氷の中の奴隷
ガチャーン…
ガンガンッ
父の怒鳴り暴れている姿と割れた皿を謝りながら片付ける母の姿。
詩織の家ではよくある光景だ。
詩織は何時も隣の部屋で震えながら父親の怒りが静まるまで耐える。それが一番適切な行動だった。
でも…この日の詩織は違った。
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「あっ…ハイ…。」
『ごめんねぇ?ここ、寒いよね?あっそこの椅子使って?』
男は目の前にある椅子を指差す
もう本当に後戻り出来ないんだ…夢じゃなくて現実…なんだよね?…怖い…どうなってちゃうんだろう…。
『あっそんなに緊張しなくてもいいよ?今から簡単な質問に答えて貰いたいんだけど、大丈夫?』
詩織は椅子に座ると、ぎゅっと拳を握り、震えるのをなんとか押さえそうとした。
「あっ…ハイ…大丈夫です。」
男は詩織に紙とペンを渡した。
金持ちの家に生まれていたらこんな思いはしなかったんだろうなぁ…
そんな事を思いながら紙に目を通す
えっと…
1、貴女は処女ですか?
はい どちらともいえない いいえ
どちらともいえない?ってなにそれ?…ってツッコミいれてる場合じゃないよね…えぇっと…
詩織は、はいにマルをつけた。
2、貴女はオナニーが好きですか?
『寒いからちゃちゃっと話すけど、今から詩織さんには氷漬けになって貰うよ?そうする事で、老けずにずっと若いまま保存することができからね。』
「えっ?」
『でねぇ…買い手が決まったら溶かされて奴隷として生きて貰うの。分かったかな?』
「えっ…じゃあ…買い手が決まらなかったら?」
『うーん。ずっと氷漬けかなぁ?でも大丈夫。売れ残るのは、ほんの一握りだからさ!それも詩織さんは可愛いからすぐ見つかるよ。』
「どっちにしても…私」
『おーい!!持って来てくれる?』
と説明してくれた男が誰かに向かって大きな声でいうと、
奥から少し体格のいい男が透明の容器を運んできた。
『さぁ服を脱いでこれの中で横になって?』
「えっ…ちょっと…。」
『ねぇ…早くしてくれるかな?』
先ほどまで笑顔だった男の顔が急に真顔になった。
「…はい。」
神様っているの?いるよね?絶対いるよ!!
いないよ。いるハズなんかないでしょ?
貴女が助けて!って空に向かってお願いしたとき、助けてくれた?
…。
ほら…ないでしょ?
でも…奇跡が重なって…間一髪で助かった人もいるし…
奇跡?笑える。
じゃあなんで毎日泣いてて、人の顔色ばっかり伺ってるの?
奇跡も神様もないよ。
現実見た方がいい。
貴女はずっと負け組。
ずっーと部屋の隅で、座ってメソメソ泣いてるのがお似合い。
だって貴女は、幸せになんかなれないんだから。
幸せになる価値なんかない。
クズだから。
キャハハ!!また泣くの?
泣いたって叫んだって状況は変わらないよ?時間の無駄。
…。
辛い事があると、というか、毎日頭の中で討論が始まる。
何時から私はこんな…
「早く脱げや。」
詩織は顔を上げると、目の前の男を見る。
脱ぐしかないのかな…お母さんも和也っていう人も、私を捨てた。もしここで逃げて自由になれても、私は…
えっ?まだ他人に期待なんかしてるの?
自分の身を削ってお前を助けてくれる奴が現れるとでも思ってるの?ウケるわぁ。
早く脱いで抱いて貰えば?
貴女にはあってるよ?
ある意味幸せにして貰えるよ!
それに私、間違ったこと言った時ある?
ずっと前から言ってたよね?私…。
お前の母親はお前よか父親の方が大切だって。
あの日お前聞いたよね?聞いちゃったよね?
「あはは。なんか俺嫌われてるんだよねぇ。和也に。俺は何年も女が出来ない弟が、心配で心配で仕方ないんだよね。夜はグッスリ寝れるんだけど。あっ…でね?なんかこう…ねぇ…、彼女が出来るようにしてくれないかな?服装とかさ…女から見て魅力のある男にして欲しいんだよね。弟の面倒みてくれないかな?無理なら諦めるけど…」
男は苦笑いしている。
「私は奴隷じゃ…」
「いやぁ…。嫁のこと大切だから、裏切れないよ。あっもう一度胸触らせて?」
男はムニュムニュと詩織の胸を触る。
「んんっ…。」
「詩織ちゃんそんな甘い声が出しちゃうの?もっと聞きたくなっちゃうよぉ?」
というと、男は詩織を押し倒す。
その頃二人は家から少し離れた公園のトイレにいた。
どうしよう。えっ?ちょっと服破れてんじゃん?それに…
「ごめんなさい。」
和也は詩織に土下座をした。
「大丈夫だよ?立って?」
あっそうだ…さっき買ってきた服…
和也は服を詩織に渡した。
「えっ?ありがとう…」
「本当にごめんなさい。」
「…あっいやっ…貴方が悪いんじゃないし…それにお兄さんもしかして…。本当に大丈夫だから…ねっ?」
詩織は和也の手を引っ張り立たせると、
和也の前で破れた服を脱ぎ、和也が用意したパーカーを着た。
…可愛い。でもというか、もう少し女の子ぽい服選べば良かった…。
「ごめん…服可愛くなくて…。」
「えっ?謝らないで癖なの?癖になっちゃうよ?このセリフ受け売りなんだけどね。」
…可愛い。初めて笑った顔見たけどほんとに可愛い。
それを俺は…。
「あの…それよか寒い…。」
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