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No.16 22/01/10 13:26
匿名さん0
あ+あ-

岡田が自宅に戻ったのは22時過ぎだった。

「お帰り。遅かったわね」
母は居間で一人、テレビを観ていた。

「はい、美智子さんと食事をした後、ちょっと街を歩いたものですから」

「そう…。それは良かったわ。美智子さんどうだったかしら?日曜日のこと…気を悪くされていなかったかしら?」
母は心配そうに尋ねた。

「大丈夫です。全く気にしていない様子でした。むしろお母さんのお身体の心配をしていましたよ」

「そうかい。それなら安心しましたよ。今度はちゃんとお会いしますからね」

「はい、ぜひお願いします」

「じゃあ次の日曜はどうかしら?美味しい料理をご用意して差し上げますよ」

「いいんですか?じゃあ美智子さんに聞いてみます」

翌日、岡田は早速、美智子に電話をした。美智子は二つ返事で了解してくれ、再び日曜日に会う事となった。が、その当日、また同じ事が起こったのである。

母は美智子を迎える為に、朝から料理をこしらえていた。岡田が見たところでは、母はウキウキしながら張り切っていたようだったし、体調が悪そうな様子もなかったのに、突然、不調を訴えたのだ。

「お母さん、どうしたんです?」

「それが、また急に胃が痛くなってね。キリキリと…我慢できないくらい」

「大丈夫ですか?お薬は?」

「今、飲みましたよ。横になって安静にしてりゃ治まると思うんだけど…」

「そうですか…。どうします?美智子さんに会えそうですか?僕、そろそろ美智子さんを迎えに行かなきゃならないんですが」

「そうね…ごめんなさい…ちょっと無理かも知れませんね。大変申し訳ないのだけれど、また日を改めてもらえないかしら?」
母は苦しそうな顔で言った。

「分かりました。じゃあ美智子さんに電話して来ます」

こんな事があるのだろうか?と岡田は思った。電話口の美智子もさすがに訝った様子で、とにかく岡田は美智子に平謝りした。

二日後、岡田は美智子を昼食に誘った。岡田と美智子の勤める会社は歩いて15分くらいの距離にあり、その中間地点にある定食屋で待ち合わせた。岡田が店に入った時、美智子はまだ来ていなかったが、取り合えず岡田は空いている席についた。サラリーマン客で賑わう店内の雑踏は、母の体調不良によって、連続して二度も美智子を家に連れて来る事が出来なかった岡田の苛つきを一層増長させていた。

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