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誘惑蝶

No.103 2014/06/18 00:27
ハル ( deZwBe )
あ+あ-

資料室には、私と蛍先輩だけになった。

「ハルちゃん…ごめん、来るのが遅くなって…」

「先輩、どうして、わかったの…?」

「なっちゃんとアキホちゃんからメールが来てたんだ。ハルちゃんが危ないかもって。最後の授業が体育だったから携帯見るのが遅くなって…本当に、ごめんね」

蛍先輩は、私を力強く抱きしめた。

「…そんな!来てくれて、すごく嬉しかったですっ…」

「うん…もう、大丈夫だよ」

泣きじゃくる私を
先輩は優しく包み込んでくれた。
それだけで、傷が癒えていくような気がした。

「…落ち着いた?」

「…はい」

蛍先輩は私の頭を優しく撫で、
笑いかけてくれる。

先輩は私に制服を着させてくれた後、
教室まで送ってくれた。

蛍先輩と教室に入ろうとすると
ちょうど委員会が終わった
ナツとアキホが隣のクラスから出てきた。

「…ハル、大丈夫だった!?」

「…ごめん、ちょっと油断しちゃったみたい」

私はへへ、と笑う。

「ごめんっ…!やっぱり待たせとくべきだったね…」

「ハル〜…ごめんねぇ…」

そんな私を見て、二人は抱き着いてきた。

「二人が謝る事じゃないよっ!ほんとに、私が油断したから…。それに、蛍先輩の事呼んでくれたんだね。ありがとう」

私は、蛍先輩の顔を見て
思い出した。

「あっ!蛍先輩、部活!」

「いいよ、ハルちゃんの方が大事だから」

「でも…1番大事な時だし、今からでも行って下さいっ」

二人は私のその言葉を聞いて、

「ハルの事は、任せて下さいっ!」
「私とナツがいるんで大丈夫です!」

と、蛍先輩に向かって言った。

蛍先輩は迷っていたが、
にこっと笑って頷いた。

「…わかった。側にいてあげられなくて、ごめんね。ハルちゃん、また何かあったらすぐに言うんだよ」

「はいっ!」

「じゃあ二人とも、ハルちゃんをお願いね」

蛍先輩の姿が見えなくなると、
ナツとアキホが心配して言った。

「…ハル、これでよかったの?」
「蛍先輩に側にいてほしかったんじゃないの?」

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