【落語】
No.10 2025/03/31 12:31
匿名さん10 あ+あ-
【落語 付き馬】
吉原に金持ち風情の男が登楼。芸者や幇間入り乱れてのドンちゃん騒ぎ。
翌朝。店の若い衆が勘定書を持って行く。男は「昨晩は久しぶりに楽しかった これからも贔屓にしてやるぞ」と上機嫌。
高額の勘定書を見て「ずいぶんと安いな。気に入ったよ。」
男はお金を払う段になると「散歩中にフラリと立ち寄ったせいで 大きいの(金)がない」と言い出す。
勘定が取れず困惑する若い衆。男は提案をした。
男
「両国におじさんが住んでる。一緒に来てくれないか?」
男の付き馬として店を出る若い衆。
心配する若い衆を横目に男は道中で「朝風呂に行こう」「鰻で一杯やろう」という始末。
その度に若い衆に代金を立て替えさせる。
男
「あそこが伯父さんの家。」
男が指差したのは棺桶屋・・・
男
「伯父さんと話を付けてくるから待っていてくれ。」
男は棺桶屋の中へ。そこの店主に話し始めた。外で待つ若い衆に聞こえる大声で・・・
男
「おじさん。お願いがあります。」
あとは小さな声・・・
男
「あそこにいる男の兄貴が昨夜死にましてね・・・」
店主に特注の棺桶を注文すると再び大声で
男
「引き受けてくれますか。おじさん、ありがとうございます。」
若い衆は聞こえてくる声を聞き 「話がまとまった」と一安心。
「後はおじさんがなんとかしてくれる。私はこれで・・・」と立ち去る男
残された若い衆と棺桶屋の主人
主人
「昨夜のことですって?たいへんでやしたね。」
若い衆
「急なことでしたので、本当にてんやわんやでした。」
しばらく話していると店の奥から大きな棺おけが運ばれてくる。
注文した覚えがないので驚く若い衆。 ここへ来た顛末を棺桶屋の主人に話すと
主人
「あぁ。それはあなた騙されたんだ。 気の毒に。それでも棺桶は引き取ってもらいますよ。」
男に散々立替をさせられ、今はお金を持っていないことを主人に伝えた。
主人
「そうですか。それじゃぁ誰か!吉原まで馬に行きなさい」
⚪馬に行くの意味
付き馬とは遊郭で、お金が足りない客の家に同行してお金を取り立てに行く店員またはその行為のことをさす。
付き馬に出たはずの店員が客に言葉巧みに騙されて、逆に付き馬を連れて店に帰らされるという意味の落ち。
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