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黒百合女学院中等部 恋の時間割

No.119 2019/03/19 01:02
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )
あ+あ-

≫118

ワンピースを脱いでパンツ一枚姿のあおいに、新調の着物を着付けようとするママの桃子。そんなときキッチンから声がする。

「桃子さん、ちょっとこっちを手伝って下さらない?」

ひな祭りのご馳走とお菓子を使用人と作っていた、あおいのおばあちゃんは桃子を呼んでいる。側で介添えしてる使用人の山田に

「山田、あおいの着付け、お願いね」

そう言い付けてキッチンに向かう桃子。

そんな中、あおいはじっと、パンツ一枚姿のまま身じろぎもせずに立ってるだけだ。世が世なら山田などお目見え以下の身分、そこらの石と変わらない。

別に今のご時世にお嬢様ぶって、お姫様ぶって高慢してるのではない。パパママの社交を兼ねたひな祭りに姉の緑の代わりに挨拶に出るのだ。政治家も来ている。その儀礼だ。

あおいは自分一人でも着物は着られるのだが、旧武家の格式で控えの者、つまり使用人がいるときは、仕事させねばならない。主人のあおいに着付けし美しく和装させるのが山田の仕事だ。

山田は慣れた手つきであおいを着飾らせていく。帯を締め、日本髪に結い、かんざしを髪に、帯に懐刀を差し込み、香り袋を袂に。活発過ぎるゆえの、普段は庶民と同じような価格の服のお転婆娘のあおいが、上級武家のかわいいお姫様に変身だ。

その変身の一部始終を、憧れの眼差しで同級生のゆかり、カネコ、美佐は見とれている。

「やっぱりあおちゃんかわいい!。本物のお姫様だ!」

そんな羨望のカネコに

「あまりいいものじゃないわよ。窮屈なめんどくさいだけだから。ゆかちゃん、カネちゃん、行ってくるけど挨拶するだけだからすぐ戻るね。一緒に食べて遊ぼうね。わたし、こんな古臭い格式、大嫌い。だいたい緑お姉ちゃんと紫欄お姉ちゃんが逃げたから。なんでわたしが窮屈な目に・・・」

「まあまあ、怒らない怒らない。あおちゃん行こう」

同じく旧武家のあおいの遠戚の美佐も、分家筋としてあおいの介添えだ。赤井家道場の大広間に待つあおいの祖父と父の下に、あおいの後ろを静々と歩いていく。




数十分後、気疲れしたあおいは、同級生の前でまたも、やけ食いに走る。そのあおいの食べっぷりに

「あおちゃんすごーい!男の子みたい!カッコイイ」

わけわからない感心してるのは、お呼ばれのゆかり・カネコ・美佐に遅れて来た、ちはるとみずきだ。こちらは洋のドレス姿している。

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