【落語】
No.9 2025/03/31 08:53
匿名さん9 あ+あ-
【落語 短命】
植木職人の八五郎が出入りしている伊勢屋の一人娘の婿養子が続けて三人死んだ。
八五郎は不思議に思って横町の隠居の所に尋ねに来た。
隠居は八五郎に伊勢屋の店の様子と夫婦仲を聞く。
店は番頭がすべて切り盛りし何の心配もない。三人の婿養子との夫婦仲は睦まじく夫婦はいつもべったりで、はたから見ているのが恥ずかしくなるほどの仲の良さだった。隠居は全てを得心。
隠居
「夫婦仲がよくて、家にいる時も二人きり、ご飯を食べる時もさし向かい。原因はそれだ!!」と合点。八五郎には何が何のことだか理解出来ない。
隠居
「店の方は番頭任せで財産もある。朝から二人きりで美味くて、栄養満点で、精がつく物ばかり食べる。女が美人で暇があるってのは短命のもと。」
八五郎
「じゃあ、いい女だと、旦那は短命なんで?」
隠居
「早い話がだ。冬なんぞは炬燵に入る。そのうちに手と手が触れ合う。白魚を五本並べたような、透き通るようなおかみさんの手。顔を見れば、ふるいつきたくなる器量好し。そのうち指先が、すぅ~と胸元へ触ってな・・・。」
八五郎もようやく納得。
家に帰る八五郎。
長屋に戻ると相撲取りのような不器量な女房が鬼のような顔をして立っている。「朝っぱらから一体どこをほっつき回ってたんだよ。早く飯を食っちまいな!!」と怒鳴りたてる。
八五郎
「おい、夫婦じゃねえか。飯をよそってくれよ。」
茶碗を邪険に突き出した女房の指と八五郎の指が触れる。
八五郎
「顔を見るとふるいつきたくなるような器量好し・・・。」
「あぁぁ、俺は長命だ。」
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