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黒百合女学院 恋の時間(小愛的故事) 確定清書版

No.15 2019/12/10 04:21
青木あかね ( 38 ♀ sq6JBe )
あ+あ-

≫13

人生の暗転とは、この事を言うのだろうか。これから始まるのは、そんな物語である。



「みんな~そろそろお腹空かない?。近くに美味しい洋食屋さん見つけたの!。皆で食べに行きましょ」

ホーリネス希望教会。これは黒百合女学院山手校に隣接のキリスト教の教会だが、その聖歌隊有志・・・その多くは黒百合女学院高等部合唱部の面々。

そのお嬢様生徒の皆と、自宅の離れ防音室で、ピアノ弾きながらクリスチャンコンサートの賛美歌の練習していた、あおいのお家の赤井家の長女の藍子、黒百合女学院高等部合唱部の部長は

時計をふと見ると、時針が昼ご飯時を指してるのに気づき、皆に声をかける。






その頃、京都市立檀原中学三年生の、あおいの次姉の緑は職員室に呼び出されていた。

ヤンキーな彼女。お受験した小学校に中学校の全てが、ことごとく不合格ゆえの市立中学に通う、超絶に勉強嫌いで勉強苦手な彼女は、高校進学のつもりは、さらさらなかったのだが

学校としては、ほいほい中卒就職などさせるわけにはいかない。なぜなら彼女はこの街ではお嬢様。市に影響力持つ赤井家の娘。何がなんでも高校進学させねば!だったのである。



別に赤井家当主の、緑の祖父の晋太郎も祖母の桐子も、また、緑の父の幸一郎も母の桃子も

『武術の才能ある緑は、別に無理に進学しなくても、家業の道場経営を継いでくれればいい。他の家業の会社や塾の経営なら、長女の藍子か長男の貴志、それとも末娘のあおいが継げばよい』

としか思ってなくて、学校側に

「娘の緑を進学させてくれ」

なんて一言も言ったことはなかったのだが

なまじお嬢様生まれだと、周囲が勝手に忖度して、窮屈で自由のなくなる暮らしをさせられてしまう。その見本みたいなものである。

だから緑は、それに反発してヤンキー化してるのに。

そして、学校に余計な忖度とお節介されてる緑は、その犠牲者で。期末テスト最悪だった彼女は、居残り補習を命じられてしまう。

ともあれ、それで居残り補習になってしまった緑は、自宅に電話をかけている。





防音室から出てきた藍子。電話の呼び出し音にやっと気付く。受話器を取る藍子。

「お姉ちゃん、わたしね居残りさせられちゃうの。だからゴメンナサイ。あおいの幼稚部へのお迎え、お姉ちゃんお願いっ!」

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