【落語】

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匿名さん
2025/03/31 12:31(更新日時)

【落語 唐茄子屋政談】

道楽三昧の為、父親から勘当を言い渡された若旦那。若旦那は吉原の馴染みの花魁のもとへ。しかし金の切れ目が縁の切れ目。追い払われる。

橋から身を投げようと欄干に手をかけたところ後ろから誰かに引き止められる。振り返る。

若旦那
「あっ!伯父さん」

若旦那は心を入れ替えると伯父に約束。翌朝、若旦那は伯父から心を入れ替えた証に唐茄子売りをやれと命じられる。

天秤棒を担いで唐茄子売りに出かける若旦那。箸より重いものを持ったことがなく膝を崩し倒れ込む。

すると通りすがりの男が駆け寄ってきた。親切な男は長屋の知り合いに声をかけ唐茄子売りを手伝ってくれた。

その男のおかげで唐茄子は残り二つとなった。

親切な男に礼を言い、残りは自分でなんとかしようと考える。人に聞かれると恥ずかしく売り声がうまく出ない。そうこうしているうちに道楽三昧した吉原の辺りにたどり着く・・・

若旦那
「あぁ・・・吉原の花魁も金がないとわかると手のひらを返したように冷たいね。それに比べ伯父さんは無一文の俺の面倒を見てくれた。本当にありがたい」

売り声が功を奏し
裏長屋のおかみさんが唐茄子を一つ買ってくれた。

若旦那は残り一つの唐茄子も渡し、その代わり裏長屋で弁当を食べさせてくださいと頼み裏長屋へと一緒に行く。子供が弁当を見つめる。

おかみさん
「夫が出たきり帰らず、今日の米もなく子供におまんまを食べさせることができないので唐茄子を煮て食べさせるつもりでした」

それを聞いてとても他人事とは思えない若旦那は子供に自分の弁当を与え、おかみさをにその日の売り上げをすべて渡しその場をあとにした。

伯父の家に帰り着く。
唐茄子の売り上げ金がないことに伯父は承知しない。

伯父
「嘘でないなら、その長屋へ私を連れて行きなさい」

件の長屋に二人で着いてみると、家には戸が閉められていて人の気配がない・・・

長屋の住人に聞いてみると・・・
若旦那が帰った後、大家が家賃に滞りがあるのを理由に金をすべて取り上げた。おかみさんは若旦那に申し訳ないと首をくくったという。

これを聞いた若旦那は因業な大家の家に殴りこむ。すると日頃から大家の悪行に眉をひそめていた長屋の住人たちも喝采を送り味方した。ついに大家は奉行所に突き出される。首を吊ったおかみさんも手厚い看護のおかげで一命を取り留めた。

奉行所の裁きの結果、大家は厳しい咎めを受けることとなる。母子は若旦那の叔父の持つ長屋へと身を寄せた。

若旦那は母子を助けた功が認められて奉行所から賞金を受け取った。

若旦那の善行が評判を呼び父親に勘当を解かれた。のちに商人として成功を歩むこととなる。





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No.4267814 2025/03/25 19:36(スレ作成日時)

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No.10 2025/03/31 12:31
匿名さん10 

【落語 付き馬】

吉原に金持ち風情の男が登楼。芸者や幇間入り乱れてのドンちゃん騒ぎ。

翌朝。店の若い衆が勘定書を持って行く。男は「昨晩は久しぶりに楽しかった これからも贔屓にしてやるぞ」と上機嫌。

高額の勘定書を見て「ずいぶんと安いな。気に入ったよ。」

男はお金を払う段になると「散歩中にフラリと立ち寄ったせいで 大きいの(金)がない」と言い出す。

勘定が取れず困惑する若い衆。男は提案をした。


「両国におじさんが住んでる。一緒に来てくれないか?」

男の付き馬として店を出る若い衆。

心配する若い衆を横目に男は道中で「朝風呂に行こう」「鰻で一杯やろう」という始末。

その度に若い衆に代金を立て替えさせる。


「あそこが伯父さんの家。」

男が指差したのは棺桶屋・・・


「伯父さんと話を付けてくるから待っていてくれ。」

男は棺桶屋の中へ。そこの店主に話し始めた。外で待つ若い衆に聞こえる大声で・・・


「おじさん。お願いがあります。」

あとは小さな声・・・


「あそこにいる男の兄貴が昨夜死にましてね・・・」

店主に特注の棺桶を注文すると再び大声で


「引き受けてくれますか。おじさん、ありがとうございます。」

若い衆は聞こえてくる声を聞き 「話がまとまった」と一安心。

「後はおじさんがなんとかしてくれる。私はこれで・・・」と立ち去る男

残された若い衆と棺桶屋の主人

主人
「昨夜のことですって?たいへんでやしたね。」

若い衆
「急なことでしたので、本当にてんやわんやでした。」

しばらく話していると店の奥から大きな棺おけが運ばれてくる。

注文した覚えがないので驚く若い衆。 ここへ来た顛末を棺桶屋の主人に話すと

主人
「あぁ。それはあなた騙されたんだ。 気の毒に。それでも棺桶は引き取ってもらいますよ。」

男に散々立替をさせられ、今はお金を持っていないことを主人に伝えた。

主人
「そうですか。それじゃぁ誰か!吉原まで馬に行きなさい」

⚪馬に行くの意味

付き馬とは遊郭で、お金が足りない客の家に同行してお金を取り立てに行く店員またはその行為のことをさす。

付き馬に出たはずの店員が客に言葉巧みに騙されて、逆に付き馬を連れて店に帰らされるという意味の落ち。



No.9 2025/03/31 08:53
匿名さん9 

【落語 短命】

植木職人の八五郎が出入りしている伊勢屋の一人娘の婿養子が続けて三人死んだ。

八五郎は不思議に思って横町の隠居の所に尋ねに来た。

隠居は八五郎に伊勢屋の店の様子と夫婦仲を聞く。

店は番頭がすべて切り盛りし何の心配もない。三人の婿養子との夫婦仲は睦まじく夫婦はいつもべったりで、はたから見ているのが恥ずかしくなるほどの仲の良さだった。隠居は全てを得心。

隠居
「夫婦仲がよくて、家にいる時も二人きり、ご飯を食べる時もさし向かい。原因はそれだ!!」と合点。八五郎には何が何のことだか理解出来ない。

隠居 
「店の方は番頭任せで財産もある。朝から二人きりで美味くて、栄養満点で、精がつく物ばかり食べる。女が美人で暇があるってのは短命のもと。」

八五郎
「じゃあ、いい女だと、旦那は短命なんで?」

隠居
「早い話がだ。冬なんぞは炬燵に入る。そのうちに手と手が触れ合う。白魚を五本並べたような、透き通るようなおかみさんの手。顔を見れば、ふるいつきたくなる器量好し。そのうち指先が、すぅ~と胸元へ触ってな・・・。」

八五郎もようやく納得。
家に帰る八五郎。

長屋に戻ると相撲取りのような不器量な女房が鬼のような顔をして立っている。「朝っぱらから一体どこをほっつき回ってたんだよ。早く飯を食っちまいな!!」と怒鳴りたてる。

八五郎
「おい、夫婦じゃねえか。飯をよそってくれよ。」

茶碗を邪険に突き出した女房の指と八五郎の指が触れる。

八五郎 
「顔を見るとふるいつきたくなるような器量好し・・・。」
「あぁぁ、俺は長命だ。」



No.8 2025/03/28 17:45
匿名さん8 

【落語 明烏(あけがらす)】

二十歳になる一人息子の時次郎が堅物なことを心配。父親は「客商売が世間知らずでは困る」と悩んだ末に遊び人の源兵衛と太助に息子を一晩吉原遊郭に連れ出してくれと頼み込む。

江戸中が稲荷祭りに浮かれる初午の日(二月の最初の午の日)お稲荷さんに泊り込みのご参詣に行きましょうと騙され吉原遊郭に連れて行かれてしまう。

源兵衛
「ここが有名な大門・・・いや御稲荷様の鳥居です。」

若旦那
「これが鳥居ですか?黒い鳥居とはめずらしゅうございますね。」

源兵衛
「ではお茶屋・・・いや巫女さんに支度をしてもらいますから、太助とここで待ってておくんなさい。」

若旦那はここが吉原の中の女郎屋だということに気付ち帰ろうとする。

源兵衛
「若旦那、さっき鳥居と言った所は有名な吉原の大門です。三人一緒に入ってきたのに こんな早くに若旦那一人で帰ると怪しい奴と止められ、番人に捕まります。」

二人に散々脅されて観念した若旦那。そのうぶさ加減を気に入った花魁が一晩中もてなした。

夜が明けて源兵衛、太助の両人は揃ってフラれて不満顔。

源兵衛
「そろそろ若旦那を起こして帰ろう。」

二人して花魁の部屋へ行ってみると若旦那は笑顔で布団から出てこない。

若旦那
「いやぁぁ、本当に結構なおこもりでした。」

源兵衛
「若旦那こういうのは切り上げ時が大事。今日はもう引き上げやしょう。」

若旦那
「でも花魁が布団の中で私の手をはなしません。」

源兵衛
「もうやってられません。若旦那、ゆっくり遊んでらっしゃい。俺たちゃ先に失礼します。」

若旦那
「帰れるもんなら帰ってごらんなさい。三人一緒じゃなきゃ怪しまれ大門で捕まります。」

No.7 2025/03/27 11:31
匿名さん6 

【落語 文七元結 下】

長屋への帰り道。大川にかかる吾妻橋に差し掛かったところで橋から川に飛び込もうとしている男に遭う。

長兵衛
「何してやがる。よさねえか。」

「いいえ、死ななけりゃならないわけがあるんです。どうか、助けると思って死なせてください。」
長兵衛
「そんな器用な真似ができるかい。よしやがれ。」

今にも死のうという町人風の男を欄干から引きずり下ろす。

長兵衛
「死ななけりゃならないわけがるというのなら、そのわけを話してみな。」

この男、日本橋田所町の鼈甲問屋、近江屋の手代で名前を文七という。得意先へ集金に行き代金の五十両を受け取ったが、その帰りにスリに遭い、五十両をそっくり盗られてしまった。

手代の身分で、五十両もの大金を穴埋めできるわけがない。かくなるうえは死んで主人にお詫びをするしかないと思った次第。

これを聞いた長兵衛は散々迷った挙句

長兵衛
「ええい、もうどうにでもなりやがれ」
と佐野槌から借りた50両をそっくりそのまま文七に渡してしまう。

長兵衛
「そのかわりな、俺の娘のお久はもう帰ってこないから、少しでもありがたいと思うなら、佐野槌にいる娘が悪い病気にならないように観音様でも仏様でも祈っていてくれ」

そう言い放つと長兵衛は走り去ってしまう。ところが文七が五十両を大事に抱いて近江屋へ帰ると、なんと掏られたと思っていた五十両が届いているではないか。文七の勘違いで盗まれたのではなく、うっかり得意先へ忘れてきていたのだ。

文七は吾妻橋での出来事を主人に話した。主人はその話にいたく胸を打たれた。

主人
「その人は本物の江戸っ子。手がかりは何かないか。」

そこで文七は、吉原に身売りをしたお久という娘のことを思い出す。これが手がかりとなって、文七と主人は、長兵衛の居所を探し当てる。

かくして五十両は長兵衛の手に戻り、お久は近江屋の財力で身請けされた。その後文七とお久は夫婦となり麹町に元結屋を開いた。店は大繁盛し明治維新の頃まで続いたという。

No.6 2025/03/27 11:30
匿名さん6 

【落語 文七元結 上】

長屋に住む長兵衛は左官の腕は一流だが博打に目がない。仕事そっちのけで賭場通い。博打の借金ばかりがかさんでいた。

年の瀬の晩に長兵衛が二日ぶりに家に帰ると女房が一人泣いている。女房が言うには、今年17歳になる娘のお久が昨日から家を出たきり帰らないという。長兵衛も心配でいてもたってもいられない。

そこへ吉原の「佐野槌(さのづち)」という大見世から使いのものがやってきた。佐野槌は吉原でも一、二を争う名店。なんとお久は昨日の夜から佐野槌にいるという。

大慌てで佐野槌へ駆けつけた長兵衛に佐野槌の女将は、お久が佐野槌へ来ることになった理由について話し始めた。

お久は おとっつあんが博打で借金をこさえて家は火の車。さらに負けが続くと不機嫌になっておっかさんを殴る。両親を救うには自分が吉原で身を売って借金を返し、おとっつあんが真面目に働けるようにしてあげるしかない。

お久は必死にこう訴えたという。

女将
「わたしゃ話を聞いていて涙が出たよ。こんな親思いの娘を身を売るとまで思いつめさせるほど博打をして、おまえさん本当に人の親かね」

長兵衛
「面目ねえことです。あっしとしても女房と娘にいい生活をさせてやろうと思って始めたことですが負けがかさんで五十両、今更左官の仕事では埋め合わせの出来ないことになっておりやして・・・」

女将が提案したのは・・・
長兵衛が作った借金の五十両は佐野槌が肩代わりし、代わりにお久を預かる。女郎として働かせるわけではなく、女将の身の回りの用事をさせながら作法や芸事を覚えさせる。五十両は来年の大晦日までに返してくれればいい。そうすればお久はきれいな体のまま返すというもの。

女将
「ただし、来年の除夜の鐘がごぉーんと鳴ったら、あたしは鬼になるよ。お久を店に出させてもらうよ。あんな器量良しだ、お客もすぐに付くだろう。お客が付けば悪い病気にならないとも限らない。それが嫌なら真面目に働くんだよ。いいね。わかったね。」

女将の言葉が身にしみた長兵衛は、二度と博打には手を出さないと誓い、借りた五十両を懐にしまって吉原をあとにした。




No.5 2025/03/26 09:52
匿名さん5 

【落語 紺屋高尾】

働き者で生真面目な染物屋の久蔵が寝込んでしまった。

心配した親方は医者の先生に久蔵を診てもらう。

久蔵が言うには友人に誘われ吉原見物に行った。偶然に花魁道中に出くわした、その時に見た高尾太夫に一目惚れしてしまった。

もう一度会いたい久蔵。友人の「太夫は大名道具。一介の染物職人では相手にしてもらえない」という言葉に所詮かなわぬ恋と気落ち。床についてしまったのだ。

恋煩の病・・・

久蔵の告白を聞き。一肌脱ごうと一計を案じる先生。

先生
「大名道具とはいえ筋を通せば職人だろうが会えないわけじゃないぞ。一生懸命働き三年分給金を貯めなさい。必ず会えるようにしてあげよう。」

名医は恋の病も治す。先生の会わせてやるという言葉を聞いた久蔵は全快。前にも増してまじめに働きはじめた。

三年が経ったある日

親方
「久蔵おまえはこの三年よく働いた。おまえはまじめで腕もいい。もう少し頑張れば暖簾分けしてやる。貯めた金で自分の店を持てばいい。」

久蔵
「親方。このお金はどうあっても高尾太夫との初会のために使うと決めておりやす。」

親方
「そうか。その心意気には言葉もない。」

ついに念願の日を迎えた久蔵。衣装を整え、先生からは・・・

先生
「染物職人ということは隠し、何処ぞの若旦那ということにしなさい。」

三年待って本懐をとげ一夜が明けると高尾大夫は・・・

高尾
「今度はいつきていただけますか?」

久蔵
「あと三年待っておくんなさい。」

高尾
「三年も?」

久蔵はもし高尾太夫が身請けでもあれば、これが今生の別れと思い感極まって、涙ながらに自分の素性とここに至った経緯を話し始めた。

それを聞いた高尾太夫は職人風情と見下すどころかそっと涙を流してつぶやいた・・・

高尾
「なんと三年もの間・・・来年二月の十五日に年季が明けます。その時になったら訪ねて行きますから夫婦になってくれますか?」

感激する久蔵。
年が明けて迎えた二月十五日。

そこへ駕籠に乗ってやってきたのは、町人の女房風の身なりをしている高尾大夫。

久蔵との約束を守った。

高尾
「親方様。ふつつかな者ですが、久蔵様ともども宜しくお願いいたします。」

その後久蔵は高尾と夫婦になり独立。
店は江戸中の評判となり大変繁盛した。



No.4 2025/03/26 08:53
匿名さん2 

【落語 品川心中 下】

親分の家では博打の真っ最中

いきなり金造がドンドン戸を叩くので中の者たちは・・・

役人が改めに来たと勘違い上へ下への大騒ぎ。

戸を叩いたのは役人ではなく金造だとわかった。その中整然と座っている者がいる。

親分
「さすがは織公ノ進(おりこうのしん)様はお武家様。騒ぎでもビクともなさらねぇ。」


「いや、お褒めくださるな。拙者とうに腰が抜けてござる。」

金造が親分に事の次第を説明すると、それはひどいとお染に仕返ししてやろうと話が決まる。

まずは日を改めて、お染のところへ顔を出す金造。わざと生気のない声で

金造
「お染。水は冷たかった。」

お染
「金さん無事だったのかい。許しておくれ。」

金造
「いいよ。おまえとはあの世で一緒になろうと誓った仲」

そこまで言うと金造はこれから世話になった者へのあいさつ回りがあるからと去っていく。しばらくして親分がやって来て、金造の遺体が上り今晩 通夜だから馴染みだったお染にも来てほしいという。

さっき金造には会ったばかりなのに、何がなんだかわからず通夜に行くお染。

お染がそこで見たものは金造の位牌。

恐ろしくて膝から崩れ落ちるお染が親分にさっき金造が尋ねてきたことを話すと・・・

親分
「それは大変だ。金造はおまえを一緒にあの世に連れて行く気だ」
すっかり怯えたお染はどうしたらいいかわからない。

親分
「金造を成仏させるために尼になって菩提を弔え。」

親分にそう言われてバッサリ髪を落としたところで隠れていた金造が現れて仕返しのタネ明かし。

まんまと企みに引っかかったお染はふてぶてしく啖呵を切る。

お染
「どうしてくれるんだい。髪を切っちまったら明日から商売ができないよ。」

金造
「お前があんまり客を釣るから比丘尼(びくに)してやったんだ。」

⚪魚を入れておくビクと尼僧の比丘尼をかけたオチ


No.3 2025/03/26 08:47
匿名さん2 

>> 1 【落語 おみたて】 花魁の喜瀬川のもとへ田舎者の豪商 木兵衛(もくべえ)が尋ねてくる 喜瀬川は「野暮な木兵衛の相手はしたくない」… 【落語 品川心中 中】

選ばれた方はいい迷惑。惚れた女から手紙がきたということで金造は神田から一目散に飛んでくる。

金造はお染から事情を聞くとうまく丸め込まれて結局

金造
「おまえが死んだら俺も生きてはいられねえ。二人で一緒に死のうじゃねえか」

金造の気が変わらないうちに、今晩にでもとお染は急かす

金造
「いや、明日にしよう。どうせ死ぬなら二人とも白無垢を着て死のうじゃないか。その方が浮名が立つ」

家に帰った金造は家も家財道具もすべて処分し白無垢を買い長年世話になった親分の元へ挨拶に行く。

親分
「しばらく旅に出る?いったいどこへ?」

金造
「十万億度の西方浄土へ」

親分
「いつ頃戻る?」

金造
「盆の十三日には戻ります」

親分
「おまえ女郎に入れあげてるみたいだな?今は紋日前だ。心中吹っ掛けられても知らねえぞ」

金造
「もう遅い…」

親分
「おっ?なんか言ったか?」

夕暮れ時、金造は約束どおり品川へ戻る。

金造は今夜死ぬならと勘定のことなんて気にせず、あれを持って来いこれを持って来いと、普段と比べ物にならない豪遊をする。

散々飲み食いしてから二人は一緒に海へ飛び込もうとお染は金造の腕を引っ張り桟橋の方へ

お染
「さあ一緒に飛び込むんだよ」

金造
「ちょっと待ってくれ風邪でも引いたらどうするんだ」

見ていると自分から飛び込みそうもない金造。とうとうしびれを切らしたお染が金造の背中を突いた。続いてお染が飛び込もうとしたところで誰かにと手をつかまれた。

手をつかんだのは店の者。大場町の旦那がお染のために金を用意してくれたという。

すっかり死ぬ気がなくなったお染

お染
「ごめんね金さん 私が死んだらあの世で一緒になろうね」

突き落とされた金造だったが、品川の海は遠浅で足を踏ん張ってみると水は腰までしかない。

お染に文句を言ってやりたいが、死ぬつもりで飲み食いした勘定を請求されても困る。濡れネズミになりながら親分のところへ・・・

No.2 2025/03/26 08:46
匿名さん2 

【落語 品川心中 上】

品川の遊郭白木屋で売れっ子だった遊女のお染。寄る年波には勝てず、最近では客がめっきり減ってしまった。

自分より若い遊女にどんどん客が付き、お茶を挽く日が増えていくことにため息ばかりの毎日。

頭を悩ませるのが紋日が近づいて、衣替えの衣装代を出してくれる旦那が見つからないこと。

巻紙も痩せる苦界の紋日前

川柳にあるように、お染はせっせと手紙を書くが、なかなか馴染みの旦那衆から返事がこない。

自分で金を用意しようにも衣装代や他の者への祝儀も合わせ五十両という大金が必要。

そんな大金は用意なんてできっこないし、いっそ死んでしまおうかとも考えたが、金につまって死んだとあれば笑いものになってしまう。

ならば誰か相手を見つけて心中でもすれば覚悟の上ということで、格好がつくとばかりに心中相手を帳面をめくって選び始める。

お染
「大工の新さんは子供が二人もいるし、小間物屋の伝さんも若いから気の毒・・・」

白羽の矢が立ったのは神田から通ってくる貸し本屋の金造

お染
「この人はぼぉーとしてるし、ついでに生きてるような人だから死んでも誰も困らない。この人にしよう」

No.1 2025/03/26 08:12
匿名さん1 

【落語 おみたて】

花魁の喜瀬川のもとへ田舎者の豪商 木兵衛(もくべえ)が尋ねてくる

喜瀬川は「野暮な木兵衛の相手はしたくない」と店の若い衆にわがままを言い始める。

困ったのは若い衆 喜瀬川が会えない理由を木兵衛に言い訳しなくてはならない。

そこで「喜瀬川は病気だ」と嘘をついて帰ってもらおうとするが、「病気なら見舞いに行こう」と返される。

困った若い衆・・・

若い衆
「実は先日、喜瀬川は病気で亡くなりました。あなた様にひと目会いたいと最期まで申しまして、息を引き取りました。」

「喜瀬川とは夫婦になる約束をしていたのに」と号泣
「せめて墓参りをさせてくれ。 墓はどこにあるんだ?」

「遙か遠くにあります」と言っておけばいいものを、寺や墓地が多いことから「山谷です」と言ってしまう若い衆。

「山谷なら近いから今から案内してくれ」

山谷に着いた二人。若い衆は仕方がないので適当な寺に入って適当に墓を選んだ。

若い衆
「旦那様、こちらの墓です。」

木兵衛は涙を流しながら念仏を唱えるが、よく見ると戒名の下に「居士」と彫ってある。居士は男性の墓

若い衆は別の墓に案内するが今度は「童子」と彫ってあり子供の墓というのが露見された。

イライラした木兵衛は

「おい!いったいどれが本当の喜瀬川の墓なんだ?」

若い衆はたくさん並んでいる墓石の方を指差して

「あちらにたくさん並んでおりますからどうぞ、ご自由にお見立て願います。」


⚪お見立て
お見立てとは店の格子の奥に控えている遊女を客が表から見て選ぶこと。
若い衆は遊女を探しに来た男性客に「よろしいのをお見立て願います」と登楼を促した。

  • << 3 【落語 品川心中 中】 選ばれた方はいい迷惑。惚れた女から手紙がきたということで金造は神田から一目散に飛んでくる。 金造はお染から事情を聞くとうまく丸め込まれて結局 金造 「おまえが死んだら俺も生きてはいられねえ。二人で一緒に死のうじゃねえか」 金造の気が変わらないうちに、今晩にでもとお染は急かす 金造 「いや、明日にしよう。どうせ死ぬなら二人とも白無垢を着て死のうじゃないか。その方が浮名が立つ」 家に帰った金造は家も家財道具もすべて処分し白無垢を買い長年世話になった親分の元へ挨拶に行く。 親分 「しばらく旅に出る?いったいどこへ?」 金造 「十万億度の西方浄土へ」 親分 「いつ頃戻る?」 金造 「盆の十三日には戻ります」 親分 「おまえ女郎に入れあげてるみたいだな?今は紋日前だ。心中吹っ掛けられても知らねえぞ」 金造 「もう遅い…」 親分 「おっ?なんか言ったか?」 夕暮れ時、金造は約束どおり品川へ戻る。 金造は今夜死ぬならと勘定のことなんて気にせず、あれを持って来いこれを持って来いと、普段と比べ物にならない豪遊をする。 散々飲み食いしてから二人は一緒に海へ飛び込もうとお染は金造の腕を引っ張り桟橋の方へ お染 「さあ一緒に飛び込むんだよ」 金造 「ちょっと待ってくれ風邪でも引いたらどうするんだ」 見ていると自分から飛び込みそうもない金造。とうとうしびれを切らしたお染が金造の背中を突いた。続いてお染が飛び込もうとしたところで誰かにと手をつかまれた。 手をつかんだのは店の者。大場町の旦那がお染のために金を用意してくれたという。 すっかり死ぬ気がなくなったお染 お染 「ごめんね金さん 私が死んだらあの世で一緒になろうね」 突き落とされた金造だったが、品川の海は遠浅で足を踏ん張ってみると水は腰までしかない。 お染に文句を言ってやりたいが、死ぬつもりで飲み食いした勘定を請求されても困る。濡れネズミになりながら親分のところへ・・・
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