黒百合女学院 恋の時間(小愛的故事) 確定清書版
No.20 2019/12/14 03:19
青木あかね ( 38 ♀ sq6JBe )
あ+あ-
《あおい七歳 恋の始まりの時間 後編》
クリスマスと冬休みはもうすぐ目の前!と言うのに、運が悪いことに、中学校で居残り補習を命じられた、あおいの九つ上の次姉の緑。
が、ネチネチシツコイから犬猿の仲の佐藤先生の補習から、隙を見て何とか逃げ出した緑は、あおいを幼稚部に迎えには行けなかったものの
『ママに頼まれてた、わたしの代わりにあおいを迎えに行った藍子お姉ちゃんは、この道であおいと帰ってるはず』
そう思う道を急いでいた。緑は今日、あおいと遊んでやる約束をしていたし、途中、あおいに買ったクリスマスプレゼントのお人形を、早くあおいにやりたかったから。
そして、自宅まですぐの大きな交差点が目に入る。赤信号を待ってるのは、あおいの前にしゃがんで、あおいの頭を撫で撫でしている藍子お姉ちゃん。すると信号が青に変わる。
「藍子お姉ちゃーん」
そう手を振り、大きく声をかけようとした緑。その目に飛び込んだ、一生忘れられないであろう、スローモーションな、そのシーンは
「きゃーっ!」
藍子の背中越しに自分に迫る死を見て
恐怖の絶叫の悲鳴をあげる、あおい。
その悲鳴と背後の音、そして気配を感じたか、本能的に咄嗟に、全力であおいを突き飛ばす藍子。そして
藍子の歩道に乗り上げる、信号無視の黒いワンボックス。
藍子に突き飛ばされ、転ぶあおい。跳ね飛ばされた藍子。
逃げる黒いワンボックス
鮮血で道路を紅に染める藍子
すでに心停止し、意識もない藍子だった。
慌てて駆け寄る緑。
「お姉ちゃんっ!藍子お姉ちゃんっ!」
「あおいっ!あんたは怪我してない?」
「き、救急車呼ばなきゃ!」
それから一週間した赤井家
「瞬お兄ちゃん、毎日来てくれて、毎日あおいと遊んでくれて、本当にありがとうね。あおいも少し落ち着いたみたい」
あおいや自分とは遠戚かつ幼なじみの真鍋瞬に、自宅玄関の外でそう頭を下げてるのは、あおいの九つ上の姉の緑だ。
最愛の亡き藍子、あおいの一回り上の姉の藍子とは、赤井家と真鍋家の約束で、産まれながらの婿だった、真鍋家のお坊っちゃまの瞬。
「お礼なんてしなくていいんだ。あおいもお前も、俺には可愛い妹同然だからな。でも、あおい、まだ喋れないな」
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