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No.197 2018/11/28 20:51
匿名さん ( 42 ♀ )
あ+あ-



無事に3年生を送る会も終わり、あっという間に卒業式を迎えた。

式の日の朝から三間坂さんはずっとしょんぼりとしていて、式が終わり解散の時間になると私の元へ来て顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。

どうやら三間坂さんは3年生のサッカー部だった男の先輩に片想いをしていたらしい。

「…もうセンパイ見れないよ~、うあ~ん」

とボロボロと涙を溢して鼻をすすりながら、その先輩への贈り物らしい手作りクッキーの包みを胸元に押し当てていた。

「うぅ…センパイこれうけとってくれるかな……ううっ……」

ずびっ、ずびっと何度も鼻水をすすりながら

「……わだしてくる~。うぅう……」

と言って三間坂さんは片想いの先輩の所へ駆けていった。



その年は桜の開花が早く式の日には花はすでに満開だった。

グラウンド横の歩道脇に何本も植えられている桜の木からは、強い風に煽られてたくさんの花びらが散っていた。

花びらの中を駆けていく三間坂さんの姿を見ながら、私は昇降口の階段下で一人でボーッとしていた。

なんだか複雑な気持ちだった。

幼稚園の頃は卒園の意味もまだ分からなかったし、小学校の時は顔ぶれも特に変わらないのだから、と卒業には何の感慨も沸かなかった。

なのに今、ピンク色に染まった景色の中で笑ったり泣いたりしている人達を見ていると、不思議と私の目にも涙が浮かんだ。

(……卒業って)

こんなにも寂しくて、こんなにも綺麗なんだな、と初めて思った。

(センパイ達がしあわせになれますように)

心からそう願った。



そして三間坂さんは見事に先輩にフラレた。

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