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黒百合女学院中等部 恋の時間割

No.116 19/03/18 19:38
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )
あ+あ-

≫115

ひな祭り当日の日曜日、真鍋は塾に誰よりも早く出勤した。

一日も早く、あおいにちゃんと姿勢正して謝らなきゃ!。バレンタインデーで酷く傷付ける言葉を吐いてしまったのだから・・・。そう思う真鍋。

昨日、あおいはバレンタインデー生まれの自分の、月遅れの誕生日プレゼントを、遠路はるばる持って来てはくれたものの、まだまだ怒っていた。

「わたし、お兄ちゃんをゆるしたわけじゃないんだから!」

と、手渡しではなく、投げつけられたのだ。その包みを見ると、苦労した跡が伺える、手編みのマフラーだった。ハートマークと相合い傘マークが半分なのは、お揃いで二つ編んだのだろう。



たまたま親友の黒百合女学院初等部教師の松田先生も、昨日、真鍋とあおいの仲違いを心配して真鍋を訪ねて来ていて。真鍋が転職希望している黒百合女学院高等部に、教師の空きが出来たと知らせてくれて、こんこんと説得されたのだ。

「なあ真鍋、お前が先生になったのは、赤井の一番上のお姉ちゃん、藍子さんだったか、それが赤井の目前で交通事故即死のショックで、失語していた赤井を護りたかったからだろ?」

「中高等部、大学と成績優秀だったお前だ。でもお前は、空きがなくて黒百合の先生にはなれなかったけど塾の優秀な先生だ」

「それでだな、黒百合だが、出産退職で空きが出来たんだ。お前、来い。見てのとおり赤井はお前にゾッコンじゃないか。妹同然の赤井を、ちゃんと最後まで護ってやれ!。お前は赤井のナイトなんだよ」

「いいか、明後日の月曜日、面接だから来るんだ!。話は先輩の俺が学長と高等部校長に通してるから。お前が是非とも欲しいんだとさ」

そんな松田先生に真鍋はまた優柔不断の癖が出る。つか、塾人気講師の職を辞するのを躊躇う。

「松田さん、あおいは見ての通り、いつも気まぐれ成績乱高下だ。俺が傷つけたせいで、入試失敗するはずだし進路変更出来ないはずだ。あおいにはもちろんだが、あおいのパパママに合わせる顔がないんだよ」

「いや真鍋、赤井は見事に入試合格ラインだぞ!。だから黒百合中等部より勉強大変になるんだ。だから、とにかく地元に帰って近くで護ってやれ!いいな!。塾のほうには学長命令で今から俺達が話つけるから」

これは良かれと思っての松田先生の嘘だが、そう真鍋を説得し帰って行った。



そんなこんなを思い出しながら、塾の掃除する真鍋。

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