誘惑蝶
No.131 2014/06/27 09:39
ハル ( deZwBe )
あ+あ-
「俺、すっげー情けない奴なんだよ。自分の好きだった人が自分の事見てくれなかったからって、荒れて、勝手に後悔してさ」
蛍先輩は、苦笑いして言う。
「先輩…」
「ハルちゃんも、今の話し聞いて引いたでしょ?いつも先輩ぶってるけど…ほんと、格好悪いよなぁ」
「そんな事、ないです!」
私は、大きな声で言った。
花火の音に負けないくらい、大きな声で。
「自分の好きな人に振り向いてもらえないなんて、辛いに決まってるじゃないですか!そんなの、誰だって潰れちゃいます!ずっと一方通行の恋は、辛いですよ…」
私は、蛍先輩をぎゅっと抱きしめた。
「それに、先輩の言葉はサクラ先輩の心にも響いてたと思うし、嬉しかったと思います。蛍先輩が一途に自分を思い続けてくれた事…。絶対、どこかで救われてたはずです!」
「ハルちゃん…」
「ユキナだって、蛍先輩のおかげで少し変われたんです!蛍先輩、すごく素敵です。すごく、すごくカッコイイです。だから、自分の事を情けない奴だなんて、言わないで下さい…」
声が、震える。
花火の音に負けないで言えたかな?
ちゃんと、伝わった…?
蛍先輩は、くすくす、と笑った。
「…年下の女の子に、励まされちゃうなんて、やっぱり俺、格好悪いよなぁ」
蛍先輩は、私の肩にもたれ掛かる。
「あっ…偉そうな事言ってすみませんっ…」
私、年下のくせに
でしゃばった事言っちゃった…
恥ずかしさと、後悔の念が
押し寄せて来る。
「謝らないで。俺、嬉しかったからさ。ありがとう。ハルちゃんにすげー救われたよ」
「そんな!私、生意気でっ…」
「ははは、気にしない、気にしない。ハルちゃんは、小さいのにすごいパワー持ってるよなぁ」
そう言って、私を力強く抱きしめる。
「あとちょっとで花火終わっちゃうから、ゆっくり見ようか」
「…はい」
蛍先輩の右の掌が、
私の左の掌を包み込む。
夜空に打ち上がる花火を
二人で見上げた。
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