黒百合女学院 恋の時間(小愛的故事) 確定清書版
No.10 2019/12/02 20:07
青木あかね ( 38 ♀ sq6JBe )
あ+あ-
🎶聖し(きよし)この夜 星は光り
救いの御子(みこ)は 馬舟(まぶね)の中に
眠り給う(たもう) いと安く
聖しこの夜 御告げ(みつげ)受けし
牧人(まきびと)たちは 御子の御前(みまえ)に
額ずきぬ(ぬかずきぬ) 畏みて(かしこみて)🎶
京都の街はクリスマスシーズン真っ盛り。クリスチャンホームの赤井家の旧武家屋敷もクリスマスを迎え、全知全能の創造主・父なる神に感謝しつつも、どことなく浮ついていた。
それは赤井家は会社経営もしているが、地域貢献に、塾や道場も経営していて、この二つのクリスマス会付近の日々は、出入りする子ども達や若者達が増え、賑わうためである。生徒にくっついて見学や遊びに、はては冷やかしに来る、生徒の兄弟・従兄弟・友人関連で。
そんな忙しい週の始まりの、クリスマス前の最後の日曜日。赤井家の面々は、クリスマス礼拝と教会日曜学校、聖歌隊のクリスマスコンサートの練習を終え、帰宅していた。
あとはクリスチャンとしては、三日後の聖降誕礼拝を残すのみ。時はすでに釣瓶落としに日没した、夕闇であった。
赤井家の邸宅の一室、家族に親戚そして使用人たちが音楽好きのため防音加工された離れで、姉妹が声高らかに歌っている。
末娘あおいの通う黒百合女学院山手校幼稚部の、初等部との合同クリスマス会。そこであおいの年長さんクラスが歌う聖歌の練習に、九つ上の姉の緑がピアノを弾いて付き合っているのだ。
「あおいもなかなか上手くなったわね~」
「へへーん!。だって毎日練習してるもんっ!」
「じゃあ次は「もろびと来ぞりて」やるよ~!」
🎶諸人(もろびと)来ぞりて 迎え奉れ(まつれ)
久しく待ちにし 主は来ませり 主は来ませり
主は 主は 来ませり
平和の君なる 御子(みこ)を迎え
救いの主(ぬし)とぞ 誉め讃えよ 誉め讃えよ
誉め 誉め讃えよ🎶
そんな中、離れの防音扉が開く。
にこやかな笑顔を覗かせたのは
あおいの一回り上の長姉の藍子だ。
「あおい~後でわたしのお部屋にいらっしゃい。あなたへのプレゼントのワンピースドレスね、出来たから。裾はまだ仮縫いだから着丈を確かめたいの」
来年も再来年も繰り返されるであろう
ありふれた、ささやかな
年末のクリスマスの日々の日常は
あおいには・・・二度と・・・
注目の話題
おとなチャンネル 板一覧