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子供の頃の話

No.90 2018/05/09 01:41
匿名さん ( 41 ♀ )
あ+あ-



塾は月・水・金の週三回で、上級クラスは夕方の6時から7時までの一時間だった。

小嶋くんの後を(探偵みたいだ♪)とついて行った日の次の塾の日から、帰り道に小嶋くんがウロウロしているのが続いた。

その度に何故だか小嶋くんと一緒に帰っていた。

(小嶋、私のこと待ってたのか!)と気付いたのは、それから二週間程後の、年が明けてからだった。


冬休みが終わってすぐ、私はそろばんの暗算検定を受ける事になっていた。

塾の先生が

「今日は高木さんは検定なので、高木さん以外は7時を過ぎたら早く帰って下さい」

と、クラスの子達に言った。

勿論その子達の中には小嶋くんもいた。


検定時間は50分だったと思う。

暗算検定はすごく簡単だったが、どうしても受かりたかった私は見直し算を何度もした。

途中退席も出来たが、時間をギリギリまで使って見直しをしていたので、終わったら8時になっていた。

先生に挨拶をしてマフラーを巻き、出入口のドアを開くと、そこに小嶋くんが一人で立っていた。

「わっ!!ちょ、小嶋!?なっ、なにやってんの!?」

「検定終わった?」

「え、……うん、終わった…けど……」

「じゃあ帰ろーぜ」

(………な、な、……なんでこんなさむいのにこんな所に……)

そこで初めて私は気付いた。

「……小嶋、待っててくれたの……?」

「おう………ほら帰んぞ」

年明けすぐの夜の8時は空気もキンと音が鳴りそうなほど冷たく、風も強かった。

(……こんななかで一時間も待ってたの……)

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