欲しくない
連れてきてくれたのは、おしゃれなレストランで、ゆっくり食事をしながら仕事のこととかいろんなことを話した。
佐伯先生は面白くて、とにかくたくさん笑った。
佐伯先生も職場よりも柔らかい笑顔で、そんな表情を見せてくれたことが何だかとても嬉しかった。
レストランを出てから、少しドライブをして、夜景の綺麗な港で車は停まった。
少しだけ沈黙が流れた。
「俺、あの学校行くの楽しみだったんだ」
「…荒れた学校って聞いてたのに?」
「…先月移動決まって、すぐ挨拶に行ったんだよ。その時に職員写真で高畑先生の写真見て…。可愛い子だなって思った。早く会ってみたいなって思って、4月になるの待ち遠しかったんだ。
実際に見たらやっぱり可愛くて、名簿見たら名前が下にあったから若いんだろうなって思って、相手にしてくれないかなって思ったんだけど…今日食事付き合ってくれて、すごく嬉しかった」
…驚いた。
…きっと私は今真っ赤になってる。
…私は写真写りも良いほうじゃないし、男の人に可愛いとか、そんなふうに言われたことはなかった。
「…高畑先生が嫌じゃなかったら、俺と付き合って下さい。」
「…はい」
「はいってことは、良いってこと?」
「はい」
「…俺、高畑先生より年だいぶ上だし、煙草も吸うよ?」
「…だいぶでもないですよ。煙草は知ってます」
「…本当にいいの?」
「…はい」
「…すごく嬉しい」
佐伯先生は、見たことがないくらいはしゃいでた。
でも、きっと私のほうが佐伯先生より嬉しい。
注目の話題
おとなチャンネル 板一覧