優しさに流されながら１
彼とものっすごい喧嘩をした。取っ組み合いの。
喧嘩をするとしばらくは無視大会になる。
私はその家の雰囲気が耐えられないのだ。
今回、それが嫌で早い段階で外泊を続けようとしたら
「無視はしないから帰ってこい」と。
じゃあ、と思って帰りはしたけど、無視はしないにしても最悪に機嫌が悪そうなのだ。
やっぱりこんな家にはいたくない。
急に休みになった土曜日は、特に予定はなかった。
一人で家の掃除をして、喧嘩した時に散らかったものたちを片付けて…なんてやってたら
高校の同級生仲良LINEグループで、その中の一人（リエ）がやっているカフェに食事に行こうという話になった。
カヨとその彼氏が今夜行く！となり、私も行けるので、いつも一緒に行っているユウキを誘ってみた。食事終わったあともそのまま遊べるかなと思って。
彼も同じ高校の同級生で、私とは部活が同じで仲は良かった。カヨとリエは同じクラスだった。
ここ半年位、たまに会っている。彼女もいないようで土曜日の夜に暇だっていうだけで。
リエの店にも二人で何度か訪れたり、山梨までドライブして日の出を観に行ったりもした。
そうやって付き合ってくれるから、冗談っぽく「帰りはユウキんち行く」って言ってみたら
「ダメ」とあっさり断られた。・・・ですよねw
お店に着いた時はもうみんな揃っていて、全然食欲なかったけど、雰囲気壊しちゃいけないと思い、それなりに食べておいた。リエが作るごはんはいつも本当に美味しい。
なんでもない話をしながら、閉店時間を迎え、そこでお開きになる。
カヨカップルはそのまま帰ると言い、私はいつも通りユウキの車の助手席に乗った。
「で、どうする？帰る？」
ユウキの言葉に、私は素直に「うん」とは言えず、
「どーしよっかなー！」なんて明るく言ってみた。
「ちなみに…洗濯してる間、部屋ちょっと片付けといたけど」
一応気にはしてくれてたんだ。
「寒いし、遊ぶとこないからじゃあユウキんち行く」
そのまま車を走らせ、埼玉のユウキの家へと向かった。微かな罪悪感、背徳とともに。
そしてやっぱり彼からは連絡の１本も入っていなかった。
もう25:30。どうであろうと、もう引き返せない。
もういいや・・・家に帰ってまたツライ夜と朝を迎えるよりはマシだ。
２へつづく
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