氷の中の奴隷

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2018/05/26 06:03(更新日時)

ガチャーン…

ガンガンッ

父の怒鳴り暴れている姿と割れた皿を謝りながら片付ける母の姿。

詩織の家ではよくある光景だ。


詩織は何時も隣の部屋で震えながら父親の怒りが静まるまで耐える。それが一番適切な行動だった。

でも…この日の詩織は違った。

No.2406506 (スレ作成日時)

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No.51

「あのぉ…っあ…ん…んんっ!!」



男は詩織を黙らせるためにキスをすると、舌をねじりこませた。



「ん~!!」

詩織は離れようとバタバタしている。

「…お前下手だな。」


というと、男はもう一度軽くキスをすると、ぎゅーっと詩織を抱き締めた。


「えっと…あの…」


「俺の事嫌いか?」

No.52

「そんなの…っあ…んんっ!!」


黙らせる為に、男はもう一度キスをすると、前回よりも荒々しく舌をねじりこませた。


「んんっ!!」


逃げようと詩織はバタバタと暴れたが、徐々に力が弱くなりおとなしくなった。

静かになった部屋には、クチュクチュと舌が絡み合う音と、熱のこもった2人の呼吸音だけが響く。


男は自分を受け入れたのを察知すると、詩織の胸に手を添え揉み始めた。


「んんっ!!ハァハァ…いやぁ…っ…」


「俺のこと嫌い?」


「だめぇ…嫌いっていうか…んんっあぁんっ!!ねぇ…舐めちゃだめぇ…」



No.53

「ねぇ…んんっ!!聞いて…る?だめぇ…っあ!!んっ…!!だめぇ…ぁんっ!!」


男はさっきまでとは違う、メスの表顔をしている詩織の顔を見ながら、主張しているものを吸ったり、厭らしく舌を這わせている。


「ハァハァ…んんっ!!」


「止める?」


「…ハァハァ…やっやめ…て…ハァハァ…んんっ…さい…。」


「えっ?なに?」


No.55

「ねぇ…やめて?おねがぃ…。」


「ダメだ。」


男は詩織の肩に噛みつきうっすらと、歯形が残った。


「いっ痛いっ!!…っ?!」


なんか硬いのがあたってる…?


「お前はもう俺の物だ。逃がさないし、逃げたくなんかなくなる。」

No.56

私は、真っ直ぐな瞳で見つめてくる男の瞳を見ていたら、何を言おうとしていたか忘れてしまった。


まるで狼に狙われている鹿の気分だ。


それに心拍数が急激に上がってくるのが自分でもわかる。

男の人なのに…とても綺麗だ。


「杉村 零次だから。」


「名前…?」


「名前以外に何があるの?お前って案外抜けてるな。」

というと、零次は笑い始めた。

No.57

あっ…笑窪…。


雰囲気がガラリと変わった零次に困惑している。


なんだか近所の優しいお兄ちゃんって感じなような…


零次は詩織の気持ちを知ってか知らぬか、詩織のおでこに自分のおでこを、こつんっと当てて、にっこりと
笑った。

No.58

「お腹減ったか?」


「減ってないです…。」


…なんで急にこんなに優しくなったんだろう?もしかして、睡眠薬とか入ってる??

目を覚ましたら船の上…?いや、女だから外国に身売りされちゃう…?どうしよう…。

「用意してあるから食えよ。」


零時は詩織の乱れた服を整え、テレビをつけた。


「お腹減ってません。」

「そっか。今から仕事だから行くわ。」


というと零時はあっという間に行ってしまった。

…えっ?逃げていいってこと?


でもこれってもしかして罠?

No.59

テーブルの上には沢山の料理が並んでいる。


えぇ…凄いこれって手作りかな??
すっごく美味しそう…


はぁ…。食べたいなぁ。
我慢我慢…。


詩織は足音をたてないように静かに玄関に向かった。


カチャン


鍵を開け少しだけ開けて、周りを確認した。


…隠れてなんかいないよね?


詩織はキョロキョロ周りを見渡したあと、勢いよく飛び出して走り始めた。


「とっとにかく逃げなっんんっー!!」



走り始めた瞬間、後ろから何者かに口を封じられるとあっという間に車に乗せられた。



「んんっ!!」





No.60

「手荒な真似してごめんね。今からする質問にちゃんと答えてくれたらすぐ自由にしてあげるから、ちゃんと答えてね?」


「はなっ…離して下さいっ!!」


「いいかい?ちゃんと答えられたら、なんでも買ってあげるよ?」


「離して…っ!!」


「杉村の彼女なの?」


「えっ?…違います。」


No.61

「へぇー。そうなの。」


「…っ!!」

男が詩織に香水のようなものをかけた。

…なにっ?!意識が…


「やっと目が覚めた?」


「んんっ…ってどこっ?!」

目が覚めたらベッドしかない部屋に移動していた。

「もう一度聞くけどお前は杉村のなんなの?」


「えっ…なんでもないです。」


「脱がせろ。」


というと、周りに立っていた男達が詩織を掴み、服を脱がせ始めた。


「いやぁ…やめてっ!!」

No.62

あっという間に詩織は脱がされ、全裸にされた。


「お前達は外で待ってろ。」

というと、命令した男以外は、部屋から出ていった。

「緊張してる?名前なんていうの?」


「服…返して下さい。」

「まぁいいや。」


男は詩織を押し倒した。


No.63

男は詩織の乳首をコリコリといじりながら、もう片方の乳首を口に含む。


「んっ…やめて下さい…。」

「嫌か?」

「嫌です…」

「はぅ…あっあぁんっ!!」

「ふふっ。乳首感じやすいの?」

「そんなことないです…んんっ!!」

男は詩織にキスをした。

No.64

徐々に男の手が下の方に向かっていき、誰にも触れられた時のない場所にたどり着いた。

「大人しそうな顔してこういうの好きなんだね。もう濡れてる。」

男がゆっくり指を動かすと同時にクチュ…クチュ…と音が聞こる。

「はぁ…はぁ…好きじゃ…んんっ…いやぁ…。」

詩織は初めて知ってしまった快感から逃げようとするが、がっちりと捕まれていて逃げれない。

「でもここ、トロトロだよ?」

「そんな…ちっ違います…」

「指何本入るかな?まずは1本いれるよ。」


No.65

キツキツな穴に、詩織の愛液を絡ませた人差し指をねじりこんだ。

「分かる?俺の指がお前の中で動いてるの。てかお前処女か?」


「んっ…いやぁ…。」

「お前嫌だって言うわりに感じてるよな?」

男は薬指も入れ、2本の指でクチュクチュと動かし始めた。

「…ちっ違います。あっんんっ!」


「へぇー。自分でここ弄った時ある?」

「…なっないですっ…」

男はわざと音が出るように指と愛液を絡ませながら出し入れしたり、奥の方に当てたりしている。

「自分でやる時ってこうやってじゅぷじゅぷ厭らしい音出しながらやってるの?」

No.66

「だから…やってません…」


「ふーん。まぁ別にいいや。」


男はカチャカチャとベルトを外すと、そそりたつぺニスが顔を出した。


「えっ…なっなにするんですかっ?」


「分かるだろ?」

「えっ…」


「舐めろよ。」

No.67

「いや…です…」


「お前に拒否権なんてないんだけど。 仕方ねぇな。」


男は慣れた手つきで詩織の手をベルトで縛った。

「ほらっ舐めさせてやるよ。いいか?絶対噛むなよ?」


男は詩織の顔の上に股がり鼻を掴むとぺニスを口に当てた。

「んんっ!!」

No.68

初めて嗅ぐ独特な臭いと、初めて目にしたギンギンにそそりたつものから一生懸命首を振り、逃げようとしている。


「ほ~ら。美味しいぞ?」


「んん〰〰!!」


「もうそろそろかなぁ?」


詩織は限界が来たのか口を少し開けてしまうと、男はその瞬間を見逃さず、ツルンと血管が浮き出て熱くなったペニスを滑り込ませた。


No.69

「あー…いぃ。」



苦いような、なんともいえない味が、詩織の口の中に広がり、何回も詩織はえずきそうになるが、男はうっとりとした表情を浮かべている。

「ほらっ…舌もっと動かせろ…」


No.70

あれから私は、色んな事を教わった。だから今では、口だけでイカせることも簡単に出来るようになったし、



「ハァハァ…詩織…んんっ…ハァハァ…中に出すぞ?孕めよ??」


「だしてぇ…奥にぃぃ!!…あっ…んんっはぁ…私もイクぅぅ~!!んんっ…あぁんんっ!」


って最後に言うと喜ぶんだよね。
あはは。演技も上手になったでしょ?


でも…でもね…。終わると汗だくの男が、荒い息遣いをしながら私を抱き締めて、頭を撫でてくれると、少し嬉しいんだよね。


私を必要としてくれてるのかなって…


No.71

でもそれは…性奴隷として必要な
だけ…それだけ…。


男は私のアソコからドロッと出てきた白い液体を嬉しそうに眺めると、指に絡ませ私の口に運び舐めさせる。


この瞬間が一番好きらしい。


満足すると男の部下がやってくる。

あれ?笑える。なんでだろう?
やっぱり私は…

No.72

この部屋に一つしかない窓から見える景色。

自由に飛び回る雀。

なんて羨ましいんだろう。


逃げ出そうと試みた。


自由を勝ち取る為に。

でも前の時みたいには上手くはいかなかった。


手首の痛々しいキズ跡と心に刻まれたキズ。


神様…私は何時まで生きなきゃいけないんですか…?

No.73

足音が近づいて来る。


現実に戻る合図だ。


キィィーバタンッ。


「久しぶり」

「お疲れ様です。」

男は詩織の横に座ると、荒々しくキスをした。


この男は、組長の一人息子裕司だ。


「んんっ…。」


荒いキスとは裏腹に、優しくベッドに寝かせると首筋にキスをした。

「風呂入るぞ。」



No.74

でもこの人はみんなとは違う。

シャワーを浴び終わると、すぐさまベッドに横になり、スヤスヤ寝てしまう。


初めての日は凄く戸惑った。


戸惑っているのに気付いたのか、

「早く寝ろ。」


と迷惑そうな顔で言われた。


逆に何時も寝不足になってしまう。


この人は一体何を考えているんだろうか??



No.75

キスはするのに…。


次の日、私は中年の男の額から流れる大粒の汗を、顔にポタポタと垂らされながら、漠然と考えていた。



やっぱり分からない。どうしてなんだろう。



「ハァハァ…。詩織ちゃん…制服似合ってるよ?でもさ…他の男のこと考えてない?取引やめようかなぁ。」

「そんなことないです…。あのぉ…これ…舐めさせてもらってもいいですか?」


No.76

舐めたくない…。


ちゃんと甘ったるい表情が作れているだろうか…?


この人のは太くはないが、長さがある。それに臭いがキツイ…。


嫌だ。


チュッと先端にキスをする。


「んっ…?珍しいねぇ。詩織ちゃんが口でするなんて。」


…仕方ないじゃん。


No.77

もし取引が失敗したら…想像もしたくない…。


「ハァハァ…良いねぇ。メスの顔してるよ。乳首もこんなになってさ。」


こりこりと詩織の乳首を触る。



「あぁんっ!!ハァハァ…だめぇ…。」

逝ったばかりのモノが、元気を取り戻し、詩織の頬にツンツン当たっている。


「ほらここはどうかな?もしかして、また欲しくなっちゃったの?」


男はグチュグチュに濡れている割れ目に手を伸ばす。




No.78

「あっ…だっだめぇ…勝次さまぁ。」


心とは裏腹に太ももに伝う愛液。


「オジサンに触られて感じてるの?可愛いなぁ詩織ちゃんは。でもさっきから止まってるよ?挿れて欲しいなら、ちゃんとオジサンを気持ちよくさせなきゃ、突いてあげれないよ?」


ハァハァ…。なんでだろう。臭いし汗だくだし気持ち悪くて嫌なのに…早く…早く中に欲しいと思ってしまう自分もいる…。


No.79

「んんっんん~ハァハァ…んっ!!」

ズンッと男は腰を押し付け、詩織の頭を押さえながらグリグリと頭を揺らした。


「いいねぇ。詩織ちゃんの口の中、オジサンで一杯だよ?」


男は、詩織の髪の毛を鷲掴みすると、上げたり下げたり、ズンズン腰を打ち付けたりと、たっぷり詩織の口を楽しんでいる。


詩織の割れ目からは、先程よりヌルッとしたモノが厭らしく垂れ、早く挿れて欲しいと言っているかのような濡れ方だ。




No.80

「あはは。オジサンのが、そんなに好きなのか?うちに来るかい?」

「ハァハァ…えっ…?あんっんんっ!!きゅ…急に入れちゃだめぇ…。」


グチュグチュ音を出しながら、熱を持ったモノをゆっくりと出し入れしてる。


「それに詩織ちゃんと同い年くらいの息子もいるんだよ。きっと気に入るだろう。」


「えっ…?んんっ…ふぁっんん…。あんっ…ハァハァ…なかぁなか気持ちいぃ…いゃだめぇ…もう…いちゃっうぅぅ!!」


「まだイクなよ?どうだ?毎日可愛いがってやるぞ?こうやってなぁ。」


腰を打ち付けながら、詩織のおっぱいをペロッと舐め、乳首にしゃぶりついた。


No.81

「イクッ…いっちゃうぅぅ…ねぇ…ねぇおしっこ…おしっこ漏らしちゃいそうだよぉっ!!だめぇ…だめぇ動いちゃだめぇ…あぁんっ…はぁぁんっ…んんっ!!」



ぴゅっぴゅっと潮吹きしながら身体をガクガクと小刻みに揺れたかと思うと身体の力が抜け、詩織はしがみついていた手を離すと、ぼっーと天井を見つめ快感の余暇に浸った。


「乳首ちょっと弄っただけでいっちゃったの?本当感じやすいねぇ。ますます気に入った。今日、詩織ちゃんを連れて帰るよ?あっ…でもその前にちゃんとスッキリしないとねぇ。」

No.82

イクと現実に巻き戻され、自分のことが、汚がはらしく感じる。


いや、急にじゃなく私は、初めから汚いんだ。


生まれて来てごめんなさい。


今も生きていてごめんなさい。


詩織の頬に涙がつたう。



男は気にせず、愛液でぐちょぐちょになっている部分に、口をつけるとズズッ ジュジュと音をだしながら吸い付く。

「あっひぁっ〰んぅ!!」

心とは裏腹に、頭がおかしくなる程の快感。

詩織はなんともいえない表情を浮かべている。




No.83

ぐったりしている詩織に、まだまだ収まらないモノを押し込んだ。

「くぅ…やっぱりお前のマンコは最高だ。ハァハァ…。」


詩織の口の周りを、涎でぐちょぐちょに舐め回しながら腰を打ち付けている。


「ハァハァ…もうイキそうだ…。
孕めよ?あぁ…おじさんの精子たっぷり注いでやるからなぁ?あぁいいか?イクぞ…?孕めよ?…っんんぁぁ!!」


びゅびゅっと詩織の奥深くに熱い精子がたっぷりと注がれ、入りきらなかった精子がドロッと顔を覗かせた。



No.84

「ハァハァ…勝次さまぁ…んんっ。」

「少し休んでろ。」

というと、男は詩織の頭を撫で、部屋をあとにした。



ジンジンする…

それに、まだ私のアソコから汚いモノが溢れ出てくる。

でももっと…っんん。

ぐちゅぐちゅ…はぁはぁ。

詩織はイッたばかりの場所を指でゆっくりとかき混ぜる。


んんんっ。はぁはぁ。

荒い息遣いのまま、愛液と精子をたっぷりと指に絡め匂いを嗅ぐ。

足りない…まだ…イキたい…。


No.85

舌を出しペロッと舐めると、口の中に生臭い味が広がる。


最近は罪悪感を感じながらも汚ならしい欲求が増しているのに、薄々と詩織は感じている。



もう戻れない。

セックスなしでは生きて行けない…。



んんんんっ!!


はぁはぁ。


また身体を仰け反らせイッてしまった。


まだまだイキたい…

犯されたいよ…



No.86

その頃、零時は詩織を探し回っていた。


何故なら零時は初めて詩織を見た瞬間に、心を奪われてしまっていたからだ。



最初はよく分からなかった。
自分が一目惚れしたことに。




No.87

零時は自分の考えの甘さに後悔していた。

あの日一緒にいれば…。

だけどアイツは、

逃げたのか?

それとも連れ去られた?


一体どっちだ?


あぁ。胸がモヤモヤする。病気か?

No.88

「おいっ。零時?なにぼっーとしてんだよ。もしかしてあの娘タイプなんか?」


「えっ?わっ若竹さんっ!?お久しぶりです。」

急に話し掛けてきた人は、零時が小さいときからよく遊んでくれたり、元料理人というのもあって、料理を教えてくれた、零時にとっては、父親みたいな存在だ。ここ最近は、体調崩し休養していた。


「トイレ怖い~!!っていって漏らしてばっかりだった奴が、今じゃなぁ…。これ…沢山いるんか?」


若竹は笑いながら女の子に声をかけにいった。




No.89

…相変わらず女好きだな。


「零時さーん!!」


「ん?」


スマホで話していた後輩の田村が、興奮気味で呼んでいる。


「みっ見つかりました!!今たまたま車に乗り込むところを見たらしいです!!」


零時はすぐさまスマホを田村から奪い取った。


「今どこだ?」





No.90

「れっ零時さん?!ええっとここは坂本組の…」

「はっ!?なんでアイツが?」

「いっ今、金田の車に…。」

零時は携帯を投げ捨て部屋を飛び出した。


俺のせいだ。俺といたから…。


「おーい?れいじ~?!あれれぇ?あんな怖い顔しちゃって。僕のとこにくるかい?美味しく調理してあげるよ?」


若竹は女のお尻を鷲掴みしながら笑っていた。




No.91

零時は先回りして金田の別荘に車を走らせた。


どうか…無事でいてくれ…。

やっと見えてきたかと思うと、

金田の別荘の前に、黒塗りの外車が1台止まっている。




ん…?あれは…坂本組の…裕司?どうしてアイツがここに?


それより詩織は?


零時は車から降り、裕司に話し掛けた。

No.92

「裕司お前なんでここにいるんだ?」



「…。」

零時は裕司の胸ぐらを掴んだ。

「なんかいえよ。」


「お前には関係ない。」



「詩織って名前の女知ってるよな?」


No.93

「なぁ、零時?お前さぁ、俺の胸ぐら掴んだってことは、覚悟出来てんだろうな?」


「あぁ。」


2人は胸ぐらを掴みながら睨みあっている。


そんな2人の元に歩み寄る男がいた。

No.94

その頃詩織は、窓から景色を眺めていた。


「どこか行きたいとこありますか?」



「どこって…何処にでも連れて行ってくれるんですか?」


「大丈夫ですよ。勝次様からご命令を受けているので。逃がすことは出来ませんが…。」


「本当に何処でもいいの?」

No.95

「えぇ。何処でも。」


「じゃあ天国は?」


「天国…ですか?」


「あはは。冗談です。だって私は穢れてるから天国なんて行けませんよね。」


「ええっと…。」


「困らせてしまってすいません。行きたいとこなんてありません。とっても高い車に乗せて貰えたってことだけで充分です。」


「そんなこと言わずに…」


No.96

「例えいま、綺麗な景色を見たとしても私の病んだ心では、灰色に見えちゃうから…。そんな私のために、迷惑なんてかけたくないし、特に行きたいところなんてないですから。」


「迷惑だなんて思いませんよ?本当に行きたい所はないんですか?」



「はい…。」



「じゃあ適当に流しますね。」




詩織は無言で頷いた。

No.97

「そういえば勝次様、ずっと詩織さんが家に来るのを、楽しみにしてたんですよ?和也にぴったりの嫁を見つけたって!」


…和也?もしかして?なわけないか…。


「勝次様の二番目の息子さんなんですけどね、身体が弱いし人見知りっていうのもあってなかなか相手が見つからなくて…。でもとっても優しい人なんですよ?そうそう、詩織さんとも歳近いんじゃないかな?」

No.98

「そうなんですね。いいなぁ…お金持ちが羨ましい。人を玩具のように買えるんだから。」


「羨ましいんですか?和也様はこんな家になんて生まれたくなかった。が口癖でしたよ?」


底辺の暮らしを知らないからそんなこと言えるんだよ…

贅沢な悩みで羨ましい。

「まぁ、でも贅沢な悩みだなぁとは思いますよね。私は15のときに両親が蒸発して家賃も払えず、路地裏で生活していたときもあるんですよ。だから詩織さんの気持ち少しは分かるかも。」


「えっ…。」






No.99

「ごめんね。おじさんの話し聞いて貰って…あっ…雨降ってきたね。」


ミラー越しに目が合い、詩織はパッと目をそらしうつむいた。



「そう…ですね。」


私はもしかしたら…まだいい方なのかな…。

No.100

「詩織さんは雨好きですか?」


「雨ですか?」


「私は晴れの日も好きなんですが、雨のなんともいえない独特で、どこか懐かしいあの匂いが好きなんですよね。まぁ外で暮らしていた時はただただ辛かったけど。」

と笑う運転手。


そういえば、雨降るとお母さんが傘を持って迎えに来てくれたっけ…。

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