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子供の頃の話

No.216 2020/06/26 02:15
匿名さん ( 43 ♀ )
あ+あ-



イスに座った加藤さんに

「かとーさん、もっと氷どぞ~♪」

と彼女に渡した白いコップに氷と麦茶を入れる。

「……ありがと」

麦茶を飲む加藤さんに町田さんが聞いた。

「加藤さん部活つまんない?」

「…………部活がつまんない、って言うか……」

「ん?」

「…………この学校ってさ」

「うん?」

「……やたらと自由だ、とか教師が言ってるけど全然自由じゃないよね」

「あー、そういうとこあるかもね」

と答えた町田さんに加藤さんは話を続ける。

「みんなやってる事とか小学校の時とおんなじだし」

コップの氷は麦茶の水分で噛み砕き易くなっている。

口に含んだ氷をガリガリと噛みながら加藤さんの愚痴は止まらない。

「自由だなんだって言ってもあれするなコレするなってさ、ちょっと周りと違う事すると教師って怒るじゃん。それのどこがどう自由なんだってさ」

「うーん」

「あと上下関係うるさいし」

「うちの部はそうかもねー」

「そういうのも全然自由じゃないし。結局自由だ責任だって全部嘘じゃん、この学校って嘘ばっかりだよ」

氷がなくなるタイミングを見計らって

「かとーさん、氷どんどん食べて~」

と私は彼女の空のコップに氷を足す。

今は私はホステス代わりだがそれでいい。

「うん」

足された氷をまたガリガリと噛む加藤さん。

「私のクラスの奴らだってさ、同じことしかしないし。それの何が自由だっていうんだかわからないよ。みんな同じにしないとすぐハブったりさ」

「そっか、だからイライラしちゃう?」

町田さんの問いに

「もう本当にみんな馬鹿みたい」

そう答えた加藤さんのコップにまた氷を入れる。

愚痴に夢中な加藤さんは苛立たしそうな顔で、足された氷を噛み砕き続ける。



ちらりと柱に掛かった時計を見る。

お昼休み終わりまで後5分を切っていた。

「なんだろ、むじゅん?って言うの?そんなのばっかだよ、この学校の教師も生徒も」

「そっかあ、加藤さんそう思ってたんだねー」

町田さんがそう言うとほぼ同時に

「みんなー!そろそろ午後の部活始めるよー」

と藤田部長が休み時間の終わりを告げた。

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