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星降る夜に手を繋ごう〜slow style〜

No.291 15/09/01 22:34
サラリーマンさん ( 40 ♂ )
あ+あ-

部屋に入るなり、マイは笑い声を上げた。
「なんで〜じゅん!ジロリんちょ!」
「ひとりで泊まるのになんでこんな広いツイン取ったの?ジロリんちょ…」
「あーぁ!初めから誰か口説いていやらしい事するつもりだったんでしょ!」

マイはじゅんの手口を探っている様に思えた。

じゅんは慌てる素振りもせず、マイの言葉を聞き流した。

「同窓会だし…お酒入るし…いっそ泊まろうって予約入れたらシングル一杯だっただけだよ…」
じゅんは苦笑いするしかなかった。

マイはイタズラっぽくじゅんを責め立てた。

先程のホールの歓喜が嘘の様に 部屋は静寂で耳が疼くほど静か過ぎた。

マイの酔いはすっかり覚め、窓から見える眼下に揺らめく街の灯りを眺めていた。

小さなアーチ状を幾つも連結した橋は川面からライトアップされ、海へと続く河口には数隻のヨットがマストポールを揺らしていた。

「ねぇじゅん…こんな高い所から見るといつもの風景が全然違って見えるんだね。」

窓際に両手をついたまま、まるで幼い子どもの様にいつまで眺め…
同郷のふたりにとって見慣れたはずの景色が今夜は特別な風景に映っていた。

じゅんは、マイの後ろからそっと近寄り、マイの腰へ両手をまわし、マイの耳横へ顔を近づけた。

「マイ…少し飲み直す?」
「うん…そうだね…覚めちゃったし、少し呑もうかな」

グラスに軽くワインを注ぎ、ふたりは肩を並べ眼下の風景に浸っていた。

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