奥さん公認の不倫その前
あるスレで自分の過去をチョロっと書いたらもっと書きたくなったので、いっそのことここでノンフィクション小説で書いちゃえって思いました
ぼちぼち更新して行く予定です
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土曜日、現地で落ち合う約束をして家に向かう
遅くなったけど、次の日は午後出勤だったから、とりあえず発泡酒のプルタブを開けて流し込むように飲んだ
冷蔵庫の中を漁ってチーカマを発見する
賞味期限は多分問題ないだろう
かじりながら携帯を見ると龍成からメールが来ている
「土曜日なるべく早く行くからね、デート楽しみ(≧ω≦)」
さっきまで一緒だったのにな、と思うけど可愛いとも思う
大丈夫だよ、待ってるから、お休み
短く返信してパジャマに着替えてメイクを落とす
お風呂は朝でいいや
思いながらベッドに潜り込んだ
直ぐに寝てしまって夢もみなかった
結構早起きなので、お風呂の用意をしつつ洗濯をしてスレも更新する
朝のうちに晩ご飯を作って行こうと思って冷凍してある豚肉を解凍して先にお風呂に入った
湯船でぼーっとしていたら、ふと、龍成を思い出した
昨日、お風呂で、ちょっと変だったな
「俺とするの好き?」
そう聞いてきた時、ちゃんと好きって答えたのに、変な顔してた
上手く言えないけど、ちょっと悲しそうにみえた
すぐにいつもの彼に戻ったけど、何だったんだろう
次は明後日、土曜日に約束をしている
次も変な感じだったら、どうしたのか聞いてみようかな
もし、奥さんとレスじゃなくなったのなら、ちゃんと家庭に返さなきゃいけないし
今度会ったときは彼を注意深く観察しよう
そんなことを考えながら、晩ご飯の豚の生姜焼きと豚汁を作った
仕事を終えて帰るとき、事務所によって車を夜まで置いておくと伝言する
社員さんに
「どこか行くの?」
と聞かれたから、友達と待ち合わせてるので、とだけ答えた
恵子ちゃんは休みみたいだから、さっさとロッカーに向かう
簡単に化粧直しをして駅に向かった
今日は寒いのマシだな
仕事には大抵スーツで来ている
夏場はブラウスやTシャツとスカート、パンツ
受け付け以外特に指定の制服はない
セーターとスキニーパンツの時もあるけど、大体スーツ
その方が楽だから
今日はマーメイドスカートの濃いグレーのスーツにアイボリーのコート
足元はローヒールのパンプス
如何にも仕事中ぽい
でも龍成もスーツだと言っていたし、まあいいや
電車を降りて駅前のスタバに入ると結構混雑している
カフェオレと少し食べる物を注文して小さめのテーブルに腰をおろした
待ちながらメールを見たりスレの更新をしたりしていると、ふと気配がして顔をあげた
「お待たせ」
お疲れ様
目の前に龍成が立っていた
何か食べる?
「うん、じゃあ軽く」
向かいに座って、仕事の事を話しながら食事をする彼を観察するけど、いつもと同じに見える
「どこか、行きたいお店とかある?」
別に、決まってない、ブラブラして、良さ気なところ見たい
「了解、じゃあ行こうか」
手を繋いできた
2人ともスーツだから変じゃないかな、と思う
でも嫌じゃないから、そのまま手を繋ぐと龍成は
「未来さんの手、あったかいね」
と振り返ってニカッと笑った
いつもの、龍成だ
この前、変だと思ったけど、気のせいだったのかな
そう思いながらショッピングビルやお店が集合している場所を覗きながらフラフラと歩く
昔、たまに彼とも来たな
何となく懐かしい
まるでデートみたいだと思いながらピアスを見ていると
あ
かわいい
ピンクゴールドのハートに小さい石がはめ込まれたピアスに目が止まった
少し揺れるタイプのデザインが好きで、やっぱりそれもハートがプラプラしていて、かわいい
「それ、好きそうだね」
龍成が気付いて覗き込んで来た
ちょっと、可愛いすぎるかな
「どうして、いつも着ている服に雰囲気合うと思うけど」
若作り、じゃない?いつも
普段はそんな事は気にしないで、好きなものを来ているけど、たまに思うことがある
いつまで、フレアスカートやワンピースを着ていても許されるだろう
本人は大丈夫と思っていても、他人が見たら痛々しいとか良くあることだし
「どうして?いつも可愛いよ」
ありがとう
龍成には聞くだけ無駄だと思って、話をピアスに戻す
これ、がいいけど、本当にいいの?
「いいよ、ってか、もうちょっと高いやつでも大丈夫だよ」
ううん、これがいい
タバコ2カートンより少しお高めのピアスを買ってもらった
包装せずに、そのまま店先で付けさせてもらう
龍成に貰ったピアスだから、龍成に一番先に見せたかった
ピアスを買ってもらったら、その場で付けて見てもらう
朝、支度をしている時から決めていたから、髪型はサイドアップでピアスは付けずに来た
次に会うとき、と普通なら思うだろうけど、この関係に次、があるのかわからない
そんなことを考えたのは、この前の龍成が少し変だと思ったから、でも
「あ、やっぱり似合うよ、可愛い」
そう言って笑う彼はいつもの龍成だ
嬉しい、ありがとう
「どういたしまして、でも決まるの早かったね、これからどうする?」
龍成、晩ご飯、は
「いらないって、言ってきた」
じゃあ、もう少し買い物して、ご飯食べて、今日は帰ろう
「え、しないの」
街中だからセックスとは言わないけど、意味はわかった
うん、水曜日、したし、駄目かな
「それって、する以外で俺と会ってるって事だよね」
やっぱり、したい?
「違う、嬉しい」
しないのが?どうして?
龍成は人気の無い方へ私を引っ張った
「だって未来さん始め俺に、身体の事だけ知ってたらいいって言ってたでしょ」
「彼女じゃなくてセフレだって」
「でも今は俺とセックス以外の事、してもいいと思ってるって事でしょ」
うん、水族館も楽しかったし
「これからも色んな事して色々な所行こうね」
龍成が、無理じゃない範囲、でならね
龍成は辺りを見回して“チュッ”と一瞬のキスをくれた
いい歳をしたオバサンが何をしているのかと、顔が熱くなるのがわかった
家に帰ってお風呂に入りながら、さっきまでの事を思い出す
晩ご飯はお肉がいいと龍成が言うから鉄板焼きのお店に入った
本当は少し裏道の方に入った所に美味しい焼き肉屋さんがあるけど、臭いが凄いからスーツが大変な事になると思って諦めた
ステーキやシーフードを注文して焼きながら、ノンアルコールビールを飲む
「ビール飲みたいね」
うん、でも最近のノンアルコールは、飲めるよね
2人ともお肉は焼き過ぎない派
少しづつ焼いて食べる
「美味しいね」
うん、美味しい
「未来さん本当に野菜食べないね」
出されたら、食べるよ
そう言いながらチキンステーキを食べる
龍成はサラダも頼んでいる
サラダ、美味しい?
「うん、食べてみる?」
箸でサラダを摘んで差し出してきた
いらない
普通に断ったけど、心の中ではビックリしていた
だってそれって、あーん、って食べろってことでしょ
無理、無理無理!
さっきの“路チュー”といい恥ずかしすぎる
思い出しただけでも顔が赤くなりそうだった
後半年で40歳になるオバチャンが、そりゃあキモいって言われるよ
龍成は若く見えるし、いいかもしれないけど
そんなことを考えていたら、手が疎かになっていた
「未来さん、食べないの」
あ、食べるよ
「ね、次はいつにする」
いつ?
「来週会うの」
来週は、夜ならいつでも
「じゃあ水曜日か木曜日、またメールするね」
うん
「それ以外でもメールするけどね」
うん、そうだね
結局、この日の龍成はいつもと変わらなかった
翌週の月曜日、出勤して事務所に行くと経理の人に呼び止められた
「今月中に有給の残り、使わないと消えちゃうわよ」
え、今月中ですか
「年度末だからね」
じゃあ休みの日に充ててください、残りは諦めます
うちの会社は福利厚生がしっかりしてるから、アルバイトでも有給がある
毎月、ポツポツ取ればいいんだけど、面倒くさいのと忘れるので、毎年3月にまとめて取る羽目になる
まあ普段は用事もないし、次のお給料が増えるからいいんだけど
サクサクと接客をこなし休憩時間、ロッカールームに行くと恵子ちゃんがいた
「お疲れ」
お疲れ、休憩何時まで?
「後30分」
お弁当を広げて、恵子ちゃんと話をしていたら、ふと思い付いた
そうだ、ちょっと聞きたいんだけど
昨日思った若作りについて聞いてみる
「似合ってたらいいんじゃない、未来ミニスカとか履くわけじゃないし、大丈夫だよ」
そうかなぁ、でも実際、無理って言われたら何着ていいのかわからないんだけどね
「誰かに何か言われたの?」
ううん、でも世間では40歳のババアが恋愛するな、とか色気づいてキモいとか言われてるから
「若い子は言うだろうね、自分が歳取って40歳になった時、もっとキモくなってるかもなのにね」
だよね、日々努力が必要だよね
「未来は子供も産んでないし、ライン崩れてないからいいよ、私なんてお腹やばいよ」
恵子ちゃんこそ、二十歳の息子がいるなんて、とても見えないよ
「オバサン同士で褒めあってりゃ、世話ないね」
2人で笑う、とても楽しい日常
※前のレスは今日の事なので、若作りの事を考えてたのは一昨日でした
日曜日丸々仕事していたので感覚的に昨日と思ってました、すみません※
龍成からは相変わらずメールが届く
私がたまにしか返さないのもいつもの事
それでもめげない彼が面白いと思う
「木曜日、早く終われそう」
今日、仕事が終わると届いていたメール
木曜日、私は休みだ
私は何時からでもいいよ
「仕事先から直帰出来そうだから、また連絡するね」
そう言うけど、昨日だって日曜日なのに何度もメールをくれていた
私は朝と昼休憩と寝る前に返したけど、その間にも
「〜の再放送見た」
「暇」
「明日仕事行ったら、予定確認して連絡するね」
とか
昨日はどこも出かけずにゴロゴロしてたらしい
私は今週は火曜日と木曜日が休み
つまり明日休み
明日は朝からスーパーに食料を買いに行く予定
ハンバーグが食べたいから作ろうと思っている
いつも恵子ちゃんに
「休みの時、何してるの」
って聞かれるけど、対して何もしていない
もちろん友達と遊んだり、たまにはそれが恵子ちゃんだったりするけど、毎週ではない
休みも合わないし
来週の休みは梨花が都合が付けば遊ぼうと言っているけど、まだわからない
明日は天気が良かったら、ベッドシーツや大物の洗濯もしたいな
後の時間はのんびり過ごそう
昼寝も大好きで本当によく寝ると思う
友達に「あんたシワやほうれい線がないのは寝てる時間が長いからじゃない」
と言われる程
でも当たってるかも
15歳の春、高校生になった
無事に合格できた高校は偏差値でいうと中の下、下の上くらい
でも家から近くて制服が可愛い
現在の制服程ではないけれど、田舎の公立高校ではかなりマシなレベルだった
地元なので同じ中学校出身も多くて、私は例の肋骨を折った子と同じクラスになった
10組もあるのに、ついていないけど気にすることもない
真由美はヤンキーをやめてギャルになった
私はあまり変わらない
半分以上の生徒がヤンキー&元ヤンだけど、学年や上級生との揉め事もない
制服の改造も1年生から自由だった
やっぱり高校は違うなあと感心する
肋骨の子は話すと普通にいい子だった
一応、あの時はごめんな、と謝った
「ケンカだから、別に謝らなくていいよ、こっちこそ親が警察なんか出してきてごめん」
そんな感じで和解した
私は少しだけスカートを短くして、ブレザーのウエストを絞った
ブレザーは自分では出来なくて、洋裁をしていたお向かいのオバチャンにお願いしたから、かなり可愛い
オバチャンにも20代の娘さんがいて、懐かしいと言った
お礼にへそくりから5000円つつんだけど受け取ってもらえなかったから、ケーキを持って行って、ありがとう、と言うと
「未来ちゃん、大きくなったね」
と言われた
ちょっと照れくさくて
母さんには内緒にしてね、とお願いをした
どうせあの人は私の制服になんて興味はないから
真由美は制服の改造を春休みにしていた
見かけによらず手先が器用な真由美はブレザーの丈も自分で短くして、スカートなんか超短い
それ、パンツ見えるんじゃないの
「別にいいよ、こっちのが可愛いじゃん」
まあいいなら、いいけどね
確かに小柄な真由美には似合っている
「未来のブレザーもいいじゃん、どうやったのそれ」
向かいのオバチャンが、ミシン出来るからお願いした
「そっか、あんたには無理だよな」
うるさいな、真由美が器用なんだから一緒にしないでよね
「でも、裏から見たら凄いよ」
そう言って裏を見せてくれたけど、やっぱり上手だと思うし、裏なんて見えないから全然気にならない
制服にはリボンタイも付いていて、ヤンキーはそれを付けずに胸元を開けて着るのが定番らしい
真由美は細くして緩く結んでいる
私はコンプレックスの胸を隠せるから、規定通りにふわっとリボン結び
学校的には付けていれば、問題ないようだった
学校でも仲の良い子が出来て、遊ぶようになった頃、アルバイトを始めた
月並みだけどファミレスのウェイトレス
週2回くらい働いていた
お小遣いは充分もらっていたけど、暇だし今のうちにお金をなるべく貯めておきたかった
この頃、中二になった弟はにょきにょきと背が伸びて、同時に筋肉質に変化していた
もう女の子みたいで守らなければいけない存在ではない
家では仲良しだけど、休みの日を一緒に過ごすことはなくなった
家にきた弟の友達に、妹?と言われるようになったのもこの時くらいから
学校の勉強は問題なかった
レベルがレベルだからか、進むのも遅いし基礎的な事しか習わない
先生も柄が悪いけど、面白い先生が多いから学校は楽しかった
生徒に向かって
「お前らみたいな馬鹿教えるのがどれだけ大変だと思ってる、ちょっとは頑張ってくれよ」
なんて平気で馬鹿呼ばわりするけど、こっちも慣れてるから気にも留めない
「お前が頑張れよ」
と言い返すくらいだ
定期テストの赤点は30点
記号問題が30点くらいあるから、本来は補習になるなんてありえないけど、各教科クラスで2.3人は赤点を取る
先生が嘆くのもわかる気がした
私は受験勉強のおかげで授業を聞くくらいは出来るようになっていたから、60点前後は取れた
期末テストも終わって夏休みが近づいてきたとき、ふと、となりに来た弟が大きい事に気づいた
え、あんた大きくなってる?キモ
「キモくないだろ!姉ちゃんだって2年の時、めっちゃ背伸びたじゃん」
ちょっと、来て
鏡の前に並ばせたら3センチくらい私より大きいし腕なんてガチガチに太い
うわ、男みたい
「だから男だって!成長期舐めんな」
そうか、だからこの前、妹って言われたのか
唐突に納得した
「そう、あいつ、ビックリしてた、姉ちゃん高校生に見えないって」
失礼な、背の順だって真ん中より後ろなんだよ
「雰囲気じゃね?」
ますます失礼だね
でも男らしくなっていく圭一を見て、何故か安心した
夏休みはファミレスと掛け持ちで市営プールの監視員をした
実はカナヅチだけど、女子は幼児プールと券売担当だから問題ない
超人気バイトだから、母のコネを使って働くことにした
利用できるものは利用するし、他の子も似たような物だと思う
夏休みだけで高校生にしては結構なお給料をもらって、これもヘソクリにする
何かに使う予定はないけど、お金はあるに越したことはないと、この頃から思っていた
曽祖父のお金はあまり頭になく、貯めるのが楽しい、という感じ
なにかにつけて母から搾取していた分も含めて50万円以上は持っていた
それとお年玉貯金、こちらは両親にもバレているから別に考えている
それに夏休みのバイト代を足すと、100万円の大台も見えてきて密かにニヤケた
高校を出たら家を出たい
当時はそんなことも考えていた
実際には出来ないだろう、その想像は何だか少しワクワクした
「そんなに稼いでどうすんの」
真由美やほかの友達が言うから
原チャリ、買う
適当に返事をする
私は秋生まれだから、夏休みにはまだ免許がなかった
真由美は早々に免許を取ったけど、肝心の原チャリがないので
「あんた、そういうところ、考えてるよね」
と感心した
学校では原チャリ免許もバイトも一応禁止だったけど、守ってる子なんていない
二学期始めの行事、体育祭の準備でクラスの団結が強くなった頃、私に変化が起きた
初潮、生理、がきた
「良かったじゃん!病院行かなくて済んだな」
こっそり真由美に伝えたら、凄く喜んでくれた
中学生の時、保険の先生に相談したら
「16歳になっても来なかったら、診察してもらいなさい」
と言われていたけど産婦人科なんてとんでもないし、この時にはもう
無いなら無いで構わない、と思っていた
それにしても半端なく痛い
体育祭の準備でパネル係だったから、学校は休みたくない
私は運動が得意じゃないし、真由美みたいに手先も器用じゃないから、応援団のコスチュームも作れない
でもレタリングやポスターは得意で、実は小学校の時からよく賞を貰っていた
それと、もう一つ、真由美のクラスのある男の子が、気になっていた
その子、将生(まさき)はチャラいタイプのヤンキーだった
同じ中学校出身の子に聞いたら、中学生の時からモテていて、常に彼女がいるらしい
今の彼女は高校に入って二人目、同学年の派手な女だった
「未来、将生の事気になるの?」
真由美のクラスに遊びに行ってた時、言われた
誰?
「あいつ、将生だよ」
初めて名前を知った
別に、どうして?
「なんか、ずっと見てたよ」
それが始まりだったけど、その時は好きとか思わなかった
どういうものかも、わからなかったし
でも真由美に指摘されてから、そう言えば見てるかな、と気になるようになってきた
もう、真由美が変な事言うから
だから気になるんだと思っていた
体育祭がきっかけか、いつの間にか真由美のグループと将生が話すようになっていて、私もたまにその中に交ざっていた
将生の彼女もいたりして表面上は仲良く喋ってるみたいに見えるけど、彼女は将生にベッタリして、私のもの、オーラを放っている
自分たちの教室に戻る途中、同じクラスの環が
「私、あの女嫌い」
と言った
あの女?
「将生?君の彼女」
ああ、私も嫌い、根性悪そう
「だよね、ケバいだけで美人でもないし」
イチャつき過ぎだよね
そんな悪口で盛り上がった
私が自分の気持ちに気付いたのは中間テストが終わって文化祭の前、みんなで夜、遊びに行った時
真由美のグループと私のクラスの子たち、いろいろで15人以上はいたと思う
男子は半分弱、将生もいる、彼女も
当時のカラオケはレーザーディスク?で1曲100円、みたいな感じだったと思う
広い部屋に、それでもギュウギュウに入ってはしゃいだ
中には喫煙してる子もいたけど、お構いなし
私は真由美のクラスで環と同じ中学校出身の子達と仲良くなって、珍しくテンションが上がっていた
10時を過ぎた頃
私、そろそろ帰るね
「えー、もうちょっとしたらみんな帰るよ、もうちょっといいじゃん」
引き止めてくれるのは嬉しいけど、もうちょっと、なんて宛にならないし、帰らないと心配する
圭一が
「未来は寝るの早いんだよね」
真由美が助け舟を出してくれて、帰れそうな雰囲気になった時
「また遊ぼうな、未来」
そう言って笑った将生を見て
あ、この人の事、好きかも
とうとう自覚した
一旦自覚したら、もう大好きだった
今まで、友達や家族を好きなのとどう違うんだろう、なんて思っていたのが嘘みたいだと思う
どうしよう、私、将生の事、好きだ
真由美たちを見てると好きになったら告白して付き合ったり、しているけど、彼女いるし
本当に自分がこんな事で悩むなんて想像もしていなかったから、どうしていいかわからない
ここは素直に真由美に相談しよう
そう言えば真由美は違う高校の男の子といい感じだと言っていた
それも聞きたい
是非、将生と付き合いたいと思った私は、真由美をお手本にしようと思った
私、将生と付き合いたい
「え!マジで!?とうとう未来も目覚めた?」
自分でもビックリだけど、大好き
「でもあんた、初恋があれって趣味悪くない!?」
どうして、笑ったら可愛いじゃん
「ていうか、顔だけだろ」
真由美、仲良しじゃん
「友達にはいいよ、面白いし、友達多いしでも、タラシだよ!」
タラシ?
「女たらし!いっつも女いるじゃん」
モテるんでしょ、真由美だってモテるから、すぐ彼氏できるじゃん
「私はいいの、ちゃんと付き合ってるんだから」
そう言えば、この前言ってた子とはどうなったの
「あんたから、男のこと聞かれる日が来るとはね」
違う学校の子とかどうやって知り合うの?どうやったら告白とかされるの?
そう、真由美はいつも狙った相手に告白される
美人だからかもしれないけど、何か技があるのかもしれない
あるなら絶対に教えてもらわなければならない
真由美とその相手の出会いは、真由美のクラスの友達が出身中学校の男子に
お互い高校の友達連れて遊ぼう
と誘われて4×4で遊んだのが切っ掛けだった
今で言う合コンみたいな感じらしい
「この前、電話で付き合ってって言われた」
え、付き合うの
「まだ返事してないけど、そのつもりだよ」
どうやったら、告白されるの
「そんなのわからないけど、自分が好きになったらそれが相手にわかるようには、するかな」
何それ
「好きです、アピール的な」
そしたら告白される?
「今の所はね、でもあいつは賛成出来ない、どこがいいの」
わからない、気が付いた時には大好きだった
「あいつ今、女いるから付き合いたいなら、別れるの待つか、別れさせるかだよ」
別れさせる、は無理じゃない?
「あんたを好きになってもらえばいいじゃん」
だから、それがわからないんだってば
取り敢えず、真由美の言う“好きアピール”をしながら別れるのを待つことにした
真由美は私に好きな子が出来た事を中学校のみんなに報告したいと言って、近々みんなで会う約束をした
面白がってるな、と思うけど、みんなには会いたいから会う事自体に文句はない
それにしても、好きアピールってどうするんだろう
話しかけたり、でいいのかな
どうしても将生と付き合いたかった私は、どうしてわからなかったけど、頑張ることに決めた
真由美にも協力してもらいたい
みんなの前でお願いしてみよう
土曜日の午後、私の家に中学時代の友達が集まった
みんなと会うのは夏休みぶり、家に来てもらうのは卒業して以来だった
変わり果てた弟を見てみんなは
「天使はもういないんだね」
と落胆していた
「でもやっぱりハーフみたいだよね」
梨花はそれでもオッケーらしい
ムキムキ、だけどね
そんな話から、とうとう私の好きな子の話になった
「で真由美的にはオススメじゃないんだ」
「チャラいんだよね、常に女いるし」
モテるんだよ、別にいいじゃん
「どこがいいの」
笑うと可愛いし、みんなに優しい
「チャラそうだね」
「チャラいんだよ、だから」
違う、よく見てると、話に入れない子に話振ったり、さり気なく高いところとかの物、取ったりしてる
体育祭の準備の時、見ていて気付いた
その時はまだ自分の気持ちには気付いてなかったけど、真由美に言われるくらいには、見てた
「まあそれは好みだから、いいとしてさ」
「そんな奴なら、付き合ったらすぐにやりたがるんじゃないの?」
やりたがる?
「エッチだよ、セックス」
「あんた、その子が初体験でもいいの?」
将生と、私がするの?
そんなこと考えたこともなかった、ただ好きだと気づいて将生の“特別”になりたくなった
だから付き合いたいと思っていたけど、そうか
付き合う=セックス、という事もあるのかと初めてそこまで考えた
集まったメンツで未経験は私と梨花、真由美とちぃちゃんとさくらは経験済
私が、将生と、する!?
少ない知識を振り絞って想像してみる
付き合って、デートして、キスして、その先
やっぱりよくわからないけど、それが付き合うという事なら全然構わないと思った
別に、嫌じゃない、と思う
「未来、ホントに好きな子出来たんだね」
梨花が感心したように言った
うん、自分でも良く分からないけど、大好き、友達じゃなくて特別になりたい
「特別?」
「あー、私が前に未来に、なんでみんな付き合うんだって聞かれたから特別になれるからって教えた」
「なるほどね」
そう、付き合いたいの、だから真由美にも協力して欲しい
「確かに真由美、協力してやらないと、未来一人じゃどうしていいか、わからないんじゃない」
「でもあいつだろ」
「真由美、過保護だよ」
ちいちゃんがそう言うとみんな口々に
「そうだよ」「ホントだ」「心配しすぎ」
とか言って笑った
「真由美のタイプじゃなくても未来が好きなんだったら、協力してあげなよ」
梨花が口添えしてくれたおかげで真由美も渋々頷いた
「協力って、どうして欲しいの」
え、とね、遊ぶとき、誘って欲しいし、好きなものとか誕生日とか色々わかったら教えて欲しい
それと、彼女と別れたらすぐに教えて!
「未来、案外積極的だね」
さくらが言った
だって、絶対に付き合いたいもん
それまで、物欲や執着がほとんど無かった私が多分初めて本気で欲しがったもの
初めて好きになった男の子、将生
それからは自分で言うのも何だけど、物凄く頑張った
バイトじゃない日は遊びに参加したり、環に付き合ってもらって、真由美のクラスに行って少しでも話が出来そうな時は話しかけたり
みんなで話している時は「将生はどう?」「将生はどっち?」とかウザくならない程度に話を振ったりもした
これは真由美に教えてもらった“興味あるアピール”
効果の程はわからないけど、文化祭の準備に入るくらいにはかなり仲良くなれたと思う
今もそうなのだけど、私は彼にヤキモチを焼く、ということがない
だからこの時も彼女に対してヤキモチなんて全くなかった
ただ羨ましいな、いいなとは思うし、こんな子が将生のタイプなのかな、等と考えたりはする
彼女の方は私が将生を好きだと気づいていたと思うけど、相手にされていなかった
私なんかに取られるわけがない、と思っている感じだった
周りのカップルを見てみると、大体半年以内に別れている
もちろん中学校からずっと付き合ってる子もいたけど、真由美も含めて3ヶ月から半年で破局が殆どだ
私はその破局を待っている
自分に略奪出来るような魅力がないのは自覚しているから、順番待ちをしている
大人から見たらそれもどうかと思うけど、当時の私にはそれしか思いつかなかったし、別れるのを待つことが酷いとも思っていなかった
ある日、環やいつもお弁当を一緒に食べている子らが学食に行くというので、私もお弁当を持って学食に行った
そこで、ちょっとした事があった
私と他のお弁当持ちの子は先に席を取りに行って、学食組の子を待っていた
揃って食べようとしたところに、将生たちが来て隣に座った
将生に話しかけるチャンスだと思って
将生、何買ったの?
彼のトレーを除きながら聞いてみる
「親子丼、ってお前の弁当めっちゃ美味そう」
そう、じゃなくて美味しいよ
「まさか自分で作ってるの」
うん、うち母親仕事行くの早いからね
この頃、お弁当を作るのに凝っていて、夜に仕込みをして作ったりしていた
材料費は母に貰ってバイトのない日に近所のスーパーで買い物する、その日のメインは豚肉の野菜巻き、卵焼きとウインナーは鉄板で入っている
1つ、食べる?
そう言ってお弁当のフタに豚肉の野菜巻きを1つ、コロンと入れて将生の方に差し出した
言ってから、あ、他人が作ったものなんか気持ち悪いかな
と思ったけど、将生はサッと自分の箸で取ると口に入れた
「え!マジ美味い、すごいじゃん未来」
褒められて単純に嬉しい、チラッと環たちの方を見るとみんな目線で応援してくれている
もっと、食べる?
「食いたいけどお前の分、あ、そうだ」
そう言って自分のトレーと私のお弁当を入れ替えた
「交換」
え、いいの
この頃からよく食べたから、お弁当は女子サイズじゃない、でも将生には足りないんじゃないかな
そう思ったけど、将生はもうお弁当を食べ始めたから私も親子丼を食べることにした
教室に戻るとみんな「仲いいじゃん」「絶対にイケるよ」と応援してくれた
私は嘘や隠し事が得意じゃないから、クラスの仲良しグループには好きな子ができた事を告白している
将生の事が好きだから頑張りたいけど、他に将生のこと好きな子がいるんだったら正直に言ってほしい
友達同士で遠慮したり、私のせいで将生に告白出来ないとかは嫌だったからハッキリ宣言した
その上で言わないのなら、それはそれで仕方ない
環には別の学校に彼がいるし、他の2人は好きな子を教えてくれた
残りの2人はいないらしい
女の友情はどこまで信用できるか微妙だけど、みんな私を応援してくれる
人を疑うのも苦手だから、信用することにした
でも、将生、彼女いるからね
「あのケバいのね、どうせすぐに別れるよ」
そうかな、でも別れたら速攻告白する
「未来、今までボーっとした感じだったのに、何か変わったね」
「他のところは相変わらずだよ」
環、ひどい
そして文化祭の準備、またクラスの看板を書く係りになった
うちのクラスは焼きそばの屋台をする
5.6人で2m程あるパネルを相談しながらデザインした
放課後、アルバイトや習いものがある時以外はみんな残って作業をする
ヤンキー学校だけど、こういう時の団結力は多分すごい
体育祭の時もそうだったけど、みんな根は明るくてイベント好きのいい奴だからかもしれない
大人から見たらただの馬鹿の集まりだけど
この学校に来て本当に良かった
将生にも、会えたし
各クラス、廊下で看板のパネルを制作している
うちのクラスは、焼きそばとバックは完成して後は「焼きそば」と「1-6」の文字を入れるだけ
でも場所と色がなかなか決まらない
その日パネル係で残っていたのは私を入れて4人
色々相談してやっと下書きに入ったとき、将生が通りかかった
「おお、なんか派手でいいじゃん」
でしょ、目立たないと儲からないし
「儲ける気?」
そりゃ、やるからにはね
文化祭の経費は学校から出るけど、足りない時は1人500円とか建て替える
そして売り上げの中から返してもらった残りが利益になる
だから展示やステージなど売上のないクラスは予算内でしなければならない
ただ、利益が出たぶんは確か寄付か何かにされてしまうんだけど、それは仕方ない
「そうだ、今日帰り駅まで乗せてってよ、チャリだろ?」
え、でも彼女は?
私はいつも真由美と帰ってるけど、今日は真由美がアルバイトで先に帰っている
「もう帰った、あいつこんなの好きじゃないから」
ならいいけど、もうちょっとするよ?
「じゃあもうちょいしたらカバン持ってくるわ」
わかった、後でね
そう言ったけど、本当はビックリした
2人きりになるのは初めてだ
「未来ちゃん、あの子と仲いいんだね」
一緒にパネルを書いてる子に言われた
仲いい、かな
ちょっと嬉しい、本当は彼女になりたいんだけど、今はそれで充分
少しして将生が来たから、みんなで片付けて帰る支度をした
駅までは自転車で10分もかからない
いつもは違う道から帰るけど、駅を回っても距離は変わらないから、遠回りにもならない
将生を荷台に乗せて駅に向かう
「重い?」
別に、大丈夫
小さい頃から道場に通っているせいか、見た目の割には筋肉質で力がある
「未来家どの辺?」
駅から5分くらい下がったところ、近いよ、将生は何駅?
そんな話をしながら駅まではすぐに着いてしまった
「お、さんきゅ」
別に遠回りでもないし、いいよ
「お前、急ぐ?」
え?別に今日はバイトもないし、どうして
「ちょっと腹へった、そこ寄ろう」
将生は駅前のファストフード店を指さした
心の中で「やったー!!」と思いながら、私も喉渇いてるから、いいよ
と返した
カウンターで注文して2階の席に着いた
「未来って案外背高いよな」
何いきなり、157くらいあるよ
「さっきカウンターで並んだとき思った、もっとチビだと思ってたけど、横に来たら案外大きかった」
よく言われるんだよね、それ、でも中二まではチビだったよ
中二で急に背が伸びた事や、小学校の時はたまに男の子に間違われた事を話した
「今は男になんて見えないよ」
そりゃあ流石にね、なんか中性的?だったらしいよ
「今は高校生に見えないな」
そんなことない、制服も似合うって言われるもん
「確かに制服は似合ってる、可愛いけど、中学生ぽい」
可愛い
可愛いと言われて嬉しくて、中学生ぽいが付いていた事は気にしないことにした
家に帰って、さっきまで将生と2人でいた事を思い出す
嫌いな子とは寄り道したりしないよね
どうしよう、嬉しい
彼女の事は気にならなかった、別に寄り道しただけだし
高校生なんてそんなものかもしれない
とりあえず、真由美には報告したかったから、ポケベルを鳴らしておいた
バイトが終わって家に帰ったら電話してくれると思う
夜遅くになるかもしれないから、部屋の子機を枕元に置いておく
真由美に、やっぱりチャラい奴、とか言われるよね
でもどうしても2人で帰った事を報告したかった
先にお風呂に入って、部屋にはテレビがないからマンガを読みながら電話を待っていると、11時すぎに子機が鳴った
もしもし
「もしもし、遅くなってごめん」
全然、こっちこそバイトなのにごめんね、時間大丈夫?
そうして簡単に今日の事を話した
「やっぱりチャラいね、タラシだって!女いるのに」
言うと思った、でも友達ならいいんじゃないの
「私は彼氏が女子と2人でとか嫌」
そんなもの?
なら断った方が良かったのだろうか、でも好きな相手に誘われて断るなんて嫌だ
「まあ、未来から誘ったんじゃないもんな、そりゃあ行きたいのはわかるよ、でも」
でも?
「もしあんたが彼女になった時、おんなじ事する奴でもいいの?」
あー、なるほどそこまで考えてないや、真由美凄いね
「普通だよ」
でも、好きだし
「そっか、で楽しかったんだ今日」
うん、すごく
可愛いと言われたことを話したら、真由美はまた「ホントにチャラくて嫌だ」と言った
文化祭の焼きそばは大人気だった
調理担当女子のおかげか味見した焼きそばはかなり美味しかったし、売上も予想以上
立て替えた500円を引いてもかなりの利益が出て、みんなで喜んだ
その後に期末テストもあったけど、ほとんど記憶にない
学校には友達と遊びに行っているようなものだし、学校行事はテストより遠足や体育祭、文化祭の方がメインだから仕方ない
冬休み、みんなで初詣に行こうという事になったけど、真由美は彼氏と行くから行かないと言う
環も彼とだし、どうしようかな
他の子とも面識はあるし仲が悪いわけじゃないけど、この寒い中出かけるほどではないと思った、でも
「多分将生は行くよ」
真由美が教えてくれたから、行くことにした
真由美のクラスの子でカラオケで仲良くなった優子ちゃんが電話で集合場所を教えてくれた
二年参りは女子が行けない子が多くて、元旦の昼から、近辺では有名な大社の最寄駅
電話で、将生も来る?とは聞けなかった
聞きたい気持ちはあったけど、それ目当てだとバレるし、当日までのお楽しみと思うことにした
当日電車に乗って指定の場所に5分ほど前に着くと、すでに数人集まっていたけど将生の姿は見えない
少しガッカリして、でも折角だから楽しもうとみんなに声をかける
あけまして、おめでとう
「おめでとう今年もよろしくね」
あとまだ誰か来る?
「まだ半分くらいだよ、男子ほとんど来てないし」
そうなんだ
結構たくさん来るんだな、じゃあ将生も来るかな
期待して待った
将生が来てみんなが揃ったのは約束時間の15分後だった
みんな揃って初詣、というか出店巡りに出発する
凄い人ではぐれそうだったから、優子ちゃんと手を繋いでいた
「凄い人だね、はぐれたら出口で待ち合わせにした方がいいかな」
そうだね、どこか集合場所決めといた方がいいかも
一旦みんなで集まって、もしはぐれたらさい銭箱を過ぎた所のトイレで待ち合わせにした
数人の女子と一緒に出店を見てまわる
私はお昼ご飯をしっかり食べてきたから、リンゴ飴を買ってかじりながら歩いた
男子が射的のところに固まっているのを発見して人ごみをかき分けて合流すると将生もいた
「お、あけましておめでとう」
おめでとう今年もよろしく
将生が私に話しかけてくれた
そう言えば彼女は来ていない、明日にでも2人で行くのかなと思って聞いてみた
将生、今日は彼女いないね
「別れた」
え、ウソ
「マジ、喧嘩して面倒くさくなった」
喧嘩したんだ、どうして?
「いいじゃん、なんでも」
本当に別れたの?
「うん」
そうなんだ
突然の事でそれしか言えなかったけど、頭の中では物凄い勢いで脳内会議が始まっていた
どうしよう、なら早く告白しないとすぐに新しい彼女出来ちゃうよね
でも今はみんないるし無理
なんとか帰りまでにに2人になれないかな
告白って、なんて言えばいいんだろう
好きです、付き合ってくださいでいいのかな、普通すぎるかな
一応みんなでワイワイしながら頭の中はその事でいっぱいだった
ひと通り楽しんでついでに初詣も済ませる
これからどうするかと相談してカラオケに決まったけど、多分いっぱいだろう
「2時間以上待つなら諦めよう」
そう決めて一番近いカラオケ屋に向かった
すると意外にも空いていて、30分くらいで入れると言われたので待つことにする
みんなでお年玉の話やテレビの特番の話をした
お年玉と言えば、うちは親戚が少ない
父が養子というのが関係あるのかわからないけど父方は付き合いがないし、母は3人兄弟だけど1人若い頃に亡くなっている
祖父と曽祖父がいた頃は二人もくれていたけど、それも中二まで
だからもらえるのは叔父さん一人だけ
それが可哀想と思っていたのかは知らないけど、親から5万円貰った
中学の時は3万円だったから、今朝ポチ袋を開けてびっくりした
もちろん貯金しようと思っている
カラオケは混雑しているから、2時間固定だと言われた
2時間なんてすぐだけど、仕方ない
あっという間に時間が来て、帰る子と引き続き遊ぶ子に別れた
私は帰る組
帰って圭一とゲームの続きをしなければいけない
また新学期ね、と約束して解散したけど、将生がついて来る
わたし達、電車で帰るのは女子5人くらいと男子2人だったと思う
将生は確か自転車だったと思うんだけどな、駐輪場に停めたのかな
そう思いながら歩いていると、男子が私の代わりに聞いてくれた
「将生、お前チャリどこ置いてんの?」
「駅、駅前で買い物して帰る」
なんとか、私も駅前に残れないかな
歩きながらひたすら考えた
駅に付いた時
「未来、買い物付き合えよ」
いきなり将生に言われてびっくりした
え、いいけど、じゃあ本屋も寄ってくれる?
「おう」
駅に入っていく友達を2人で見送った
将生、何買うの
「何買おうかな」
え?買うものあるんでしょ
「ああ、あれ嘘」
ウソ?
「なあ俺、女と別れたんだ」
うん
ドキッとした
「お前、俺に言う事ないの」
私?
どうしよう、多分将生は私が自分を好きな事に気付いてたんだ
「未来?」
将生、好き
顔を見て言った
「俺も好き」
本当に?
「うん、俺と付き合ってよ」
うん
頷くとそっと手をつながれた
「じゃあ、今日から俺ら彼氏彼女な」
将生、ずっと好きだったの、知ってたの?
「うん、結構分かりやすかった」
急に恥ずかしくなって下を向いた
「ポケベルの番号教えて」
そう言われてポケベルと家の電話番号が書いてある自作の名刺を渡す
「なにこれ凄いな」
真由美と一緒に作った、真由美んちのパソコンで
将生は駅員さんにペンを借りてレシートの裏に自分の番号を書いて渡してくれた
「なあ、お前処女?」
え
一瞬何を聞かれたのかわからなかった
うん、付き合うのも初めて
どうしてそんなことを聞くのかと思ったけど、正直に答える
「やっぱり」
なんだろう、処女だから付き合うのかな
その時は少し不安になったけど、この先、将生は2年生になるまでキスしかしなかった
※学生編は一旦終了します
最後までいくと長くなって、彼との事が書けないからです
また彼とのことで書くことがない時に2年生になって初体験とお別れを書くと思います
自身の都合で読みにくいかも知れませんが、御容赦下さい
木曜日、龍成と会う約束があったからその前に美容室に行こうと午前中に予約を入れた
離婚後、外に一人で出れるようになってからはずっと梨花の務めているところに通っている
朝一が良かったけど、予約が取れたのは12時
珍しく二度寝してから店に向かう
梨花と会うのも久しぶりかも
10分ほど前に着いたけどすぐに席に案内された
「未来久しぶり、バス旅行以来だね」
そうだよね、元気?
「真ん中が受験で大変だったよ」
あ、そうか、どうだった?
「一応、志望校合格した、大したところじゃないけどね」
おめでとう!梨花が離婚したときはまだ小さかったのにね、早いなぁ
「大変だよ2人高校だもん」
元旦那から養育費とかないんだよね
「そりゃあ、自分一人の生活費も稼げなくて、金借りに来るくらいだからね」
そうだね
梨花の元旦那は離婚してからも何回か梨花のところにお金を借りに来ていた
「そっちはどうなの、変わりないの?」
髪毛染め剤を塗りながら梨花が聞いてくれるけど、本当の事は言えない
悪気はないけど梨花は少しお喋りだから
やっぱり自慢できる関係じゃないから、言いふらされたくない
別に、いつも通りのんびりやってるよ
そう答えながら心の中で謝った
龍成との関係で唯一、嫌なところがあるとすれば、兄弟や親しい人達に言えないところだと思う
他の不倫している人はみんな、どうしているんだろう
そんなことを考えながら、梨花と他愛ない事を話した
今回のカラーはいつもより少し明るめにしてもらった
実はおしゃれ染め、白髪染めだけど
こればかりは歳には勝てないらしく、ここ数年で結構増えた
「仕上げどうする?結構伸びたよね、伸ばすの?」
どうしよう、久しぶりにちょっとだけ、伸ばそうかと思ってる
「いいんじゃない、じゃあ今日は軽く巻いておくね」
ちょうど鎖骨くらいの長さの髪をゆるく巻いてもらって一部だけ編み込んでもらった
「うん、似合うよ」
ありがとう、また家に行ってもいい?合格のお祝い、したい
「うちはいつでもいいけど、そんなのいらないよ」
じゃあ、美味しいしゃぶしゃぶのお肉、いっぱい持っていく、3人とも食べ盛りだし
「それ喜ぶ、ありがとうね」
じゃあまた、連絡するね
お会計をして店を後にした
時間は2時すぎ、携帯を見ると龍成からメールが来ていた
「今から行くところ終わったら帰れるから、5時までには会えると思う、どうする?」
どうする、か
どうしよう5時としてご飯に行くには早いし、ホテルは中途半端な気がする
それに正直、今日は髪をセットしてもらったから、直ホテルは嫌だ、勿体無い
龍成、どこにいるの?
仕事中ならメールは見ないかもしれないけど、聞いてみる
「街の方、こっち出てこれる?」
土曜日も行ったから、ちょっと面倒くさいと思ったけど、せっかく髪型も可愛くしてもらったし出かけるのもいいかな、と思い直した
家に帰って鏡で自分をじっくり見る
なんか、若作りじゃないかな、やっぱり
梨花はいつも「未来は若く見えるから大丈夫」と言って可愛い髪型にしてくれるけど、少し不安だった
でも元々可愛いが大好きだから嬉しいのもホントの事で
梨花のところに行ったときは下地とファンデだけだったから、そのままイソイソとメイクを始める
眉を書いてアイラインを引き、付けまつげを付ける
そうすると、地味でのっぺらぼうみたいな顔がキリッとするから不思議な物だと思う
髪型に合わせてナチュ眉とタレ目に見える付けまつげを付けた
チークはピンクだとやりすぎだから、ピーチオレンジ
お出かけ仕様の出来上がり
レベルが1〜10まであるとして、家にいる時が1だとすると今日は8くらいの出来栄え
やっぱり髪がキレイ
薄桃色のザックリセーターに黒のスキニー
足元はブーツにしよう
上着は迷ったけど、チェックの少しだけ薄目のコートにした
もう三月だしね
とりあえず先に街まで出て何処かでお茶でもしていよう
本屋も寄りたいし
そう思いながら、いつの間にかウキウキしている自分に気づいた
私、龍成と会うの楽しみなんだな、と改めて実感する
龍成もそうだといいな
電車に揺られて駅に着くまで、龍成との事を思い出した
こういう関係になってまだ3ヶ月も経っていない
でもあの時、思い止まらずに彼とセックスして良かったと今は思っている
セックスは気持ちいいし、誰かと会うためにお洒落するのはとても楽しい
街について駅の近くの大きい本屋に入る
弟の事をオタクとか言ったけど、私も実はマンガが好きだった
今は少年マンガ3種類とワイド版4種類を買い集めていて、物置部屋の隅には結構大きな本棚が隠すように置いてある
別に内緒じゃないけど、いい歳して言いふらす事でもない
最近、本屋に行っていなかったから、新刊が3つ出ていた
どうしよう、欲しいけど、今買ったら荷物になるし
今度の休みに地元の本屋に行こうと決めて、ネイルの本を立ち読みした
実は真由美はネイルスクールの経営をしている
サロンも二店舗持っているけど、スクールが大当たりして、今では社長
田舎でいち早くネイルに目を付けたのが正解だったと思う
私も真由美に勧められて、ジェルネイルの資格を2級まで取った
今のところ、その資格を使う予定はないけれど、自分の爪は自分で出来るから節約にはなっているのかもしれない
熱心に春のデザインを見ていたらメールが届いた、龍成だ
「終わった!今どうしてるの?」
もう、着いてるよ、本屋で立ち読み中
返信すると今度は電話が鳴った
「もしもし、もうついてるの?ごめん」
大丈夫、本見てたし、今からどこか入って待っとくよ
「車で駐車場まで行くから、15分くらいで近くまで行けると思うけど、何処にする?」
どこの駐車場が停めやすいの?
相談して駅より少し西寄りの大通りにあるコーヒーショップで待つことにした
カフェオレを頼んで携帯を開いた
DMメールのチェックをして、ラインを見ると真由美からラインが来ている
来週旅行に着ていく服を買いに行きたいから一緒に行こうというものだった
いいよ、私も春物見たい、大阪あったかいかな
と、来週のシフトも添えて返信した
「お待たせ」
龍成が勢い良く入って来た
お疲れ様、仕事大丈夫だった?
「大丈夫だけど、もっと早く終われると思ってたのに案外時間かかったよ」
でもまだ5時前だよ、何か飲む?
龍成は座ってアイスコーヒーを注文した
「未来さん、今日雰囲気違うね」
髪の色少し変えたよ
「それパーマ?」
違う、コテで巻いてもらった、梨花、友達の美容師のところに行ってきたから
「うん、似合ってるよ、可愛い」
龍成、いつもそんな事言うけど、もう可愛いって歳じゃないよ
「でも可愛いよ、未来さん俺より若く見えるし」
絶対、そんな事ない
「俺がそう言ってるんだからいいじゃん」
もう、いい
「これから、どこ行こうか」
別にどこでもいいけど、龍成行きたい所ある?
「もし良かったら靴見たい」
靴か、いいよ、どんなの欲しいの
「スニーカー、休みの日とか履くやつ、こっちの靴屋の方が種類多いし」
私もスニーカー見ようかな
龍成に来月、真由美と旅行に行くことを話した
「え!いいなぁ!俺も行きたい」
お土産買ってくるよ、今度は
龍成は羨ましそうにしているけど、仕方ない
わたし達は旅行なんて行けない
この辺りはお店が沢山あるから靴屋さんも何件もある
手を繋いで歩きながら目に付いた靴屋に入った
「どんなの欲しいの」
え、とね、かなり歩くから歩きやすいやつ、いつも履いてるメーカーがいいかな、龍成は?
「今履いてるやつ古くなったから代わりの、別にこだわり無いよ」
そうなんだ、私はハイカットが好きかな、足首隠せるし
私は足首が太いのが嫌で、仕事以外はほとんどブーツかハイカットのスニーカーを履いている
春〜秋にかけてはワンピースでもスニーカー
上げ底とかも履くけど、今回は歩きやすさ重視だから普通のがいい
何件か見て回って1つ気に入ったのを見つけた
「あ、それいいね、カッコイイ」
いいよね、これ
「試着する?あ、これユニセックスじゃん」
うん、そうだね
「俺もこれにしようかな」
え、お揃い?
「ダメ?」
別に、駄目じゃないけど
有名メーカーの春の新モデルだから、沢山の人が買うだろうし、気にする事じゃないと思う、でも
「じゃあ履いてみようよ未来さんサイズ何センチ?」
そう言って店員さんに自分と私の分のサイズをだしてもらった
2人で並んで靴の紐を通していると、店員さんが
「そちら春のNewモデルでカップルで買われる方多いですよ」
カップル
まあ、ある意味カップルかもしれない
不倫カップルだし
本当の事だから別に構わないけど、カップルという言葉がちょっと恥ずかしい
でも龍成は
「そうなんですね、女の人でもカッコイイですよね、これ」
と嬉しそうに応えた
成り行きでオソロのスニーカーを購入した
お会計はもちろん別だけど、何となく照れくさい
龍成がレジからご機嫌で私の方に歩いてくる
「さっきの店員さんに、仲良くていいですねって言われた」
そうなんだ
まあ、仲が悪いことはない、と思う
ご飯どうする?
「靴も買ったし車で湾岸沿いの方のグリルハウス行かない?」
車?龍成の?
龍成の車は実は抵抗がある
だって、家の車だから家族で乗る物だと思う
そこに不倫相手が乗るのはどうなんだろう
私が奥さんだったら嫌だけど、旦那がよその女とセックスしても平気な人は平気なのかな
「どうしたの?」
うん、でも車って家族も乗るでしょ、そこに私なんて、乗ったら駄目じゃない?
正直に前から思っていたことを話す
人の旦那さんとセックスしておいて、悩むところが違うかも知れないけど、私には気になるところだった
私が龍成を家に呼ばないのも同じ理由でお互いの生活空間が交わることに戸惑いがある
「でもどうせ後でホテル行く時、乗るでしょ、同じじゃない?それに家族だけじゃなくて友達や同僚も乗るし、気にしすぎだよ」
言われてみればその通りだと思った
もしここでご飯を食べたとしても、ホテルまではどのみち車で移動することになるだろう
そうだね、わかった
つまらないこだわりかも知れないけど、なんだか負けた気がした
でも、だからってホテルに行かないとは言えないから、仕方ない
今日は龍成と、したい
車に乗り込んでスニーカーを後ろの座席に置かせてもらう
助手席に座ってシートベルトをする
実際に乗ってしまうと諦めがついた
「どうして、車嫌がるの?」
龍成がストレートに聞いてきた
だって、奥さんが乗った時、私の気配したら、嫌じゃないかなぁ
「気配?」
例えば、匂いとか、髪の毛とか、そりゃあ、龍成が外で、他の女としてるのは知ってても
「何?続けて、聞くよ」
実際に、女の影が見えるのは、嫌じゃ、ないかな
自分で話しながらドキドキしていた
奥さんに対して罪悪感なんてないけど、やっぱり既婚者と分かってて付き合ってるんだから、最低限の事は気をつけたい
「なるほどね、未来さんて案外ちゃんと考えてるんだね」
案外って
確かに梨花や真由美にも言われるけど
「でも、そんなの気にしなくていいよ、女の影なんて家でも出てると思うし」
え、どういう意味?
「俺、最近イライラしないんだ、家で」
龍成は「家のこと話すけど、ごめんね」と前置きして家の様子を話し出した
前は奥さんに何か言われる度にイライラして、態度に出したり、奥さんも言い方がキツくなってよくケンカになっていたらしい
奥さんは相変わらず、アレして、これはしないで、何でしないの、とうるさいけど、イライラせずにスルー出来るのだという
「最近はケンカもないし、子供ともよく遊ぶし、前とは変わったからね、その原因が未来さんだって事は多分気づいてるよ」
だから気にしなくていいんだ、と龍成は笑った
良く、分からないけど、龍成が、いいなら、いいよ
「そうそう、気にしなくていいよ」
基本、自分の旦那が他の女とセックスしてもいいと思う事が分からないから、理解は出来ないけど、考えるのが面倒くさいし、せっかく今から美味しいもの食べるんだから、もういいやと思った
店についてメニューを選んだ
ステーキとロブスターを焼いてもらう
「今日その髪してもらった友達も、あのオッチャンの店来る?」
うん、でも子供と来るから、早い時間に来て、すぐに帰るよ
「俺、見たことあるかなぁ、どんな人?」
高校生から中学生くらいの男の子3人連れてて、あと、巨乳
「あ、巨乳は覚えてないけど、男の子3人連れた人は見た事ある、暁さんとも話してたし、多分その人だ」
覚えてるの?
「小さい人だよね確か、顔はあんまり覚えてない」
じゃあ、そうかも
「あの人美容師なんだ」
うん、ずっとカットしてもらってるんだ
そんな事を話しながら食べたロブスターはすごく美味しくて、もう、車のことなんてどうでも良くなっていた
こうして段々不倫に慣れていくのかもしれない
そのままいつもとは違うホテル街に向かった
初めて入るホテルは、ひと部屋がゆったりとした作りになっていて、ちょっとだけ高級な感じがした
やっぱり街の方はラブホもオシャレなんだなと感心した
コートを脱いで、龍成とキスをする
それだけで身体の芯が熱くなる気がした
口内で舌を絡ませてお互いの唾液を交換する
ひどく興奮した
唇が離れていくと同時にため息が出た
「もう、エロい顔になってるよ」
だって、感じるから
「俺、今日は汗かいたからシャワーする、未来さんは?」
私も浴びたい
「じゃあサッと浴びよう」
龍成はスーツをハンガーにかけて、浴室へ向かった
私は下着姿になってから洗面台の前に行って、髪の編み込みをほどいた
髪は洗わないけど、ピンが留めてあったから取って置かないと不安だ
鏡を見るといつもと雰囲気の違う自分がいる
今、整形メイクとか言われてるけど、それに近いものがあると思う
横のドアが開いて龍成が出てきた
「未来さんどうしたの」
髪のピン、取ってた
「髪型で雰囲気変わるよね」
一緒に鏡をのぞき込んで私の顔を見ながら、感心したように言う
メイクも、変えてるからね
「そうなの?いつもよりふわっとした感じだよね」
私を自分の方に向けてジッと顔を見てくる
「いつもよりタレ目に見える、かな」
すごい、あたり
そのまま顔が近づいて来て、またキスをした
「未来さん可愛い」
そんなこと言うの、龍成だけだよ
「俺だけで、いいじゃん」
そうだね
入れ替わりにシャワーへ向かった
シャワーを浴びながら気持ちを落ち着かせる
アソコを洗おうとしたらもう、濡れていた
ちょっと情けなくなりながら綺麗に洗う
キスだけで、こんなに感じるなんて
龍成はよく濡れると喜んでくれるけど、やっぱり恥ずかしい
バスタオルを巻いて浴室から出ていくと、龍成がベッドの上でゴロゴロしながらAVを見ている
今日は、どんなの?
「良く分からない、でもこの女優、ちょっとブタだよね」
ホントだ、ウエストとお腹の肉、やばいね
「若そうなのにね」
うん、おっぱい大きいけど、太ってるから、かなって思うね
人事だから言いたい放題評価する
そのうち女優さんは結構ハードなプレイを始めた
「やっぱり、可愛い子じゃないから扱い雑いね」
そんなもの?
「そりゃそうでしょ、可愛くてスタイルいい子なら普通のプレイで充分だけど、このクラスなら多少は頑張らないと、使ってもらえないよ」
そうかもね
2人でしばらく応援する気分でテレビを見た
モザイクがかかっているけど、多分フィストされている女優さんを見ていたら、ちょっと気の毒になってきた
龍成、これちょっと可哀想
彼にくっついてそう言うとチャンネルを変えてくれた
今度は綺麗な子がPVみたいなインタビューから普通のセックスをするやつらしい
ホッとしていると、龍成が私の身体を抱き寄せた
顔を見上げると目が合って、キスをする
胸に手が伸びてきて軽く揉まれた
「さっきの、ちょっとグロかったね」
胸を触ったまま、龍成がさっきのAVの事を言ってきた
ローションでベタベタにされていたけど、女優さんは演技でなく、痛がっているみたいに見えた
そっとアソコを撫でられて、ビクッと震えた
「大丈夫、俺あんな事しないよ」
可笑しそうに龍成が言う
ちがう、イキナリだったから
「大丈夫、未来さんのココ、あんなに入らないよ」
でも、赤ちゃんは、通るんだよ、そこ
胸とアソコをゆっくりとだけど愛撫されているから、ちょっと話すのが辛くなってきた
「そうだけど、あれは出てくるんだから、何とか出るんじゃない?それに未来さん産んでないじゃん」
そ、だけど、産む時、は、切開も、する、もんね
「そう言えばそうだね、大変だね、お産」
ん、龍成、もっと
我慢出来なくなって、催促した
脚を開かれて、指が奥まで入ってくる
すごく、気持ちいい
龍成の肩に手を置いて彼の顔を見た
また、目が合ってキスしてくれる
「気持ち、良さそう」
うん、いい、気持ちいい
「未来さん、可愛い」
龍成
名前を呼ぶとキスしてくれる
彼の指がいいところを集中して攻めてきた
や、やだ
「どうして、キュウキュウ締め付けてくるよ」
あ、イ、イク、や
「イっていいよ」
乳首を噛まれて、中を掻き回された
身体が痙攣するように震えて、中は龍成の指を飲み込むように収縮する
「未来」
名前を呼ばれて虚ろになった目で龍成を見た
「入れるよ」
そう言うと指を引き抜いて、素早くゴムを付けると、龍成の物が奥まで入ってきた
あ、ああ
イったばかりで敏感なそこに、大きな物を奥まで入れられて鳥肌が立った
でも龍成はすぐに動かずに、私を抱きしめる
「未来、好きだ」
耳元で龍成の低い声が囁いた
龍成
いつも、名前を呼ぶことしか出来ない
ゆっくりと動きながら、深く口付けてきた
ん、んん
気持ちいいけど、龍成の舌が口内に入ってくるから、くぐもった声しか出せない
体制をバックに変えて、後ろから背中に抱きつかれる
背中にキスされて、胸を揉まれてどこも気持ちいいけど、挿入がゆっくりで浅いから物足りない
龍成、もっと
「イヤらしいなぁ」
うん、もっと、突いて
両方の乳首をギュと捻ると同時に一番奥まで突き入れらる
あっ
「気持ちいい?」
う、ん
しばらく激しく出し入れしていたけど、一旦引き抜かれて仰向けにされた
ほぅ、とため息をつくと、腕を引っ張られて身体を起こされる
「入れて」
座った龍成の上に跨って、彼の物を迎え入れた
上下に動きながらキスをする
気持ち、いい?
「すごく、いいよ」
龍成に胸を愛撫してもらいながら、自分のいい所に当たるように動く
気持ちよくて、アソコが熱くてトロけそう
イキそうになってきたから、キスをして龍成の舌を吸い上げた
龍成が私の腰を掴んで下から突き上げてくれる
一気に快感がせり上がってきて、彼にしがみついた
ああ、イク、あっ
アソコがジュワっと熱くなって龍成の物を締め付けると、彼も身震いして私の身体を抱きしめて達した
そっと後ろに寝かされてずるっと引き抜かれる
今日は抜くの早いな、と思っていると、すぐに指が入ってきた
や、待って
「無理、もう一回入れるよ」
片手で器用にゴムを付け替えて、またすぐに入れられた
少しだけ元気のなかった彼の物が、入ってきた
中を数回前後したらすぐに固くなって、内側からアソコが圧迫される気がした
はぁ
イったばかりなので、彼がじっとしていても私の中が動いて勝手に快感を拾う
「気持ちいいね」
うん、ずっと、このまま、入れておきたい
「そんなの俺が我慢出来ないよ」
気持ちいい?
「すごくいいよ、絡みついてくる」
入ってるだけ、なのに
「うん?」
気持ち、よくて
「うん」
はぁ、ずっと、こうしてたい、けど、もっと、欲しい
繋がって動かないまま、龍成と話す
その間も、アソコからはジワジワと快感が来るからだんだん物足りなくなってくる
龍成の物も中でビクビクしてるから、動きたい筈なのに動いてくれない
「未来さん、俺とセックスするの好き?」
うん、大好き
「俺と出掛けるの、楽しい?」
うん
「未来さん」
龍成?
なんだか少し違和感を感じて、顔をのぞき込んだ
前に、お風呂で見た顔だ
どうしたの?
「何でもない、未来さん好きだよ」
そう言ってキスをすると同時に動き出した
優しい動きで、私を気持ちよくすることにだけを考えた動きに思えた
龍成のセックスは大好き
たまに興奮して激しくされることもあるけど、それでも感じるし、ちっとも嫌じゃない
キスをして、身体中に指を這わされて、中のイイところを刷り上げられて快感しかない
同時に絶頂を迎えて、抱きしめられる
本当に、愛されてるみたいだと、思った
すごく気持ちよくしてもらって、余韻に浸っていると龍成がキスしてくれる
龍成、なにか嫌なこと、あるの?
「どうして?」
さっき一瞬だけ、変な顔、してた
この前もお風呂で思った事、なにか思う所があるなら話して欲しいことを龍成に伝えた
「未来さん、よく見てるんだね」
そう言って龍成は自分の気持ちを話してくれた
上手くは説明できないけど、自分には家庭があるのは分かっている、でも私を独り占めしたい、私にも自分を必要として欲しいと思ってしまう
「未来さんは俺とデートしたり、旅行したりしたいと思わない?」
デート?してるじゃない
「俺が誘うからでしょ」
だって
基本、私たちに許されてるのはセックスだけだし、車の事もそうだけど、奥さんはそんなの許してないでしょ
私もはじめは、セックスだけと思っていたけど、水族館行ったら楽しくて、どうせどこにも行かなくても不倫って言われるなら、楽しもうと思った
でも、やっぱり私から誘ったりは出来ないし、する気もないよ
「どうして、俺の家の事?それなら気にしなくていい」
4年間拒否されて、風俗も否定された時から、俺の中では嫁とは終わっている
なら、離婚すればいいのは分かってる、楽な方を選んでる事も
でも、あの時から俺、外では俺の好きな事するって決めた、向こうだってATMだと思ってるんだし、俺は子供への義務だけの為にそれを続けることにした
「俺は未来さんが好きだから、セックスだけじゃなくて、もっと色んな事したいんだ」
苦しいくらいに抱きしめられて、嬉しいけど、少しだけ切なくなった
龍成、そんな事、言わないで
龍成の話は、本当かもしれない
でも、それだけを聞いて信じられる程、若くない
龍成のいう事は彼の本音でも、相手には相手の言い分があるだろう
奥さんに確かめれば良いのかもしれないけれど、私は今のままでいいから、面倒には関わりたくなかった
龍成の気持ちは、分かるけど、今1番盛り上がる時期だから、そう思うだけだよ
「そんな事ない」
奥さんの気持ちは、私には、分からない
本当にお金のためだけなのか、そうじゃないのか
でも分からないことは、考えても仕方ないから、龍成がいいなら、私も構わないよ、私は今のままが、いい
「今のまま?」
たまに会って、セックスして、気が向いたら、デートして、楽しい事だけ、したい
楽を選んでいるのは、お互い様、だよ
「俺、結婚してるくせに未来さんに好きだって言ってしまうのが、未来さんに悪くて」
私に?
普通は、奥さんに、じゃないだろうかと思う
別に、気にしてないよ、私、龍成と結婚したい、とか思ってないし
「今のままでいいの?」
今のままが、いい、これから先、は分からないけど、今は幸せだし
「未来さん」
龍成、私の事は考えなくて、いいんだよ、自分がしたいように、してるんだから
もう一度強く抱きしめられた
「好きだよ、愛してる」
龍成
そのまましばらく抱き合っていた
龍成は私に「俺の事好き?」とは聞かない
聞いてくれたら、答えるのに
話しすぎて遅くなったので、泡アワは諦めて服を着た
龍成の気持ちを聞けて、よかったと思う
龍成もスッキリしたみたいで、着替えながら話す彼はいつもの彼に戻っていた
「俺、来週水曜日、有給取った」
有給?代休じゃなくて
「年度末だから取らないと損なんだ」
うちと、同じだ
思い出して、事務員さんに言われた事や有給3つ損したことを話した
「未来さんらしいね、で次の休みは?」
、、、、水曜日
「やった!俺の予想バッチリ!」
でも、真由美と買い物、行こうと思ってたんだよね
「え、そうなの」
ちょっと、待って
携帯を取り出して真由美からの返信を確認した
私は来週、水、木曜日連休だから木曜日に決めてくれてたら、龍成と会える
「じゃあ木曜日行こうか、またお迎え大丈夫かな?」
龍成はけっこうツキがある
「了解、またいつも通り、起きたらラインしてね」
返信して携帯をしまった
真由美、木曜日になった
「オッケー!じゃあ水曜日は俺ね!」
分かった、いつも通り、珈琲館で待ち合わせ、ね
その後、帰りながら相談して、水曜日はホテルでカラオケしたりDVDを見ることにした
ほかの地域は知らないけど、うちのホテル街は競争が激しいから、設備が充実していて、カラオケも新しいし、DVDプレイヤーも殆どの部屋にある
私はホラーが好きだけど、一人で見るのは怖いから家では見れない
水曜日までに見たいけど見ていない「クロユリ」と「呪怨」あたりを借りておくことにした
龍成と会って金、土、日と張り切って仕事をこなす
今週のシフトは木曜から次の水曜まで休みがなくて5連勤、その分連休が待っているけど、私は3日行って休みくらいの繰り返しがいい
水曜日は龍成と、木曜日は真由美と買い物、もしかしたらその後2人で梨花の子供のお祝いに押しかけるかもしれない
結構忙しいな、と考えただけで少し疲れた
龍成とはホテルでDVD鑑賞だから、セックスは控えめにして、出来たら昼寝もしよう
仕事はアルバイトだけど、お客様と接するのは楽しいし、同僚達にも恵まれてると思うけど、最近ちょっと、困っているのが、パートの吉田さん
なんだか頻繁に話しかけてきて、メイクや服装の事なんかを聞いてくる
はっきりいって迷惑
他にも同じくらいの歳の人はいっぱいいるのに、どうして私なんだろう
「未来さん、休みの日ってどんな感じの服来てるんですか」
え、出かけるときはスカートやワンピース、予定のない日は普通にジーパンです
「えー!ジーパンとか履くんですね、想像できない」
履きますね
「どんなの履くんですか」
ボーイフレンドかスキニー、ですかね
何がしたいんだろうと思いながら、隠すことでもないから質問に答える
「独身だから、自由にお洒落出来ていいですね」
はい
「彼氏さんの好みとか、取り入れたりしますか」
は?
「彼の好きな服装とか」
ああ、取り入れません、今はいないですし
とりあえず、ここは隠しておいた
いくらウソや隠し事が苦手でも、職場で「不倫中です」と公言したりはしない
でも、鋭い恵子ちゃんなんかはそろそろ私に相手がいる事を察しているかもしれないと思う
今度聞かれたら「彼」がいる事だけは話そうと思った
その方が後々楽だ
週明け、恵子ちゃんと休憩が被った時に、吉田さんの事を相談した
「そりゃあ今まで子育てしかして来なかったから、いざ彼のためにお洒落したくても、何からしたらいいか分からないんじゃない?」
別に私に聞かなくても、同い年くらいのパートさん、たくさんいるのに
特別仲良くもないのに、どうしてと思う
「他のパートさんには聞きにくいんじゃない?不倫の後ろめたさ、もあるかも」
後ろめたさ
「普段一緒にいる人たちに、いつもと違う話したら違和感もたれるじゃん、ま、今更だけど」
明らかに、化粧濃いもんね
「久々の恋愛で色々見失ってるよ」
でもさ、恵子ちゃんはもう、結婚して20年くらい、でしょ
「うん、それくらい」
飽きない?
「飽きる、よ、でも家族だし今更他の男なんて面倒くさいし、そんな気無いよ」
旦那さん、好きなんだね
「うーん、まあそうかな、デキ婚だから若い時は色々あったけどね」
ヤンママだもんね
「みんなが海外旅行行ってるときに、子供のオムツ替えてたよ」
でももう、楽じゃん
「大学生2人で金が大変だよ」
そっか、親ってずっと大変なんだね
でもイケメンのお兄ちゃんと、可愛い女の子、もう何年も見ていないけど、ちょっと羨ましい
水曜日の朝、いつもと同じ時間に目が覚めたから朝風呂の用意をしながら朝ごはんを作った
作ると言っても、パンを焼いてベーコンがあっからベーコンエッグ、後は残り物の鶏のバジル焼き
朝は結構しっかり食べる
小説を更新しようと思ったら、感想スレにレスが来ていた
こんな小説とも言えないものに感想をしてくれるなんて、ありがたいと思う
でも、子供の事とか言われても、とも正直思う
彼の子供が可愛そうだとするなら、それは両親が肌を合わせることも出来ない関係しか築けなかったから、としか思わない
そんな事は聞かれなければ普段考える事さえもしない
みんな色々考えるんだなぁと思う
できる限り私の気持ちをレスするけど、多分理解できないだろう、お互いに
それでも書くときから、レスはキチンとすると決めているからそれは続けていこうと思っている
書こうと思っていたことが、感想の方で話題になって、若干ネタバレだしタイミングが良すぎる気もするけど、車の件とかをその前に書いていたから色々疑問に思われた方もいたのかもしれない
お風呂で更新しながら、龍成の事を考えた
セックスするようになって3ヶ月目、普通のカップルでも1番ラブラブな期間
龍成はずっと乾き切っていたところに、突然水を与えられたような状態なんだと思う
だから今、は私の事が好きなんだろう
感想の方でも、この先、と言う方がいるけど、先の事なんて、普通のカップルでも、夫婦でも分からないと思う
なのに何故、そんな事を言うのか理解できない
私は元々ヤキモチを焼くこともなくて、その為か過去の彼に「冷たい」と言われた事もある
何故、ヤキモチを焼くのか、良く分からない
そりゃあ目の前で、他の女とキスされたりすれば腹は立つかも知れないけど、そんな事態に遭遇したことは無いし、自分と会っていない時の相手の事なんて考えない
私といる時に、ちゃんと大切にしていてくれていたら、それ以上何がいるんだろう
私は付き合っている彼としかセックスしないし、浮気なんて考えない、そんなに暇じゃないし
だからって相手にもそれを強要したいと思わない
もちろん、浮気されてる事が分かってしまったら別れるけど、わざわざ疑ったり、会わない日の彼の予定が気になったりしない
だから「冷たい」のだろうか
自分が束縛されるのを嫌うから、相手も自由にして欲しいと思っているだけなのに
そう言えば、前のスレで前後の話は忘れたけど、私が彼としかしませんとレスしたら、龍成は奥さんとか他の女とやりまくってるかもよ
みたいな返しをされたけど、あれも意味が分からなかった
私が龍成としかしない事と、彼が私だけじゃない事に何の関係があるんだろう
私が知らないところでなら、彼の自由なのに
龍成の事を今まで浮気しまくりで、奥さんに拒否られてるかもって書いてた人もいた
それも関係ないし、興味もない
彼と結婚するわけじゃないから、彼が家庭でどんな夫なのか知る必要なんてないと思う
私と会っている時、可愛くて優しくてセックスが上手
それで充分
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