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子供の頃の話

No.45 2018/04/14 20:35
匿名さん ( 41 ♀ )
あ+あ-



「お母さん!」

居間でこたつに頬づえをついている母に声を掛けた。

居間の電気は相変わらず点けておらず、暗い中で母はため息をついていた。

「…………」

声を掛けたが無視された。

「ねぇ、お母さん!ねぇ!」

母はこちらを見もせずに

「……何……?」

と、めんどくさそうに答えた。

「あのね、お母さん、これがわからなくてね、教えて!」

教科書をこたつの上に乗せて、「これなんだけど」と言ったら、

「……お父さんに教えて貰って」

「だって今お父さん仕事じゃん。わかんないの、お母さん教えて」

はー、っと息を吐く母。

「…だから、お父さんが帰ってきたら教えてもらいなさい。お母さん、分からないから」

そう言われても私は引き下がらなかった。

「わからなくてもいいよ、いっしょに考えてくれるだけでもいいから!ねぇ、お母さん、お母さん!」

パンッ

頬を叩かれた。

「お父さんに聞きなさいって言ってるでしょ!?しつこいっ!あっち行きなさい!」

そう言うと母はまた頬づえをついて、ブツブツと何か独り言を言い始めた。



自分の部屋に戻った私はまた机に向かった。

教科書を開いて問題を読む。

ちっとも頭に入ってこなかった。

頬を叩かれて頭の中は真っ白になっていた。

訳も分からずイライラして、鉛筆を放り投げた。



結局、帰って来た父に勉強を教わる気も失せてしまった。

その日から机に向かって勉強する事は無くなり、私の机はただの物置きになった。

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