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No.165 2018/09/29 06:07
匿名さん ( 41 ♀ )
あ+あ-



「5分で弁当食ってこい!!」

先生に言われて慌てて駐車場の端の食事コーナーに向かう。

屋根に覆われた広場に木のテーブルとベンチがあり、そこで遅くなりすぎた(しかも5分の)お弁当タイムになった。

私以外の皆が、それぞれリュックサックからお弁当の包みを取り出す。

私はベンチの端に座って水筒だけを出し、残った麦茶を飲んでいた。

ちらりと皆のお弁当を見ると、全員キチンとしたお弁当箱に、これまたキチンと美味しそうなおかずやごはんが詰められている。

(多分)津田くんが

「あれ?高木さん、べんとー食べないの?」

と言ってきたが、私は

「しょくよくない」

とだけ答えて席を立った。



広場の更に端にある、ゴミ箱に向かう。

捨てる前に一応バンダナを開いて見てみたが

(………やっぱり『コレ』か………)

と慣れている筈なのにガッカリした。

バンダナの中には、アルミ箔でくるまれた大きなお握りがふたつだけ入っている。

母の作る『お弁当』は何時も『コレ』だった。



病む前の母は私が幼稚園の頃は、割りとしっかりとしたお弁当を作ってくれていた。

が、精神を病んでしまってからは買い物にも行けなかったし、考える事も出来なくなっていたのだろう。

母の『お弁当』は、味付けは塩だけの『コレ』のみになっていた。



(だからいらないって言ったのに)

皆から見えない様に注意しながら、アルミ箔にくるまれた『お弁当』をゴミ箱に捨てた。

右足首がズキズキと痛くて堪らなかった。


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