五円しかないってご縁がありますようって意味?なわけねぇーよ。どうすんだよ今日。野宿?それともマン喫?」



「…ねぇ…ここ…ここにいるよ?おじさん」

No.91

ベンチの横にある外灯がチカチカし始めた。


「財布の中身ほぼレシートで一杯って…あぁなんか腹も減ってきたなぁ。これから二千円でどうすればいいんだよ。こんなんなるなら金持ち選んどくべきだった。見る目ないな俺…。」


「ねぇ…ここっ!!見て?見えてるよね?」


「あぁ。こんばんは。」


「こんばんは…っておじさん!!びっくりしないの?夜中にそれも薄暗い公園に子供が一人…それも額から血をながして…どうして?」


「俺おじさんに見える?」


「うーん。お兄さん…よかおじさんって感じかな?」


「俺はおじさんなのか」

「って!!違う見て?私…」


「迷子?」


「そうそうっておいっ!!」

No.92

「こんな所で一人寂しくない?」


「えっ?寂しいよ…」


「凄く血も出てるし…」


「今更?…ってこれ…わざとやってるんだけど。」


「家に帰れないの?」


「うん…」


No.93

「あっ…でもね?私一人じゃない…友達いるもん。」

女の子はトイレを指差すと同時に遮断機が降り警告音が響く


「一人じゃない…?えっ?トイレが友達?」



「…にいるの!!」

「えっ?トイレにいるの?」

女の子の声が貨物列車の音にかき消され聞き取りづらく男は聞き返した。


「ねぇ会いたい?ねぇ…アイタイ?…ワタシノ…トモダチニ…?」

No.94

ガシッと女の子が男の腕を掴む。


「いや、別にそれよか寝れるところを…というか、手痛いよ?」

「ワタシノ…ワタシノトモダチ…ニ…アワセテアゲルヨ?…キャハハキャハハハハハ!!」


甲高い笑い声をあげる女の子の顔が、徐々に崩れ始めたと思うと同時に鼻をつく異臭も漂ってきた。


「んっっ!!」


男は思わず鼻を腕で覆う


「ネェ…。」


男は女の子の手を振り払い逃げようとするが、腕を掴む力が尋常じゃないくらい強くなかなか振り払えない。


「ネェ…オジサン。モウトモダチダヨネ?ワタシタチ…」


No.95

「ちょっと落ち着けよ?」


「ネェ…オジサン……トモダチ…。オジサントモダチ…。」


「ちょっそんな事大きな声で…」

男は周りをキョロキョロ見渡す。


「ワタシ…ト…コレカラズット…イッショダヨ?」

ガシッともう片方の手で男を掴む。


掴んでいる手は、ほとんど骨が丸見えになっている。



「わかった。ちょっと…てか、まじで落ち着け。」

女の子は壊れたラジオテープのような音で、ずっとトモダチトモダチと繰り返している。


あぁ…なんだ?この声は。頭に響く…な


異臭も凄い…


あぁ…ダメだ…意識が…

No.96

「…さん?…さん?大丈夫ですか?」


男は目を開けるがまだ視界がボヤけている。


「…さん?」


「…?!」


男は飛び起きる。


えっ?公園…なんだったんだ?


男は周りを見渡す

ベンチ?ぐちゃぐちゃの女の子は?


俺こんな所で寝ちゃってたのか?



夢か…それにしてもリアルな夢だった。


ザザッ…

ズルズル

ザザッ

No.97

ん…?


ズルッ


ズルッズルッ


…なんの音だ?

ズルッ…ザザッ…


近付いてきてる?!

ん?


ボソボソ…ボソボソ…ダカラ…ボソボソ……ダカラダカラ…カラ…ダ…

なんだ?酔っぱらいか?

うっ…

突然の耳鳴りに男は頭を押さえた。

No.98

虫歯の治療をするときに響く、あのなんともいえない金属音をもっと高音にしたような、そんな音が頭の中で鳴り響く。


くっ…!!


頭を押さえぎゅっと目を閉じ、歯を食い縛りながらこらえている。


いつまで続くんだ…?!


頭が…痛いっ…



意識がまた朦朧としてくる。



「ねぇ…なんで?…なんでよっ!!…さんってば!!どうしてっ?!…さんっ!!……さん!!」


…ん?

女が叫んでいるのが聞こえる。

どうしてそんなに取り乱しているんだ?


…さん?

男は女に話しかけようとするが、口がパクパクするだけで声が出ない。

No.99

声が出ない…?


男はモヤがかかっている人に手を伸ばそうしたが、手がピクリともしない。


手も…動かない?


キィィィーンとまた頭の中で響き始める。


うぅ…

…?!

男は瞑った目を開けると、さっきまで照らしていたはずの外灯は消え、辺りは真っ暗になっていた。

モウ…ボソボソ…ワタシカラ…ニゲ…

ベチャ…

ベチャベチャ…ズズッ…

ズズッ…

ネッ…ボソボソ…フフッ…フフッ…ボソボソボソボソ…


No.100

真っ暗でもわかる。

何者かが自分に向かって来ている事が。


男は身体を起こそうとしたが起きれない。

くっ…


ポタッ


ん?雨か…?でもやけに…

ポタッポタッ


生暖かいような…

No.101

これは…なに?


「さっちゃん…。もうそれくらいにしときなさい。びっくりして死んでしまうよ?」

男性のたしなめる声が聞こえると同時に、生暖かい何かもスッと消えた。


「だって…だってもう…いやだよ…」


今度は子供の泣き声が聞こえてくる。


「もしかしてさっきの?!」




No.102

「だって…だっておじいちゃん…トイレから出てこれないじゃん!!私…氷鬼ってやつしたりおままごとしたいんだもん!!」


「気持ちは分かるけどね?ほらっおじいちゃんとしりとりしよ?」


「おじいちゃんすぐ『ん』つくよね?」


「そう…そうだけどね?ほらおいで?」


「あのぉ…無視してますか?俺別に友達になりたくないなんて言ってないよ?おじさんでもいいならなるよ?ってお兄ちゃんと言われたんだけど…ね。」


男は声のする方に話しかける。

「えぇ?それって本当だったの?信じてもいいの?私…幽霊だよ?」

No.103

「俺も死んでるから。幽霊だよ?」


パッと外灯の電気が灯る


「えぇ?嘘だ!!おじさん生きてるじゃん!!」


女の子は不思議そうな表情を浮かべている。


「…ってこれ借り物だから。お兄さんはねぇ、この身体から出れなくなっちゃったのよ。わかる?」


「へぇー。よくわかんない。」


「そっか。」



「私の友達紹介するね?」

女の子は薄暗い公衆便所の方に走って行くと、手招きをしている。


「ここ!!ここにいるんだよ?」

No.104

「わかったわかった。今いくよ。」

男は立ち上がり公衆便所に向かった

「おじいちゃん!!新しい友達きたよ?」


「わざわざすまないねぇ。私はここから移動出来なくてね。」


スッとスーツを着た老人が現れた。


「いえいえ。それよかここから移動出来ないって本当ですか?」


No.105

「あはは…そうなんですよ情けないことに。多分ここで自殺したのが原因だと思うんだけどね。あはは…」



「自殺…?」


「リストラにあってね…。」


「そうだったんですか。」


「今思うとなんで諦めちゃったんだろう?って思うよ。死んだって無になるわけじゃないのにね。あはは…それよかさっちゃんが迷惑かけてすまないねぇ。」


No.106

「迷惑なんてかけてないもん。ねっ?」

さっちゃんは上目遣いで男を見つめる


女という生き物はこんな小さい頃から男の心を掴む技?を身に付けているんだな…


「まぁね。」


「じゃあ早く氷鬼しよ?」


「いいけど…氷鬼ってなに?」


「鬼がタッチしたら動いちゃだめなの。ねっ?簡単でしょ?」

「なるほど…」



No.107

「あっ…そろそろ日が昇りそう!!…おじさん?氷鬼…夜やろ?またね!」



というと女の子は手を振り、老人は一礼するとスッと消えた


「えっ?ちょっ…俺は?おじさんって…」

公衆便所に1人取り残された


「…これからどうする?」


鏡を見ながら悩んでいると、突然男は尻餅をついた。


…ん?




No.108

目の前には憑依した相手が倒れている。


「…やっと俺は…俺は自由になったぁぁ!!自由になれたんだ!!」



と喜んだ瞬間男は、またあの横断歩道の前に立っていた。


…えっ?また…?どうしてだ?


もしかして…夢でも見てたのか?


んなわけない。

夢なんか見たときない。


今まで覚えてなかっただけとか?


俺は何がしたい?


なんで俺だけ過去を思い出せないんだ?

疲れた。


やっと前に進めたと思ったのに。

また憑依すればなにか手掛かりが掴めるか?

No.109

でも疲れるよな…。

だけど、

いつもの道いつもの景色


自分だけが、取り残されたようなそんな気分。


無性にだれかと話がしたくなる。


なんでだろう?


生きてる奴でも死んでる奴でもどっちでも
いいから誰かと話したい。


めんどくさいって分かってるのに誰かと関わりたい。


そういえば、氷鬼やるって約束したよな…?


叶えてやんなきゃだよな?


もう一度乗っ取ってみるか?


今度は女にしてみるか…。



No.110

いやいや、幽霊だからってそれはやってはいけない事だよなぁ…?


死にたい。


え?


…ラクになりたい。死にたい。死ぬ。

なんだ…?


誰かが頭の中に直接話し掛けてる?


絶対死ぬ…。生きてたって何も良いことなんかない。頑張っても頑張っても報われない。みんな平等に苦楽はあるんだよ?って言われたけど、苦しい事ばっかり…


…?どこにいるんだ?


でも男の周りには誰もいない。




もう疲れた。
もうね…私…十分頑張ったよね?
ごめんね?不甲斐な…い……


んんっ!!頭が…。

キーーーーンと耳鳴りが響き男はその場にしゃがみこんだ。

No.111

痛いっ!!

男は意識が無くなり倒れた。


…さん!!…さん!!目を開けて?!



倒れている女に一生懸命声をかける女と、それを少し遠くから見つめる男の子。


えっ?なんだ?

男は戸惑っていると場面が変わり、薄暗い公園でブランコに乗る男の子。


男は話し掛けようと近寄ると、パッと目を覚ました。

なんだ?どうなってるんだ?


No.112

もしかして…さっちゃん?

んなわけないか。


てかあれは俺の生前の記憶か?

じゃあなんで今更?


耳鳴りはさっちゃんの仕業ではなかったって事か?

今居なくても耳鳴りしたし…


じゃあ…なんでなんだ?クソッ!!

男は近くにあった電柱を力一杯蹴りつけた。


ッ!!痛いっ!!痛い…っなに?!

No.113

痛みなんて感じないハズだよな?

それに俺は、思い出そうとしてる?

なら全部知りたい。


全て思い出してスッキリしたい。


そしたら悔いがなくなって生まれ変われるだろう。


生まれ変わったら、精一杯楽しみたい。


美味しいもの食べて、話して、辛い時は泣きいて嬉しい時は心から笑いたい。



生きていて当たり前の事をしたい。

でもこれは我が儘なのかな。

早くこんな中途半端な身体から、おさらばしたい。

でも…少し嬉しい。痛みをまた味わう事が出来たから。


「ワフッ!!ワンッワンッ!!」

No.114

「んっ?またお前か…。」


「ワフッ!!」


「えっ?触れって?いやいや、俺触れないし…。」


「ワフッ!」


「えっ?いいから触ってみろって?」


男は犬の前で屈むと顎を撫でた。


「柔らかい…って触れる!?」


「…。」


「って無反応かよ。」


犬はペロッと男の頬を舐めると、男を見つめまた歩き始めた。

No.115

なんなんだ…?


なにが起こっているんだ?


バタッ


「…っ!!」


…誰かとぶつかった?


男は尻餅をつきながら周りを見渡した。


見渡したが誰もいない。

男は取り敢えず立ち上がった。


痛い…。


急にどうしたんだ俺は?


取り敢えず帰るか?


って…腕時計?俺腕時計なんてしてなかったよな?じゃあ…これは?


ふっ…服も違う。もしかして?
もしかしてだけど俺…


憑依しちゃった?





No.116

「ごっごめんっ遅れた…。」



振り向くと少しガタイのいいスーツを着た男が立っていた。


まさか…そんなわけ…


肩に手を置かれた瞬間、身体にビビッとするなにかが流れた。


「大地どうしたの?顔色悪いよ?」


男は額に手をあてて顔を近付ける。



俺は多分知らなかった世界を知ることになるだろう。


なんでだって?

何でだろうな。


何故かそう思う。

だって妙に顔が近い。


それも俺は大地って名前じゃないから。

No.117

俺は取り敢えず、少し距離を保ちどうでもいい話題をふった。


「えっ?飼うならやっぱり柴犬かな。それより早く行こうよ?」


早く行こうよ?何処に俺を連れていってくれるんだろ。


何故か俺の?心臓は多分何時もよりか早く、バクバク動き始めた。


あぁ、こんなに心拍数が上がると、生きているって実感出来るな。


雲ひとつない空を見つめ、深呼吸をした。


数十分後、俺は何故かホテルのベッドの上で、熱く硬くなった肉棒に、しゃぶりついていた。


No.118

それはそれはとっても熱くて凄く硬い。


俺は、口の周りを男の我慢汁と自分の涎でぐちょぐちょにしながら頬張った。


今日会ったばかりの知らない男のうっとりした表情を見ながら…



段々男は吐息を漏らしはじめた。


「んんっ…はぁはぁ。」


俺は優しく玉を手で撫でながら、キャンディーを舐めるように、ペロペロと丁寧に肉棒舐めまわす。


「あっあぁんっ!!」



「ねぇ…乳首いじって欲しい?」


No.119

「あっ…ハィ…」


「えっ?なんか言った?」


「あのぉ…乳首弄って下さい。」


「誰の弄ればいいん?まだ触ってもいないのに、お前の凄い自己主張してるよ?ド変態だな。お前。あははは。」


「ご主人さまぁ~僕の…僕の乳首です。僕の乳首つねったりコリコリしてくださいっ!!」

No.120

「仕方ないなぁ。ってなんで俺がお前のコリコリしなきゃいけないんだよ。」


「そんなぁ~ご主人様がしてあげよっか?って言ったんじゃないですかっ!!僕もう…我慢出来ません…」


男は自分でコリコリと弄り始め、感じ始めたのか、男の肉棒はピクピクと小刻み動いている。


「お前一番大切な事忘れてないか?」

No.121

「だっ大事なことですか?!」


「あぁ。」


「あっ!?」


男は閃いた表情をすると座り込み、袋を揉みほぐしながら主張しているモノを、涎で濡れ濡れの口の中に迎え入れた。


「くぅぅ…。んんっ…。」


「ご主人さまぁ~どうですかぁ?」


「あぁ…。上手だ。」

頭を撫でてやると、嬉しそうにニッコリ微笑むと、また頬張り卑猥な音を出し始めた。



「ほんとお前エロいな。」


「ああぁん!!ご主人さまぁ~!!」




No.122

「早く行かなきゃ大事な会議に遅れるよ?」


「えっ?会議…?ってホテルじゃ…」


「えっ…?」


「えっ…あぁ会議、…会議に行こう!!」


なっなんだ俺…。妄想か、あれは全部俺の妄想だったのか!!

No.123

って…ん?

男は透けた自分の身体を触った。


元に戻ってる…?いつも通り透けてる…。



ってえっ?!夜?なんでだ?さっきまで昼だったのに…。

まぁ、いいか。


どうせ俺には関係ないもんな。


男は座り込むと大きな声で笑い始めた。


笑える。ホント笑える。

アハハハ。


こんなに大声出して笑っても誰も気付かないんだもんな。


アハハハ。



アハハハ…クソッ


男は小石を投げようと掴もうとしている。

No.124

何度も何度も持とうとするが、手をすり抜けてしまう。

なんで?なんでだよっ!!


俺がっ…俺が何したんだって言うんだよぉ!!!



地面を殴ろうとする手もすり抜けている。


アハハハッ!!


ホント笑える。

何の為に俺って存在しているの?

男は仰向けに倒れた。


…いつまで俺はこうしているんだろう。


うっ…


男はまた頭を押さえ苦しみ始めた。



っ!!

No.125

「俺は…俺はあの日から…だと……って…思っていたんだ!!なのに…」

くっ…こっ今度はなんだ…?!

男は、ぼやける視界の中で声のする方に目をやった。


中学生くらいの男の子とその母親だろう女性が喧嘩をしているようだ。



なんだ親子喧嘩か…。


えっ?

男は飛び起き周りを見渡した。

…俺は夢を見ていたのか?

さっきまで、横断歩道にいたよな?なんで家にいるんだ?

そうか、幽霊だから瞬間移動ができるんだな。ってそんな事あり得ない。



No.126

いや、出来るのかも。というか…部屋汚いな。


テーブルの上には空き缶やつまみ、それからだいぶ放置されていたであろうサンドイッチが無造作に置かれている。


…。


…っ!!痛い…。


男は足を撫でる。


足が痛む…なんでだ?

クソッ…足は痛いし、部屋は汚いし最悪だ。

男は床に散乱している服をなるべく踏まないようにベッドの上に移動した。

…ベッドの上だけは流石に綺麗だな。


男は横になると、いつの間にかまた眠りに落ちていた。


ガチャガチャ

キィィィー

バタンッ

玄関が開く音がしたかと思うと、女の泣き声が静かな部屋に響き始めた。





No.127

なんだ…?


『もう恋なんてしない。男なんて……もう…恋なんて…なんで私ばっかり何時もこうなの…?それによりによって私の親友なの…?なんで?なんでなのよぉ…!!』


…失恋か?それにしても五月蝿い…。男なんて腐る程いるだろ。

あっ……!?

男は女のブラの上に手を置いていた事に気付いた。


俺は悪くない…。てかこいつのブラは色気がないな。うん。

やっぱりブラはこうなんていうか水玉じゃないんだよなぁ。

俺は…淡いピンク色とか黒い奴がって…違う。それよかアイツは?

男は玄関に向かう事にした。



No.128

…まだ泣いてる。


「泣くな。五月蝿い。」


男の声は届くハズがない。だけど何度も男は女に話かける。


「男は腐る程いるし、お前は掃除も家事もだめだけど、お前の笑顔は…良いと思う。だから泣くなよ?なぁ?」


男は隣に座ると、頭を撫でた。


こういう時ってどうすれば…


No.129

というか、雨に濡れたのか身体も冷たいし…ブラウスが透けてる…!!

これは……。

…俺ってこんな時に…。


1時間たった頃、やっと女はおぼつかない足取りでベッドに向かうと、すぐ横になりそのまま眠りについた。


あれから2日経ったある日、女は部屋を綺麗にし始めたかと思うと、チャラそうな男を連れてきた。


部屋に入るなり男は、女の服に手を入れたりキスをしている。


…こんな奴の何処がいいんだろう。
まぁ俺には関係ないけど…


数日後女は部屋の隅で泣いていた。


またか…



No.130

でもなんだか分かる気がする。


誰かと繋がっていたい。

誰かと話がしたい。

だけど、繋がると辛い思いをしなければならない時がある。

なら一層のこと逃げてしまった方が気が楽だし、人間関係で悩む事もない。

だから傷つく事も傷つける事もない。


それに無理して笑顔なんて作らなくてもいい。


やっぱりこのままの俺の方が幸せなのだろうか。


No.131

男はベランダから外を眺めながら、胸を押さえた。


触れた瞬間…胸の辺りがチクッとした。あれはなんだったんだろう。それに女の身体が冷えきっている事も分かった。


俺が生きていたら、少しはアイツの役に立てたのだろうか?


なんだかんだ言って俺は…生きたいんだよな。

このまま全てを思い出したら俺は…生き返るんだろうか?


男は目の前のカーテンに触れようとした。


No.132

すり抜けてしまう。


…どうしてだろう。

どうして触れるときと、触れないときがあるんだろう。


何度も挑戦するが、やっぱりすり抜けてしまう。


いつの間にかまた1日が過ぎようとしていた。


…そろそろ出掛けるか。


あれからは俺は、痛む足を引きずりながら家と横断歩道を行き来する日々を過ごしていた。


そんなある日、


No.133

目の前にさっちゃんが現れた。


「えっ…さっちゃんだよね?」

ここは何時もの横断歩道だ。


「そうだよ?」

さっちゃんはにっこりと笑う。


「なっなんでここに?」


「この前…オトモダチガデキタノ。ホラ…キャハハハ。」

No.134

さっちゃんの隣には、さっちゃんと同い年くらいの男の子が立っていた。


「フフフ…アハハハ…ハハハ。ケンチャンッテイウンダヨ。ケンチャン…。ケンチャンダヨ?オ ボ エ タ?」


と急に大きな声を出したかと思うと、男の周りをぐるぐると周り始めた。


「アハハハ。ヤクソクヤクソクヤクソク…アハハハアハハハ!!!!やぶ…ったよね?キャハハハヤクソク…ハタシ…テ?」

No.135

「さっちゃん…?」


「ワタシト ケンチャンガ オニネ。イクヨ?? キャハハハ イーチ…」


「えっ?なに?鬼ごっこ?」



取り敢えず男は逃げようと後ろを向いた瞬間、




さっちゃんとけんちゃんが目の前にばっと現れた。

「フフフ。ツカマエタ。ツカマエタョ?バツヲアタエナキャネ キャハハハ。」








No.136

「えっ?なに??どうしちゃったの?」

さっちゃんとけんちゃんは顔見合せ笑うと言った。



「私達…生まれ変わるの。双子としてね。ほらっ身体が光始めたでしょ?…もう行かなきゃ…あの時はありがとー!大好きだよ、お兄ちゃん。ばいばーい!!」

No.137

そっか…


羨ましい…。


No.138

「ねぇ…。貴方一人ぼっちなの?私と少し話さない?」



…ん?


男が振り向くと、なんともいえない雰囲気を漂わせている女が立っていた。


「俺と?」


「ふふっ…。貴方しか居ないでしょ?貴方は一人ぼっちでしょ。」


No.139

…なんだか暗い感じがするな。この女。



「ねぇ。私も一人なの…少しでいいから話さない?」


少しくらいならいいか?


「あぁ。」


「ホントに?嬉しい!!私…良いところ知ってるよ?そこで話そうよ!お願い!!」


女は男の腕に胸を押し付けながら、上目遣いで見つめている。


柔らかい…。それによくみると可愛い。

No.140

「なぁ。別に俺たちのこと、見えないんだし?ここでよくね?」


というと、男はキスをすると、下の方に手を伸ばした。


「ん?!」

男の手が止まる

「変態さーん♪これから貴方は私の奴隷。」


なんだ…?

身体が…動かない。


「私って酷い人間なんだよぉ?どう酷いかって?ききたい?うーん。とっても聞きたそうな顔してるねぇ?でもさぁ、奴隷なんかに説明するのもねぇ。はっきり言って、めんどくさいしぃ。それにめぐは、早く気持ちよくなりたい!!ねぇ?私の奴隷くん?早くあの空き家に連れていって!」


かっ身体が勝手に…。


No.141

「あはは。身体が勝手に動くでしょ?貴方の奴隷ライフが幕を開けたわよ!ひゃはは~!!なにその顔…。もっと嬉しそうに笑いなさいよ。」



うぅ…。なんなんだ?操られてる?


「いい子ねぇ。」

男の後ろ頭をめぐは優しく撫でる。


「ねぇ。なんか、めぐヒマ~。人の泣き叫ぶ姿見たくない?めぐみたぁ~い。」


No.142

「あ~いいカモみつけたよぉ♪ねぇ手始めにあのカップル別れさせようよぉ♪よ~~くきいてね?貴方は今からあのバカそうな男の身体乗っ取って、カップルの方に向かって歩いてくる女にキスして?いい?」


男は心とは裏腹にカップルの男に憑依した。


めぐは男が憑依するのを確認すると、カップルの方に向かって歩いてくる女に憑依した。


男はめぐの指示通りキスをすると、めぐは男の頬にてを添え濃厚なキスをし始めた。

突然彼氏が知らない女にキスをしたのを目の前で見せられた彼女はただただ立ち尽くしてから、やっと理解出来たのか走って行ってしまった。

No.143

「ざんねぇ~ん。泣かなかったねぇ?つまんな~い。そうだ♪このまんまエッチしちゃう?まぁ、貴方に拒否権なんてないけどねぇ。それにしてもこの身体貧相すぎ~やっぱりやるならもっとセクシーな身体の持ち主がいぃ。探して?」


こんなこと…したくなんかない…。

それに…視界が暗くなってないか??



「ねぇ。人の話しきいてる?あっ!あの娘なんていいんじゃない?あれれ~でも誰か乗っ取ってるぅ。ねぇ。連れてきて?めぐがあの娘から引き離すから。」


男は身体が勝手に動きめぐの命令に従い女を連れてきた。


「痛い!離しなさいよっ!!」


めぐは男の頭を撫でる。


「いい子ねぇ。あとで、ご褒美あげなきゃね♪てか早くその女の身体から出てきなさいよ。低級の癖に。」



無理矢理連れてこられた女はめぐのことを睨んでいる。


「ふーん。私に刃向かうの?いい度胸してね。」

というと、めぐは小さい声で何かを唱えると、あっという間に憑依していた女が身体から弾き飛ばされた。


「いったぁーい!!何すんのよ!」



No.144

「まっ満里奈?!」

めぐが憑依したがっていた女の中にいたのは、満里奈だったのだ。



「ひど〰い!!いたぁ〰い!!傷が出来たら責任とってくれるのぉ?というか、なんで私の名前知ってるのよぉ?満里奈もう怒ってるからね!!」


満里奈は怒りながら男の元に向かってきた。

No.145

「満里奈、俺…俺だよ!」


「誰?貴方。」


「たっくん…。覚えてないのか?」


「は?」


「ほら、お前がつけてくれただろ?」


「あっ!たっくん久しぶり~♪どうしたの?こんなとこで?」


めぐは2人の会話を邪魔するかのように、大きな溜め息をついた。

「めぐを差し置いていちゃこらしてんじゃねぇーよ。」




「たっくんだれこの人…?黒いオーラに包まれちゃってるよ?関わっちゃだめって前にいったじゃん!それに、いちゃこらってなに?たっくん分かる?満里奈全然分からないだけど…?」


No.146

「えっ?なにって?俺もちょっと…。」


「あんたたちなに?めぐのこと怒らせたいの?」



「やだぁ~。なんかあのオバさん怒ってるんだけど!?なんで?たっくんわかる?」

と男に聞きながら満里奈はめぐにむかって指をさして笑っている。

「怒ってる…?」


男はめぐの顔をみる。


「めぐ絶対許さない。一瞬であんたたちを消してやる。」

No.147

「一瞬で消されるんだって私達。ねぇ…たっくん?最後に良い思い出作らない?うふふ…今日ね…私ね…。」


「ねぇ。なに笑ってんの??全然めぐ笑えない。後悔しても遅いよ。めぐを本気で怒らせたからね。」


というと、大きな鎌がでてきた。


「オバサン…もしかして、死神??」

No.148

「めぐ全然笑えない。笑えないだからぁぁぁ!!」


めぐは怒鳴ると、宙に浮き始め、鎌を振り上げた。

男は黙ってその様子を見つめている。


やっとか…。なんかスッキリしない終り方だけど、やっとこの中途半端な生き方に終止符を打つことが出来るのか。


それに雨の日、1人で泣かなくてもいい。


そういえば、あの女…どうしてるかな。




No.149

斬られそうになった瞬間、満里奈が男の目の間に飛び出てきた。


「うっ…。」

生身ではないハズなのに、満里奈の身体を斬った生々しい音が響いた。


「まっ満里奈…??どっどうして??」


「あっ貴方はまだ…はぁはぁ。成仏しちゃだめよ。まだしたければならないことが…。」


No.150

「最後まで屑って五月蝿いのね。」

と、めぐはもう一度鎌を振り上げ、呟いた。


「やっ…やめろ!!」


男は、満里奈に覆い被さった。


「たっ…たっくん…私なんかのために…」




No.151

生々しい音と男の絶叫が響き渡る。


「うぅ…。ハァハァ…」

満里奈は男を抱き締める


「たっくん?!ねぇ…たっくん??ねぇってば!!」



「ホントつまんなーい。ありゃ?あちゃー。間違って私のお気に、傷つけちゃった。もう、いーらなぁーい。って、あれれ?なに痛がってんの?死んでいるんだよ?あぁ、それとも恋愛ドラマの見すぎで、可哀想なワタシタチってな演技かしら。」


「…さない。」

「はぁ?なに?生まれ変わることも、無になることも出来ない、中途半端な存在のお前らが、なんか文句でもあるの?私は、お前達みたいな存在がいるから、何時になっても仕事が終わらないのよ。躊躇わず早く行きなさいよ!!はぁ…誰よ!この人達を最初に担当した間抜けは!!もしかして、アイツか?!」

No.152

「…ぜったい…ゆる…さない…だから…。」


「えっなに?なんかいった??それよか、めぐ疲れちゃったぁ。ちょっと休憩するね♪あっ…いいよ?泣いてなよ?てか、もっと泣いていいよ?あははは!!笑える。マジで笑えるよ?人が泣き叫んでんの見下ろすのってさ、へたなお笑い見るよりか、よっぽど笑える♪だってさ、友情?愛情?分かんないけど、半端者同士の癖に、庇いあっちゃってるんだもん。ごめぇーん。ちょっと言い過ぎちゃったかな?ふっ…はっ…ちょっ…あはははははは!!」


めぐは宙に浮きながら腹を抱えながら、笑っている。

「ねぇ、オバサン。一つ聞くけど、私のこと知らないの??知らないハズないんだけど。」


No.153

「はぁ?お前みたいな奴知るわけないでしょ?てか、オバサンオバサン五月蝿いのよ。私は、美女死神コンテストで優勝したのよ?それに胸も大きいし、お尻もちゃんと出てるのに、くびれもしっかりしてる。触り心地は、生まれたばっかりの赤ちゃんみたいに、何処を触っても、もっちりすべすべだしね。お前みたいな何処でも…あっごめんね?また私ったら余計なことを…。事実でも言って良いことと、悪いことあるよね。っていうか、もう、めぐ疲れたぁ。帰るぅ。」


「ねぇ、貴女いつもそうやって仕事の途中で帰るの?」

No.154

「えっ…。おっ…お前もしかして!?」

突然めぐが大きな声を出した。

「やっと気付いた?私も死神。」

「ふっ…。あはははは!!じゃあヘマしたのお前だったの?!」


めぐはまた腹を抱え笑っている。

「あのさ、いちいち説明しなきゃ分からないの?」

というと、ため息をつく満里奈。


No.155

「説明じゃなくて、言い訳でしょ?あははは!!全然意味違うからぁ~。もぅ息出来なくて死んだらどうすんのぉ?」


「ねぇ、アザレアって呼ばれてる死神しってわよね?」


「はぁ?当たり前でしょ?死神で知らない人なんているハズないじゃない。死神のトップよ?アザレアのように美しく、周りの死神を魅了する容姿を持ちつつ、冷血で、人間はおろか死神すらも消すって噂の…名前はなんていったけ…。」

「マリ」

「そうそう。あ…でもアザレアと呼ばれている死神は双子で、そのマリは姉の方で、妹とはええっと…。」

「リナ。」

「あっ…そうそう思い出した!!…ってそれがお前となんの関係があるのよ?」


No.156

「満里奈あの…全然話がわからないんだけど…。」

「ごめんね。たっくん。私嘘ついてた。」


「えっ?嘘?」

「うん。私本当は死神…なの。」


No.157

「うわっ!」

満里奈が男の斬られた部分に手を当てるとなにもなかったように元に戻った。

「ごめんね。本当の私は死神で、本当の名前はリナ。私は…」

No.158

「えっ?満里奈?」


男はまた横断歩道の前に立っている。


満里奈を呼ぶ、男の声だけが寂しく響いているだけだ。


「もう…わからない。なんなんだよ。やっと…やっと自分の事がわかると思ったのに…。」

No.159

何日間も男は、横断歩道の前で座り続けた。

泣きもせず笑いもせずただただ行き交う人々を眺めた。


「帰ろう。」

ポツリと一言呟いた。


住人は替わったのだろうか。
それともあの五月蝿い女はまだいるんだろうか…。

部屋の明かりがついている。

人は住んでいるみたいだ。

No.160

階段を登ろうとすると、また、足がじんじんと痛み始めた。

斬られた痛みは、あっという間に消えたのに、なんでここだけまた痛むんだ??

そんなことを思いながらも、一段一段ゆっくりとあがる。

あの部屋に戻れば身も心も全てが癒され解決する気がしたからだ。


No.161

その頃リナは、大きなため息をついていた。


「あともう少しだったのに。全部お前のせい。たっくんには…たっくんには早く戻って来てもらわないといけないのに。」

「全然話が読めない?ホントにあの双子の妹なの?」


「もう、今はそんなこと、どうでもいい。それよりどうしてくれんのよ?あの人は、宗次郎様の孫、蓮様。わかる?蓮様の噂くらい知ってるわよね?下っ端でも。」


「えぇ?なに?下っ端って。まぁ、でもあの話って本当なの?」




No.162

「うん。ほとんどあってる。蓮…たっくんは小さい時から、後継者としての才能を開花させ、周りの大人を驚かせいた。小さいのに幹部とほぼ同等か、それ以上の力があるんだもん。私達姉妹でも、いくら修行しても足元にも及ばないほど。徐々に強まる力とは裏腹に、いつもたっくんは、人間になりたい。と、私達に話してた。」


「そんなに?私には、全然そんな力があるようには見えなかったけど。」


No.163

「だって今、殆ど死にかけなんだもん。」

「死にかけ?」

「うん。」

「あのままだと、もうじき死ぬ。たっくんは人間になり損ねた。」


「もしかしてあの禁断の…?」


「うん。多分ね。しちゃったんだと思う。でも失敗した。だから記憶がなくなり、あんな中途半端な姿に…。それに今、宗次郎様が…。」

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