Luna　piena

「なんか落ちつく…気がする」
そう答えると、あんずさんは
ほんと、卑猥なんだから…と小さく笑った
この間と同じじゃつまらないから、もう少し自由を奪っちゃうね
口調とすることのトーンの落差
楽しそう…あんずさんの顔を見ながらそう思った

親指を手のひら側に折り曲げると両方の手にもラップを巻きつけられた
ほら…何もできなくなった
十六夜さんのお願いのとおりだね
あんずさんはいいながら、私の両腕を左右に広げると自分で動かさないことと約束させられた
「それなら縛ってくれればいいのに」　
「僕が十六夜さんを緊縛するのはお願いには含まれてないよ
だからしない」
あんずさんは私の髪を梳くようにしながら、じっと私を見つめてそう言った