黒百合女学院中等部 恋の時間割
No.117 2019/03/18 21:52
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )
あ+あ-
ここは桜台進学塾。バスが停まり、若い女性が降りる。塾の人気講師の棟上京子だ。塾の先生や生徒にボイン先生と呼ばれることもある。
その桜台進学塾前の道路を若い男が掃除している。
「清掃員さん、おはようございます。ご苦労様です」
棟上先生はちゃんと挨拶する。
挨拶に振り向いた清掃員さんは
その清掃員は、スーツの上着を作業着に変えた、同僚の真鍋先生だ。気分転換にスキンヘッドにし、口髭を蓄え、眼鏡も変えているから、棟上先生はまだ気付かない。
「棟上先生、おはようございます」
その真鍋の声に棟上先生
「真鍋先生だったの?。びっくりしたぁ!。どうしたの?イメチェン?」
「ええ、気分転換に」
「ふーん、良く似合ってるわ!。口髭は正解ね!なかったら宇宙人だけど、ハンサム度パワーアップね。これで生徒もまた増えるわね」
「いや~僕はハンサムじゃないですよ。ちびだし」
「ううん、真鍋先生は強いし小さくてもスポーツできるし、講義おもしろいで人気講師よ!。自信持たなきゃ!」
「それはありがとうございます!」
なんか、いつもと違う真鍋。
おかしい!と気付く棟上先生。
「どうしたの?。真鍋先生、何かあったの?」
「実は僕、今日ここを辞めて学校の先生になるんです。今まで親しくしていただいて、ありがとうございました」
丁寧に頭を下げお礼を言う真鍋
「そんな・・・。それで、どこの先生になられるの?」
「僕の母校と系列だった、黒百合女学院山手校高等部です」
「そうなんだ。真鍋先生、婚約者いらっしゃいましたよね。確か黒百合女学院中央校大学の赤井緑さん。結婚なさるのね、おめでとう!」
「いえ、結婚はまだ先です。実はその緑の妹のあおいが心配で。昔、交通事故のショックで一時失語してましたし、恩師に改めて頼まれましたので」
「そうだったの。それで最近は上の空だったのね。でも強いだけじゃない優しい真鍋先生は素敵よ!頑張って!」
そう応援する棟上先生に真鍋は
「ありがとうございます!頑張ります!」
「淋しくなるなぁ。わたしもね、高校教師なりたかったの。だからお願い!。そこ、空きが出たら教えてね」
「約束します!」
妹同然のあおいを護りたい。
そう決意した真鍋はこの日、辞表を提出した。
塾長に必死に引き止められたが決意は変わらなかった。
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