満たされていたい奥様
はるばる博多まで新幹線で会いに来てくれた。
それまでは相手の地元まで、若しくは中間地点辺りまで車を走らせることが多かった。
『私にもお金を遣わせて……』
何かに酔いしれたように、僕の腕の中で呟いたのが始まりだった。
それ以降、支払いは彼女が全てしてくれるようになった。
SNSで知り合った当時、30代後半と年齢を聞いていた。
LINEで話していくうちに、徐々にお互い会いたい気持ちが募っていった。
しかし会う前に1つだけ話しておかないといけない、そう言って実年齢を伝えてきた。
実際は40代後半だった……
妹のような存在で可愛く思っていた僕は戸惑った。
戸惑いつつも会うことになった。
第一印象は年齢を感じさせない素敵な奥様。しかも上品で可憐な女性。
ランチをし、二人でドライブ、車を停め抱き寄せると無抵抗のまま身を寄せてきた。
日も暮れてきたのでそろそろ帰ると伝えた。
奥様は今夜は帰らなくても平気だと、伝えてきた。
ご主人は海外単心中らしかった。
しかも愛人がいるらしく夫婦仲は冷めきっているようだった。
じゃあとりあえず飲みに行こうか?
さて、車はどうしたものか……
ラブホに行ってもいいか奥様に了解を経て向かった。
車を停め繁華街へ二人で手を繋ぎ歩き出した。
grassを合わせて、何かに乾杯した。
楽しそうに談笑する奥様に僕も頬を弛めた。
きっと家庭ではこんな笑顔はないんだろうな……
そう考えると少し切なくなる。
独身の自分にとっては結婚は憧れのようなものだったけど……
ふと何かを考えさせられる現実をぶつけられたようだった。
そろそろ行こうか、お店を出てラブホに足を向けた。
途中で一級河川と思われる大きな川が流れていた。
そこに架かる橋から、彼方に海が見えた。
二人で眺めながら、ふと視線を合わせた瞬間に唇を重ねた。
奥様は今頃元気にしてるだろうか……
ラブホでいろんなことを教えてあげたのはまずかったかなぁ……
寝た子を起こしたんだからずっと付き合ってって……
熟女って満たされていない方が多いのかなぁ……
妙な安心感もあったしなぁ……
あれが母性ってやつかな?
きっと愛情不足で育ったんだろうなぁ自分は……
自分か旦那なら幸せにできたかもしれないのに……
夫婦って形だけなのかな?
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