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子供の頃の話
No.162 2018/09/29 05:44
匿名さん ( 41 ♀ )
あ+あ-
★
「住吉」さんを背負って歩く。
思っていた通り「住吉」さんはとても軽かった。
「……ごめんね……重いでしょ……」
ゼイゼイ言う息の下から無理矢理声を出しているのが分かった。
「いやー。ぜんぜんかるいよ?なんもおんぶしてないみたい。それより寝てていーよ?」
「…………うん………ごめんね………」
「だいじょぶだいじょぶ!つーか、むりしてしゃべんなくていいからさ」
「…………うん………」
皆、心配そうに私と「住吉」さんの回りを歩く。
「早く病院いかないとだめだね」
白田さんの言葉に続いて田口くんが
「高木さん、つかれたら言ってな。おれがつぎおんぶするからさ」
と言ってくれる。
有りがたかったがそれは無理だと思った。
多分「住吉」さんは男子に背負われるのは嫌がるだろうな、と考えた。
やはりと言うか「住吉」さんの胸が私の背中に当たっている。
ブラジャーはまだ着けていなさそうだったが、十分に『女性』だ。
男子に背負わせる訳にはいかない。
右足首は痛かったが、転ばない様に足下に集中していると痛みを少し忘れられた。
どうやら「住吉」さんは熱があっても眠れない様で、私や白田さんと話をしている方が気が紛れたみたいだ。
「スミキチ」さんかな?と思っていたが「スミヨシ」さんだった。
読めなかったのは恥ずかしくて言わなかった。
他にも、小さい頃から体が弱くすぐに熱を出してしまう事や、一人っ子で大事に育てられたという様な事も話してくれた。
話の中で
「たぶん体が冷えたんだと思う」
と住吉さんが言った時に
(あぁ、私のせいだ……)
と思った。
(氷あげちゃったからだ……)
いい気になっていたさっきの自分のせいだと思い
「ごめん……」
と謝った。
住吉さんは
「ううん、高木さんのせいじゃないよ。歩いて、あせいっぱいかいたからだよ」
そう言ってくれた。
段々と私の歩くスピードが落ちてきた頃だった。
「ねえっ!人の声する!!」
津田くんの大きな声に驚いた。
「あっ!あれ、道じゃね!?」
津田くんが指差す方を見る。
歩いていた場所から数十メートル先に舗装された道があり、何人かの人が歩いていた。
「やったー!!帰れるー!!!」
津田くんと田口くんが騒ぎながら道に向かって走りだす。
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