黒百合女学院中等部 恋の時間割
No.95 2019/03/02 10:35
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )
あ+あ-
「ほーら苦かったのが、今度はおいしいジュースになった。飲んでみ!」
そうグラスをあおいに渡す、あおいの想い人の瞬の父、真鍋勝兵。
と言うのも、父の幸一朗や姉の緑に数ヶ月分の怒りをぶちまけるあおいによる、長~い長~いお説教を終わらせたいからだ。
「ほんとう?」
すすめられたグラスを疑いながら怖々と口にするあおい。
さっき思いっきり苦くて拒絶した液体が、ほろ苦さは残るものの確かに甘くなって蜜柑の味とかおりが混ざって飲みやすい。
「ほんとだ!おいしいっ!」
「でも炭酸が少し足りないような・・・」
それでもあおいは、それが実は勝兵がビールと蜜柑で即席で作ったカクテルと知らずに
「勝兵おじちゃん!もう一杯飲みたいっ!」
「はいはい。待ってなよ」
あおいの祖父の晋太郎はお酒に弱いし幸一朗は全く呑めない下戸。遺伝的にあおいは弱いか下戸では?と、勝兵は酒によるあおい黙らせ作戦に打って出たのだ。
♪ピンポーン♪
赤井家の門のチャイムが鳴る。
「はーい!」
インターホンに出た桃子が迎えに行こうとするのを、ワシが行く!と玄関に向かう幸一朗。
勝兵があおいの気を引き付けている今が、あおいの怒りからの逃亡チャンスだからだ。
あおいは気まぐれゆえに、わずかな時間でも自分があおいの視界から消えてれば、勝兵があおいの気分を変えてくれるはずだ。そう思い、同じくあおいの激怒の被害に遭っている緑に目配せする。
まして今あおいは、下戸なワシの娘あおいは、カクテルをジュースと思い込み、おかわり要求しているから、恐らくすぐ潰れるだろう。そんな淡い期待を胸に
冷え込んでいる大晦日の夜。はんてんを着ながら、今年最後の客は誰だ?と、幸一朗は緑と門に向かう。
注目の話題
おとなチャンネル 板一覧