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黒百合女学院 恋の時間(小愛的故事) 確定清書版

No.21 2019/12/17 08:30
青木あかね ( 38 ♀ sq6JBe )
あ+あ-

≫20

「瞬お兄ちゃん、本当にありがとね。毎日、毎日来てくれて。あおいと毎日遊んでくれて」

「いいんだよ。それくらい当たり前さ。何てったって、あおいもお前も、俺には可愛い妹も同然だもんな」

「それよりあおい、まだ喋れないな。目の前で藍子が即死したら無理もないんだが・・・」

藍子があおいの目前で轢き逃げされ即死して、すでに一週間。

明治からずっと、クリスチャンホームの赤井家には、初七日の概念はないのだけれど、仏教の影響下にある日本の社会的には、初七日は一区切りだ。

その赤井家の玄関前で話してるのは、赤井家の次女の緑と、赤井家とは遠戚の真鍋家の末っ子の瞬。



彼は・・・

明治に台湾人武術家の黄響鐘が入婿した赤井家。維新時に失われたはずの赤井家の分家・・・戦後に見つかった、その分家の血を引く真鍋家・・・赤井家の血統を戻せずとも、旧上級武家の血統を元に近づけるため・・・

台湾人が旧上級武家に入婿した・・・しあわせを妬む一部の声に配慮した黄響鐘、いや、入婿したから赤井響鐘

赤井家を乗っ取った形に見えなくもなく、また流浪の身を赤井家のお姫様に拾われた恩返しでもないが、赤井家に本来的に入婿するはずだった、失われた赤井家の分家を探し続けた。

そんな赤井家と真鍋家の約束で、彼、真鍋瞬は、藍子の生まれながらのお婿さん、つまり許婚の彼氏の婚約者だ。



「いいんだ。喋れなくなっても、あおいは俺には可愛い妹だ」

自らに言い聞かせるように何度も呟く真鍋。そして緑にも

「緑、お前も可愛い妹同然だからな。何でも言えよ」

「うん、ありがとう」

「ところで、あおいは小学校はどうなるんだ?。黒百合の初等部にエスカレーターか?。それとも公立か?。まさか養護ってことにはならないよな?」

「なんかね、おじいちゃんの話だと、耳の聞こえない子が初等部入試に合格したんだって。それなら幼稚部のあおいはエスカレーターできるでしょ。それに黒百合はクリスチャンスクールだもん、差別的排除はないわよ」



『まあ、緑の祖父は黒百合女学院の理事。黒百合山手校のまだ若い安部副学長は緑の祖父の教え子。しかも赤井家は高額寄付家庭。大丈夫とは思うが、万一の可能性も。真鍋家でも出きることはないか・・』

考えを巡らす真鍋。そんな中、緑は真鍋を見つめる

「あのね、お兄ちゃん、わたしね、お願いがあるの」

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