奥さん公認の不倫その前

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通行人( 39 ♀ uuTHBe )
2015/07/20 20:15(更新日時)

あるスレで自分の過去をチョロっと書いたらもっと書きたくなったので、いっそのことここでノンフィクション小説で書いちゃえって思いました

ぼちぼち更新して行く予定です

No.2184285 2015/02/05 21:51(スレ作成日時)

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No.251 2015/03/19 09:39
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

お風呂から上がって支度をしながら、ふと吉田さんの事を思い出した

私の私服を気にしていたけど、別に普通だと思う

ブランドにも興味ないし、こだわりもない

強いていうなら、スカートなら脚がキレイに見えるとか、ワンピースは太って見えないものとか

色は赤や紺色、緑が好きで黒はあまり着ない

ボーイフレンドデニムは刺繍が派手で可愛いから好きなメーカーがある

今日はどうせホテルだから、これでいいや

ヘビロテのボーイフレンドデニムにパーカーを重ねる

暖かいし車だから、上着はいらないかもと思うけど、一応薄手のスタジャンを用意する

中が上げ底になっているスニーカーで出かけた

うちの地元のホテル街のサービスタイムは11時からだからあんまり早く行くのも何だけど、龍成が待っているからとりあえず珈琲館に向かう

朝ごはんが早かったから、ちょっとお腹が空いてきた

サンドイッチ、食べようかな

そう思いながら店の扉を開けると、すぐに龍成を見つけた

おはよう

「おはよう未来さん、あ今日はまた雰囲気変わって可愛いね」

声、大きい、恥ずかしいよ

向かいに座りながら窘めた

「ごめん、でも似合ってるよ」

普通だってば

「可愛いのになぁ」

もう放置してカフェオレとサンドイッチを頼んだ

「朝ごはん、まだだった?」

6時くらいに食べた

「じゃあオヤツだね、あDVD借りた?」

借りたよ、ベタな邦画のホラー、3本

「渋い趣味だね」

龍成がニカッ、と私の好きな笑い方で笑った

No.252 2015/03/19 10:41
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

サンドイッチを食べながら、龍成を観察してみた

顔は好みもあるだろうけど、悪くない、収入は知らないけど、家族を養えているんだからそれなりだと思う

さっきのニカッ、で笑う笑い方が可愛くて気に入っている

指もすらっと長くて爪の形がキレイ

髭が欲しいところだけど、それは仕方ない

歳は確か35くらいだけど、もう少し若く見える

「何、ジッと見てるの」

居心地が悪かったのか、龍成が聞いてきた

分析、してた

「分析?」

龍成の事、モテそうだな、と思って

「マジで?まぁでも独身の時はまあまあモテたかな」

ふふ

「いや、自分から振っといて鼻で笑うのやめてよ」

ごめん、でもモテたんだ

「まあまあ、ね」

そっか、やっぱり、可愛いもんね

「可愛いって、嫌だ」

どうして

「そりゃあ男なんだから、可愛いって言われたら、素直には喜べないよ」

そうなの?

でも、他に表現しようがない

カッコイイ、も違うし

「他にないの」

笑うと、可愛い

「もういい」

拗ねたフリをする彼を見て、やっぱり可愛いと思った

そうしていつも通り私の車でホテルに向かう

今回はちょっと古めだけど、ランチ付きの所にした

部屋をパネルで選ぶ前にフロントでDVDプレイヤーの有無を確認する

ちょっと恥ずかしい気もするけど、そこはオバチャンだから目的重視

部屋に入るとリネンが清潔で古さを感じさせない

「ここ、イイね」

龍成も気に入ったみたいだった

No.253 2015/03/19 22:58
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

パーカーを脱いでTシャツとジーパンでゴソゴソとカバンから借りてきたDVDを取り出した

どれから見る?

「俺、貞子見た」

え、3D?

「うん、ごめん」

全然大丈夫、他のは?

「両方、パチンコで知ってる」

パチンコ、実は私も、打った事あるよ

「え、未来さんパチンコするの?」

すっごくたまにだけど、真由美と一パチ?っていうの行く

「意外、勝った?」

前にクロユリ団地打って、いっぱい出たよ

「凄いね」

ゲームみたいで、楽しいよね

「そう言えばゲーム好きなんだよね」

どうして、知ってるの?

龍成は明らかに“しまった”って顔をした

暁!?

「待って、怒らないで、未来さんとこうなる前に聞いたんだよ」

前?

「未来さん覚えてなかったけど、俺、初めて話した時より前にも未来さんと会ってるんだ、未来さんの事気に入って、色々聞いた」

何、聞いたの

見た目より気が強くて、頑固、弟と仲良し

ゲームやマンガが好きで、一人暮らし、そしてバツイチ

他にも色々あるのかも知れないけど、龍成が白状したのはそんな感じだった

自分の知らないところで、自分が話題になるのは何となく気まずい

ましてや暁だし

暁、今度会ったらシメる

心の中で決心した

龍成は機嫌を取るように、持ち込んだ発泡酒を持ってきた

どうせ夜までいるんだから、午前中に飲んでも飲酒運転にはならないだろうと、途中で買っていた

「未来さん、はい」

別に本気で怒ってないから、素直に受け取ってクロユリ団地をプレイヤーに入れた

No.254 2015/03/20 07:05
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

結論としてクロユリ団地は成宮君が可愛かった、という印象

怖くなかった、私的には

龍成と下着姿でベットに入りながら見ていたけど、彼は多分ちょっとビビってたと思う

パチンコの方が、面白かったね

「あー、でも俺ちょっと怖かったかも」

ビクッって、なってたね

今日の部屋はテレビが大きかったから、迫力はあった

素直に怖いと言える彼に好感が持てる

少し感想やパチンコクロユリ団地の事を話していたら、龍成がブラに手を伸ばしてきた

「外していい?」

どうぞ

そっと外されて、貧弱な胸が現れる

大切そうに手のひらで包み込むと、顔を寄せて乳首にチュッと吸い付いた

顔を見上げて、キスをする

舌を絡めながら、乳首を愛撫してくれる

「未来さんのここ、可愛い」

そう言って固くなった、多分少し小さめの乳首をもう一度口に含んだ

舌で押し潰すように舐められて、もう片方は強く捻られる

息が荒くなってきて、アソコも濡れてくるのがわかった

はぁっ、龍成、アソコも、して

お願いしたけど、ひたすら乳首責めされて、聞いてもらえない

「自分でして」

興奮した声で、優しく命令された

我慢できなくて、自分のアソコに手を伸ばすと、もうヌルヌルに濡れている

そこに自分の指を埋め込む

龍成は身体を起こして乳首の愛撫は続けたまま、私に脚を開かせて私のアソコを見ている

「未来、自分で触って、気持ちいい?」

うん、いい

「指、イヤらしく動いてるよ」

耳元で囁かれて、身体が熱くなった

No.255 2015/03/20 16:55
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

自分でアソコを慰めながら龍成を見た

右手で私の乳首を愛撫して、左手は内ももに添えて脚を開かせたまま、アソコと私の顔を交互に見ている

龍成

目が合ったから名前を呼ぶと伸び上がってキスしてくれた

「未来、気持ちいい顔してる」

気持ちいい、よ

キスして舌を絡めていると、ゾクゾクと快感が背中を這ってくる

ふ、あ

「イキそう?」

うん

「指、もっと動かして」

胸への愛撫とキスで手が疎かになっているのを指摘された

舌を吸い上げられながら、指で中のいいところを掻き回した

んん

全身が震えて絶頂をむかえる

指が入ったままだから、自分の中が生き物のように動いているのが分かった

チュッと音を立てて唇が離れる

そっと指を引き抜いた

「気持ちよかったね」

う、ん

ティシュで指を拭こうと思ったら、龍成が私の手首を掴んで指を自分の口に含んだ

や、龍成やだ

手を引こうとしたけど、手首をガッチリ握られているし、イったばかりでイマイチ力も入らない

手のひらまでキレイに舐められて、恥ずかしくて見ていられなかった

「キレイになったよ」

汚い、のに

「汚くないよ、あんまり味しないし」

でも

反論しようかと思ったけど、もう舐められてしまった後だから諦めた

それより、やり返してやろうと思って少しダルさの残った身体を起こした

龍成の物を見ると、これ以上無いくらい大きくなっている

そっと手を伸ばして顔を近付けた

No.256 2015/03/20 18:01
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

チュッと先っぽにキスしてゆるゆると扱く

龍成は座り直して頭を撫でてくれた

鈴口に舌をねじ込むと少しだけ彼の味がする

アイスバーを舐めるように下から上に舌を這わせた

ビクッと龍成の腹筋が動いたのに気を良くして、パクッと全体を奥まで口に含む

吸い上げながら上下に頭を動かすと、上の方からため息のような声が聞こえた

龍成、気持ちいい?

「凄くいい、未来の口の中」

どこが、好き?

「裏のところと、頭のところ」

ここ?

また口に入れて龍成が感じる所を、刺激した

「やばい、出そう」

出しても、いいよ

私は口に出されたって平気、むしろ嬉しい

「嫌、入れたい」

無視して口で愛撫を続ける

「ダメだって」

やんわりと頭を持って引き抜かれた

渋々ゴムを用意する

龍成は1回出してもすぐに復活するから、たまには口に欲しかったのに

座ったままの龍成に跨って、アソコの入り口に彼の物を持ってくる

彼の物でそこを触ると充分に濡れていた

クチュっと頭の部分が中に入ってくる

「あ、ヤバイ出そう」

口で、1回出せば、良かったのに

「勿体無いから嫌、全部中で出したい」

勿体ない、の

全部埋め込んで彼の顔をみた

「未来の中、凄くいいから、中でイキたい」

じゃあ、中で、イって

腰を動かし始めると、龍成が私の腰を掴んできた

その力の強さで彼に余裕が無いのがわかる

予想通り、かなりの早さでイってしまった

「うー」

私の身体を抱きしめて、ほぼ存在しない胸の谷間に顔を埋めた龍成が悔しそうに唸った

No.257 2015/03/20 22:42
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

龍成の頭にキスをすると彼が顔を上げた

龍成、気持ち、良かった?

「未来さん」

彼の物を中に収めたままキスをする

も一回、して

ゴムを替えるために一旦離れた

すぐに新しいゴムを付けた龍成が近づいてくる

キスを受けながら、後ろに倒された

そっとアソコに指を這わせて、濡れているのを確かめるとゆっくりと埋め込んでくれる

んっ

「未来、凄く濡れてる」

龍成

名前を呼ぶとキスしてくれる

胸やアソコを愛撫されて、彼の物が欲しくてたまらない

ね、龍成、入れて

指が引き抜かれて代わりに龍成の物が押し当てられた

ゆっくりと挿入が始まると、どんどん快感が押し寄せてくる

あ、いい

「未来、可愛い」

龍成

抱きしめられて激しく揺さぶられる

気持ちよくて、声が抑えられない

キスをねだって舌を絡めた

繋がったままバックの体制になって後ろから突かれると、さっきとは違ういい所にあたる

や、ああ

もう快感しかなくて涙が目尻に滲んできた

龍成、も、や

「イっていいよ」

私がイキやすいように、いい所を集中して突いてくれた

イク、と思った瞬間にアソコもキュウウっと締まるのが分かる

龍成の物にしがみつくみたいに中が収縮した

私が落ち着くまで、動かずに待ってくれている

「未来、すごい締め付けてくるね」

う、ん

また向かい合うように身体を反転させられる

龍成の顔が見えて何となく安心した

No.258 2015/03/21 07:14
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

その後仲良く同時に達してもしばらくは繋がったまま抱きしめられていた

入れっぱなしだと龍成の物は完全に萎えないから、ずっとアソコがウズウズする

龍成、抜いて、お腹減った

少し待っていたけど、一向に抜く気配がないので催促する

名残惜しい気もするけど、本当にお腹が空いてきた

「何か頼もうか」

ランチサービスが付いていたからその中からカレーを選ぶ

どうせ冷食かレトルトなら無難だと思った

届けに来てくれた時、真っ最中という訳にもいかないから、とりあえず貞子を見ることにした

龍成は見たけど、もし呪怨が気持ち悪いとカレー食べられない、とヘタレた事を言うのでこちらをプレイヤーに入れる

貞子を見ながら食べたカレーはレトルトぽいけど、別にここでクオリティを求めてはいないから問題ない

食べ終わったトレーを小窓の前に置くとまたベッドに入って続きを見た

と思ったけど、実際には昼寝していた

龍成も寝ていたから起きたらもう夕方

そもそもカレーを食べたのも遅かったから仕方ないけど、サービスタイムは7時まで

どうする?

「え、カレー食べて昼寝しただけじゃん、まだ帰りたくない!」

クロユリも見たし、その後、セックスも、したよ

龍成が納得しなくて、結局サービスタイム+3時間コースという事になった

お風呂にお湯を張って入浴剤を入れる

ここは泡アワがなくて乳白色の入浴剤だったけど、これはこれでいい感じ

なんだか、ツルツルで、気持ちいいね

お風呂でじゃれ合って、ベッドてもう2回セックスした

No.259 2015/03/21 11:49
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

車の中で次の予定を聞かれたけど、ちょっと分からない、と答えた

来週あたり実家に顔を出したいし、家でゆっくりしたい

「会えないって事?」

分からないよ、私が大丈夫でも龍成が残業かもしれないし

「そうだけど」

毎日メールするんだから、いけそうだったら会おう?ダメでも、その次でいいでしょ

納得できない顔をしていたけど、最近家でゆっくり出来る日がないからちょっと疲れる

もう少しジムで体力作りした方がいいのかもしれない

駐車場で渋る龍成をおろして家に帰った

一人暮らしをして10年くらいだけど、好みにリフォームしたおかげでもうずっと住んでいるみたいに安心する

化粧を落としながら発泡酒を飲んだ

次の日は真由美と買い物

楽しいけど、真由美は買い物と電話が長い

この前も買い物したけど、あれはバーゲンで冬物だったから今度は春物の旅行に着ていく物を見に行く

でも私はジーパンでいいと思っている

靴も買ったし

真由美は一人で決められないから、買い物にはよく誘われる

全然嫌じゃないけど、行くとつい、自分も買ってしまうから注意しないと散財する事になる

明日は絶対に要らないものは買わないでおこう

そう思いながらベッドに入った

寝付きがいいから、すぐに翌朝になる

どれだけ疲れていても、夜遅くても、寝過ごす事は殆どなくて、いつも通りの時間

お掃除ロボットのスイッチを入れて、仕事ぶりを観察しながらコーヒーを飲む

真由美からラインが来るまで、溜まっていた郵便物を片付けた

No.260 2015/03/21 21:27
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

>> 259 合間にミクルの更新をしながら連絡を待つけど、なかなか来なくて退屈してきた

念のため、去年の春物をチェックしてみる

パーカーが好きなので、沢山ある

ロンTやブラウスは少し欲しいかもしれない

フレアスカートは柄物と緑と紺色、柄パンもあるからボトムはいいかな

そうしているとやっとラインが来た

車に乗って真由美の家へ

この前、行ったときはすごく寒くて震えていたのに、今日は暖かい

春物が欲しくなる季節だなと思う

昨夜、要らないものは買わないと思っていたけど、無理かもしれない

マンションの下に着くと真由美が待ってくれている

「おはよう」

おはよう、今日もあそこでいい?

「うん、いつも悪いね」

いいよ、運転好きだし

前にバーゲンに行ったアウトレットモールへ向かう事にした

お腹すいた

「朝ごはんは?」

食べたけど、もう昼前じゃん

「向こう付いてからでもいい?」

いいけど、お寿司がいい

アウトレットには、回るけど100円じゃないお寿司屋さんが入っていて、けっこう美味しい

「いいよ、私も食べたい」

すっかりお寿司の気分になって、車を走らせた

寿司ネタで好きなのは、ウニ、あん肝、ハマチ、サーモン

お腹がいっぱいになったら機嫌が良くなった

「あんたはずっと腹一杯にしてたらいいと思うよ」

何よそれ、でも、美味しかった

「確かにね」

お腹がいっぱいになったら機嫌が良くなるのはみんな同じかもしれない

買い物をしながら、梨花の子供が高校に合格した事を話した

No.261 2015/03/22 06:53
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「今日、梨花んとこ行こうよ」

え、今日?いきなり?

真由美は思い立ったら即実行だから、梨花にラインを送る

買い物を続けていると案外早く返信が来た

「構わないけど、散らかってるよ、7時半なら全員揃うと思う、家に連絡しとく」

「だって、肉買ってくんだろ?」

うん、しゃぶしゃぶ

「どれくらいいるかな」

私たちと、男の子3人

「中、高校生、めっちゃ食いそう」

6人で、1人、500gとして

「3キロ、買っとく?」

うん、あと私はブー肉も、欲しい

「あんた豚しゃぶ好きだね」

私の身体の7割は、豚肉で出来てる、と思う

「それ、当たってるよ」

帰りに地元の肉屋に寄ることにして、買い物を続ける

結局、ブラウス2枚とワンピース、ロンTを買ってしまった

真由美は何を買ったか覚えていないけど、かなりの枚数を買っていた

そんなに、買って、仕舞うところ、あるの

「要らないのは捨てるよ」

そりゃあ、そうだけど

私と真由美は服の入れ替えを頻繁に行う

基本、昨年着なかった物は要らない物になる

「あんたはそれしか買わないの?」

去年、結構ボトム買ったし

少し休憩したくてドーナツ屋さんに入った

甘いものはあんまりだから、パイとカフェオレを注文する

「あんた晩ごはんしゃぶしゃぶだよ」

真由美はコーヒーだけだ

だって食べるの、8時とかでしょ、大丈夫

「あんたは大丈夫か」

納得して席に着く

やっぱり、と言うか、彼との事を聞かれた

No.262 2015/03/22 20:45
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「で、最近どうよ」

最近?

「あいつと、会ってるの?」

龍成?うん、昨日も会った

「何か問題とかないの大丈夫?」

問題、ないよ?

真由美にしては珍しく、言葉を選んでいるみたいに見える

「まあ、未来は平気なのか」

平気?

「あんたは昔からヤキモチとか、妬かないから」

ああ、うん、気にならない

真由美は意外と独占欲が強いから、自分が不倫相手で2番手なんて耐えられないんだろうと思う

でも自分が浮気するのは平気だ

その辺は私には理解できない、私は浮気なんてした事がない

曰く「浮気はあくまでも浮気」らしい

「上手くいってるなら、いいけど」

うん、快適だよ、束縛とか、されないし
会いたい時だけ、会える

本心でそう言った

会っている時は可愛くて優しくて、セックスは気持ちよくて

こんなにいいとこ取りでいいのかなと思う

真由美とは恋愛観は合わない

合うのはセックス重視というところだけで、真由美は会っていない時も彼の事を把握しておきたいし、何を置いても自分を最優先してもらわないと気が済まない

好みも全然違うから、一緒に合コンに行っても狙いが被ることもない

お互い理解は出来ないけど、それを否定することも軽蔑することもない

もっと違うところで繋がっていると思う

「ところで、今回受験だったの真ん中だろ、梨花の一番下、何歳なった?」

確か中1、早生まれだから

私が離婚して、正確には実家に帰って2年弱くらい、の時に妊娠していた

あれからもう14年以上経つ

No.263 2015/03/23 15:47
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「でもさ」

帰りの車の中で真由美が言う

「不倫でも良いなら、久本さんでも良かったんじゃない?」

久本さん

久本さんとは数年前、真由美の付き添いで行ったどこかの会社の創立何十周年?記念パーティー?

とにかく社長さんがいっぱい来ている立食パーティーで知り合った

何度か食事に誘ってもらって、高そうな料亭とかに連れていってもらった事もある

「あの人良かったのに、金持ちだし」

そうかな、好みじゃ、ない

優しかったし、気前も良かったけど、当時で40代後半だった

もう1年くらい会ってないけど、多分今は50歳くらいだと思う

「未来は若いのが好きだからなぁ」

若い、っていうか、可愛いのが、いいよ

いくら条件が良くても、好みでもない人とセックスなんて出来ない

他にも独身の人から交際を申し込まれたりもあったけど、無理なものは無理

最低限、キスできる顔じゃないと、無理

「付き合ってるうちに情が出てきて、出来るようになるのに」

真由美、面食いのクセに、よく言う

「私は顔もだけど、お金がないのは無理だよ」

真由美、金使い荒いからね

「使いたいから稼いでるんだよ、だから金の無い男なんて絶対嫌」

まあ、お金はあるに越した事、ないもんね

いつの間にか男の話からお金の話になっていた

真由美、確定申告、した?

「税理士さんにお任せ」

儲かってる?

「今までで最高」

年収、いくら?

「秘密、大したことないよ」

絶対嘘だ、と思った

No.264 2015/03/23 21:17
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

梨花の家に着いて、お肉を渡すと凄く怒られた

「あんた達何考えてんの?これ何キロあるの!?」

え、と3キロ、プラスブー肉1キロ

「だって男子3人もいるんだから、食べるだろ?」

「まあ、かなり食べるけどさ、でも多過ぎ!お金使い過ぎ!」

合格祝いだから、大丈夫

三人でキッチンでワイワイやっていると、人懐こい真ん中の子が覗きに来て肉を見て感激してくれた

「「合格おめでとう」」

「ありがとうございます、向こうでゲームしようよ」

梨花にもそうしろと言われてリビングに行くと、3兄弟が出迎えてくれる

少し見ないうちに男っぽくなっていた

上から、陸、翔太、海斗

今回高校に合格して来月から高校生になるのが翔太

海斗は何度か保育所のお迎えもした事があるのに、もう中学生だからびっくりする

陸は1番男前だけど照れ屋ではじめはあまり話さない

四人で出来るマリオのテレビゲームを交代でする事にした

待ち時間に、携帯を触っていると海斗が

「未来ちゃん、彼氏?」

と聞いてきた

違うよ、ネットしてるだけ、海斗は彼女いるの?

「いないよ」


好きな子は?

ちょっと海斗の表情が変わった

いるんだ?

「内緒」

そっか、頑張れ

海斗はお父さんの顔を知らない、翔太も覚えてないと思う

陸は、どうなんだろう

とにかくこの子達はほとんど梨花一人で育てている

みんないい子に育っていて本当にすごいと思う

No.265 2015/03/24 08:32
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

みんなで無理やりコタツの周りに集まってしゃぶしゃぶを始めた

長方形だから何とか座れるけど、ギュウギュウで私や真由美には滅多に無い体験だった

「この肉、めっちゃ旨い」「こんなに肉ばっかりで腹大きくなるの初めてかも」

凄く喜んで食べてくれるから、こっちも嬉しい

「現金より、高くついたんじゃないの?」

梨花は心配してくれるけど、私も真由美も合格祝いの相場なんて知らないから、何とも言えない

「喜んでるんだからいいじゃん、旨いし」

そうだよ、それより、もっとブー入れて

梨花のうちは広めのハイツの1階、実は親の持ち物で、管理人業務をする代わりに家賃を免除してもらっている

そうでなければ、流石に男子3人の養育は大変だから素直に感謝していると、梨花は言う

ゴミステーションの掃除や駐車場周りのごみ、雑草の撤去など管理作業は子供達の仕事

陸は高校生だからバイトして自分のスマホ代を払っているけど、ほかの二人はジェイコム

それに文句も言わないし、ハイツの掃除も当然のようにしている

「梨花は美容師としても才能あるけど、母親としても大したもんだよな」

本当、みんなヤンキーじゃないし

「お母さん達はヤンキーだったんだよね」

陸がボソッと言った

違うよ、ちょっとヤンチャ、だっただけ

「ヤンキーだよ」

翔太が反論してくる

しゃぶしゃぶしながら、子供に聞かせても大丈夫な所だけ、中学生時代の話をした

No.266 2015/03/24 13:08
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

家に帰ると、シーン、と音がしそうなくらい静かに感じた

梨花を羨ましく思いながら、自分には不可能な事だから潔く諦める

私はペットどころか観葉植物も育てる自信がない

そんな人間に子育てなんてできる訳が無いと思う

何だかんだ言っても私は母親を恨んだりはしていない

一応産んでくれて自立するまで面倒は見てもらったし、記憶に無いくらい小さい時にはきっと離乳食だって食べさせてもらったと思うから

私が自分で身の周りの事が出来るようになって、母は私の世話を止めたけど、暮らすのに必要なお金は稼いでくれた

他の母親は知らないけど、私には出来ない事をしてくれた、と本心から思っている

だからといって母が好きかと言われれば、それは又別なんだけど、まぁお互い様だろう

父と母がいなければ私も弟も存在していない

そう思うと恨む気にはならないから、やっぱり愛情はあったと思う

愛情表現は人それぞれだし、子供にべったりが素晴らしいとも思わない

私がこんな性格なのは母のせいかも知れないけど、違うかも知れない

弟は少し頼りないけど、凄く暖かい人だし

私が今こうしているのは全て自分で選んできた結果だと思っているし、後悔は一度もした事がない


No.267 2015/03/24 18:22
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

金、土、日とパートさんの休みが多くて、目が回るように忙しかった

龍成からは相変わらず能天気なメールが届いていて、合間にしか返せないけど読んで癒される

月曜日になって「本当に今週無理なの?(╥ω╥`)」っていうメールが来たけど、生理も来たからそう返信した

「それでもいいから、顔みたい」

夜にそんなメールが届いていた

私はリアルタイムで今日、火曜日休みだけど、教室に行きたいし、春物の服を整理したいから遊べない

本当に、顔だけでいいなら金曜日、おっちゃんの店で晩ご飯たべる?

あそこは他にも顔見知りの人が来るかも知れないから、イチャイチャなんて出来ないけど、カウンターに座ってご飯を食べるだけでいいなら、どうせ行くんだし、と思った

「金曜日、行く!!」

速攻返信が来た

カウンターでご飯食べて帰る、だけだよ?

「いいよ全然(≧ω≦)」

まあ、いいならいいだろう、次の週なら生理も終わってるし

龍成は今週は真面目にフットサルの練習に行くと言った

少しずつ距離を測りながらお互いに無理のないペースで会えればいいと思った

私だって約束をしたら会うのは楽しみだし、会ったら可愛いと思う

でも、今まで好きに生きてきたから今更自分のペースは変えられない

龍成がそれにガマン出来なくなって終わりが来ても、それは仕方のない事

今までの彼ともそうだったから、私が変わると言う事はないと思う

もう一度結婚したいと思える人が現れれば別かもしれないけれど、多分有り得ない

No.268 2015/03/24 22:55
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

教室に行った後、お風呂代わりにジムにも立ち寄った

本当にたまにしか行かないのに、行ったら必ずと言っていいほど会う男性がいて、声をかけられた

「やあ久しぶり、辞めたのかと思ってたよ」

あ、はい、ご無沙汰です

あんたは何時もいるよね、毎日来てるのかな、大体名前も知らなくて、会ったら会釈するくらいなのに、馴れ馴れしいんだよね

心の中でちょっと警戒しながら愛想笑いをした

「何時もこれくらいの時間に来るよね、僕もなんだ」

そうですか

今日は教室帰りだから8時過ぎに行ったんだけど、いつもは仕事の帰りに行くことが多いから、もう少し早いと思う

何だかんだ今日はいつもより話しかけてきて、気持ち悪い

まだ少しバイクしただけだったけど、サッサとお風呂に行って帰ろうと決めた

もう一度会釈してお風呂に向かう

何となく、自意識過剰かもしれないけど、私の事気になってるのかな、と思う

気のせいならいいんだけど、もし、名前聞かれたり「この後ご飯行きませんか」とか誘われたらどうしよう

私の思い過ごしである事を祈った

サウナに入って、その後ジャグジーに行く

リラックスしてくると、さっきの妄想はやっぱり気のせいだと思えてきた

年取ると、厚かましくなって、ダメだな

パウダールームで髪を乾かして家に帰った

いつもの通り発泡酒を開けてテレビをつけながら、スレの更新をしている

龍成からはお休みのメールが来ていて、彼もフットサルに行ったらみたいだった

私はジムに行ったよ、お休み、また明日ね

No.269 2015/03/25 06:56
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

高校生になって初めてのお正月、初めての彼氏が出来た

当時は携帯が無かったから、ポケベルが鳴ったら電話の前で待機して、家族に取られないようにしていた

将生がバイトや遊びで出かける時は夜、帰ってくるとポケベルを鳴らしてから電話してくれる

そうして冬休み中、何度か電話で話したり4日に初デートもした

電車で20分程の所にある動物園に行ったけど、寒くてのんびりは見ていられない

動物たちも固まって暖を取ったりしていた

寒い、お猿達もくっついてるね

「動物園、失敗したかな」

でも、近くに色々あるし別に大丈夫だよ

その動物園は山手の街の近くにあるから、すぐそばにショッピングモールや大きなゲームセンターもあるし退屈する事はない

午前中、本当に寒かったから将生とくっついて腕を組んで園内を歩く

男の子と密着したのも初めてで、凄くドキドキしていたから寒いのはあまり感じなかった

お昼はショッピングモールの中にあるラーメン屋さんに入った

「あー寒かった、今度はもっと暖かくなってからだな」

今度、うん、そうだね

何気なく言っただけだと分かっていたけど、将生が先の事を言ってくれたのが凄く嬉しかった

それからショッピングモールの中を色々見て回って隣のゲームセンターでクレーンゲームをした

ね、将生、学校始まったら、学校でも彼女、だよね?

「え、どういう意味」

内緒、にしなくていいよね

「いいんじゃね?お前嫌なの?」

私は嫌じゃない、嬉しい

「じゃあ問題なし」

何故かは分からないけど、そう言ってもらえて、ホッとした

No.270 2015/03/25 09:19
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

将生に内緒?と変な事を聞いてしまったのは真由美のせいだと思う

将生をあまり良く思っていない真由美は色々忠告してくれていて「付き合ってる事を隠そうとされたら、二股を疑え」と言われていた

そんなタイプには思えなかったけど、男の子の事に関しては真由美の方が詳しいと自覚しているから、ちょっと確認してみたくなった

晴れて彼氏彼女になって三学期が始まる

クラスの仲良しグループには休み中に電話で報告していたし、真由美とはデートの次の日遊んで散々惚気けた

真由美は「襲われなかった?」と保護者みたいな心配をしてくれたけど、実際はキスもしてくれなかった

「マジで!?意外すぎるんだけど」

私も、キスしてくれるかと思ってたけど、なかった

話していたら落ち込んでくる

やっぱり魅力がないから、手を出されないんだと悲しかった

もし、求めてくれていたらキスもその先も、拒まなかったのに

その後真由美は「次からは自分で買いな」と言ってコンドームを2枚くれた

初めて、見た

「絶対、ちゃんと着けてもらわないとダメだから!」

真剣に言われて、真剣に頷いた

いつ着ければいいのかなんて分からなかったけど、そこまで想像も出来なかったんだから仕方ない

帰りは真由美と帰ってるけど、朝は真由美が弱くて遅刻が多いからボッチで登校していた

道順を変えて駅前を通るようになった

約束はしていないけど、将生が歩いてるのを見つけたら後ろに乗せて2ケツで登校する

駅と学校の真ん中にある交番のお巡りさんに注意されるのが日課になった

No.271 2015/03/25 12:38
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

一緒に登校したり休み時間に将生がクラスに来てくれたりしたから、すぐに周りに付き合ってると知れ渡った

「今日は弁当ある?」

うん、ある

将生は毎日食堂だったから、材料のある日はたまにお弁当を二つ作っていった

週に一回くらいのお楽しみ

本当は毎日でも作れたけど、みんなともご飯食べたいし、将生もそうだと思う

外は寒いから、視聴覚室や美術準備室に忍び込んでお弁当を広げる

将生はよくヨーグルトやジュースを買ってきてくれた

「ごちそうさまでした」

はい、お粗末でした

残りの時間でバイトのことやクラスのこと、家のことを話す

将生のうちは両親共働きで、年の離れたお兄さんがいるけど、もう働いていて一人で暮らしているから、普段は夜遅くまで家に誰もいないらしい

寂しい?

「別に、もう慣れたし何とも思わない」

うちも父さん夜勤とかあるし、母さんも遅い日多いけど、弟がいるからなぁ

「弟何歳?」

中二、前は女の子みたいだったのに、今はおっさんみたいになったよ

「仲いいんだ」

うん、まあまあ

何となく将生の両親は夫婦仲が良くないような印象を受けた

学校での将生は明るくて友達も多くて、家で一人でいる将生は想像できない

将生、好き

何となく言いたくなった

手を繋いでくれて目が合ったから、キスするのかな、と思った

将生は笑って「俺も」と言ってくれて、軽くハグしてくれた

ドキドキして心の準備をしたけど、キスはしてくれない

どうしてなのかは分からなかった

No.272 2015/03/25 22:35
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

何故キスしてくれないのか

確かにまだ付き合って1ヶ月経たないから、普通なのかもしれない

真由美に聞いてみた

「そんなの気にしたことないけど、初めてのデートでした事もあるし、色々なんじゃない」

私とは、したくないのかな

「付き合ってるんだから、そんなこと無いだろ?気になるなら聞いてみたら」

聞いても、大丈夫かな

「珍しく弱気じゃん」

だって聞いて、したくないって言われたら、どうよ

「だから言わないって」

したくない事ないなら、なんでキスしてくれないの?

「だから聞いてみればって」

真由美、面倒くさがってるでしょ

「仕方ないじゃん、分かんないもん、私はアイツだからすぐに手、出すと思ってたし」

だから、したくないんじゃない?

堂々巡りで話が進まない

真由美でも分からないなら仕方ない、直接聞いてみよう

元々悩むのも考えるのも苦手だから、早々と諦めて直接対決する事に決めた

視聴覚室でご飯を食べたあと、いつものように話していた時、ふと会話が止まって目が合う

今日こそ、聞こう

将生

目を見たまま名前を呼んだ

「何?」

将生、キスした事ある?

「なに、急に」

どうして、私にはキス、してくれないの?

「キス?」

うん、私とは、したくないの?

口に出したら、ドキドキしてきた

「して、いいの?」

うん

将生の顔が近づいてきた

チュッ

唇に将生の唇が触れた

「未来」

名前を呼んで抱きしめてくれた

No.273 2015/03/26 06:51
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

真っ白になった頭の中で考える

え、今、キスしたよね

私、将生とキス、した

一瞬だったけど、確かに唇に当たった、と思う

視聴覚室、段々になった教室の一番高いところで初めて男の人とキスした

将生、一瞬でよく、分からなかった

抱きしめられてるから、彼の胸の中で独り言のように言う

腕を解かれて顔を上げると将生の笑った顔が見えた

「目、瞑って」

言われる通りにすると、今度はさっきより長く唇が押し当てられた

チュッと音を立てて離れる瞬間にペロッと唇を舐められて、飛び上がるくらいビックリした

ドキドキして顔が上げられない

しばらくすると将生が話しかけてきた

「キスしたかったの?」

うん

「どうして、憧れてた?」

違う、と思う

自分の考えを話すのは難しいけど、何とか伝えたい

ずっと、友達を好きと言う気持ちと、男の子を好きになる事の違いが分からなくて、付き合うという事は特別になる事なんだと真由美に聞いていた事

遊んだり、自転車に2ケツしたり、一緒にお弁当を食べたりも、もちろん楽しいんだけど、友達でも出来る

だから友達とは出来ない事をして、特別だと実感したかった

将生の特別になりたかった

ゆっくりと話す私の言葉を、ちゃんと聞いてくれていた将生は

「面白い考えだな、でも未来っぽいわ」

と笑った

「俺は、逆かな」

そう言って将生はどうしてキスしなかったのかを教えてくれた



No.274 2015/03/26 20:37
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「別に、意識してしなかった訳じゃないんだ」

将生はちょっとニヤけたような顔で話してくれた

「処女だって聞いてラッキー、って思ったし」

でも動物園行ったり、お弁当作ってくれたり、自転車2ケツしたり案外楽しくて

お前も、嬉しそうだったし

だからそういう事するのはもっと先でもいいや、って自然と思ってた

「お前がキスしたいと思ってるなんて、思わなかったから」

うん、したかった

もう一度、キスをした

「だから目、瞑れって」

タイミング、難しい

それから土曜日に遊ぶ約束をして、スキップしそうな気分で教室に戻った

さすがにクラスの子には、キスした!なんて言えなくて、放課後に真由美を捕まえて気が済むまで話を聞いてもらおうと決めた

真由美は嫌がるだろうけど、ここはガマンしてもらうしかない

思い出すとニヤけてきて午後の授業なんて頭に入らないけど、大した授業じゃないから問題ない

そして放課後、真由美と駅前のファーストフード店に寄り道する事に成功した

お昼休み、キス、したんだ

「え!?展開早っ、どうなったの」

ストレートに、聞いた

「ホントにあんたは思いついたら即実行だな」

そうかな、でね、そしたら将生が「したいの?」って聞いてきて

うん、って言ったら

思い出して一人で照れた

「で、したんだ」

そう!でもね、一瞬だったから、よく分からなくて、そう言ったら

「言ったら?」

もう一回、してくれたんだよ!!

小さい声で、でも興奮して、打ち明けた

No.275 2015/03/26 22:42
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

その後、もう一回したけど、目を瞑るタイミングが難しかった事や、土曜日家に遊びに行く事を話した

「家」

うん、部屋でゲームするって、あとビデオ見る

「家に行くって、分かってるの?」

え、エッチするかも、だよね?

「分かってて行くんなら、いいけど」

大丈夫、ちゃんと、真由美に貰ったの、持ってくよ

「嫌だと思ったら、ちゃんと言いなよ」

嫌じゃないよ、将生、大好きだもん

そう、将生が大好き

でもこの身体を見られるのは、ちょっとだけ不安だった

胸もペタンコだし、体毛も結局中学生の頃から変わっていない

考えると死ぬほど恥ずかしい

真由美に言うと

「そんなの心配ないよ、好きな女なんだから、胸、は確かに無いけど、そういう事じゃないんだって」

そんなもの、かな

良く分からないけど、真由美が言うなら大丈夫なのかもしれない

キスの先の行為ははっきり知らなかったけど、多分将生が知っていると思ったから、そこは心配していなかった

どんな事をするのかはやってみなければ分からないし

そして土曜日、買ったばかりの原チャリで将生の家の最寄駅まで向かう

将生を待っているあいだ、ずっとドキドキしていた

少し待ったら将生が自転車でむかえに来てくれた

「おう、お待たせ」

あんまり、待ってないよ

原チャリを駅の駐輪場に預けて将生の自転車で将生の家に行った

家は駅の近くのマンションで、将生の部屋は男の子の部屋ぽいシンプルな部屋

男の子の部屋も初めてだった

No.276 2015/03/27 07:15
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

持参したお菓子やジュースをリュックから取り出して、他愛ないお喋りをするけど、今日こそするかも、と思っていたから心の中ではドキドキしている

「このゲーム、出来る?」

将生が取り出してきた格闘技ゲームは、少し前まで弟とやり込んでいたものだった

あ、それ、強いよ

「マジで!?やって見る?」

いいけど、勝つよ

そんな感じでゲームを始めた

緊張していたから、リラックスするのには丁度いいと思ったけど、将生は意外と強くて本気になってしまう

弟としか対戦したことがなかったから手こずった

でも、やっぱり私の方が少しだけ強い

「え!今の技どうするの!?」

←→←↙↓↘→で最後に○ボタン、同時押し

弟に教えてもらった必殺技だったりした

その後、借りてきたビデオを見る

普通に楽しくて、いつの間にか“今日こそ初体験するかも”という事も考えなくなっていた

「未来、そろそろ起きろ」

将生の声で覚醒する

え、もしかして私、寝てた!?

ビックリして時計を見ると7時を回っている

寝てた?

「俺がトイレ行って、帰ってくる一瞬で電池切れてた」

えー!起こしてよ!

恥ずかしくて八つ当たりした

前の日、楽しみであまり眠れなかったから、だと思うけど寝てしまうなんてあんまりだ

「いいじゃん、俺も寝たし」

うぅ

笑って言われるとそれ以上何も言えない

駅前のファミレスで晩ご飯を食べて原チャリを引き取りに行った

「またな、家に着いたら電話しろよ」

と言われて頷くと、チュッとキスをしてくれた

No.277 2015/03/27 13:36
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

とてつもなく落ち込みながら家に帰った

やっぱり私なんかじゃ、エッチしたいと思わないのかな

寝てしまった私が悪いんだけど、起こして襲ってくれたらよかったのに、と思う

真由美に電話で話したら爆笑された、でも

「そんなに急がなくても、ちゃんと付き合ってるように見えてるから気にすんな」って言ってもらって、ちょっとだけ浮上した

2月に入ってバレンタインもあるし、まだまだチャンスはあるよ!

自分に言い聞かせる

そのバレンタイン目前に、学校の廊下で声をかけられた

一瞬、誰?と思ったけど、将生の元カノだ

「ちょっと、話しあるんだけど」

私には、無い

そう言ってスルーして教室に入った

大体の話の予想は付いていたし、ウザイ

相手にしないと思っていたけど、元カノは今度は昼休みに仲間を連れて教室にまでやって来た

「ちょっと話あるから、来て」

「は!?何お前」

私より先に環が言い返した

「あんたに関係ないし、言ってない」

私は、話なんて無い、言ったよ

「いいから、来な」

は!?なんで?話聞いて欲しいなら、ここで言いなよ

元カノ達は私がすんなり付いていくとでも思っていたのか「どうする?」とか相談を始めた

面倒くさい、こういうのは中学で卒業するって真由美と決めたのに

私は明るく楽しい高校生活を送りたい、ケンカや揉め事はもうゴメンだ

「あんた、将生といつから付き合ってるの?」

やっぱり、それですか

本当に面倒くさい、どうして将生に聞かないんだろう

あんたに、関係ないだろ、別れたんだから

言い返したら元カノの顔色が変わった

No.278 2015/03/27 14:00
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「別れたって、ちょっとケンカしただけだったのに、急にあんたと付き合ってるって言われたんだよ!」

それから5.6人に囲まれてギャアギャア責め立てられた

環が言い返そうとしてくれたけど、私の問題みたいだから取り敢えず聞くことにした

要約すると

クリスマス前にちょっとケンカして、意地になって連絡しなかった間に私が将生に言い寄った

前から将生を好きなのは知ってたけど、ケンカした時に付け入るなんて卑怯

私が別れるように将生に言ったに違いない

まあ、そんな内容だったと思う

一通り聞いてたら「何とかいいなよ!」と言われた

じゃあ、言うけど

だから何?仮にあんた達が喚いてた事がホントだとしても、あんたが振られたのはあんたと将生の問題でしょ、それをどうして私に言うの?

「やり方が汚いって言ってんだよ」

仮に、って言ってるだろ馬鹿か、私は何にもしてないし知らない

言い方が悪かったのか、また囲まれて喚かれた

昼休みで人は多くなかったけど、男子は見ているだけで「女子怖〜」とか言ってるし、環たちは私がお願いしたから黙っていてくれてるけど、物凄い目で元カノたちを睨んでいた

こんなところで揉めるくらいなら、大人しくついて行けばよかったと後悔した時

「未来はそんな事しないよ」

いきなり降ってきた声で、元カノ達も静かになった

「未来はそんな奴じゃない」

声の方を見ると、同中の肋骨の子だった

「私、中学から一緒だけど、そんな裏でソコソコしたりしないよ、あんたら教室で迷惑」

かなり、ビックリした

No.279 2015/03/27 16:00
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

肋骨の子とは高校に入って和解したけど、彼女はヤンキーぽい子とつるんでたから、同じクラスだけど、そんなに仲良しという事はない

だからそんな風に言ってくれるなんて思ってなかった

元カノ達は居づらい雰囲気になったのか、教室から出ていった

ありがとう

嬉しかったからお礼を言った

「別に、うるさかったし」

うん、でも助かった

その子が行ってしまってから、環たちに「同中だけど、仲悪いと思ってたよ」と言われた

中学の時は、違うグループだった、でも仲悪くはないよ

私もビックリしたけど本当に助かった

ネコを被るわけじゃないけど、もうケンカとかは面倒くさい

放課後、将生がクラスまでむかえに来てくれた

「真由美には今日だけ先に帰ってもらったから」

え、どうして

「今日は一緒に帰る」

うん、分かった

ホントはよく分かってなかったけど、そう答えた

真由美には帰ったら電話して謝ろう

2ケツせず、自転車を押して2人で駅まで歩いた

「あの女に、何か言われたって?」

あー、ちょっとね、どうして知ってるの?

「見てたやつに聞いた」

じゃあ真由美も知ってる?

「めっちゃ怒ってた、俺、すっごい怒られた」

将生が?

「あんたがいい加減な事するからだろ!って」

あぁ、真由美、いつも将生の事、チャラいって、言ってるしね

「俺が悪いんだけど、でも俺の中では別れてたし」

別に、平気

本当に平気だったからそう言ったけど、将生は少し心配そうだった

No.280 2015/03/27 22:10
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

将生の心配を他所に、私はそんな出来事よりバレンタインに必死だった

今度こそ、もっと彼女っぽい事をしてもらいたい

チョコは買ったけど、クッキーも作ろうと思う

作った事はないけど、普段から簡単な料理やお弁当は作ってるから、何とかなるだろう

弟を毒見に使えばいいし

そんな感じで出たとこ勝負で作ったクッキーは何故か物凄く美味しくできた

バレンタインが確か金曜日だったから、次の土曜日にチョコとクッキーを渡した

将生は甘い物も大丈夫だから凄く喜んでくれて、私も嬉しくなった

「いつものお弁当も旨いし、料理上手なんだな」

上手、かな、嫌いじゃないけど

将生の顔が近付いて来た

キスだ!と思って目を閉じると唇が当たる

長いな、と思っていたら唇を舐められてビックリした

その拍子に少しあいた唇の隙間に将生の舌が滑り込んでくる

!?

どうしていいか分からずに、されるがままに必死で耐える

少しして唇が離れると目を開けて将生を見た

何?今の

「何って、キス」

え、でも、口の中舐められた

「そりゃあ舐めるよ、普通」

そうなの、じゃあ今までしてたのは?

「あー、あれもキスだけど」

汚く、ない?

「汚くない、これが本物だから」

そう言ってもう一度口付ける

「舌、出して」

おずおずと差し出すとチュウっと吸い込まれて、背中がゾワッとした

生まれて初めての感覚だけど、多分気持ちいい

唇が離されても、放心してボーっとしたままだった

No.281 2015/03/28 06:38
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「大丈夫?」

ビックリ、した

そう、ビックリはしたけど、嫌じゃなかった

「未来」

そっと抱きしめられてドキドキする

将生、大好き

どうしても言いたかった

抱きしめる腕の力が強くなって、私の髪に顔を埋められる

なんだか恥ずかしい

どれくらいそうしていたか分からないけど、将生の体温が離れていくのを名残惜しく思った

「未来、ちゃんと好きだから、お前の事」

うん、疑ってないよ

それは本当だった

将生は優しいし、上手く言えないけど彼の私を見る目やちょっとした仕草に確かに愛情を感じる事がある

思い上がりや気のせいかもしれないけど、私が思うんだから問題ない

そう思うから将生ともっと先まで、したい

将生、私とは、エッチ、しないの?

とうとう口に出して聞いてしまった

「したいよ、でももう少し今のままでいたい」

今のまま?私がこんなのだから?

「違うよ、でももっと色んなこと話したり、ゲームしたりさっきみたいな本物のキスをしたり」

今はそういう事をするのが大切な気がするから

将生は普段あまり自分の考えを話さない

私には将生の言いたい事の半分も分からなかったけど、将生がそうしたいなら、そうしようと思った

だって今日は今までと違うキスをした

こんなふうに私が知らない事はきっとまだまだ沢山あって、エッチをするのは考えているより大変な事なのかもしれない

将生はそれを分かっているから、今じゃないと思うんだろう

はじめの頃よりは付き合ってる実感があるから、その辺のことは将生に任せる事にした

No.282 2015/03/28 19:44
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

学校では毎日会うけどバイトもあるし、友達とも遊ぶから将生と2人で遊ぶのは多くても週一くらい

あれ以来、元カノは何も言ってこない

3月の頭に期末テストがあって試験休みに入った

「ホワイトデーにどこか行こう」

誘われて行き先を考えた

将生、ジェットコースター乗れる?

「おう、俺、絶叫系得意」

じゃあ遊園地、ちょっと、遠いけど

電車で2時間近くかかるけど、結構ジェットコースターが充実している遊園地に行くことになった

私は晴れ女だからあまり天気の心配はしていなくて、当日はやっぱり暖かく晴れた

「天気いいな」

あったかいね

学校に行くより早起きして電車に乗った

座れたので乗り換えの駅まで2人でウトウトしながら電車に揺られる

遊園地では乗り放題のフリーパスを買ったから、料金の倍は乗り物に乗ろうと張り切った

隅から隅まで乗りまくって最後は観覧車

わあ、カップルっぽい

ゆっくりと上に上がっていくと将生がポーチから何か取り出した

「これ」

差し出された包を受け取る

開けていい?

了解を貰って中身を見るとシルバーのピンキーリングが入っていた

くれるの?

「ホワイトデーだから」

小指にはめてみるとすごく可愛い

ありがとう、嬉しい

初めて、私からキスをした

将生はちょっとビックリしたみたいだったけど、抱きしめてくれた

将生が大好き

会う度にそう思う、そしてその気持ちはだんだん大きくなっていく

将生もそう思ってくれていたら、嬉しい

No.283 2015/03/28 21:09
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

終業式の日、真由美や環たちにピンキーリングを見せびらかした

「へー、あいつがねー」

真由美は将生をよく思っていないから、一緒に喜んでくれたりはしないけど、感心はしてくれた

元カノ達にはわざと聞こえるように「どうせすぐ別れるって」と言われたけど、幸せだから気にならない

春休みに入ったらいっぱい遊ぼうと約束もしている

春休みこそは将生とエッチするかもしれないと、期待している

将生が、次部屋にきたらゲーム以外の事もするかも、と言った

私が一人で盛り上がってるだけかもしれないけど、その時は長いキスをした後で、将生が少し興奮していたように思うから、多分間違ってないと思う

次のデートの日には朝からお風呂に入っていこうと決めた

4月の2日、その妄想は現実になるんだけど、実際の行為は私の想像をはるかに超えたものだった

あの時は本当に、驚きの連続で、恥ずかしすぎて泣いてしまった

1日がかりの大イベントだったなあと40歳になった今は懐かしく思う

あの日が私がセックスが大好きになる原点

それは間違いない

将生と初体験をした事は後悔どころか、思い出の中でも最上級の宝物になっている

そんなピュアだった自分が今の私を見たらどう思うだろう

難しい想像だけど、多分嫌われたりはしないと思う

龍成と不倫しているけど、ちゃんと自分で選んだ事だし、後悔していない

龍成と会うのは楽しみだし、セックスは気持ちいい

自分に正直に生きているよ、と昔の自分には言えると思った

No.284 2015/03/28 22:12
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

龍成と合う約束をした金曜日、3時で仕事を上がれたから一旦家に帰った

お風呂に入ってちょっと迷ったけど、発泡酒を開けた

撮りだめしているドラマが次々最終回になっているから、そろそろ見始めようと思った

私はドラマがいいところで終わってしまうと、次の週が待ちきれないし、録画の方がCMを飛ばせるからいつもこの方法でドラマを見る

だから真由美や恵子ちゃんからドラマの話をされそうになると、まだ見てないから、ネタバレはヤダ!と拒否する

最近はそれも覚えてくれて、先に「もう見た?」と聞いてくれるようになった

ドラマを見ながら昼間から発泡酒を飲む

何となくダメ人間のような気もするけど、ひとり暮らしなんてそんな物だと思うことにする

髪を乾かして、出かける準備をしながら2話まで見たドラマはイマイチだった

これから面白く展開していくことを期待する

普通ならスッピンでメガネなんだけど、一応龍成と約束しているからフェイスパウダーとリップだけ付けてみた

店まで10分くらいブラブラ歩く

扉を開けると龍成がいて少し驚いた

「お疲れ様」

あれ、早いね

「こっちも今来たとこだよ」

カウンターの龍成の横に座った

生、とチキン南蛮、レバーの煮物

「未来ちゃん久しぶりだね」

おっちゃん、1週間来てないだけだよ

おっちゃんは笑いながら生とレバーを出してくれた

「未来さんレバー食べるんだね、苦手な人多くない?」

そうかもね、でも私はお肉なら、なんでも食べるよ

「そっか、レバーもお肉だもんね」

ニカッと笑ってビールを飲む彼はやっぱり可愛い

No.285 2015/03/29 10:24
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「1週間何してたの」

普通だよ、仕事行って、実家に行って、あとジム

ジムのキモイ人を思い出したけど、私の自意識過剰だと思う事にしたから言わなかった

「俺も久しぶりに2回フットサル行ったよ、暁さんがよろしくってさ」

何をよろしくなんだろう、そう言えば前にここで龍成と一緒のところを見て以来会ってない、いい事だ

でも智恵ちゃんや娘の綾ちゃんには会いたいなと思い出す

「未来さん、聞いていい?」

なに?

「会ってない時、俺の事考える?」

あー、どうだろ、メールとか読んでる時は、思い出すかな

仕事の休憩時間、家で一人でいる時、龍成はマメにメールをくれるから、それを読んでは次に会うのを楽しみにしていた

正直に話すと龍成はまた嬉しそうに笑う

「じゃあもっとメールするよ」

え、仕事しなよ

「してるってば、メールなんて移動やタバコの時にちょっと打つだけじゃん」

そうなの?私は結構、時間かかるなぁ

そんな何でもない話をしながら、おっちゃんの料理を食べた

セックスしなくても、楽しい

龍成もそうなんだろうか

ベッドの上以外でも龍成は「好きだよ」と言ってくれる

それを嬉しく思うから、私も好きなんだと思う

龍成が私にそれを聞かないのは、聞かなくても分かっているからなのか“聞く資格”がないと思っているからなのかは分からない

龍成は最近、自分が既婚者でズルイ事をしていると自覚したような気がする

無理に私の中に入り込もうとしない

聞いてくれたら答えるのに、といつも思うけど、彼なりの気遣いだと思うから何も言わない

No.286 2015/03/29 22:17
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

生中3杯飲んでお腹もいっぱいになった

金曜日だからか店も混雑してきたし、取りあえず店を出る

今回は私がご馳走した

龍成は車だから飲んでいないし私が出してもらうのは気が引ける

龍成、車は?

「駅の近くのパーキングに入れた」

じゃあ、お休み

私も帰るのは駅方面なんだけど、龍成の知り合いに見られたらまずいかもしれないし、先に帰ろうとした

「え!ちょっと待ってよ、方向一緒でしょ!?」

そうだけど、知り合いに見られるよ

「一緒に歩くだけじゃん」

堂々としたら、ダメなんだよ

「ははっ、そうなの?」

龍成は笑いながらついて来る

あんたの方がやばいんじゃないの?と思う

奥さんならともかく、ご近所さんや親戚、会社の人なんかに目撃されるかも知れない

龍成が言うように歩いてるだけなら、問題ないのかな

「何かあっても、俺がちゃんとするから、未来さんはそんな気を使わなくていいよ、らしくないし」

らしくない、かな

私にだって、不倫しているという自覚くらいある

田舎とはいえ、駅前の通りだから人通りだって多いのに、いいんだろうか

考えているあいだに駐車場に着いた

私の家は駅を通り過ぎてあと5分くらい歩く

じゃあ、またね

「これからも少しの時間でもいいから、会えるときは会いたい」

今日みたいに、ご飯食べる、だけでも?

「うん、顔見るだけでも」

龍成の車の横までついて行って見送る

運転席に乗り込んだ龍成が窓を開けたから、のぞき込んでキスをした

No.287 2015/03/30 14:36
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

家まで乗せていくと言う龍成を丁寧に断り、テクテク歩く

アルコールが入っているから夜風も気持ちいい

帰り際龍成は「そんなに家知られるの嫌なの」と寂しそうに言った

そんなこと、ないけど

なんて説明したらいいのか、分からない

別に嫌とかじゃない

部屋の中に入れたくないと言う思いも、以前より小さくなっている

「ごめん、もう言わないよ」

黙ってしまった私に謝ってくれた

ううん、嫌とかじゃ、ないんだ

「大丈夫、分かってるから、またメールするね」

そう言って、手招きをするから、もう一度のぞき込んでキスをした

家に帰ってパジャマに着替えて発泡酒を飲む

飲みすぎかな、と思うけど、止めてくれる人もいないから結局飲んでしまう

ベッドに入って携帯を見ると、もう龍成からメールが来ていた

「今日はいっぱい話したから楽しかった(´,,•ω•,,)♡またね、おやすみ」

おやすみ、来週はホテル行こうね

素直な気持ちを返した

今日も楽しかったけど、やっぱりセックスもしたい

「来週、いつ!?」

食いついて来た

私は火曜日以外、かな

「じゃあ月曜日!」

早いな、でも異論はない、私も龍成の顔を見たからちょっと欲情してる

了解、でも仕事遅くなるかも、8時くらい

「大丈夫!決まり!!」

じゃあ、お休み

月曜日、会うことになった、出来るだけ早く帰らせてもらおう

そう思って眠りについた

No.288 2015/03/31 07:01
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

翌日の土曜日、出勤すると恵子ちゃんに苗字で呼ばれた

嫌な予感がする

「明日から3日間、D店に応援行ってもらえませんか?1人ご不幸でどうしても代わりに出れる人いなくて」

え、私が、ですか

D店はここより大分小さくて、店舗のみのお店だからスタッフも少ない

でも遠いし普通は社員さんが行くものだと思う、それに

3日って、私火曜日休み、なんですけど

「分かってます、でもお願いしてます」

一応は仕事モードでやり取りしているけど、二人とも目が笑っている

恵子ちゃんも困ってるんだと思うんだけど、私だって休みたい

「何とかお願いできないかな」

後ろから所長に声をかけられた

入社して以来ずっとお世話になっていて、何度も社員にと声をかけてくれている人だ

もう、私に断る手段はない

何時から、何時までですか

「3時からは社員の誰かを行かすから、10時15時でいいよ、遠いしね」

え、マジですか

と言うことは月曜日も早く帰れる

しかも3日応援に行ったら手当も貰えるから、それならいいかもしれない

分かりました、行きます

火曜日が出勤になったから連勤は辛いけど、D店ははっきり言って暇だから本当に店番だけだし、まぁいいだろう

月曜日、遅番だったけど、早く帰れる

龍成と早い時間から会えるかも

そう思うとちょっとテンションが上がる

でも私の上機嫌ぶりを恵子ちゃんは見逃さなかった

No.289 2015/03/31 21:48
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

お昼休みに更衣室に行くと恵子ちゃんがサンドイッチを食べていた

お疲れ〜

ロッカーからお弁当を出しながら声をかけて斜め前に座った

「D店のこと、ありがとうね」

いいよ、あそこ遠いけど暇だから

「でも何だか機嫌良くなったよね」

え、だって手当て貰えるし

「嘘、あんたお金にそこまで執着ないじゃん」

あー、月曜日早く帰りたかったから

「用事?」

うん

「男でしょ」

あー、当たり

潔く認める

どうせ隠し通せない

「やっぱりねー!いいな独身は」

恵子ちゃん、旦那さんいるじゃん

「いつから?」

一月の終わり?くらい

「どんな人?」

ちょっと年下、笑ったら可愛い感じ、かな

「羨ましいよ、どうりで最近雰囲気変わったと思ってたんだ」

そう?自分では分からないけど

質問攻めにあって、答えられる範囲で応戦した

でも流石に不倫だとは言わない

バレてクビになっても自業自得だけど、わざわざ暴露することはないと思う

「じゃあ今はラブラブだね、羨ましい」

だから、旦那さんも、子供もいるじゃん

やっぱり人は無い物ねだりなのかもしれない

「未来ももう一度結婚したらいいのに」

ありえないよ、私には無理、恋愛だけでいいよ

「まあね、旦那の面倒見なくていいもんね」

うん、その代わり、孤独死だけどね

「有料ホーム入るんじゃなかったの」

突然死じゃなけりゃね

縁起でもない話だけど、まだ実感が無いからただの笑い話になる

今までは一度も後悔していないけど、人生の最後にもそうなのかは、その時が来るまで分からない


No.290 2015/04/01 06:33
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

恵子ちゃんが一足先に休憩を終えて仕事に戻る

お弁当を食べ終えて、ロッカーにしまって携帯を取り出した

龍成からは2通メールが来ている

月曜日、早目に帰れそう

手短にメールして、頭の中で月曜日の予定を立てた

午後の仕事は忙しくて、家に帰るまで月曜日の事を思い出す事はなかったけど、やっぱり私は龍成と会うのを楽しみにしている

帰る途中で買った唐揚げのお惣菜をつまみながら発泡酒を飲む

お掃除ロボを発進させようかと思ったけど、9時過ぎだし下の階の人に迷惑かなと思って止めた

思い出して携帯をカバンから取り出してメールを確認すると

「ヤタ───ヽ(〃∀〃)ノ───♪俺も頑張って早く帰るよ!!」

龍成から喜びのメールが来ている

いつもの駐車場で待ち合わせでいいかな?

返信すると

「電話いい?」

大丈夫だよ

いつも思うんだけど、本当は私が聞く側じゃないのだろうか

すぐに電話が鳴った

「お疲れ様」

お疲れ様、大丈夫なの?

「今日はむこうの実家に泊まるらしいから、俺だけ先に帰ってきた」

そっか、土曜日か今日

「土日仕事だから分からなくなるよね」

うん、どうりで忙しかった、じゃあ家に1人?

「うん、テレビ見てゆっくりしてるよ」

何見てるの?

同じチャンネルを付けてみた

ね、龍成、電話かけ直すよ、通話料凄くなるし

龍成の電話は仕事でも使うから多少は大丈夫らしいけど、あまりの長電話は気が引ける

龍成は始め遠慮したけど、押し切る形でかけ直した

No.291 2015/04/01 08:01
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

電話を繋いだまま同じテレビを見る

「未来さんの顔みたいな」

私も、会いたいよ

「え、本当に!?」

うん、セックスも、したいし

顔が見えないからか、いつもより素直に思っている事が言える

「俺も、ずっとそうだよ」

月曜日、何かご飯買っていくよ、何がいい?

「今日は、会えないよね」

うん、会いたいけど、明日も仕事だし

それから仕事で他店に応援に行く事になったこと、そのおかげで月曜日早く帰れることを話した

「でも、遠いね、運転気をつけて」

ありがとう、じゃあお寿司テイクアウトしてホテルで食べようね

1時間以上話して電話を切った

朝お風呂に入ろうと決めてベッドに入る

寝るまでの少しの時間、龍成の事を思い出した

電話を切るとき「本当に好きだよ」と言っていた

嬉しくて、ありがとうと言ったけど、私も、って言った方が良かったかな

まあ、いいか

睡魔に勝てず、寝てしまった

本当に悩んだり、想像するのが苦手だなぁとつくづく思う

朝起きてお風呂に入って気持ちを切り替える

今日から他店で接客をする

お店に迷惑をかけないように、頑張ろう

そうして月曜日、3時に社員の人が交代に来てくれて仕事を終えた

応援はもう一日行くけど、とりあえず店は忙しくないし、今晩は龍成とセックスが出来る

お疲れ様です、明日もよろしくお願いします

機嫌よく店を出て家に帰った

車で1時間弱の距離を走る

4時には着くからお風呂に入ってお寿司を買いに行こう

No.292 2015/04/01 10:21
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

龍成から「6時半頃に行けると思うよ、早く会いたい」とメールが来ていた

思ったより早いな

慌ててお風呂に入って支度をした

コンタクトは外してメガネで行こう

脱ぐのが楽だからワンピースにした

早くセックスしたい

近くの回るけど100円じゃないお寿司屋さんに電話して持ち帰りを注文した

お寿司をもらって6時半少し前に着くと、龍成の車が止まっている

「お疲れ様」

龍成が車を降りて私の車に乗り込んで来た

お疲れ様、早かったんだね

「現場から直帰出来た」

早速ホテル街に向う

今まで数えたこともなかったけど、一角には8件のラブホが固まっている

これって、全国的に見て、多いのかな?

「さあ、でも一軒も潰れないのが凄いよね」

確かに、どこも定期的にリニューアル、しているし儲かってそう

「俺らも貢献してるよね」

ちょっとだけね

そう言いながら、今回も初めて入るところにした

今回は何だか、お布団がふわふわで気持ちいい

寝心地、いいね

服のままベッドでゴロゴロしたら龍成もベッドに上がってきてキスした

お寿司、先に食べる?

「1回してからがいい」

ワンピースの裾から手が伸びてきて、パンツだけ脱がされた

や、ちゃんと脱ぐから、龍成もスーツ脱いで

「ちょっとだけ」

そう言ってワンピースの中に頭を突っ込んでくる

アソコに軽くキスされた

「凄く久しぶりな気がする」

そうだね

2週間も空いていないけど、本当にそう思う

一旦離れて服を脱いだ

No.293 2015/04/01 13:55
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

裸になって抱き合うと、それだけで身体の芯が熱くなっていくのがわかる

もう、アソコも早く欲しくてウズウズしていた

龍成の物もガチガチに固くなっているのを確認すると堪らなくなった

龍成、入れて

まだ胸も愛撫されていなかったけど、すぐに欲しい

龍成は深く口付けたまま、ゴムを袋から取り出して装着すると、そのまま入り口に押し当ててきた

「未来」

ズズッと奥まで納められて身体が震える

「はぁ」

私の身体を抱きしめて、自身を奥まで埋めたまま龍成がため息をついた

「堪んねー、すっごい気持ちいい」

私も、気持ちいい

彼が動かなくても私の中が勝手に収縮して快感をひらう

繋がっているだけなのにアソコがとろけそうに気持ちいい

よく、男の人が前儀を疎かにする、自分が入れて出したら終わり、と言う女性の不満を見聞きするけど、私が男だったら間違いなくそのタイプだと思う

入れてこそのセックス

今もキスだけで入れてもらって、身体中で感じている

実際には女だから、やっぱり色々触ったり舐めたりして欲しいけど、本番あってこその前儀だと思っている

No.294 2015/04/01 14:27
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「未来、好きだよ」

じっと見つめて、龍成が低くて甘い声で囁いてくれる

少しずつ腰を動かしながら、愛しそうにキスを繰り返して胸を愛撫する

龍成の全てから愛情を感じた

今、この時だけは間違いなく愛されている

そう思える行為

龍成、気持ちいい

蕩けそうに気持ちよくて、彼の身体にしがみついた

龍成も抱きしめ返してくれる

徐々に動きが激しくなって、身体を反転させられた

「ごめん、出る」

そう言って私の腰を強く掴むと激しく出し入れして、あっという間にイってしまった

中でドクドクと脈打つ龍成の物を名残惜しそうにキュウっと締め付ける

私はイケなかったけど、また後でいっぱいイカせてくれるから別にいい

だからなんとも思わなかったんだけど、龍成はそうじゃなかった

「あー!早すぎる!今までで最速かも、俺」

悔しそうな声を出して、少し乱暴に私の中から自身を引き抜いた

あっ!

急に抜かれて、ぞわっと鳥肌が立つ

コロンと仰向けになって彼の方を見るとゴソゴソとゴムを付け替えている

龍成、お寿司、食べないの?

「後!もう一回したい、全然足りない!」

興奮してるのか、怒っているのか、駄々っ子みたいだと思った

身体を起こして向かい合って座ると、チュッっと彼にキスをする

彼の物の上にゆっくりと腰を落とした

んん

最後まで埋め込むと、彼の体毛が私のアソコに当たる

龍成、いっぱい、して

そう言ってもう一度キスをしながら上下に身体を揺らした

No.295 2015/04/01 20:17
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

龍成の物を納めてキスをする、胸を愛撫されて全身が気持ちいい

もっと動きやすくする為に龍成を後ろに倒した

彼の上に跨って自分のいいところに当たる角度で腰を振った

龍成、気持ち、いい?

「うん、最高にいいよ」

身体を倒してキスをする

龍成、も、イキたい、胸、触って

彼の両腕が伸びてきて、胸を鷲掴みにされた

刺激でアソコが締まったのがわかる

乳首を捻るように愛撫された瞬間にイってしまった

龍成の上に倒れるように被さって呼吸を整える

彼が髪を撫でてくれるから彼の方を見た

「未来さん、気持ちよかったね」

うん、今もまだ、いい

チュッと触れるだけのキスをすると、一旦引き抜かれた

龍成が上になって、またゆっくりと挿入される

あぁ

ため息のような、喘ぎ声が出た

「びちゃびちゃだね」

脚を大きく広げて、繋がっている箇所を食い入るように見つめられて、視線だけでも感じる

深く浅く突き入れられて、何度もキスされる

「未来、可愛い」

2度目の絶頂をむかえた私に龍成が言う

龍成

「ごめん、俺ももう出そう、ちょっとだけガマンして」

私がイったばかりで辛いだろうと気遣いながらも、彼ももう絶頂が近くて動くのを止められない

無意識に逃げを打つ身体を押え付けられる

ガツガツと思い切り突かれて、頭の中が真っ白になった

一番奥で彼の物が弾ける

力いっぱい抱きしめられた

「未来、好きだ」

もう、このセリフを疑ったりはしない

でも“今は”という事もちゃんと分かっている

No.296 2015/04/02 11:58
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

パンツとホテルの備え付けのパジャマの上だけ着て、お寿司を食べることにする

テイクアウトしたお店の海鮮太巻きが結構好きで、龍成にも勧めてみた

「うん、美味い」

結構、好きなんだ

実家の近くで昔からよく食べていると話すと、嬉しそうに聞いてくれる

私から自分の事を話してくれるのが嬉しいと以前言っていた

「でも、実家近いのに一人暮らしなんだね」

うん、どうして?

「実家の方が楽じゃない?お母さん一人でしょ」

そうかな、私は一人の方が楽

「俺、もし離婚したら絶対実家に帰ると思う」

実家、居心地いいんだね

「一人暮らししたら、洗濯掃除、全部する自信ないよ」

全部、機械がやってくれるよ

私は高校生の頃から家を出たかったから、離婚したからと実家に居座る気はなかった

結局5年程はお世話になったけど、元旦那の事がなければもっと早くに家を出たと思う

龍成の話から、彼は実家で可愛がられて育ったのだろうと想像できる

それが今の嫌味のない、素直な彼の性格を作ったのかもしれない

そんなことを考えていたら、龍成が

「ごめん」

と急に謝ってきた

何?どうしたの

「俺、離婚したらとか、嫌な事言ったよね」

え、別に離婚したのなんて、随分前だし、気にしてないよ

「違う、俺、離婚しないでこんな事、してるのに」

ああ、そっちか、それこそ全然だよ、龍成の実家の事、想像してただけ

龍成に奥さんがいても、結婚していても私と会っている時が私には全て

だから龍成も気にしないで欲しいと思った

No.297 2015/04/02 21:20
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

ね、龍成、私は龍成に強要されて、関係してる訳じゃないよ

私の意思で、龍成とセックスしてるし、謝ったりして欲しくない

でも、龍成が辛いなら、会うのは止めるよ

本心でそう言った

わたし達の関係は、辛い思いをしてまで続ける物ではないと思う

需要と供給のバランスが崩れたら、会うのは止めた方がいい

「それは絶対に嫌だ」

黙って聞いていた龍成が、強く否定した

「俺、未来さんが好きで、会うのが楽しみで、セックスしたら愛しい」

「でも俺は離婚もしなくて、ずるいから」

離婚しないと、どうしてずるいの?

「え?」

龍成は始めから、セックスする相手を探してたんでしょ

私たちがセックスするのと、龍成の離婚は、なんの関係も、ないよ

「未来さん」

ごめん、上手く言えないけど、私は会った時に優しくて、セックスが気持ちよくて、幸せだよ

「未来さん」

情けない顔の彼にキスをした

強く抱き締められて、息が苦しい

「未来」

今度は龍成から激しく口付けられる

私の気持ちが伝わったかは分からないけど、キスからは欲情よりも愛情を感じた

彼が愛しく思えて、私も彼を抱きしめ返す

姫抱っこでベッドまで運ばれるのが、物凄く恥ずかしかった

「未来、好きだ」

そう言って何度も口付けをくれる

嬉しく思ってそれに答えるけと、少しだけ

もう一回、してくれるかな

と思った

愛されている嬉しさよりも、肉体的な快感がいい

ちょっとだけ自己嫌悪した

No.298 2015/04/02 22:05
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

次の日、龍成からはいつも通りのメールが届いていた

おはよう、今日まで応援だから行ってくるね

メールを返して仕事に向う

季節の変わり目だからか月末だからか、案外忙しくてあっという間に上がる時間になった

「ありがとうございました、助かりました」

D店のパートさんにお礼を言ってもらった

私でも役立ってるんだな

嬉しく思って家に帰った

なんとなく教室に行く気にならなくて、真由美にラインした

時間あったら電話したい

しばらくすると

「もうすぐ家に着くから、かけるよ」と返事がきた

真由美は経費で落とせる仕事用の携帯があるから、いつもかけて来てくれる

発泡酒を飲みながらボーッとしていると電話が鳴った

「お疲れ、珍しいね、なんかあった?」

あったって程じゃ、ないんだけど

昨日の龍成とのやり取りを話した

でね、謝るんだけど、そんな風に謝られたら、私が可哀想、みたいじゃない?

「あんたはそこが引っかかるんだ」

うん、だって私、嫌々してるわけじゃないし

「あんたはそうだけど、相手はそうじゃないんだよ」

「あいつは、家庭があるのにあんたを抱く悪い自分、に酔ってるんだよ」

そう言われて、すごく納得した、確かにそんなタイプかもしれない

「まあ、あんたに悪いと思ってるのも本当だと思うけどね」

それは、私も思うよ

「でもあいつ、嫁には何とも思ってないのかな、普通嫁にこそ後ろめたいんじゃないの」

知らない、聞かないし、そんなものかな

「あんたはそうだよね」

なぜだか真由美は少し笑っていた

No.299 2015/04/03 06:25
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

「嫁に外でしてこいって言われて、あんたとするようになった、そこまではいいよ」

「でも話聞いたら、それ以上にあんたの事好きになってると思う」

「今は丁度逆上せてる時期だとしても、外で好きな女と会って家に帰った時、嫁には悪いなと思ったり、逆に邪魔に思ったりするんじゃない?」

分からない、奥さんも好きなんじゃないの?

「そうか?私はそうは思えないけど、でもまああいつにしか分からない事か」

うん、でも真由美が言った、悪い自分に酔ってる、てのは当たってそう

「元々真面目なんだろうね、多分、あんたのそのいい加減さ、分けてあげなよ」

なに、いい加減て、ちゃんとしてるじゃん

「本当に彼氏が外で何してようと、興味無いよね」

会った時、態度がおかしかったりしたら、気にするよ

「あんたみたいな女、騙すの簡単だよ」

騙してくれるのも、愛情だよ

「出たよ、考えるの面倒なだけのクセに」

真由美は、彼氏の携帯チェックするタイプ、だよね

「するか、でも怪しいところがないかは常に観察してるよ」

大変だね

「あんたが考え無さすぎなんだよ」

だって、今まで浮気とか、された事ないし

「気付いてないだけだろ」

そうかも、でもいいじゃん

真由美は独占欲が強いしカンも鋭いから、真由美の目を盗んで浮気するのは確かに大変だと思う

そう考えると、私の彼たちはやりたい放題だったかもしれない

そうは思っても、やっぱり会わない時間まで気にする事は出来そうもない

No.300 2015/04/03 07:39
通行人 ( 30代 ♀ uuTHBe )

真由美とは恋愛論に関しては平行線だけど、だからこそ自分では気付かない事を指摘されることもある

その後は旅行の話をして電話を切った

奥さんの事とか、たまには聞いた方が、いいのかな

真由美にそう聞いてみたら

「聞いてまたあいつが悩むのも面倒だよな、何か言いたそうにしてる時にさり気なく聞いてやるのがいいと思うんだけど」

え、そんなの分からないと思う、難しいよ

「だよな、向うから話してくるまで、聞かなくていいんじゃない」

分かった、そうする

真由美は私に「考え無さすぎ」とか「もうちょっと彼氏に関心を持て」とか言うけど、私だってそれなりに考える位している

ただ考えても分からないから、すぐに諦めてしまうだけだ

私から言わせれば、真由美と付き合う人は凄く気を使って大変だと思う

確かに真由美は彼に尽くすし、マメに電話やメールをしたりラブラブな付き合い方をする

でも常に最優先にしなければいけないし、お金もかかる、そのくせ自分は他でつまみ食いしたりする

私の方が、いい彼女だと思うけどな

お互いそこは譲らないから、言う気もないけど

真由美と長電話の後、メールを見ると龍成から

「未来さん、忙しいのかな(╥ω╥`)」

あ、返信してなかったなと慌てて返す

ごめん、真由美と電話してた、明日からは普通に仕事です

「電話、俺もしていい?」

時計を見ると11時を回っている

少しだけなら

返信するとすぐに電話が鳴った

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