【落語】
No.6 2025/03/27 11:30
匿名さん6 あ+あ-
【落語 文七元結 上】
長屋に住む長兵衛は左官の腕は一流だが博打に目がない。仕事そっちのけで賭場通い。博打の借金ばかりがかさんでいた。
年の瀬の晩に長兵衛が二日ぶりに家に帰ると女房が一人泣いている。女房が言うには、今年17歳になる娘のお久が昨日から家を出たきり帰らないという。長兵衛も心配でいてもたってもいられない。
そこへ吉原の「佐野槌(さのづち)」という大見世から使いのものがやってきた。佐野槌は吉原でも一、二を争う名店。なんとお久は昨日の夜から佐野槌にいるという。
大慌てで佐野槌へ駆けつけた長兵衛に佐野槌の女将は、お久が佐野槌へ来ることになった理由について話し始めた。
お久は おとっつあんが博打で借金をこさえて家は火の車。さらに負けが続くと不機嫌になっておっかさんを殴る。両親を救うには自分が吉原で身を売って借金を返し、おとっつあんが真面目に働けるようにしてあげるしかない。
お久は必死にこう訴えたという。
女将
「わたしゃ話を聞いていて涙が出たよ。こんな親思いの娘を身を売るとまで思いつめさせるほど博打をして、おまえさん本当に人の親かね」
長兵衛
「面目ねえことです。あっしとしても女房と娘にいい生活をさせてやろうと思って始めたことですが負けがかさんで五十両、今更左官の仕事では埋め合わせの出来ないことになっておりやして・・・」
女将が提案したのは・・・
長兵衛が作った借金の五十両は佐野槌が肩代わりし、代わりにお久を預かる。女郎として働かせるわけではなく、女将の身の回りの用事をさせながら作法や芸事を覚えさせる。五十両は来年の大晦日までに返してくれればいい。そうすればお久はきれいな体のまま返すというもの。
女将
「ただし、来年の除夜の鐘がごぉーんと鳴ったら、あたしは鬼になるよ。お久を店に出させてもらうよ。あんな器量良しだ、お客もすぐに付くだろう。お客が付けば悪い病気にならないとも限らない。それが嫌なら真面目に働くんだよ。いいね。わかったね。」
女将の言葉が身にしみた長兵衛は、二度と博打には手を出さないと誓い、借りた五十両を懐にしまって吉原をあとにした。
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