関連する話題
お尻の穴に入れてエッチした事ある人いますか?
クリトリスオナがやめられない
女性器の悩み

黒百合女学院中等部 恋の時間割

レス190 HIT数 7944 あ+ あ-

あかいあおい( 36 ♀ sq6JBe )
19/05/11 13:10(更新日時)

削除投票

ここは古くから在る街の山手地区。大通り奥の細道に入れば、昔か・・・

投稿制限
参加者締め切り
レス絞り込み
スレ主のみ

No.1 18/07/20 07:52
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

一人の幼女が歩いている。

いや、彼女は本当に幼女なのか?。確かに幼女にしては背が高い。でも少女にしては体がちっちゃい。そして少女にしては顔が幼すぎる。顔だけ見たら幼稚園児か小学校低学年である。



彼女がこちらに近づくにつれて、距離は近くなる。この距離ならわかる。彼女はこの街のお嬢様のひとり、黒百合女学院の功績者の赤井菊女史の曾孫の、黒百合女学院初等部六年生の赤井あおいだ。



おや、彼女がふらついている。マスク姿からして風邪で高熱でもあるのだろうか?



そこにお巡りさんの声が響き渡る

「そこの小学生、いい加減に止まりなさい!」

「いや、あおいさん、お止まりください!」


そう叫んでいるのは四年前までは、この少女、あおいの祖父の赤井慎太郎の道場生かつ塾生だった田中巡査部長だ。



彼女の身に起きてしまった悲劇、いや喜劇とはいったい何なのだろう?。それがこれから始まる物語である。

No.2 18/07/20 13:51
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 1
話は前日の朝に遡る。



「おはよー!」

元気良く六年一組の戸を開けるあおいに幼稚部時代から彼女と仲良しのゆかりが

「おはよう!」

と答える。

「あれ?カネコは?。 ゆかりぃ、朝はいつも一緒でしょ?」

と聞くあおいにゆかりは

「カネちゃん、風邪で休むんだって」

「あー、わたしも風邪かなぁ?。熱っぽいし少しお腹痛いし。つか、すでに下ってるし。」

そんなあおいに

「えっ? あおちゃんの場合はいつもいつもの食べ過ぎじゃないのぉ?」

と、冷静なのはゆかり。

「こいつぅ、人が苦しんでるのに!」

あおいはゆかりに飛びつき、ゆかりの腋をくすぐる。

「ごめんなさいと言えー!」




日常の朝の風景にチャイムが鳴り、教室の戸が開き、先生がはいって来る。イケメンではない。はっきり言えば残念な顔だが、しかし彼は初等部では一位二位を争う女子児童に人気の若手男性教師だ。


級長のカネコが休んでいるので、副級長のあおいが叫ぶ

「起立!」 

「礼!」

クラスの女の子皆があいさつする

「先生、おはようございます。今日も宜しくお願いします!」

担任の待った先生が皆に応えてあいさつする

「おはよう!今日も頑張ろうな!。皆さん着席!」

No.3 18/07/20 15:53
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 2
クラスの出欠を取った待った先生

いや、彼には松田という名前があるのだが、昨年五年一組つまり今のこの六年一組の担任になったとき、軽い気持ちで将棋というものがあるのを生徒に教えようとして

あおいと将棋を指したのだが、あおいに

「待った!」

を連発してしまい、さらに負けてしまって今や

「待った先生」

と呼ばれている彼が厳しい口を開いた。






「昨日の放課後、用務員さんが蛍光灯を変えるのに皆の机を動かしたら、見えてはならない物たちを発見してしまったそうだ。誰と誰の物から言わないが・・・」

と話をしている最中に

班ごとに机をくっつけている教室の、あおいと同じ班で隣の席のゆかりが慌てて自分の机の中を覗く。そして 

そして、くずおれるかのようにゆかりは

「わたし、終わった。」

「さようなら、わたしの初恋」

と、つぶやきながら机に突っ伏した。



いや、初恋が終わったほど深刻か?は別にして

「わたし、終わった」状態で固まってるのはゆかりだけではなく、これもあおいと同じ班であおいの正面の美佐も、隣の班のみずきもそうらしい。

????状態のわけがわからないあおいは机の下で美佐とゆかりの足を

「え? 何? 何がどうなってるの?」

と言いたげに突っつく。


正面の美佐があおいに小さな声で知らせる。

「ゆかりちゃんのあの本、見つかっちゃったみたい。わたしのも無くなってるもん。」



「なんであんな本を学校に置いとくのよ?」

と、あおい。



「持って帰られるわけがないでしょ!。ママに見つかったら叱られちゃう!」

「お兄ちゃんに見つかっちゃったら恥ずかしいじゃん!」

「持って帰ってどこに置けと?。うちはこども部屋ナイもん!」

あおいにハモるかのように同時にそれぞれの言葉を返す、美佐とゆかりにみずきである。

No.4 18/07/20 17:31
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 3
話はさらに三ヶ月遡る。

デートしている二人。別にイチャイチャしてるわけではないが親密そうで仲良さそうだ。

二人はあおいの九つ上の姉の黒百合女学院大学の緑と、その婚約者で緑とは遠戚の、あおいとは一回り年上の現在は県外の塾講師の真鍋瞬だ。

そんな二人を羨ましそうに、しかし何かを疑い見つめる二つの赤いランドセルがあった。あおいの同級生の高田ゆかりと立花美佐だ。






このあおいの姉の緑は、先週は違う男とここで仲良さげに話し込んでいた。その前日はまた違う男と。

実は美佐もゆかりも、あおいが姉の婚約者の真鍋瞬に片思いしてるのを知っている。それで緑が違う男と会っていたのをあおいに知らせるべきか迷っているのだが、今日は緑が真鍋とデートしてるので、それに遭遇してしまった二人は 


男女のことに興味もありで、ついつい様子を伺っている。

そんな二人だが、消極的な性格のゆかりが耐え切れずにデートしている緑と真鍋に遠慮するかのように

「もういいでしょー早く帰ろうよぉ!」

とでも言いたげに美佐の袖を引っ張るのだが、極めて積極的な美佐は自分も緑とは遠戚でもあるしで、思いきって

「緑お姉ちゃん、こんにちは!」

「立花の美佐です!お久しぶりです!」

と、話しかけてしまった。仕方なくゆかりも

「緑先輩、こんにちは」

と挨拶する。





美佐と会うのは何年ぶりかの久しぶりで、顔を忘れていた緑。人違いされてるの?と一瞬思ったものの、名前を聞いて思い出したのと毎日のようにあおいと遊びにおうちに来てるゆかりが一緒だしで

「こんにちは。きちんと挨拶できて偉いわね。」

と微笑んでみる。しかし積極的な性格の美佐は核心を探ろうとする。

「いいなぁ、緑お姉ちゃんには彼氏がいて。」

「どうしたら幼稚部から大学部まで女子校の黒百合で出逢えるんですか?。わたしも彼氏欲しいです。」

と、聞いてきた。しかもすぐに核心に触れる。



「わたし、先週もここであおいちゃんと待ち合わせしてたんですけどぉ、緑お姉ちゃん、いらしてましたよね?」

「あのお兄さん、格好良かったなぁ!わたしのタイプなんです」

と、まるでナイショ話するかのように、緑の耳元にささやいてくる。



まるで自分の浮気を疑っているかのような美佐の質問に驚きを隠せない緑


No.5 18/07/20 19:19
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 4
まるで自分が浮気をしていたかのように聞く美佐の質問に、驚きを隠せない緑。



この緑は実は同人とハンサムハンターが趣味なのだ。今の時代ならイケメンハンターとでも言うべきか。

それはさておき、繁華街など若者のたむろする場所を歩き回り、ナンパされてはいいところの寸前でタイミング見ては振るを繰り返す緑は、浮気を疑われる身の覚えは山ほどにあるのだが

今回の美佐にかけられた浮気疑惑には全く身に覚えはなく、しかし、ハンサムハンターは愛しの婚約者にはヒミツにしており、しかも目の前に愛しの真鍋がいるしで、怪しさ満載に目が泳いでしまう。

実はこのハンサムハンターも、別にプレゼントを貢がせたり、あんなことやこんなことな大人な関係してるわけもなく、ワケあってのことだが、そのワケは学校側に知られてはならない、同人のネタ探しなワケで、余計に目が泳いでしまう。黒百合女学院はエロ方面には厳しい学校だから。

それに、わたしエロ同人してますなんて、遠戚の美佐にすら、女の子の口からは言いがたい。

この事態、美佐やゆかりが学校側に喋りでもしたら、自分の学生生活が「終わってしまう」状態になりかねない緑の危機なのだ。

言葉を探すものの、適切なる言いわけが出てこない緑。



時間を持て余しゆかりが美佐に

「ねえねえ、さっきのナイショ話、何を聞いたの?」

「まさか先週と先々週の緑先輩のデート?」

と聞きはじめた途中で真鍋が助け船を出す。

いや、普通の女の子ならば自らの恥ずかしい趣味を自分の口からではなく、他人の口からカミングアウトされてしまう恥ずかしい状態で、
決して助け船になってないと思われたりするかもだが、今の緑にはやはり助け船だ。


「こいつ、緑は大学では漫画部なんだよね。恋愛漫画研究部。とは名ばかりで実態は同人エロ漫画だけどね。」

「先週と先々週にこいつと会ってたのは俺の後輩。知ってるだろ?黒百合女学院とは系列だった黒川学院大学の漫画部。」

「で、作画の分担の打ち合わせしていたわけなんだよ」

「俺も後輩会いたさとこいつとのデートに遅れて来てたしね」



でも、真鍋に片想いしているあおいと仲良しの美佐は、またまだ納得していないようだ。緑が真鍋という婚約者がいながら、妹のあおいから真鍋を奪っていながら誰かと浮気していると、まだ思い込んでいる疑惑の眼差しは変わっていない。

No.6 18/07/20 20:42
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 5
緑は浮気してないと、その彼氏の真鍋が助け船出しても、緑を見つめる美佐の眼差しは変わらない。

無理もない。あおいやゆかり、そして自分のパパママから聞く緑のイメージは優しい優等生の緑お姉ちゃんで、そもそも黒百女学院は地元名門お嬢様学校の狭き門で、しかも学校は不純なるエロ方面には極めて厳しい。

緑とエロ同人がどうしても結び付かない。



自分を浮気したかのような責める眼差しを変えない美佐にため息した緑は

「仕方ないわね。二人ともそこに座って」

と美佐とゆかりに言うや、カバンから小さめなスケッチブックを取り出しペンを走らせると、驚くべき短時間に二枚の絵が出来上がる。その絵を二人に渡しながら

「はい、こっちは二人の簡単なスケッチ」

「こっちは二人をキャラ化して、ソフトな百合漫画風に書いてみました。」

「これでわたしが浮気してたんじゃなく、部活の作画の打ち合わせで黒川学院大学の漫画部の人とここにいたのを信じてくれるかな?」

と、言いながら足元の紙袋から製本されたばかりの本を出す。

「あとね、これはわたしら黒百合女学院大学漫画部と黒川学院大学漫画部の合作ね。美佐ちゃんとゆかりちゃんはまだまだ初等部だから中身は見せてあげられないけどね。」

「で、わたしの彼氏はこの瞬ちゃん(真鍋)だけ。ややこしくなるからあおいには変なこと吹き込まないでよ。」

「あおいは今もこの瞬ちゃんを追いかけてるんだから」



緑に描いて貰った絵と緑の同人誌の表紙を見て

「すっごぉい!緑先輩は絵も上手かったんですね!」

と、驚く美佐とゆかり。



誤解は解け、最近の初等部の恋愛事情をネタに得ようとする緑と初等部の美佐にゆかり、来年度から黒百合女学院高等部に就職の決まっている真鍋は缶ジュースを飲みながら仲良く話してると

近くの会社から終業を知らせるチャイムが鳴る。あなたたちも早く帰るのよと、真鍋の車で緑と真鍋はデートに向かったものの

公園の椅子に座る美佐とゆかりは、さっきまで緑が座っていた椅子の足元に同人の入った紙袋が忘れ去られているのに気づいて

「これ、どうすんの?」

と聞く美佐にゆかりは

「明日学校であおいちゃんに渡して、あおいちゃんから緑先輩に返して貰おうよ」

No.7 18/07/20 22:28
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 6
場所は変わり、ここはあおいの家。昔からある武家屋敷だ。市内ではかなり広い部類のおうちだ。そして時間的にこの日は、この物語の冒頭であおいの同級生の高田ゆかりが

「さようなら、わたしの初恋」

と机に突っ伏した日の前日だ。





この日は日曜日なのに遊びに出かけずに、珍しくもテスト勉強しているあおい。

頭の中身がエロ同人だけの姉の緑のようにはなりたくない一心で、エスカレーターで行ける黒百合女学院中等部ではなく、共学の地元国立大学の附属中を目指す気になり、風邪気味にも関わらず苦手教科に取り組んでいる。

別にあおいは科目の苦手得意で成績が変わるのではなく、実は記憶力の抜群のあおいは全く勉強しなくても、その気になりさえすればいつでも百点満点を連発するのだが

あおいには致命的な欠点が。

超気分屋の超気まぐれなため、その日の気分で成績が乱高下。ロケット打ち上げの如くに百点満点連発記録を作り成績急上昇させたかと思えば、次の週にはスカイダイビングしたかのように学年最下位を記録するかのような成績急降下。

それでクラス上位三分の一の成績に甘んじているのである。このころのあおいはまだ自分の致命的な欠点、自分は気まぐれ気分屋とは全く気付いていない。ゆえに勉強より座禅でもしたほうが成績のためなのだが。



とにかく、この日は翌日あるであろう抜き打ちテストの予感に珍しくも机に向かっているのだが

あおいが珍しくも机に向かって勉強してるのだが






襖向こうの緑の部屋からは、イヤぁんバカぁん的なエロへの誘惑の音声が駄々漏れで。部屋の主の緑が婚約者の真鍋と愛を確かめているのではなく、同人ネタ探しに緑がエロビデオを見ているのだが。






たまらずに

「お姉ちゃん、わたし勉強してるんだからね!」

「小学生にエロビデオ聞かせていいとでも思ってんの!💢」

「わたし、お姉ちゃんみたいなエロ馬鹿女になりたくないんだから!💢💢」

と怒鳴るあおい。襖を開けて飲み終わったコーラの缶を緑にぶつける。すると



「諦めなっ!」

「わたしの妹に生まれた不運を素直に受け入れなさい!」

と言い返す緑がいた。



No.8 18/07/21 13:13
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 7
草木も眠る丑三つ時。

「出たぁー!」

ではなく、前日の快晴ゆえに冷えた深夜というべきか早朝というべきかの時間、勢い余って徹夜勉強していたのだが、いつの間にか机に突っ伏して眠ってしまったあおい。

「出たぁ!テスト勉強のヤマカン的中!」の場面で、「これは夢に違いない!」と、目覚めたあおい。なんだか寒気がする。姉の緑が毛布をかけてくれてはいたのだが・・・。



あおいはキッチンでひとりミルクを温める。そのうちにクシャミが出始め、やがてくしゃみの間隔も狭まり鼻水も止まらない。お腹も冷えたみたいで、慌ててトイレに駆け込む。

こうなるんだったら風呂上がりに素直に寝るんだった。そう思いながら、猫舌のくせに温めすぎたミルクをちびちびと飲むあおい。

時計を見ると、まだ朝3時。あと3時間はお布団の中で暖まれるわねと、部屋に戻り布団に潜りこむ。

No.9 18/07/21 13:55
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 8
そして話は学校に隠していたエロ同人が担任の待った先生に見つかってしまい、ゆかりが

「さようなら、わたしの初恋」

と、くずおれるかのように。机に突っ伏して固まってしまったシーンに戻る。



くしゃみと鼻水、お腹の不調に今日は学校休もうと思ったのだが、せっかく勉強したのにテスト休むなんて考えられない!と、気を取り直して登校した。が、しかし

同じクラスの立花美佐・諏訪野みずき、そして待った先生が好きな高田ゆかりが机に隠していた同人誌、姉の緑が忘れて行ったのを、ゆかりと美佐があおい経由で緑に返そうと学校に持ってきた。

それをみずきが見つけ、開いてみようってことになり、そこにあおいも混ざって読んでいるうちにクラスの皆が集まってしまった。

そして、副級長のあおいが級長のカネコと待った先生に呼ばれているうちに、美佐とゆかりとみずきが机の中に隠しておくことになり、それがこともあろうに、ゆかりの大好きな初恋の人の待った先生に見つかってしまったのだ。



この待った先生、あおいの想い人の真鍋とは大学時代の先輩と後輩の仲。実はあおいは、初恋の真鍋を姉の緑に奪われたあとも、密かに想い続けていて、緑の目を盗んでは真鍋に「お兄ちゃん」と纏わり付くうちに、真鍋と待った先生は今や親友の関係と知っている。

男女のことには厳しい黒百合女学院である。こともあろうに、黒百合女学院の大学生しかも教育学部の緑が、後輩の初等部に同人誌、それもエロ同人誌をくれてやったことになってしまったら、それにまだ初等部なのにそれを読んでいたあおいゆえ。

姉の緑のせいで、楽しい黒百合女学院での小学生生活が終わってしまうかもな危機だと気付くあおい。それだけではない 

自分も混ざってエロ同人を読んでいた。なんてことは、待った先生がクラスの皆の優しいお兄ちゃん先生でも、なにかの世間話の弾みででも、待った先生から真鍋に知らされては、恥ずかしくて困ってしまうあおいなのだ。

No.10 18/07/22 09:46
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 9
と、あおいが考えているうちに、待った先生の朝の会のお話は話題が変わっている。



真鍋先生はお話している。

「皆さん、先週の金曜日に近くの小学校では、不審者がトイレに侵入して逮捕されました。世の中には違う意味で、小さい子が大好きな変な大人たちもいます。」

「くれぐれも甘い言葉で誘われても、ついて行ってはいけません。必ず助けを呼んで逃げましょうね。」

「とくにそこの赤井!、お前、ついて行くなよ!」



考え事で上の空で話を聞き流していたあおいは、待った先生に名指しされてしまった。

「なんでロリコンについて行く女がわたしなのよっ!」

と、あおい。

「お前、去年の水泳大会も運動会も、水着にブルマ撮られまくりしてたよな!?」

「あんなのについて行くなよ!と言ってるんだ。それに水泳大会も運動会も、関係者以外立入禁止になったのは、お前ら三人組のせいなんだよ。」

「ああいう大人が危ないと教えてやってるんだ。」

と待った先生。



「え~っ!。待った先生、わたしら三人じゃなく、あおいちゃんだけ名指しするなんてぇ、あおいちゃん人気にぃ、ヤキモチですかぁ!」

すかさず美佐が茶々を入れる。あおいもふざけて

「待った先生もだったの?。先生は優しいから言ってくれたら撮らせてあげたのに。でも写真だけだよ、わたし好きな人いるもんっ!。」

「それにぃ、わたしぃ、先生みたいな意味じゃなくて、真鍋のお兄ちゃんみたいに真面目な意味でこども好きな人がいいもん。」

あおいの言葉が終わらぬうちに待った先生の雷が落ちた。

「俺は真面目な話をしてんた!ふざけるんじゃない!。それに俺はロリコンじゃねえ!ノーマルだ!」

待った先生に出席簿の角で頭を叩かれたあおいと美佐。

「痛ぁい!。なによ!童貞!」

思わず罵詈雑言がでるあおいと美佐。



「お前らだって処女だろが!逆セクハラしやがって!」

と言いたいのを堪え、待った先生は授業モードになる。

「話が長くなりましたので一時間目の授業に入ります。お手洗い行く人はすぐに戻ってくださいね。それでは国語の教科書を・・・」

No.11 18/07/22 14:52
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 10
教室でブルマ姿にお着替え中のあおいたち六年一組と二組。一時間目の国語の授業が終わっての今は休憩中だ。



黒百合女学院初等部は女子校なので、特別に用意された更衣室など存在しない。さすがに水泳の時間だけは、男性の教師や事務員などの職員もいるのでプール更衣室でのお着替えになるのだが

そして今日は六年二組の女の子たちも六年一組でお着替えだ。これは学校外部からの覗きや侵入しての窃盗を学校側が警戒して、お着替えに使う教室は隣り合うクラス同士で日替わり交代でと決まっている。



その六年一組の教室前の廊下、休憩時間にタバコ吸うつもりで屋上に行く途中。ポケットをまさぐる待った先生、ポケットにない。教室にでも落としたか?と戻ってきた。



教室からはみずきが

「あおちゃん、そのベビードールかわいい!どこで買ったの?」

なんて、廊下まで聞こえる声を出している。

「ベビードール?赤ちゃんの人形か?」

「男っぽい赤井あおいにも女の子らしいかわいいトコあったんだ!」

と思い込み

「赤井~その人形見せてくれよ!」

と、勢いよく教室の戸を開けてしまった。いつもは例え急ぎでも女子校ゆえ、とくに体育前後は

「着替えたりしてるのいないよな!」

と声をかけるのだが。

案の定、戸の方向に振り向いた六年一組と二組が一斉に大きな悲鳴をあげる。中にはおっぱいを手で隠してしゃがみ込むのもいる。

「す、すまんっ!。わざとじゃない!事故だ!」

慌てて戸を閉める待った先生。

かわいそうに、あおいのいたずらにひっかかった待った先生、初等部だけでなく中高等部でも一位二位を争う女生徒に人気の待った先生、彼のファンクラブの小中学生、高校生はこの日に激減したのは言うまでもない。

No.12 18/07/22 15:29
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 11
あおいたちは教室でブルマ姿に着替えている。

今日は一年生との合同自由体育だ。黒百合女学院初等部では、初等部六年生と一年生、初等部六年生と中等部三年生との合同自由体育がある。

昔これが始まったのは、学年を越えての交際力・交渉力・指導力を身につけさせるためなのだが、今や楽しいレクリエーションのお遊戯の時間と化している。



ともあれ、着替えながら四人娘にが話をしている。

「あの本、待った先生が没収して持ってるのかな?。まさか主任先生じゃないよね?。主任先生なら後で呼び出されて怒られちゃうよね?」

と心配してるのは美佐。

「わたしがあんな本を持ってたなんて、待った先生に知られて、さようなら、わたしの初恋」

と、待った先生に片想いしているゆかりは嘆いている。

あおいは・・・


さっきの朝の会で、同人誌を教室に隠していたのを、待った先生にチクリと指摘された四人娘。

実は今日風邪で休んでいる級長の桃井カネコを含めての、五人娘のあおい組なのだが、そのリーダー格のと言うより、喧嘩早さゆえに初等部リーダー格のあおいは、着替え中にとんでもないアイデアが浮かんだようで、

片想い相手の待った先生にとんでもない本を見つかってしまったと嘆くゆかりと、五人娘の美佐やみずきに、何事かをささやくと

「今日はカネコが休んでるから、自由体育、わたしが代わりをするね!」

と宣言して、いち早くグランドに駆け出す。

No.13 18/07/22 16:06
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 12
着替えを済ませて校庭で先生たちを待つ、あおいたち六年一組二組と一年生一組二組の女の子たち。今日は六年生と一年生合同の自由体育だ。



「あっ!先生たち来たわよ」

と、あおいの肩をつついて知らせているのは美佐だ。立ち上がったあおいは、その小さすぎる体に似合わぬ大声で

「いいこと?。さっき話したように、今日の自由体育は隠れ鬼をしまぁす!」

「逃げ隠れる範囲は、幼稚部に中高等部を含めた、黒百合女学院山手校の全域でーす!」

「最初の鬼はぁ、先生たち四人だよっ!」

「みんなぁ!逃げろぉ!隠れろぉ!」

「隠れ鬼、始めーっ!」

と叫ぶあおい。



今日は級長の桃井カネコが休んでいる六年一組。均等にクラス編成したつもりが、なぜかイタズラ好きばかりが集まってしまった六年一組。

その中で唯一の良識派の級長の桃井カネコが休んでいる今日、副級長のあおいがもし、自由体育を乗っ取り仕切ってイタズラに使ってしまったら・・・と不安を感じていた六年一組と二組に一年一組と二組の先生たち。それでも今朝

「あおいは体調不良なので体育は休ませてくださいね」

と、あおいママからの電話で油断してしまった四人の先生たち。



「こらぁ!お前らふざけるな!」

「待てっ!逃げんな!」

「待ってえ!止まってえ!」

「準備運動まえに走るんじゃない!」

と、止めようと叫ぶも後の祭り、彼ら彼女らが静止する間すら与えず、蜂の子だか蜘蛛の子だかを散らかすように、あおいの号令で一斉に逃げ散らかる六年生と一年生。



盛大なる隠れ鬼ごっこが始まってしまった。

No.14 18/07/22 17:46
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 13
自由体育であおいは叫ぶ

「隠れ鬼始めっ!。鬼は先生たち!。みんな逃げて隠れろ!」

油断した隙をあおいに突かれた待った先生たち四人の先生。一瞬、何が起きたか理解できずにいたものの、一早く待った先生はハッ!と気を取り直した。

そして「待てっ!」と、主犯のあおいを捕まえようと、走り出そうとするものの、いつの間に纏わりついたか、ゆかりが自分のジャージの裾を握りしめて放さない。

どうした?と思い、ゆかりの目の高さに合わせてしゃがむと

「松田先生、わたし、わたし、お腹が痛い!」

と、ゆかりが言い出した。



「えええー!こんな時に!」と、ますますパニックになる四人の先生たち。

「そうだ!保健委員の立花美佐、高田ゆかりさんを保健室に!」

と言おうとするも、ゆかりが追い打ちをかける。

「美佐ちゃん、あおいちゃんと逃げちゃいました!」

「じゃ、体育係の栗山ちはる、高田ゆかりさんを・・・」

「ちはるちゃんは保健室です」

と、ゆかり



時間が過ぎれば過ぎるほどに騒ぎは大きくなると考えた、六年二組の石原哲也先生が

「松田先生、先生が高田ゆかりを保健室に!。赤井あおいと皆は僕らで捕まえます!。あと職員室に報告を!」



「あーもう!」と仕方なく、ゆかりを保健室に連れて行くと決めた待った先生

「高田、歩けるか?」

と聞くと

「ダメえ、わたし歩けなーい」

「先生、おんぶして連れて行って!」




仕方なくゆかりをおんぶする待った先生。六年二組と一年一組二組の先生に後をお願いするしかなかった。ふと見ると、みずきも寒気がせると、保健室行きを希望している。



二人の気を紛らわせようと

「風邪が流行り出す時期かな?秋にしては今日は寒いよな。体調悪くなるのも無理ないよな。」

「赤井につられて逃げなかったお前たちは偉いぞ!いい子だぞ!」

とか甘いことを言っている。あおい組のこの二人も実はあおいの共犯なのに、それに気付かず疑いもしない、待った先生こと松田先生は人のよい先生である。

No.15 18/07/23 12:23
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 14
「先生の背中って、大きくて温かくて気持ちいい」

保健室への渡り廊下で、自由体育の時間に腹痛を訴え、待った先生こと松田先生におんぶされたゆかりは、甘えきって先生の耳元にささやく。思わぬ女生徒の言葉に待った先生は聞こえないふりをしている。

この先生、幼稚園から大学まである黒百合女学院では、女生徒や女性職員の人気一位二位を争う男性教師なのに、年齢イコール彼女いない歴なのは、その天然な鈍さゆえ、彼女が出来るチャンスを自ら壊してきたのかも知れない。

「先生って、女の子の気持ちに鈍感ね!」

とでも言いたげに、

「ゆかりちゃんに気の利いたこと言いなさいよ!」

とでも言いたげに、みずきは待った先生のジャージの袖を引っ張ってウインクしている。






保健室のある本館校舎に入るころ

「先生、わたし寒すぎるから、先に教室に戻って制服に着替えます。」

「保健室は自分で行けるので、ゆかりちゃんを先に連れて行ってあげてください。わたし、着替えたら後で行きます。」

と、初等部高学年校舎の教室に帰って行った。

No.16 18/07/23 13:11
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 15
「ねえ、松田先生」

と、ゆかりがおんぶしてくれている松田先生の肩越しに話している。

「さっきの朝の会のお話って、わたしたちの机に隠してた、あの本のことでしょ?。あれね、わたしのでも、美佐ちゃんやみずきちゃんや、もちろんあおいちゃんのでもないの」

「元を言えば、あおいちゃんのお姉ちゃんの、大学部の緑先輩のなの。」

「この前、美佐ちゃんと裏山の公園に行ったら、緑先輩が真鍋さんとデートしてて、挨拶したら緑先輩がわたしたちの絵を描いてくれて、それで話し込んでたら、緑先輩と真鍋さんが忘れて行っちゃった物なの。」

「それで、美佐ちゃんと話し合って、あおいちゃん経由で緑先輩に返すつもりで学校に持ってきたら、みずきちゃんがカバー開けて開いちゃって、何よこれ!な騒ぎになって、みんなが集まってしまって」

「いつの間にか、みんなで読もうよ!になって、わたし、話の途中でトイレ行って戻ったら、いつの間にか、みんなで隠そうってなっちゃってたの。」

「あおいちゃんも一緒に読むには読んだけど、あおいちゃん、委員会と先生のお手伝いに途中から行ってて、」

「だってエッチな本だから、それに開いちゃったし、皆の意見は割れて、隠して持っていることに。だって恥ずかしくて持って帰る勇気もみんな無くて。」

「だけど先週、やっぱり返そうって話で」

「松田先生はあおいちゃんの好きな人の真鍋さんの先輩なんだよね?。それ、わたし、あおいちゃんに聞いて知ってたから、先生から真鍋さん経由で緑先輩に返してもらおうって。」

「みんな、あおいちゃんには黙って持ってたから、あおいちゃんはわたしたちから緑先輩に返してると思い込んでるし、あおいちゃんにも渡しにくくて、緑先輩にも今さら返す勇気なくて、あおいちゃんも緑先輩も怒ったら怖いし、それで職員室に行ったの。」

「でも先生は男の人だから、こんなの読んでたなんて、みんな恥ずかしくて、結局、先生にも言えなくて。だからなの。校則違反してごめんなさい。わたしが悪いの。」
  

No.17 18/07/23 14:12
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 16
保健室でゆかりは松田先生に全て打ち明ける。事の発端を。そしてさっきの自由体育での、隠れ鬼ごっこ集団エスケープも話し始める。

「それとね、さっきの隠れ鬼ごっこエスケープ作戦も、あおいちゃんは悪くないの。先生にあの本を見つかって、わたし恥ずかしくて落ち込んじゃったの。松田先生が好きだから。」

「あおいちゃん、わたしが先生を好きなの知ってるから、先生と二人っきりにしてくれるって。先生と話しておいで!って。」

「あおいちゃんが言うには、あの本はお姉ちゃんが原因なのに、もし初等部のみんなを校則違反で処罰なら、それはおかしい!って。」

「抜き打ちの持ち物検査なんて、黒百合はしたことないのに、いきなり没収はおかしいし、それは泥棒じゃん!って。わたしたちのいないときに持って行ったんだから!って。」

「初等部はあまりいないけど、中高等部には学校に要らない物を持ってくる人はたくさんいる!。中高等部を味方につけて、全員を共犯にして学校が誰も処罰できなくしてやる!って。」

「前例ない持ち物検査と没収なんて、自由と生徒自治の黒百合で、用務員さんや松田先生や初等部だけの独断で出来るわけがない!とまで言ってました。あおいちゃん頭いいから。」

「こんなこと出来ちゃうあおいちゃんは怒ったら怖いけど、普段は思いきり優しくて。あおいちゃんが騒ぎ起こしたのは、わたしが緑先輩の忘れ物を直に緑先輩に届けなかったからなの。」

「だから、あおいちゃんは悪くないんです。叱らないでください。悪いのはわたしなの。」

「わたし、先生が好きだけど、先生はこんな悪い子のわたしは嫌いだよね。」

事のあらましを思い詰めた顔で話すゆかりに、待った先生は時間をとって向き合うことにした。

No.18 18/07/23 15:47
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 17
「わたし、パパがいないから、それで先生に憧れちゃったのかな?。わたし、わたし、先生が好きなの。でもわたしは悪い子だもん。」

「それに、わたしはまだこどもだから、先生はわたしに振り向いてくれないのも知ってるもん。」

「先生が好きだから特別扱いして欲しいとか、それは確かにあるけど、ちゃんと叱って欲しいの。わたし悪い子だから。」

との、ゆかりの言葉に待った先生は、今の六年一組、つまり去年五年一組の担任になったときに読んだ業務日誌を思い出した。



赤井あおい
幼稚部年長時に長姉が目前で交通事故死により一時失語。大学部の赤井緑は次姉。曾祖母の赤井菊は本学内部奨学制創設者。同級の立花美佐とは曾々祖父を共にする遠戚。幼稚部より内部入学。

諏訪野みずき
父子家庭。先天的形態異常治療ミスにより左耳を失聴。席順などに配慮を要する。外部入試入学。

高田ゆかり
初等部入学早々に父と兄が食中毒死。父性ある指導を継続し行う。母親、本学大学部首席卒業。系列校の柊幼稚舎より内部入学。

立花美佐
母子家庭。赤井あおいとは曾々祖父を共にする遠戚。母親、多忙かつ病弱により不在がち。母性と父性の両方を持った指導を母親は希望。本学幼稚部より内部入学。

桃井カネコ
母子家庭。父親の災害死で現在貧困世帯。初等部初の学内奨学生。配慮を要する。赤井あおいとは姉妹同然。赤井あおいの一時失語と外部入学生による桃井へのイジメにより、赤井家と赤井あおい、母親と本人の希望により、初等部卒業まで赤井あおいと同クラスとする。学力極めて優秀。本学幼稚部より内部入学。



赤井あおいも結構な部類のお嬢様だし、高田ゆかりも母子家庭とはいえ富裕層だ。立花美佐も。

いや、そんなことはどうでもいい。しかし担任になったときの疑問。

赤井あおいや高田ゆかりをはじめ、この五人組が他のお嬢様ぶっている生徒たちとは、なぜか自ら距離をとっていて、あまりつるまず、お高くとまってない理由。

赤井あおいや立花美佐と高田ゆかりが自分がお嬢様なのを隠し、むしろ庶民みたいに振る舞っていて、親しみやすく感じる理由。

また、それでもなぜか赤井あおいの言うことには、無茶苦茶なことでも、クラスの皆が従ってる理由が、今ごろになって、ようやく解った気がした待った先生だ。



自分のクラスを理解した待った先生はゆかりに語る。

No.19 18/07/23 17:23
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 18
待った先生はゆかりに語る。

「高田よ、お前のしたことは、あまり良くない。いや、はっきり言うと悪いことだ。これは赤井も諏訪野も立花もだ。エスケープ作戦したり、忘れ物の本を本人に返さず勝手に読んだり、それにこどもが読んだらいけない本だっただろ?」

「それは授業妨害だし、拾得物横領だし、こどもが読んだらいけない本があるのは、犯罪からこどもを守るためだからだ。」

「でも、お前はいい子だ。もちろん、みんなもな。」

「だって、世の中には忘れ物や落とし物を自分の物にしちゃって、それを恥じず罪悪感も持たない人もたくさんいる。でも、お前らは返そうとしたし、恥ずかしいと思ってたし、罪の意識も持ってた。それに叱られるまえに、自分から謝った。」

「集団エスケープもそうだ。イタズラしても謝らないで知らんぷりする人もたくさんいる。でも、お前は自分から白状した。それに、そうなった理由もちゃんと説明したし、赤井の立場も言いぶんもちゃんと代弁できたし、ちゃんと弁護できた。」

「友達だからと、してはいけないことを庇うのは、時にそれは隠蔽という、もっと汚いことにつながるけれどな、お前は自分と友達の間違いをちゃんと報告できたし、ちゃんと代弁も弁護もした。」

「それはお前が素直で正直で優しくて強い証拠なんだよ。先生はそのお前の優しさが好きだよ。もちろん、赤井も諏訪野も立花もな。」

「で、お前は気持ちは大人に近づいてるけど、やっぱり世間ではまだこどもだから、でもな、お前が今話した通りのいい子でいて、もう少し大人になって、優しい女の人でいられたら、改めてもう一度好きと言ってくれよ。」

「どうせ先生は女の子の気持ちに鈍いからさ、多分まだ独身かも知れないぞ。それに、そのころは先生より素敵な王子様もお前を探してるかもだしな。」

「みんなもだが、お前が先生を好きなら優しい女に育ってくれよ。いいか、今からはお前は自分で自分を育てるんだ。先生とか親とかじゃない。そろそろ自分自身でな。」

「でも自分自身でどうにもならないときは、ちゃんと今みたいに相談するんだ。これはお前が大人になってもな。相談しに来てくれ。」

「お前が初等部卒業しても、お前は先生のいい子なんだからな。」

No.20 18/07/23 17:35
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 19
これで

黒百合女学院中等部 
 恋の時間割

の初等部篇の、恋のエスケープの時間 
の前半が終わりました。 
次はこの後半から、
イクまでイケませんの時間につながります。

No.21 18/07/23 19:43
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 20
『初等部篇 恋のエスケープの時間の後半』



「先生が好き」

高田ゆかりにそう言われてしまったからか、柄にもないことを言ってしまった!と、内心で照れながら保健室を出た待った先生。

すると、血相を変えた中等部一番の鬼教師の黒木良枝先生に捕まってしまった。

「中等部の廊下を走り抜け、何やら喚き散らして行ってるのは、松田先生、あなたのクラスの生徒ですよね!」

「新任先生でもないのに、生徒に脱走されたんですか?。市立じゃあるまいし学級崩壊ですか?。情けない!。」

「中等部はより良い学校目指して外部の高校に進学したい子もいるんです。それにほとんどが内部進学希望でも、成績上げて高等部で自分を有利にしたがるんです!。内部での高等部や大学部進学は枠がありますからね。」

「初等部とは違うんですよ!。皆に迷惑でしょうが!。さっさと中等部に行って捕まえて来なさいっ!」



「申し訳ありません!」

そう叫んで中等部に走って行く待った先生。

一方、その頃、六年生と一年生共同の自由体育で隠れ鬼ごっこ集団エスケープ騒ぎしたあおいたちは?と言うと。



美佐は六年一組と二組で分担して、中等部と高等部に斯々然々と伝えた後、皆を初等部六年の各教室に戻していた。

みずきは六年の他のクラスに斯々然々をして、その後、ちはると一年生をそれぞれの教室に戻していた。

ちはるは、みずきが一年生をそれぞれの教室に戻せるよう、一年生を呼び集めていた。と、言うより最初から一年生を班ごとに集まる場所を決めておいて、先生に見つからぬよう移動させていた。

先生たちがわたしらを必死に探してるのに、なぜかみんなが教室にいて、いい子で自習してるって、おちょくっていて楽しくない?の、あおいの発案のままに。



そして、黒百合女学院初等部リーダー格で、この隠れ鬼ごっこ集団エスケープの主犯のあおいは、この騒ぎでほぼ無人と化した初等部職員室の隣の用務員室にいた。

待った先生によれば、ゆかりとみずきに美佐の机の中からあの本を見つけたのは、用務員さんらしいからである。また、あの本が職員室全体の問題になり、教頭先生や主任先生の手にあの本が渡ったか?を確かめるには、職員室を無人にする必要があって、職員室を調べるつもりだった。

小学生の彼女なりの目には目である。勝手に没収したのだから、勝手に取り返してやる!だ。


No.22 18/07/25 11:45
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 21
この騒ぎに無人と化した初等部職員室隣の用務員室に忍び込み、あの本を捜索しているあおい。待った先生によれば、美佐やゆかりたちの机の中からあの本をまず見つけたのは、用務員さんらしいからである。

でも、用務員室をいくら捜索しても、あの本は出て来ない。考えられる可能性は、

①用務員さんたちがお持ち帰りした。

②用務員さんたちが捨てたか誰かにあげるとかした。

③用務員さんの口からすでに公になり教頭先生や学年主任先生に知られ、教頭先生か主任先生の手中にある。

④待った先生が用務員さんから聞いてお持ち帰りした。

⑤待った先生の職員室の机とか更衣室のロッカーの中。

⑥待った先生の教室の机の中。


うーん・・・いちばんに可能性あるのは・・・と考えるあおい。用務員さんや教頭先生に主任先生たち、担任の待った先生の今までの言葉や行動とか性格を考えてみる。

あおいの頭に結論として思い浮かんだのは、

待った先生に今まで。さんざんにイタズラを仕出かしてきたあおいたち。

いくら待った先生を怒らせようとしても、いつもいつもイタズラを笑い飛ばしてくれて、たまにひど過ぎるイタズラして叱られても、あおいの両親や主任先生に言い付けたりしなかった待った先生だ。クラス内で起きたことはクラス外の人たちには関係ない!と、一貫した待った先生の態度だ。

ならば、あの本は、待った先生の教室の机の中にあるに違いない!と、結論を出したあおい。待った先生の性格ならば、職員室に持って行って、自ら騒ぎにするわけないからである。

それに、もしかしたら

もしかしたら・・・

あおいは先週の金曜日、本館購買室奥にある茶話室にコーヒーとちょっとしたお菓子を買いに来た黒百合女学院山手学長が、出くわした初等部校長と世間話ついでに話していた内容を思い出していたから。

No.23 18/07/25 12:25
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 22
あおいは先週、黒百合女学院山手校学長と、その初等部校長が立ち話していたのを再び思い出していた。その立ち話は

「最近の黒百合女学院の女の子たちには、反骨精神や反抗期がないかのような、そんな大人しすぎる女の子ばかりで、お嬢様学校だから静かで良くても、ちゃんと自分の意思を貫ける大人になるかを考えたら、心配でもある」

だいたいこんな話だったし、その場に待った先生も黒木先生もいた。

姉の緑のエロ同人誌忘れ物事件は偶数でも、今日いきなりの、つか先週金曜日放課後の、生徒無人状態での抜き打ち持ち物検査したかのような

美佐やゆかりたちの机の中のアノ本を没収事件は、もしかしたら学長か校長が仕組んだ?

と、最初からあおいは疑っていたのだ。今まで持ち物検査なんかしたことない黒百合女学院である。持ち物検査したら校則違反の不要物持ち込みはいくらでも見つかる。

この学長、黒木先生をお気に入りにしている。その黒木良枝先生は中高等部時代は、学校側に反発ばかりして、デモまがいの騒ぎを散々に仕出かした伝説は、いまだに黒百合に残っている。そして校長と黒木良枝先生はかつては師弟関係だ・・・。

仕込みにわたしたち、ひっかかった?。と気付いたあおい。

それでもあおいは、アノ本が公になるまえに取り返したい。姉の処分を回避するためにも、仲良しの美佐やゆかりやみずきが自分を含めての処分を回避するためにも、自分の真鍋への恋路のためにも。

やっぱり一度教室に戻って、待った先生の机の中を調べるべきね。

そう呟くと、あおいは用務員室を出る。すると、自分を探しにきたゆかりと
鉢合わせした。 


No.24 18/07/25 13:30
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 23
「待った先生が好き」と、待った先生に告げ、待った先生の優しさに触れたゆかり。あおいの仕出かした、隠れ鬼ごっこ集団エスケープ事件の共犯になった理由が

「待った先生が好きだから」

と、ゆかりから聞いた待った先生の

「お前が優しい女の人に成長して、まだ俺が好きだったら、改めてもう一度好きと言ってくれよ。先生は女の子の気持ちに鈍いからさ、ゆかりが大人になったとき、どうせまだ独身かも知れないぞ。」

との言葉に希望を繋いだのもあり、また、待った先生がかわいそうになり

「教室に戻ります!」

と保健室を出ると、ちょうど教室に戻ろうとしていあおいと鉢合わせした。



ゆかりはあおいに語る。

「ねぇ、あおちゃん、さっき待った先生ね、あおちゃんも美佐ちゃんもみずきちゃんも、優しいとこが先生は好きって言ってたよ。」

「あの本があおちゃんの緑お姉ちゃんのってのもあるけど、あおちゃんの好きな真鍋さんのこともあるけど、待った先生って、わたしたちのイタズラをいつも笑い飛ばしてくれて、事を大袈裟にするような先生じゃないよね。」

「あの本のこと遠回しで言ってくれたのは、返すからそっと取りに来なさいって意味じゃないの?。わたしたちがエッチな本ばかり読むような女の子じゃない!って、信じてくれているんだと思うの。」

「それとね、さっき中等部の黒木先生も、怒って来てたよ。」

「あおちゃんの考えは、生徒がいないときに抜き打ち持ち物検査して、生徒がいないときに没収なんて泥棒と同じだ!。それに黒百合女学院は自由と生徒自治の学校だから、先生が生徒に任せずに没収するのはおかしい。だから中等部と高等部を巻き込んで、誰も処罰できなくしてやる。でしょ?」

「もう中等部の黒木先生も動いてくれてるから、もう目的は果たしたよね。もう充分だから謝りに行こうよぉ」

「あおちゃんが歳の離れた真鍋さんを好きなように、わたしも待った先生が好きなの。待った先生がかわいそうだよ。それに待った先生はあおちゃんにも、緑お姉ちゃんにも、真鍋さんにも、きっと悪いようにはしない先生だよ。」

「ねえ、もうやめよう。」

No.25 18/07/25 17:46
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 24
待った先生に片想いしてるゆかりや美佐たちと話し合ったあおいは、自宅に電話をかけている。

待った先生に素直に謝ることにしたのだが、問題は中等部一番の鬼教師の黒木先生が騒ぎに絡んでしまったことだ。

受話器の向こうで呼び出し音が長く繰り返された後、前夜の合コンの夜更かしから目覚めた、姉の緑が出た。

「お姉ちゃんあのね、今ね、わたし学校で大騒ぎ起こしちゃったの。原因はお姉ちゃんだからね。」

「お姉ちゃんが教育学部のくせに、初等部の美佐ちゃんたちにアノ本見せるから。アノ本ね、美佐ちゃんやゆかりちゃん達が持ってて、それを待った先生に見つかっちゃったからだからね。」

「それでお願いなんだけど、おじいちゃんかパパと初等部に来てちょうだい!急いで!」



あおいの

「黒木先生が絡んじゃったから」

この一言に一気に青ざめる緑。緑はあおいのような内部進学組ではない。公立中学から外部受験で高等部から黒百合女学院に入ったのだ。中等部からの内部進学組からは、黒木先生の恐ろしさを嫌というほど聞いていたし、初等部のあおいたちからも噂は聞いていても

初等部はそうでもないのだが、中等部と高等部は校舎共用部分が多くて、根がお転婆の緑は高等部にもかかわらず騒ぎをやらかしては、黒木先生に見つかっては、何度もこれでもかと雷を落とされていた。

自分と黒木先生をあおいに

「まるでトムとジェリーね」

と冷やかされて、確かに黒木先生とは時に気は合うのだが、怖い先生なのは間違いなく。大学部に内部進学して、やっと黒木先生から解放された!と思っていたのに、自分が描いたエロ同人誌のせいで

時にヒステリックで、中等部校長が相手でも持論は絶対に曲げない。大学部でも黒木先生に頭が上がらない先生や学生は多い。そんな黒木先生は、黒百合女学院理事長の娘。

と、なると、あおいたちだけではない。あおいに巻き込まれて我が身が処罰されている姿が嫌でも脳裏に浮かんでくる。

「ち、ちょ、ちょっと待ってなさい!おじいちゃん連れて行くから!」

そう叫ぶと、受話器を放り投げ、離れのおじいちゃんの部屋に慌てる緑だった。

No.26 18/07/25 20:51
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 25
あおいが初等部から家にかけてきた電話で事のあらましを聞いた、あおいの九つ上の姉の緑。

「ちょっと待ってなさい。おじいちゃん連れてすぐ行くから!」

受話器を放り投げ

「おじいちゃん、あおいが大変!」

元を糾せば、自分のせいで妹のあおいが大変!となるはずだが、それは頭にない緑。でも、おじいちゃんに泣きつくしかないから、慌てておじいちゃんの部屋に飛んで行った。

わたしのおじいちゃんは黒百合女学院元理事。わたしのひいおばあちゃんには、たとえ黒百合女学院の総学長でも頭が上がらない。おじいちゃんはその息子。ひいおばあちゃんの御威光でおじいちゃんに、黒木先生が絡んで角々する話を丸くしてもらうしかない。

そう思う緑は昼寝中のおじいちゃんを揺り起こす。






赤井あおいとその姉の緑の祖父、赤井慎太郎が来校したことで、早急に意思を決めねばならなくなった黒百合女学院山手校は揺れていた。しかし、山手校の先生たちの色んな思いをよそに、放任放置主義の慎太郎は、あおいや緑を庇うような言葉は一言も発しなかったが。

今や、黒百合女学院山手校の意思がまとまらない原因は、中等部一番の鬼教師の黒木良枝先生にあった。

黒木先生は中等部での会議で、こんな騒ぎを仕出かした赤井あおいたち初等部六年生への、中等部への内部進学拒否を主張し続けたが、いくら何でも初等部の小学生にそれはやりすぎとされると、今度は初等部の会議に顔を出し、初等部での赤井あおいたちへの処分の必要性を説いていた。



No.27 18/07/25 21:26
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 26
そして今、黒百合女学院の山手校学長室には、あおいの起こした騒ぎに巻き込まれた、中等部校長と黒木先生、初等部校長と待った先生たち六年生担任、当事者のあおいたち、その祖父の慎太郎と姉の緑がいた。

幸い、あおいが最も怖れた黒木一郎理事長は、こどものイタズラに阿保らしいと、さっさとゴルフか何かに行ってしまったらしい。あおいたちを処分すれば教師たちを指導力不足と処分せねばならなくなり、それは娘の黒木良枝先生を処分しなきゃならなくなる可能性を含むからだ。誰が自分の娘を好き好んで処分したいものか。



そんな中、関係者が集まった学長室で安部幸太郎学長が口を開く。

「黒木先生、どうしても赤井あおいくんを処分しなきゃ駄目かね。君も中等部学生時代は、結構な元気良すぎる生徒だったはずだが。」

黒木先生が言い返す

「学長、確かにわたしは騒ぎをやらかしてしまう生徒でした。しかし他校、つまり幼稚部や中等部さらに高等部、挙げ句の果てに大学部まで巻き込むような大騒動など、起こしたことは一度もありません。」

「赤井あおいは初等部に異議があるならば、初等部の問題として行動すべきで、幼稚部から大学部まで巻き込んだこの騒ぎは明白にやりすぎです。」

すると安部学長

「だがね、昔の君は中等部校長の娘と、周りが気を遣うのが嫌で本学に反発していたのではなかったかね?。それと反権力・反伝統で。だとすると、君は反伝統の改革者たる教師でなければならない。それが論理一貫性と言動一致と言うものだ。」

「ところがだよ、君の処分必要論を聞くと、伝統とか校風とか校則とか常識とかの、ありふれた保守的な教師の論でしかない。君は改革者なのかね?。それとも、君の生い立ちや学生時代の言動に矛盾する伝統派なのかね?。」

「それにだよ、この赤井あおいくんは本学の内部奨学制度創設者の赤井菊女史の曾孫で、その祖父慎太郎氏は本学元理事だ。先祖や父親の社会的立場で窮屈な思いをしていた、昔の君と似たような生い立ちではないか。」

さらに学長の言葉は続く。安部学長は黒木先生に問い質した。

「黒木先生、本学の生徒心得を述べてみたまえ。」

No.28 18/07/25 21:54
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 27
さらに安部学長の言葉は続き、黒木先生に問い質した。

「黒木先生、本学の生徒心得を述べてみたまえ。」

黒木先生は流暢に応える。

「一、旗の下に群がる烏合の衆とはならず、自ら旗を掲げる者であれ」

「一、己が掲げた旗は無責任に降ろすぺからず」

「一、旗を掲げた者は自らその先頭たるべし」

「一、ゆえに本学生徒は文武両道たるべし。些かもこれを怠るべからず。」

「一、これをもって汝は善き奉仕者たる国民となれ。」

安部学長は言う。

「黒木先生、君は学生時代は本学に対し、伝統打破を叫んでいた。確かに本学は君の主張は時期尚早とその大部分は受け入れなかった。しかし、だからと君を処分したかね?。時間をかけて丁寧に君の主張を聞き取り、改める時期にあることは改めた。ゆえに今の黒百合女学院はある。」

「それなのに君は自分が掲げた旗を無責任にここで降ろすのかね?。君が本学教師になったのは、引き続き本学改革をしたかったからのはずだ。」

「一方、赤井あおいくんは初等部生徒という年少ながら、自由体育前の休憩時間という、極めて短時間に初等部六年生と一年生を統率掌握した。そしてそれは、瞬く間に中等部と高等部の共感を勝ち得た。そればかりか異なる場所にある大学部にまで波及した。」

「さらに動機は同級生や大学部の姉への、本学の不当なる処分を回避するためと、不当なる抜き打ち持ち物検査と没収への抗議のためで、正当である。」

「また、それを旗を隠し背後に隠れての人頼みではなく、堂々と旗を掲げた。そして、確かに方法を間違えてしまいましたと謝罪している。それでも主張には些かの誤りもない!と胸を張っている。」

「そもそも本学は生徒の主義主張は最大限に尊重し、それを育てるのが学校創立目的だ。そして」

No.29 18/07/25 22:37
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 28
安部学長はさらに黒木先生に諭すように語る。

「確かに初等部の高田ゆかりくんと立花美佐くんは、本学には好ましくない本を持ち込んだ。だがね、それはその本を忘れ物した大学部の赤井緑くんに、妹の赤井あおいくんを通じて返すためだ。君は人様の親切心を踏みにじるのかね?。」

「さらに赤井緑くんの制作したこの同人誌だが、確かに不純なる性の問題は本学の処分対象だ。だが君はこれを読んで発言したかね?。これは同人誌ゆえ多少の猥褻さはあった。しかし中身はちゃんとした恋愛物だ。原作を理解せねばこの同人誌の言いたい主張は理解できないものになっており、これはただの猥褻図書ではない。」

「さらにこの同人誌の制作は本学の学生によるものだが、学内では制作されていない。恋愛漫画研究部としての、通常の恋愛漫画の研究とは別に学外で制作されている。しかも元系列校の黒川学院大学も制作に関わっているから、本学生徒だけを処分して済む話ではない。」

「それからだね、生徒に無断でしかも生徒の在宅中の校内不在時に、反論の機会すら与えずに生徒の机の中から没収したのが、騒ぎの原因であって、不在時に断りもなく没収したのは窃盗だ!との、赤井あおいくんの主張も、黒百合は自由と自治の学校だから、持ち物検査や没収したければ、生徒代表を選び生徒にある程度は判断を任せるべきであるとの、赤井あおいくんの主張も、極めて適切で正当である。」

「おまけに、その無断没収は本学教師の本学教育方針の理解不足による不当なる処分である。」

「最後にこれは黒木先生の責任問題だがね、そもそも君は中等部の風紀担当教師だ。赤井あおいくんが騒動を起こしても、それが中等部に波及するのを阻止するのが君の職務だ。初等部六年生が授業中に中等部に入った際、それを止めるのが君の役目だったはずで、反初等部松田先生の波を中等部に波及することを許してしまったのは君の注意力不足によるものだ。」

「よって本学黒百合女学院山手校は、赤井あおいくんを始め初等部六年生の四人を処分できない。それは彼女らを処分するならば、本学関係教師への処分を外せなくなり、元系列校の黒川学院大学の学校自治に本学が口出しすることも出来ないからだ。」

「黒木先生、わかったかね?」

No.30 18/07/25 23:33
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 29
安部学長は一息つき、今度はあおいたちに話し始めた。

「初等部の赤井あおいくん、そして諏訪野みずきくんと高田ゆかりくん立花美佐くん、安心したまえ。あの問題の本の件では大学部のある黒百合女学院中央校と本学黒百合女学院山手校の意思は、初等部の君たちと大学部の赤井緑くんへの処分はありません。」

「そして今から話すことは、お説教とか処分とか思わないでほしい。」

「今回の騒ぎは、君たちが方法を間違えましたと謝罪したように、大変な大問題になった可能性があるのだよ。」

「この街の市立小学校に不審者が侵入して逮捕された話は、朝の会で聞いたはずだね。もし、この騒ぎの最中に不審者が侵入したらどうなったかな?。先生たちは君たちの命も預かっているんだよ。まだ本学になれていない初等部一年生を巻き込むのは良くないね。」

「それに謝罪出来たのは迷惑をかけた自覚があるからだよね。実際に幼稚部から高等部までが騒ぎになったのだから、反省してくれないと困る。何か行動を起こしたいときは、危険はないかとちゃんと考えないといけないね。これを生兵法は怪我の元と言う。」

「というわけで、この騒ぎに対する本学黒百合女学院山手校としての本学初等部への処分を伝えます。」

「赤井あおいくんは二日の自宅謹慎。このついでに風邪を治したまえ。諏訪野みずきくん、高田ゆかりくん、立花美佐くんは一日の自宅謹慎。どうせ明日は創立記念日でお休みだし明後日は祭日だ。私の独り言に君たちが感動してくれて、なぜか勝手に謹慎してくれる。つまり正式には処分ではない。」

「ここら辺が落としどころでどうかね?。」

「赤井あおいくん、君の行動力は方法を間違えねば賞賛に値する。でもね、自分色の旗を振るだけでは争いは解決しなかったりするが、互いが一歩譲ることで、互いの旗が弓矢で傷つかなくて済む。この辺で納得してくれたまえ。」

「以上だ。もうすぐ初等部は総下校時間だね。初等部六年生に処分はないし帰宅してよし。赤井あおいくん、君の口から六年生の皆にそう伝えてくれたまえ。」

No.31 18/07/28 01:39
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 30
安倍学長の決定で騒動を起こしたあおいに処分なしとされ、あおいたちが改めて謝罪し帰宅の途にある頃、学長室では、あおいの祖父の赤井慎太郎と学長の安倍幸太郎そして中等部教員の黒木良枝が話をしていた。

「いや~黒木先生、惚れ惚れする鬼教師役の演説、ご苦労様でした。あおいも緑も少しは身に染みたと思います。学長も訓戒、素晴らしかったですな。」

とは赤井慎太郎。



「親父さん、お世辞は止してくださいよ」

と応えているのは安倍学長。



黒木先生も

「そうですわ。赤井先生の前で演説させられるなんて、わたし、穴があったら入りたいです。」

「でも、初等部と中等部合同の抜き打ち持ち物検査を松田先生と相談したときは、まさか、あおいさんにここまで行動力があるとは思いませんでした。」

「赤井先生、あおいさんのお転婆ぶりを嘆いてらしても、実は内心は喜んでらっしゃるのでしょう?」



安倍学長は赤井慎太郎に語る

「ご存知のように、本学では持ち物検査などしたことはありません。それを急に抜き打ちに理不尽に行い、有無を言わせずに厳しく没収する。これで反発してくれないようでは情けなさすぎますな。」

「しかし、あおいさんは期待に応えて反応してくれました。まあ、少し度が過ぎましたが、こちらにも落ち度ありますので。」

「まさか、うちの用務員があの本を見つけてしまい、松田先生に渡してしまうとは。松田先生も抜き打ち持ち物検査予定日でもないのに、想定外でした。」



すると赤井慎太郎

「いやいや、予想外に予定が変わるのは有り得る事です。それにうちのあおいは怖いもの知らずなだけですから。」

「前にもお話しましたように、私は長くありません。それで我が塾は孫のあおいに任せたいんですが、まだ幼くてですね。緑が中継ぎしてくれるとは思いますが。我が長男は教育に不向きで。それであおいが教員取ったらこちらで鍛えて下さい。」



これを聞いた安倍学長

「そんな弱気を仰有らないで下さいよ。先代学長が骨抜きにした本学を創立時の質実剛健な学校に戻す。お嬢様学校でも、いずれ卒業して人様の上に立つには強さは必要ですからね。それで赤井家の支援は本学にはまだまだ必要なんです。」




No.32 18/07/28 01:46
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

これで

初等部篇 
恋のエスケープの巻

は終わりです。次は

恋する人のお誕生日に婚姻届?の巻

No.33 18/07/28 03:32
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 32
「ひどぉい!。わたし、わたし、先生か好きなのに。先生を信じてたのに!。」

と泣き出すゆかり。何があったのか?。それは・・・



初等部であおいたちが起こした、隠れ鬼ごっこ集団エスケープ騒ぎから三日目の木曜日、あおいたちは元気に登校していた。チャイムが鳴り、朝の会が始まる。待った先生こと松田先生が

「それでは、点呼代わりに宿題の読書感想文を出席番号順に出して下さい。まず一番の赤井あおい」

呼ばれたあおいは教壇まで行くと

「先生、わたし、お転婆しないで大人しく寝て、謹慎中に風邪を治しなさいって学長に言われたので、良い子で寝ていたわたし、宿題、やってませ~ん!」

「でもね、あの時のぉ待った先生のぉ、わたしへのぉ熱~い想いが嬉しかったからぁ、庇ってくれたお礼にぃ、はいっ!プレゼントあげちゃう!」

と、一枚の紙を差し出す。松田先生が手紙か?と思って見ると、なんとそれは、ご丁寧にも松田先生とあおいの名前が書かれ、しかも二人のハンコまで押された婚姻届。

「なんだこれは!」

思わず叫んでしまう松田先生。すると、ゆかりが立ち上がり叫ぶ。

「あおちゃんズルイっ!。」

「五人みんなで渡す約束でしょ!」




「松田先生、わたしも婚姻届、書いて来ました!」

そう言いながら教壇に押しかけるゆかりたち。わけがわからないし、小学生を口説いたなんて全く身に覚えのない、ロリコンではない松田先生

「まっ!待て!。なんでこうなる?」

普段はおとなしいゆかりのはずだが

「先生、好きって言ってくれたじゃない!。優しいからわたしたちが好きだ!って言ってくれたじゃない!」



これを聞いた、クラスの六年生の女の子たちが「え~!」と叫ぶ。中には口笛をヒューヒュー鳴らして冷やかしてるのまでいる。



「い、いや、それは教育上の一般論!。お前たちには優しい良いところがあるから、このまま優しい女の人になってくれ!の意味だ!」

と必死な松田先生



「先生、大人なら自分の言葉に責任持つべきだと思いま~す。でも今すぐ結婚してね!ってわけじゃないから安心してね。」

と、あおい。ゆかりまで

「もう少し大人になって、俺に改めて好きと言ってくれ!。って先生はわたしに言ってくれたばかりなのに!」

「わたし、わたし、先生を信じてたのに!。ひどぉい!結婚詐欺だぁ!」

と泣き出すゆかり

No.34 18/07/31 03:22
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 33
「先生ひどい!結婚詐欺だぁー!」

と泣くゆかりに慌てる待った先生。実は泣き真似なのに気付かずに。そして何でこうなった?と、記憶を辿る。



確かにあの日、待った先生はゆかりに

「お前たちは優しい良い子だから好きだよ」

と言った。もちろん恋の意味ではない。その日ゆかりはあおいと隠れ鬼ごっこ集団エスケープを仕出かした後、待った先生の人の好さに耐えられず

「わたしは悪い子だから、先生はわたしを好きになってくれないよね」

と泣いた。まさか泣いている生徒を放置できるわけもなく、ゆかりたちの優しさという長所を出しての、励ます意味での

「優しいお前たちは好きだよ」

だったのだが、ゆかりが先生を好きと知るあおいのゆかりと仕組んだ今日の

「先生はわたしが好きって言ったばかりなのに!」

の泣き真似イタズラに、自分が小学生を口説いたうえに振った、悪いロリコン教師みたいな立場になってることに動揺し、こうなれば頼りはクラス唯一の良識派の級長の桃井カネコだけだと

「桃井、笑って眺めてないで助けてくれ」

と懇願するも、ニコッと満点の微笑みを見せたカネコはあおいたち同様に

「先生、ゆかりちゃんに聞いたんですが、先生はわたしも好きなんですよね!。わたし嬉しいです!わたしとの婚姻届けにもサインして下さい!」

と言い出す始末。

「大人のくせに小学生を何人口説いてんのよ!」

のクラスの女の子皆の冷たい視線に耐え切れずに、学年主任が担任している六年四組の教室に

「主任!助けてください!」

と逃げ出す待った先生だった。



「上手くいったね!ドッキリ成功!」

とハイタッチするあおい五人組。でもあおいはすぐ真顔になり

「美佐ちゃん、あれはドッキリですって先生呼んできて」

と言うと

「みんな~宿題出してね~そして先生が来るまで自習しようね」

とカネコと感想文の宿題を集めて回る。その感想文の一番上には文末に

「この前は騒ぎを起こしてごめんなさい。そして皆を庇ってくれてありがとうございます。今朝のはゆかりちゃんと皆でのお礼の、先生大好きドッキリを誕生日プレゼントです。」

と書かれたあおいの感想文と同様に書かれた、待った先生を大好きなゆかりの感想文があった。

No.35 18/07/31 20:02
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 34
「わたしを好きだと言ったのに先生ひどい!」の、六年一組全員での泣きまねイタズラに堪らずに逃げ出した、待った先生。

「あれは先生大好き!ドッキリです。先生なんか大嫌い!ドッキリより嬉しいんじゃないんですか?。みんな自習して待ってます。」

と、あおいに頼まれ呼びに来た美佐に言われてクラスに戻ると、いつの間に自分の誕生日を調べたのだか、六年一組の全員に

「先生、お誕生日おめでとうございます!」

と迎えられた。



よーし、今日も張り切って授業するぞ!と、イタズラ好きなあおいたち六年一組に揉みくちゃにされても、教師するのも悪くないな!と思い、目が潤んでくるのであった。

ドッキリの話を知られて職員室で先生たちに

「松田先生は六年生の女の子にモテモテですわね、このプレイボーイさん!。」

とまでからかわれる始末で、この日はついついテストの採点も甘くなる幸せいっぱいな松田先生であった。



が、しかし、そんなしあわせも束の間、テストを返す際についつい

「赤井、お前は点数乱高下がひどすぎる。お前は本来は出来る子だ!。」

「もっとテスト中は気持ちを落ち着けてれば、この前みたいに、また百点満点連発かも!。落ち着いて頑張ろう!なっ!?。」

と、あおいと目の高さを合わせて、あおいの両手を力強くギュッと、愛情込め込めして握りしめた瞬間に、それは来た。



「点数悪かったのが皆にバレちゃうでしょーが!女の子に恥かかせるなんて最低!このドーテー!💢」

クラスで一番に、いや、初等部で一番に気が強く手が早いあおいに股間を蹴り上げられて、待った先生はのたうち回るのだった。

No.36 18/08/01 01:01
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

《修学旅行で告白?》 

冬休み前の修学旅行に出発する、黒百合女学院初等部の六年生たち。一昨年までは五月に行われたのだが観光旅行に形骸化したために、昨年からスキー合宿になっている。



六年一組の教室では、担任の待った先生が訓示している。

「くれぐれも黒百合女学院の名門の名を汚さぬよう、軽はずみな恥ずかしい言動はしないように!」



「待った先生の淑女論がまた始まった」

と、あおいたちは聞き流している。

それに気付いた待った先生、ついつい叫んでしまった。学習しない天然なのである。

「特にそこの赤井あおいの五人組!、いや、桃井は良識派だから四人組か。お前らが先生は一番に怖いんだ!。くれぐれもイタズラしたり姿くらますなよ!」

それを見てニヤリとほくそ笑む、あおいと美佐。



級長の桃井カネコは思う。

「先生、逆効果です!。寝ている鴨の子に葱を持たせて鍋に入れ、かまどの火に油を注いでしまってます!」

No.37 18/08/01 01:37
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 36
担任の待った先生に恋するゆかりの隣の席、修学旅行のバスの窓際の席のあおいは、水を水筒のお茶で温め、キティちゃんのリュックサックから水鉄砲を取り出す。それを見て不思議がるゆかり

「ねえ、あおちゃん、何してんの?」

「まあ、見てて。待った先生って去年も今年もバス遠足、ガイドさん任せで寝てたでしょ?。今日もきっと寝るわよ。」



お水が冷たくないレベルに温まったころ、あおいとゆかりが確認すると、通路挟んで反対側の席の待ったは、あおいの言ったとおりに眠りこけている。小学校教師は意外や多忙ゆえに。

温めた水を水鉄砲に入れるあおい、待った先生のズボンを狙い引き金を引いた。そして頃合いを見計らい、あおいは待った先生の後ろに座る美佐に合図を送る。



待った先生の隣に座り替えた、子役経験ある美佐は切迫したような声で叫ぶ。

「待った先生、大変です!起きてください!大変なんです!」

「な、なんだ!?どうした?。事故か?怪我か?病気か?喧嘩か?」

目を覚まし慌てて立ち上がった待った先生は叫ぶが、美佐が追い打ちをかける。

「先生ぇ、何を漏らしたんですかぁ?。ズボン濡れてますけど。みんな困るので早くズボン履き替えてください。臭~い!(笑)」



わけわからない待った先生、お漏らしの自覚は全くない。でも、見ると確かにズボンは濡れている。なんで?・・・

「まっ待ってくれ!誤解だ!間違いだ!」

「先生は漏らしてないぞ!」

「先生、お漏らしじゃないなら、何を漏らしたんですかぁ?。先生エロ~い!。先生のえっちぃ!へんた~い!」

と騒ぐ六年生たちに叫んでしまう待った先生

「な、なっ!違う!俺は変態じゃねえ!ノーマルだ!」



すると、反対側の窓際の席からクスクス声がしたかと思えば爆笑に変わる。

「先生それはただの水ですよ。安心してください。それより先生、寝てないでちゃんとわたしたちを見ていてください。」

しまった。赤井がイタズラしないわけがない!油断してしまった。そう思う待った先生だった。

No.38 18/08/03 07:49
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 37
「カネコはおっぱい大きくていいなぁ!。わたしにもおっぱいちょうだい!」

「あ、あおちゃんダメだよぉ!。わたしたち女の子同士なのにダメだよぉ!」

騒いでいるのは・・・



舞鶴港でバスからフェリーに乗り換え、バスに乗り換えてスキー場に着いた、黒百合女学院初等部六年生。学校貸し切りのログハウス風のかわいいペンションで

「今日はこれから皆で夕食作りと食事、班ごとに入浴!それ以外は朝まで自由行動!。」

「ただし、暗いからここの敷地以外には外出禁止!。外に出て遭難するなよ!」

待った先生が訓示している。学校を出発したときは、あおいを名指ししてイタズラすんなよ!と、つい言ってしまい寝た子を起こした失敗から、今回はあおいたちイタズラ娘五人組を放置している。

皆で夕食を作り、皆で夕食を食べ、ひとしきり雪合戦とペンション探検をしているうちに、あおいたちの入浴の番がきた。



カネコのブラを見てゆかりが羨ましがっている

「あー!カネちゃん、そのブラかわいい!。どこで買ったのぉ?」

「カネコはおっぱい大きいからいいなぁ!。わたしにもおっぱいちょうだい!。」

あおいはカネコに飛びついて、高校生サイズはありそうなカネコのおっぱいを揉んでいる。悶えるカネコ

「だっダメだよぉ!。あおちゃんダメぇ。わたしたち女の子同士でダメだよぉ・・・・・!」

とかなんとか可愛い声できゃーきゃー騒ぐあおいたち。その声は隣の男風呂にも筒抜けで・・・。入浴指導を女性教師にお願いしてお風呂で一息ついている男性教師たち、もちろん、その中には待った先生もいてため息をついている。

「あいつら女同士で何してんだよ。筒抜けの丸聞こえなのに・・・」

No.39 18/08/03 17:09
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 38
「せっ、せんせい、なんで女風呂に入って来てんのっ!」

思わず湯舟で立ち上がり、待った先生に叫ぶあおい。時は数分遡る・・・



不思議な穴を発見したカネコは一緒に湯船に浸かるあおいたちに、その穴を指を指している。

「ねえねえ、あの穴って何のためにあるのかな?」

カネコが指差してる辺りをあおいたちが見ると、湯船から立ち上がる壁と湯船の底が交差する辺りに、こどもが通れそうな穴がある。

「温泉があそこから湧いてるか繋がってるとか?」

「いやいや、このペンションは温泉の町じゃないから。」

「じゃあ、向こうは井戸か涌き水?」

みずきが

「探検してみようよ!」

小学生にしては体が大きく発育の良い、よく高校生かと間違われるカネコは

「え~わたしあの穴くぐれないよぉ。みずきちゃんも無理じゃない?」

「わかった!。わたしとゆかりちゃんなら小ちゃいから楽勝ね!。帰ったら報告したげるね。」

そう言うと、あおいとゆかりは湯船の湯に潜る。行き着いて顔を湯船から出したら、そこには・・・



「せっ、せんせい、なんで女風呂に入って来てんのっ!」

「きゃあ!。松田先生のエッチぃ!。覗きですか!?」

思わず湯船に仁王立ちしてしまうあおい。一方ゆかりはおっぱいを手で隠し縮こまる。
 
その声に思わず額の上の眼鏡を目元にずらし、振り向いた待った先生

「お、お、オマエらどこから入った!。つか、いつどこから涌いて出たっ?」

「こっちは男風呂だぞ!出てけよ!」

No.40 18/08/04 09:39
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 39
カネコが見つけた不思議な小さな穴。調べよう!ってことになり、あおいとゆかりが潜ってみると、湯船に開いた不思議な小さな穴の向こうに着いてみれば



「きゃーっ!。せんせい、なんで女風呂に入って来てんの!覗き?サイテーっ!」

「潜り込んできたのはオマエらだろが!」

「こっち見るなよっ!。このロリコンのホーケーのドーテー!」

飛んでくるあおいの罵詈雑言、普段は誰にも優しい、みんなのお兄ちゃん先生な待った先生、この日はついに一瞬だがキレた。そして思わず叫ぶ。口から出たのは

「うるせえ!見れたヌードでもないこのまな板のガキんちょが!」

「先生は苞茎だけどな、童貞じゃねえ!。それにロリコンでもねえ!熟女のほうがいいんだ!小便臭いガキは対象じゃねえ!」

と、まあ恥ずかしいカミングアウトをしてしまった待った先生。でも天然ゆえに自覚してるかどうか・・・。しかしそれを聞いた、待った先生ラブのゆかりは

「せんせいひどい!。せんせい、わたしが好きって言ったくせに!。しかも今わたしのハダカ見たくせに!」

慌てる待った先生。「お前は優しい良い子だから好きだよ」と、一般論で諭した際に、高田ゆかりに告白されていたのを思い出した。先生だからそれは受け入れはしなかったが。

「ち、違うんだ。高田はいい子だ。ご、ごめん!」

「じゃあ、先生、責任とってくれる?・・・」

「・・・なあんてね。先生、今恥ずかしいカミングアウトしちゃったの気づいてますか?」



一方、壁一枚向こうの女風呂に筒抜けた待った先生たちの声に

体の成長は六年生でいちばんでも、心の成長と言うか性的な一般常識が追いつかないカネコは首を傾げる。

「ねえねえ、美佐ちゃんにみずきちゃん、童貞とか苞茎って何のこと?」

「カネちゃん、それは生命の神秘なの」

と、ごまかす美佐とみずき。純真無垢で天使なカネコを守りたくて。それでも

「待った先生、自分が苞茎と認めちゃった!。しかもマザコンだったとは・・・。顔だけが残念じゃなくてアソコも女の趣味も・・・」

カネコに聞こえぬようナイショ話する美佐たち。このカミングアウトは瞬く間に広まったのは言うまでもない。

No.41 18/08/04 22:49
匿名さん41 ( 匿名 )

削除投票

ブルボンヌちゃん
悪いけどごきげんようの挨拶なく白百合を彷彿させる学校名使われたくないw

No.42 18/08/04 23:20
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 41
おほほほ(笑)

ロリコン左翼さんいらっしゃい(笑)

ストーカーぶりが笑えるわね。

No.44 18/08/06 20:32
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 40
スキー合宿先のお風呂で髪を洗っているあおい。隣では、六年生になってやっとシャンプーハットのお世話にならずに髪を洗えるようになった美佐が髪を洗っている。

目を閉じたまま前方をまさぐる美佐。トラベルセットの二本がセットになっているシャンプーとリンスのケースを探し当て、リンスを掴み蓋を開け傾ける。が、

「あー!これ空き瓶だあ!」

「あおい、リンス貸してぇ」

あおいにそう言うも、あおいは遠戚の美佐をあてにしてシャンプーすら持って来てなくて、ゆかりに借りている。それで美佐もゆかりにリンス貸してと頼むも

「美佐ちゃんが自分ん家のお店の新作リンス、持って来てくれるって言うから、みんなリンス持って来てないよ?」

「あー!そうだったぁ!」

「みんなゴメンね、わたし、すっかり忘れてた」



あおいの班の次にお風呂に入る、ちはるたちの班の声が脱衣室に漏れてくる。

「ねえ、ちはるぅ誰かのリンス貸してぇ!」

脱衣室のちはるらに美佐がそう大声を出すと、空からリンスが降ってきた。いや、飛び込んできて、あおいの背中に命中する。声を荒げるあおい

「誰よぉ!わたしにリンスぶつけたのは!」

「ねえねえ、あおちゃん、これ男風呂から飛んできたわよ」

脱衣室から顔を覗かせていたちはるがあおいに言う。ゆかりはそのリンスの蓋を開けて鼻をクンクンさせて、香りを嗅いで言う。

「これ、松田先生の髪のにおいだよ」



目を合わせて見つめ合うあおいたち。しばらくしておもむろに深呼吸すると、示し合わせたかのようにハモるかのように一斉に、これ以上ない大きな大きな悲鳴を

「きゃーっ!待った先生のえっちぃ!へんたーい!チカーン!覗き魔っ!」

隣の男風呂では待った先生こと松田先生が

「なんで俺が悪者にされてるんだよ」

と心の中で泣いていたとかいないとか。

(訂正版)

No.45 18/08/06 21:00
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 44
「せんせい、わたしたち結婚しましょっ!」

そう逆プロポーズしてのキスシーン。枕を抱きしめて枕にキスしてるゆかり。しあわせな夢の中のゆかりを起こすあおい。朝が来た。と言うより黒百合女学院の合宿の伝統の早朝礼拝の時間だ。外はまだ暗い。

泊まっているログハウス風のペンション群の大きなお庭に集まってるあおいたち。ラジオ体操の後、学年主任に指名された待った先生のお話を聞く。聖書が開かれた。



諸々の天は神の栄光を表し 
大空は御手(みて)の技を示す。
この日、言葉をかの日に伝え 
この夜、知識をかの夜に贈る。
語らず言わず、その声も聞こえざるに 
その響きは全地にあまねき 
その言葉は地の果てにまで及べり。

それはそれは美しい夜明け前の星空の下、待った先生は語りはじめる。

みんなは黒百合女学院で聖書に触れて、神様がいるのを知っている。しかし人生は長い。神を忘れる、そんな悲しみの日は来るかも知れない。でもね

神は人類を創るまえに、この素晴らしい大自然を創り調え人にプレゼントされた。わたしたちは大自然が調えられて最後の最高の作品として創られ生かされた。だからどんな時も

神に感謝して人様にもおかげさまでと言える、そんな女性に育ち、最高の作品のあなたの心と体を大切にできる、そんな人に育ってください。

待った先生のお話の後、賛美歌を歌い終わる頃、美しい日の出が皆の顔を照らし始める。



この中には、待った先生ラブの待った先生に恋する乙女がいて、ゆかりは目をうるうるさせている。そしてそして、

「「自分をたいせつに」せんせい、わたし、わたし、わかったわ!。だから、だから・・・わたしたち結婚しましょ!」

おとなしいゆかりに似合わぬ大声でそう叫ぶと、「せんせい、抱っこぉ!ハグして!」と、飛びつこうとするゆかりから逃げ回る待った先生。

「待ってくれ!なんでこうなる!」

「お前がもう少し大人になったら、もう一度好きと言ってくれ!って、先生はわたしに言ったじゃないの!」

待った先生を大好きなゆかりはいつまでも追いかけ続ける。

No.46 18/08/06 22:36
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

《イクまでイケませんの時間》 

修学旅行という名のスキー合宿から帰ってきたあおいたち。街は冬に装いを替えたクリスマスシーズンで、あおいの通う黒百合女学院初等部もクリスマス準備に入っていた。もちろん、あおいのお家もクリスチャンホームで、内面では神に感謝しつつも、やはり浮かれている時期なのだが、例年は。

でも今年はそれどころではなく、あおいと姉の緑の間には、ベルリンの壁より厚い冷戦の壁が築かれていた。

ことの発端は、あおいが仕出かしたあの初等部六年生集団エスケープ騒ぎの原因になった緑の趣味、エロ同人誌制作再開にあった。話はその当日に遡る。

これは悲劇。いや、喜劇である。いや、やはり本人あおいには、これは悲劇であろう。





あの日、話のわかる寛容なる学長の

「私の独り言に何故か皆が感動してくれて、何故か勝手に謹慎してくれる。よって謹慎処分は正式な処分ではない」

との決断でお咎めなしとなったのに。そもそも、このエロバカ女の姉をエロ同人作成の処分から救うために妹のあおいは騒動を起こしたのに、このエロバカ姉はその日、帰宅すると早速に反省どころかエロ同人作成を再開して

発熱に寝ているあおいに

「エロ同人執筆の資料を大学部の恋愛相性研究漫画部に持って来い!」

と電話をかけてきた。小学生にえっちな資料を持って来い!と言う緑。


それでも仕方なくリュックサックを探すもない。お気に入りで大切にしてきた、キティちゃんのピンクのかわいいリュックサックなのに。そういえば今朝、お姉ちゃんが部屋に来てわたしのクローゼットを物色していたっけ。

「やられた!お気に入りなのに!💢」

と思いつつも

「お小遣い、弾んであげるから!」

の緑の言葉に、エスケープ騒ぎの罰でママにお小遣いから貯金からカードまで没収されちゃってるあおいは、確かにお小遣いは魅力だったものの、仕方なく本当に仕方なく、姉の緑のえっちなコレクションをランドセルに詰め込む。

ついつい桃色吐息が、いや、ため息吐息が漏れてしまう。

No.47 18/08/07 00:29
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 46
桃色吐息が、いや、溜息吐息が出てしまうのは、姉の緑の無茶苦茶な要求のせいだ。エロ同人執筆の資料を忘れたから持って来い!なんて、わたし、まだ小学生だよ!と溜息。



えっちの意味すら知らなかった去年と違い、体が小ちゃくて六年生の中でいちばんに発育の遅いあおいでも、さすがに少しは気持ちは思春期突入しているのだ。異性やえっちを意識し始める年頃の恥ずかしさもあるけれど、

姉の緑は喧嘩に手加減出来ない筋肉バカ女。自分も相当に手が超絶に早い性格。あんなエロバカ筋肉女と喧嘩はイヤだ。

と、ほんとにホントに本当に仕方なく、えっちな物たちをランドセルに詰め込み制服に着替えたあおいは、緑のいる黒百合女学院中央校大学部に向かう。さっきまで私服で行くつもりだったけれど、黒百合女学院ブランドで純真天使になったほうが安全だと思って。

神様、どうかランドセルの中身を見られませんように・・・と祈りながら。






第一関門は向かい隣の、昔は黒百合女学院初等部とは系列だった黒川学院小学校に通う剛くんだ。

あおいの通う黒百合女学院が、今日は創立記念日でお休みなのと同じく剛くんもお休みだから。そしてこの男の子に「それ」が見つかると話がリピート再生されてしまい、あおいはエロ女だったことになってしまいかねない、人生の危機なのだ。

この剛くん、正直さと真面目さで、あおいに好意を少なからず持たれているが、友達の座から彼氏になれないのは度が過ぎる正直さゆえなのだ。



自宅ドアの隙間から、そーっと剛くんの部屋の辺りを伺うあおい。剛くんいないみたいね。と安心も束の間、あおいの家の柿の木の上から剛くんの声がする。

「よお!あおい!風邪はもういいのか?。ランドセル背負ってどうしたんだよ?今日はお休みだぜ!。起きてるんなら部屋に来いよ!ゲームしようぜ!」

実はあおい、憧れの初恋の真鍋がいなければ今ごろは剛くんに夢中になったかも知れない。何しろ去年まではお風呂も一緒なほど、誰もがふたりを兄妹か姉弟かと勘違いした程の仲良しだから。が、

が、今日だけは話は別だ。今日のあおいは姉の緑のせいで、ランドセルの中身がえっちな物だらけだから。

「イヤぁ!剛くん、今日だけはついて来ないで!お願い!」

顔を両手で隠し、自慢の駿足であおいは脱兎のごとく剛くんから逃げ出した。

No.48 18/08/07 13:39
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 47
「イヤぁ! 来ないでぇ!。来ちゃダメぇ!。来ちゃイヤぁ!。」

姉の緑の無茶苦茶な要求。エロ同人執筆の資料を忘れたから持って来て!。の電話に仕方なく、えっちな大人な物たちをランドセルに詰め込み、緑の待つ大学の漫画部に向かおうとするあおい。

が、家を出ようとするとき、あおいの家で木登りしていた剛くんに見つかってしまった。彼は別名、レコードくん。正直ゆえに見たこと聞いたことを、強く問い詰められたら、ありのままリピートしかねないゆえの、別名レコードくんの第一関門の剛くん。

大の仲良しの好意も持ってる剛くんだけど、今日だけは事情が事情ゆえに、彼にだけはランドセルの中身がえっちな物とは知られたくなくて

「イヤぁ!剛くん、お願いだから今日だけはついて来ちゃイヤ!」

持ち前の小柄な外観からは想像すらされない、自慢の駿足で剛くんをあおいはなんとか振りきった。だが早くも第二の関門があおいの前に立ちはだかる。



あの日、ゆかりが隠してた緑のエロ同人誌。それがゆかりの想い人の待った先生に見つかったあの日、風邪で学校休んでいた桃井カネコの自宅だ。

彼女もあおい五人組と言われるほどの、あおいの仲良しなのだが、彼女のあまりの奥手さのあまりの純真天使ぶりに、あおいたちは緑のエロ同人活動は彼女にはヒミツのナイショにしてきたのだ。

彼女だけはえっちな方面に汚してはいけない!と。

姉妹も同然の彼女独りを仲間外れするわけじゃないけれど、今日だけは彼女に出会いませんように・・・と祈るあおい。

こっそりひっそりこっそりひっそりと、彼女の自宅の前をびくびくしながら通り過ぎる。

泥棒さんの抜き足差し足忍び足ではないけれど、なーんにも悪いことしていないのに、今日のあおいは泥棒さんの泥棒しようとするのを見つかりたくない、抜き足差し足忍び足の心境が、今日だけはなんだかわかるような気がして。

さいわい、彼女はお出かけしているのか、彼女には出会わなかった。

さあ、次なる第三の関門は思いきりレベル高し!だ。

No.49 18/08/07 19:11
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 48
ランドセルにえっちな物たちを詰め込んで姉の緑の待つ、大学にある恋愛漫画相性研究部へと歩くあおい。

その恋愛漫画相性研究部なんてのは、エロ方面には厳しい黒百合女学院大学の緑が教授たちを欺くために考え出した建前で、実態はエロ同人製作同好会なのだが。

「資料忘れたから持って来て!お小遣い弾むからお願い!」

高熱に寝込んでいたあおいは無茶苦茶なお願いをされてしまい、それでも第二関門までは無事に、ランドセルの中身がバレることなくクリアした。が、しかし

いま目の前にある第三関門はレベル高し!だ。



メイクしなければ、大学生なのに誰がどう見ても小学生な、スーパー童顔の姉の緑が、学校サボりの小学生か中学生かと勘違いされ、大学生だと信じてもらえずに何度か補導された商店街が今、あおいの目の前に広がっている。

ここは近くの市立中学の悪ガキたちのたまり場になっていて、この中の本屋さん、ゲームセンター隣の本屋さん、緑が密かに、否、公然と、執筆したエロ同人漫画からエロ同人小説を置かせてもらっている本屋さん。

そこは万引きの名所となっていて、お巡りさんや補導員のおばちゃんや万引きGメンが、いつもウロウロしてもいる商店街だ。



補導員のおばちゃんたちは

「創立記念日でお休みなのをうっかり忘れて、学校に行っちゃった帰りなんですぅ!」

と、姉の緑と同じ童顔ゆえに、純真無垢にしか見えない清純笑顔と、名門の黒百合女学院初等部の制服でクリアできた。明けても暮れてもイタズラすることばかり考える、内面が悪魔なあおいすら天使に見えてしまう制服。黒百合女学院ブランドは凄い!と言うべきか・・・。



しかし、その万引き名所の本屋さんには、あおいの恐れた通りにパトカーが停まっていた。

な・なっ・なんで?。また万引き?。

よりによって今日パトカー来なくても・・・。まさか、田中のおじちゃんなの?

それは数年前までおじいちゃんの塾や道場に通っていて、めでたくお巡りさんになった、仲良しの田中のおじちゃんが勤める署に配備のパトカーだった。この田中のおじちゃんは確かに仲良しだけど、あおいにとっては迷惑この上ないおじちゃんでもあり

ハードルはさらに一気に高くなる。

No.50 18/08/07 21:25
あかいあおい ( 36 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 49
わたしのランドセルにはえっちな物が・・・の事情ゆえに、慎重に物陰からパトカーの中を伺うあおい。仲良しな本屋さんに停まるパトカーから降りたのは

あおいの祖父の道場に通いめでたくお巡りさんになった、これまた仲良しの田中のおじちゃん。でも、あおいにとっては迷惑な存在でもある田中のおじちゃん。

姉の緑とは違い記憶力抜群のあおいは、実は全く勉強しなくても学力優秀。だから「超」が三つは付くスーパー優等生のカネコや、これまた優等生のゆかりとも、話も気も合うのだが、あおいには致命的な欠点が。

超気まぐれの超気分屋のため、気分により日替わりで成績乱高下。百点満点連発記録更新したかと思えば、次の週は学年最低点をマーク。それでも学年上位三分の一の常連だ。実は

悪ふざけ大好きでもあり、落第候補にやる気にさせるためにたまにある、サービス満点の⭕❌式のテストを、⭕イコール目玉焼きイコール大嫌い、よって大好きな三角おにぎりが連想できる▲を書いて出したら、激怒した担任の待った先生に本来なら百点なのに零点つけられたり。

ともあれ、それで零点だったテストを、冗談がわからない待った先生はムカつくと、帰宅途中に破り捨てたのだけど、それを見ていた田中のおじちゃん、ご丁寧にもそれをかき集め、テープ貼って修復し、よりによってママに手渡し、それもママがライバル視してるママ友の目前で。

当然にその日は鬼の如くに激怒したママに、思いきりお尻を叩かれまくったあおいだ。もう痛くてしばらくは椅子に座れなかったほどに。

このおじちゃんにランドセルの中身を見られて、えっちな物たちを発見されたら・・・。高熱だから寝てなさいと、ママに言われていたのに、姉の緑のせいでお布団から抜け出すハメになっているあおい。鬼と化したママの顔が目に浮かぶ。

でも、あおいには味方がいた。
   

No.51 18/08/10 12:32
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 50
《イクまでイケません!の時間の後編》

姉の緑のせいで高熱なのに、ママの言うことに背いてお布団から抜けだし、エロ同人漫画の資料を緑に届けに行くハメになっているあおい。鬼のように激怒してるママの顔が目に浮かぶ。

今までの第一関門と第二関門はクリアできた。が目の前の第三関門はレベル高すぎて、途中にある本屋さんの前にはパトカーがいた。



でも、あおいには味方がいた。と言うよりは・・・。自分自身を悪魔だと自覚するあおい、用意は周到万端だ。取り出したのは、眼鏡とマスクそしてリバーシブルの帽子だ。

隣に住む仲良しの剛くんに、「おとこ女」と言われるまでは、男の子っぽい格好が大好きで、男の子っぽくいつも帽子をかぶっていた。最近はさすがのあおいも思春期突入で、女の子らしくと、この帽子はめったにかぶらなかったが。

でも、持っていて良かったと、早速に眼鏡とマスクをし帽子を被る。そうして、田中のおじちゃんに見つかりませんようにと、俯き加減で歩き出す。

お巡りさんしてて、おじいちゃんの元生徒の仲良しの田中のおじちゃんの勤めるパトカーの停まってる書店、第三関門まで、距離は少しずつ縮まっていく。



パトカーのドライバーシートに座ってた、田中のおじちゃんの部下であろう、イケメンな優しそうなお巡りさんは、下校中の小学生としか思わなかったのだろう。ニッコリと優しそうに微笑んでくれた。その車内に田中のおじちゃんはいない。先に降りて書店の中だろうか。

うまく田中のおじちゃんという第三関門をクリアできた!と、安心も束の間、あろう事か書店の向かいのおもちゃ屋さんから出てきたのは・・・

No.52 18/08/10 13:11
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 51
姉の緑のエロ同人を書く資料、えっちな物たちをランドセルに詰め込んで届ける途中のあおい。その途上の書店には、おじいちゃんの元生徒の、仲良しの田中のおじちゃんの勤めるパトカーがいた。それでも



田中のおじちゃんという第三関門をクリアできた

そう思ったのも束の間、書店向かいのおもちゃ屋さんから出てきたのは、同級生のカネコ。いじめられっ子気質みたいな大人しい性格に似合わない大きな声で

「あおちゃん、こんなとこで何してるの?。ちゃんと寝てないと風邪が治らないよ?」

と来た。超優等生な真面目で純真無垢の、性的なことには、スーパーの四文字が三つは付きそうな奥手の天使なカネコ。このカネコだけはえっちな方面に汚してはいけないと、あおいと仲間たちは姉の緑のエロい本性とエロ同人執筆を、ひたすらにヒミツのナイショにしてきたのに・・・。

今のあおいはランドセルの中身がえっちな物ばかりだから。

さらに悪いことに、さっき自慢の駿足で振りきった、仲良しの剛くんが、やっと今あおいに追いついて

「あおい~なんで逃げるんだよ!。おまえ、走るの早すぎ!」

と来た。ランドセルがえっちな物で満載状態な、事情が事情なあおいは逃げるしかなく、それなのにカネコや剛くんが

「あおちゃん、待ってよぉ!どこ行くの?待ってよぉ!」

と大きな大きな声を出すものだから、ついに恐れていたことが

「あれは師匠のお孫さんのあおいお嬢様だ!」

あおいがいちばんに警戒していた、お巡りさんしてる田中のおじちゃんに気付かれてしまった。しかも悪い方向に。

「あおいお嬢様が万引き?!」

そう勘違いした田中のおじちゃん、いや、田中のお巡りさん、警察官モードスイッチオンして、あおいが振り返ると、目が追いかけっこ戦闘モードになっている。

「そこの小学生、止まりなさい!。あ、違う。あおいお嬢様、お止まりください!」

なんて叫んじゃうものだから、読者好きなあおいがいつも寄り道してる、仲良しな本屋さんまでが、あおいが万引き?と追いかけてくる。



なんで?何でなのよ?!

わたし、なーんにも悪いことしていないのに!

お姉ちゃんの忘れ物を届ける、良いことをしてるのに、何で?

なんでわたしが追いかけられなきゃいけないのよ?

必死に逃げるあおい。

No.53 18/08/12 15:46
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 52
姉の緑がエロ同人誌なんか書くから

「なんで?。なんでみんながわたしを追いかけてくるのよ?」

「わたし、なーんにも悪いことしてないのに!。むしろお姉ちゃんの忘れ物を届ける良いことをしてるのに!。」

と、姉の緑が

「同人誌の資料忘れたから持ってきて!」

と頼んだせいでランドセルがえっちな物だらけで、姉妹同然の親友カネコからも、好意持ってる剛くんからも逃げるハメになり、仕舞いには万引きと勘違いされ、お巡りさんしてる仲良しな田中のおじちゃんからも、馴染みの本屋さんからも

逃げるハメになってる、可哀相なあおい。



しかし、朝に夕に道場で毎日のように走り込みしていて、しかも元が駿足のあおいは超小柄な体も幸いして、隠れながらも見事にみんなを振りきった。

それでも、あおいの脳裏に

「黒百合女学院初等部生徒の赤井あおい、エロ本を万引きで逮捕。なんと彼女のランドセルはエッチな物が満載!。エロ幼女出現か?と地元ロリコン大歓喜!」

な、ニュースのシーンや新聞の見出しが嫌でも頭に浮かんでくる。



もう喉もカラカラで、高熱の身で全速力疾走しまくったせいか、フラフラしてきて、汗も冷えて寒気がひどい。そんなとき、どこからか救急車のサイレンが聞こえてきて

「わたし、死ねない!」

「行き倒れたら新聞になんて書かれるか、わかったもんじゃない!」

「⭕⭕市のお嬢さま赤井あおい、行き倒れの謎の死!。なぜか彼女のランドセルはエロ本ばかり!。エロ幼女出現か?」

なんて、絶対に書かれたくない!。わたし死ねない。お姉ちゃんの大学に着くまでは・・・

お姉ちゃんの大学にイクまでは絶対にイケないっ!と、最後の力を振り絞り歩き出す。

No.54 18/08/14 15:58
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 53
どこかで救急車のサイレンが響く。姉の緑のせいでランドセルがえっちな物で満載のあおいには、あるニュースシーンが嫌でも頭に浮かんでくる。高熱の身で全速力疾走しまくって、体力限界のフラフラだから。

「⭕⭕市のお嬢さまの赤井あおい、行き倒れて謎の死。なぜか少女のランドセルはエロ本だらけ。エロ幼女出現か?」

「なんてこと、絶対に書かれたくない!。わたし、死ねないっ!」

「お姉ちゃんにこれ届けるまでは・・・お姉ちゃんの大学にイクまでは絶対にイケないっ!」



最後の力を振り絞り歩き出すあおい。しかし高熱ゆえ朝ごはん食べられず、しかも超小柄ゆえ皮下脂肪が全くないかのようなあおい、高熱と血糖値低下による体力の限界はどうしようもなく、つい交差点の信号を見落とした。

赤信号の横断歩道上のあおいに突っ込む車。ブレーキ音とクラクションが響く。

「バカ野郎!気をつけろ!」

幸いに事故回避したドライバーの罵声があおいにぶつかる。横断歩道の向こう側にへたりこむと、あおいはもう歩けない。



が、さっきのクラクションにびっくりして近くの喫茶店から出てきたのは、あおいが幼稚部時代から懐いて甘えている、黒百合女学院高等部の倉橋しおり先輩だ。彼女はあおいの姉がトンデモなエロ同人女なのを知っていて、いつもあおいの味方をしてくれる人で。

「しおりお姉ちゃんだぁ」

安心したあおいは力尽きて気を失ったが、そこにいたのは、しおりに憧れ、さっきの喫茶店で勉強をしおりに見て貰っていた、黒百合女学院中等部の春日井まなみ。

「憧れの愛しのしおり先輩に抱っこされてるこの小ちゃい子、いったい誰よ?」

激しくヤキモチを妬くまなみ。もちろん百合の意味で、である。

No.55 18/08/14 16:20
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

《絶対零度なクリスマスの時間》

姉のように優しいしおり先輩に抱かれ、安心して気を失うあおい。しかし、しおりの側には

「憧れの愛しのしおり先輩に抱かれてる、この小ちゃい子は誰よ?」

と百合の意味でヤキモチを妬いているまなみがいた。もちろんノーマルなしおりには、そんなまなみの気持ちはわからないのだが、このまなみは黒百合女学院の一番の鬼教師の黒木良枝先生のクラスの子で。

そんな百合な嫉妬から、緑が早くもエロ同人活動再開し、高熱に寝ていた妹のあおいにエロ同人の資料を運ばせたことが、その日のうちに黒木先生の知るところとなり

「あの日、エロ同人活動がバレた赤井緑の処分を、妹の赤井あおいの正論に、学長が処分を免除されたのに、喉元を熱さが過ぎるまえに早くもエロ同人活動再開するとは怪しからんっ!」

と、なってしまい話がストレートに上に上に上がってしまって。



「あおいっ! あんたが間抜けだから停学喰らったでしょうが!」

「元を言えばお姉ちゃんが教育学部のくせに、初等部のゆかりちゃんや美佐ちゃんにエロ同人くれてやるからでしょっ!」

「なんですってぇ!お姉ちゃんにナマイキ言うのはこのお口?」

「何度でも言うわよっ!。あの日はちゃんと庇ってあげたのに、ほとぼり冷める前からエロ同人活動再開したのはお姉ちゃんでしょ!。自業自得よっ!」

「なんだってぇ?やるか?!」

「道場サボりまくりのお姉ちゃんがいつまでもわたしに勝てると勘違いしないほうが身のためよ!」

こんなわけで久々の武術家の娘同士の乱闘の末、緑の婚約者であおいの想い人の真鍋が地元に帰ったときには、クリスマスなのに絶対零度な冷戦の壁が二人の間に築かれてしまったのだ。

それだけではない・・・

No.56 18/08/23 14:42
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 55
赤井家の道場のクリスマス会。緑とその妹のあおいは冷戦の真っ最中で。二人の間で頭を抱えてるのは真鍋だ?



それというのも

緑のエロ同人活動がまたも学園側にバレてしまい、停学喰らった緑。しかし、その原因が小学生の妹のあおいにエロ同人の資料を運ばせたゆえなのに、あおいのせいにしてしまった緑。

もちろん責任転嫁されたあおいは激怒してるわけで。



それだけではない。緑が停学喰らったあの日

姉も同然な黒百合女学院高等部のしおり先輩に抱きしめられ、安心して気を失ったあおい。その側には百合の意味でしおりに憧れるまなみがいて、そんな百合なヤキモチから・・・。

緑が帰郷する真鍋とデートするのを妹のあおいにナイショで企んでいる。それをしおりから聞いたまなみ。しおり先輩をあおいに取られたくない!の百合な邪心から、まなみはあおいの耳にそれを吹き込んでしまって。

想い人の真鍋を緑に奪われかけているあおいは、緑と真鍋のデート中の、あと一歩で記念すべきファーストキスな雰囲気に突然現れ、二人の甘い雰囲気をぶち壊したからだ。



そんな絶対零度な二人の雰囲気にオロオロする真鍋。自分の老師つまり緑とあおいの祖父からは

「瞬くん、みんなの楽しいクリスマス会をぶち壊してるコイツら、放っておきなさい!無視するのが一番の薬だよ!」

とは言われたものの、鬼瓦いや宇宙人顔にしては人がいい真鍋は放置出来るわけもなく


「な、なあ緑、お前の欲しがってたバッグ。クリスマスプレゼントだよ~!」

「あおい。、お前が大好きなチョコレートたっぷりの栗のクリスマスケーキだよ~欲しがってたゲームソフトも買って来たよ~!」

「お前ら、むくれてないで楽しくパーティしようよ!」


と、声をかけてみても、二人はツーン!として相手もしてくれない。それどころか







No.57 18/08/23 15:18
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 56
「緑もあおいも喧嘩しないで楽しくクリスマスしようよ!」

と責任感強い真鍋は声をかけるも、二人はツーン!として相手してくれるどころか、振り向いてもくれない。それでも辛抱強く説得してると、先に反応したのは、つかキレたのは短気なあおいだ。



「だってえ、お姉ちゃんみたいな下品なエロバカ同人女がいるパーティなんか、参加しても楽しくないもんっ!」

「それよりお兄ちゃん、こんなエロ女なんか捨ててぇ、わたしの彼氏になってぇ!。元はと言えば、お兄ちゃんはわたしを選んでたんだから!。」



と、あおいは緑に聞こえよがしに当てつける。それに負けじと緑まで



「瞬くんはロリコンじゃないもんね!。あおいみたいなオシッコ臭いパンツの小娘なんか、瞬くんの好みじゃないもんね。」

「今の婚約者のわたしとお転婆小学生、瞬くんなら選ぶのはわたしだよねっ!。」



こんな具合に真鍋は見事に冷戦に巻き込まれてしまう。



またかよ!なんでコイツら姉妹は水と油なんだよ?!と思う真鍋。しかし考えてみれば

ボーイッシュなトンデモなお転婆娘だった、男の子そのものみたいな緑を、少なくとも見た目はお嬢さまらしい女らしい女の子な緑にしてしまったのも

泣き虫で、裕福な末娘あるあるな、お姫さま暮らしをしていた、お嬢さま育ちのあおいを、お転婆イタズラ大好きで勝ち気な男の子らしいボーイッシュな女の子にしてしまったのも

真鍋自身の六年前のあの日の不用意なる一言が原因で、それを聞いてしまった二人。あの日から二人の性格は真逆になってしまったのだ。

No.58 18/09/09 02:14
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 57
自分を取り合う緑とあおいの冷戦に頭を抱える真鍋の、これは回想シーンである。あれは六年前・・・。



緑とあおいの姉の藍子。元々はあおいの赤井家と自分の真鍋家の間の約束で、自分の知らぬ間に藍子が許嫁にされていたのだが、六年前のクリスマスにあおいを黒百合女学院幼稚園に迎えに行った藍子は、あおいの目前で轢き逃げ事故死した。

多忙だったあおいの母の桃子に代わり母親代わりしていた藍子が目前で即死のショックであおいは失語に陥った。それを見かねた真鍋は毎日のようにあおいの遊び相手をしていたのだが・・・。



このときはまだ、緑もあおいの姉を姉らしく真面目にしていて、その緑も失語状態のあおいを見かねて

元々が超絶に勉強嫌いな、お受験した小学校に中学校すべて不合格ゆえの公立中学の緑は高校進学のつもりなどさらさらなくて、緑もなんとかなるさと軽~く進路を考えていたのだが

あおいを守るために!と一念発起、外部入試では超絶難関の黒百合女学院高等部進学を決意した。

あおいの幼稚部から内部エスカレーター進学予定の黒百合女学院初等部と緑が進学決意した黒百合女学院中高等部は、同じ敷地に隣接ゆえに失語状態の妹を何が何でも守りたいと。



それを緑から聞いた真鍋。緑の超絶最悪最低なる成績では名門の黒百合女学院への外部入試合格はとうてい無理筋と知る真鍋は、自分は教師志望でもありで、緑たちの祖父に自分が緑の家庭教師をすると志願したのだった。



緑の努力、いや、万年劣等生だった緑に必死に勉強を叩き込む真鍋の必死の努力で、緑は見事に超絶難関なる黒百合女学院高等部外部入試に合格した。

これはその頃のお話。

No.59 18/09/09 03:52
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 58
「瞬くんよどうだい?。うちの緑も君を好いてるし、むかし両家で決めた婚約話なんだが、正式に婚約ってことで。」

と真鍋に語ってるのは緑とあおいの祖父の晋太郎だ。真鍋は緑に勉強を教えに来て、自らを癌と知る晋太郎に捕まってしまったのだ。その肝心の、幼いとき、つか生まれる前に両家で婚約を決められていた本人たち、緑とあおいは

緑は無事に黒百合女学院高等部に入学して部活でまだ帰ってなく、あおいも無事に同じく黒百合女学院初等部に内部進学して、親友のゆかりの誕生会に夕飯お呼ばれで、これもまだ帰ってなくて。

晋太郎は話続ける

「いやね、君のお祖父さんとは互いに孫が産まれたら結婚させる話をしていたのは知ってるね?」

「うちは藍子は事故で死んだけど、まだ緑もあおいもいる。べつに二人を貰ってくれ!ではないんだよ、一人でいいんだ。それに今すぐ教会で結婚式せい!でも、今すぐ婚約式せい!でもないんだ。」

「緑のお転婆には手を焼いてるんだよ。このじゃじゃ馬は今日も高等部で派手に喧嘩やらかしてねえ。」

「緑は君が好きなようだし、君も緑の面倒をよく見てくれている。お似合いと思うし、恋人が出来たら緑も少しは女の子らしくすると思うんだよ。」

「現に君の前では借りた猫よろしくおとなしくしてるだろ?」



晋太郎の長~い口説き文句に絶えられずに、ついつい

「困ります。僕はまだ高校生ですし進学予定なんです。僕の大学生生活の青春がなくなっちゃうじゃないですか。」

「確かに僕はハキハキしていて清々しい竹を割ったような緑さんは好きです。でもそれより女の子らしい大人しいあおいさんのほうがもっと好きです。今すぐの話ではありませんが。」

と真鍋。

No.60 18/09/22 20:25
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 59
孫娘、緑のあまりの男勝りなお転婆ぶりに手を焼き、緑を真鍋に押し付けくっつけ結ばせようとする、あおいの祖父の晋太郎。その長~い口説き文句に耐え切れず、ついつい

「確かに僕は緑さんは好きです。竹を割ったようにハキハキしてハッキリしていて清々しいですから。でも、実は僕は女の子らしいおとなしい、妹のあおいさんのほうが好きなんです。」

と言ってしまった真鍋。

まさか、まだ小学一年生の孫のあおいと自分を晋太郎がくっつけるはずがない!と読んでの、婚約までの時間稼ぎの口実なのだが。

確かに真鍋は緑を愛し恋している。優柔不断なる真鍋にとって、竹を割ったようにはっきりした緑の性格は心地好いからだ。でも大学に進学して、世間一般の考える大学生生活を満喫したい真鍋は緑とは結婚したいが、それは自分と緑が大卒してからの話なのだ。

まあ、心の底では緑の性格にほんの少し、あおいの女の子らしさお嬢さまらしさがプラスされたら言うことナシなのだが、それを言えば緑に殴られかねないのて内緒である。

ともあれ

真鍋の「普通に大学生生活したい」の言葉に腕組みしている晋太郎。

「確かに立派な社会人になるためには大学での勉強も大学生生活の青春も大切だよなあ。」

「でも瞬くん、もう少し緑と仲良くなって、女の子らしくおとなしくせい!と、これは君からも言ってやってくれ。頼むよ。」



そうこうしているうちに、部活から帰宅した緑が黒百合女学院高等部の清楚な制服からTシャツとショートパンツに着替えて来て

「それでは緑さんの勉強を見ますので」

と、緑の勉強を見るべく二人で緑の部屋に行ってしまった。

No.61 18/09/22 20:51
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 60
「なあ、緑、お前パンツ見えてるぞ」

そう言うのは 

♪ごめんね素直じゃなくて
夢の中なら言える
思考回路はショート寸前
今すぐ会いたいよ♪

とセーラームーンのコスプレの超短いスカートで歌いながら踊る緑を眺める真鍋だ。万年劣等生の緑も最近は努力の甲斐あって成績も上がり、これで恥じらう乙女のように女の子らしくなれば言うことナシなのに・・・と思いつつ。せめてブルマくらい履いてパンツ隠せ!と思いつつ。

緑のお部屋で三時間、テスト勉強を見ていた真鍋。区切りのいいところで家庭教師の顔からボーイフレンドの顔になっている。




そのころ、親友のゆかりのお誕生会の晩餐にお呼ばれしていたあおいは、お風呂までご馳走になって帰ってきて

ママに二人を呼んで来て!と言われたあおいはそんな緑の部屋に顔を出す。

「瞬お兄ちゃん、ママがそろそろ勉強終わらせてうちで晩御飯食べてねって呼んでるよぉ」

と真鍋に「抱っこぉ!」と、ジャンピング抱っこで飛びつき貼り付く。そして真鍋に見られぬよう恋敵の、姉の緑にあっかんべーしながら

「お姉ちゃん、ママがねえ、晩御飯の前におじいちゃんに叱られて来なさい!だって。またまたのまたケンカ?。今日は何人殴ったの?。おじいちゃんカンカンだよ(笑)」




まだ初等部一年生のあおいに抱き付かれ、「甘えん坊め!」と言いながら赤井家の大きなダイニングに顔を出す真鍋。

「いつも晩御飯用意していただいてすみません」

と言いながら

No.62 18/12/23 13:24
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 61
《絶対零度なクリスマス》最終話

多忙でなかなか大人ミクルに来られませんでした。タブレット不調だったしで、読んでくださっていた皆様にごめんなさいね。

次レスから物語は続きます。

No.63 18/12/23 13:54
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 61
「お兄ちゃん、抱っこぉ!」

自分に一方的に初恋する、初等部一年生のあおいにジャンピング抱っこで抱き付かれ

この甘えん坊め!と言いながら赤井家のダイニングに顔を出す真鍋。

「いつも晩御飯用意していただいてスミマセン」

と言いながら



その声に振り向いたのはあおいのママ桃子だ。

「あらあら、あおいは今日も瞬くんに貼り付いて剥がれないのね。」

「あおい、もう遅いから歯磨きして寝なさい」

「はぁい!お兄ちゃんお休みなさぁい」

ダイニングを出るあおいを見送る二人



桃子が真鍋に言う

「瞬くん、いつもあおいと緑の面倒みてくれて有難うね。」

「あおいね、緑のお転婆に懲りたから拳法習わせるつもり、なかったの。まだまだ小さいしね。」

「でも去年藍子が事故で死んでからというもの、ますます内向的になっちゃって、初等部でいつもいつも泣いてるみたいなの。」

「だから瞬くんも来てるうちの道場、明日から通うの。瞬くん、明日から指導員見習いでしょ?。おめでとう。」

「瞬くんの初生徒、瞬くんの開門弟子というには少し早いけど、初生徒には変わりないのね。よろしくね。」



「いやーそんな、僕なんかまだまだ修業足りなくて。こちらこそ宜しくお願いします。」

と真鍋。



いつも素直で誠実かつ真面目な真鍋に、瞬くんカワイイと思ってる桃子は、真鍋をからかい半分に

「そうそう、瞬くん、おじいちゃんはああ言ってたけど、わたしはね」

「瞬くんには緑じゃなくあおいのお婿さんになって欲しいな~なんて思っちゃうのよね。気づいてる?。あおいは瞬くんに初恋で夢中なのよ。」

「お転婆な緑を瞬くんにあげるのは悪いから、あおいを貰ってくれてもいいのよ。あなたたちお似合いだから」

No.64 18/12/23 14:33
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 63
「お転婆な緑を瞬くんにあげるのは悪いから、あおいを貰ってくれてもいいのよ。」

「歳の差なんてきにしないキニシナイ気にしない。だいたい瞬くんとあおい、波長ピッタリ合っていて緑とよりはあなた、あおいとお似合いよ。」

「瞬くんも三代遡れば元はうちの一族で元武家の血なの。あおいの歳での婚約は昔はざらにあったんだから」

「瞬くんならあおいを貰ってくれても、緑を貰ってくれても、わたし安心だから。」

そう言うあおいママの桃子に真鍋は思う



真鍋は思う。

おいおい、さっき老師は

「瞬くんよ、緑を嫁に貰ってくれ」

なんて、俺と緑を無理矢理くっつけようとしたぞ。

今度は桃子さんがあおいを俺にくっつけるつもりかよ。

勘弁してくれよ。あおいはまだ小学生も一年生だぞ。

俺はまだ高校生なのに。俺、普通の大学生生活したいのに。

そりゃ緑もあおいも妹同然にかわいいし好きだけどさ。

確かに俺は緑の彼氏だけどさ、あおいが彼女でもいいけどさ、緑にしろあおいにしろ二人が大卒、せめて高卒してから決めてもいいだろ?

なんて内心は顔には出さない真鍋。でも時間稼ぎの口実に優柔不断なところのある真鍋は

「僕はお嬢様らしい大人しい女の子らしいあおいさんは好きです。でも、男の子っぽいハキハキしてる活動的な緑さんはもっと好きなんです。どちらかなんて、まだ決められません。」



洗面所で歯磨きして自室に戻るあおいは、真鍋のこの言葉を聞いてしまった。

お兄ちゃんの彼氏になるには、男の子っぽいお転婆になれば、お兄ちゃんはわたしに振り向いてくれるのね!

と決意してしまった。



一方、おじいちゃんに叱られている緑、おじいちゃんの口から

お前のお婿さん候補の瞬くんは、あおいのような女の子らしい女の子がお嫁さんに欲しいなんて言ってるぞ

と普段のお転婆なヤンキーぶりを叱られ聞いてしまい、緑は

緑は

瞬くんは女の子らしい女の子が好きなのね?。じゃあわたし、頑張って猫被りしてお嬢様キャラを演じきってみせるわ!

と決意してしまった。






あおいがお嬢様らしくないお転婆になってしまったのも

緑が大人しいお嬢様になってしまったのも

二人が水と油の姉妹になってしまったのも

全部、全部、全部、あの日の俺の言葉のせいだ!




回想シーンから我に返り頭を抱える真鍋であった

No.65 18/12/23 15:41
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

《梅宮サナ小学六年生の夏の百合のすれ違い》

未来のクリスマスで知り合う二人 あおいはまだサナを知らない




「ママー早く早くゥ!遅れちゃうよぉ!」

そう叫んでいるのは近県九県No.1のスーパーハイパーウルトラお嬢様のサナ。公立小学六年生だ。

ここはあおいの街から見ると、黒百合女学院山手校初等部のある大規模団地の山の反対側。

地方都市なので五十歩百歩であっても、新街ゆえにあおいの住む古街よりはるかに栄えている。そんな駅前。



「はいはい。サナ、慌てなくても映画は逃げませんよ」

そう必死にサナを追いかけ、落ち着かせようとしてるのは、サナのママだ。

この日は夏のアニメ映画祭で見に行く予定である。

本当なら超セレブ超バブリーなサナの家は、おつきの運転手が常時張り付いているのだが、運転手が体調を壊したのと、サナのあまりの世間知らずを心配したサナのママにより

社会勉強の社会体験で、サナの生まれてはじめての電車にこれも今から生まれてはじめての路面電車である。

路面電車を待つサナとママの二人は行列の中に庶民と化している




実はその行列のかなりうしろにはプールに向かうあおい、あおいたちがお泊りした従姉妹の高校生の紫蘭、そしてあおいの同級生カネコたちがいるのだが。




時間通りに来た路面電車。電車に吸い込まれる人々。

そこに

待てえ! その電車、駆るんじゃねえ!発車すんなよっ!

ガラの悪い声が響く

No.66 18/12/23 21:24
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 65
路面電車に吸い込まれる人々。

皆がシートに座るのを確かめ、時間通りに走り出そうとする運転手。

すると、如何にもガラの悪そうな大声が車内に届く。

「その電車、待ちやがれ!。走るんじゃねえ!」



仕方なく走りかけた電車はドアを開ける。乗り込んでくる場違いな一人の男。

いや、場違いなのはこの男ではなく

近県九県No.1お嬢様なのに路面電車に乗っているサナ母子であり、これまた隣町の誰もが知るお嬢様のあおいとその従姉の紫蘭たちなのだが・・・。



無理矢理に電車を停め乗り込んできた、マナー最悪なるこの男。

駅の隣ビルの家電店で買ったのであろうラジカセを段ボールから取り出す。

ウオークマンサイズではない、机か棚かに置いて使う大きめのタイプだ。そして、電池とCDを入れヘッドフォンを。

ここまでは、誰もが新しい物は早く試したいものだからして、公共の路面電車の中でもたまには見る光景かも知れないが

場違いなのはこの男、ヘッドフォンから音が漏れ放題なことだった。

そして、梱包段ボールを離れた空席に投げ捨てガムを吐き飛ばし、煙草に火をつけ、缶ビールを口にする。



車内の誰もが彼の二日酔いらしき臭い、そしてそれにプラスされる煙草臭に白い目を向けるが、この男、チンピラやくざ風。

いい歳した大人たちは後難を怖れたか、口を閉ざしている。

そんな中、つかつかと歩み寄る女の子、制服からして高校生だろう。

No.67 18/12/23 22:03
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 66
チンピラやくざ風のヘッドフォンから音が漏れ放題な男に、いい歳した車内の大人たちは口を閉ざしている。後難を怖れているのだ。

そんな中、つかつかと歩み寄る女の子。制服からして高校生だろう。



実はあおいの従姉の紫蘭なのだが、彼女は堪りかねて口を開く。

「ちょっとぉ!おじさん、いい歳してマナー悪すぎ」

「ラジカセうるさいのよ!。煙草にビール、臭いのよ!。ガム吐き捨てんな!。それにゴミ投げ捨てるんじゃないわよ!」

「何よ!その大股開きは。二人分座席を使うんじゃないわよ。」

「いい歳して不良学生レベルの頭なの?」



チンピラやくざ風のこの男

今まで肩で風をきって歩き、注意されたことなどないのだろう。

しかも若い小柄な女の子に言われ

逆にびっくりしたかのように一瞬だが口があんぐり状態だ。



でも、ナメられてたまるか!と思ったか、気を取りなおしたか

紫蘭を睨みつけると、大声を喚く。

「おい!ねーちゃんよ、そのうるさいは儂に言ったのか?」

「生意気な娘にはお仕置きしなきゃいけねえな!」

と言いつつ立ち上がり、

手を組み指の間接をボキボキ鳴らして威圧するが、

紫蘭は全く同じない。



そう、彼女はあおいの従姉。

つまり彼女もあおいと同じ武術家の孫娘。

修羅場は幾度と見て体験しておりチンピラなんか見なれている。

居合いを学び、日常的に本物の刀剣を振り回している、刃物なんか見馴れている紫蘭の静の気迫に押され、いや、圧されているのはチンピラのほうだ。

全く動じない紫蘭に痺れをきらしたチンピラ、形勢逆転を狙ったか紫蘭の手を掴もうとするが

別の小さな、本当に小さな手がそっと、すーっとチンピラに伸びる




No.68 18/12/23 22:33
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 67
紫蘭と睨み合うチンピラ。全く動じない紫蘭に痺れをきらしたか紫蘭の手を掴もうとする。形勢逆転を狙ったのだ。

が、その寸前、紫蘭の手ともチンピラの手とも違う小さな手がチンピラに伸びる。


あおいの手がそーっと、すーっと

チンピラの座っていたシートに伸びて、チンピラのヘッドフォンにつながるラジカセのボリュームをー気にMAXにひねり回すと

ヘッドフォンの音が男には鼓膜も破れんばかりの爆音に変わった。



「ぎゃあっ!」

慌ててヘッドフォンを外す男。

「くっそう!ボリューム回した奴は誰だ!出て来い!」

男はキョロキョロするが、あおいは小さくて、男との身長差で男の視界に全く入っていない。タイミングを見計らうあおい。

電車が停留所に着くころ

男の目の前を小さな手のひらが、頭は目覚めてますか?と言うかのようにひらひらすると

「ちびを馬鹿にすんなっ!あたしだよっ!無視してんじゃねえ!」

あおいがそう叫ぶが早いか脚が動くが早いか

床からいきなり垂直に脚が伸びて生えたかのような、スカートがめくれるのが気にしないかのような蹴りが二発、男の顎を真下から捉えた。

中国武術の八極拳と螳螂拳の合成技の穿弓提脚だ。



男を停留所に蹴り出すと

「運転手さん、ドア締めてっ!」

あおいの言葉が終わらないうちに気を利かせた運転手はドアを締め電車を走らせる。

「くそちび!覚えてやがれっ!」

小学生に車外に蹴り出され、そう醜く叫ぶ男に思いっきりあっかんべーをするあおい。たちまち車内に拍手が沸き起こる。

No.69 18/12/23 23:32
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 68
「くそちび!覚えてやがれっ!」

小学生のあおいに車外に蹴り出され、停留所で醜く叫ぶ男に思いっきりあっかんべーをするあおい。たちまち車内に拍手が沸き起こる。



が、紫蘭の雷があおいに落ちる。

「あおいっ!あんたは手が早すぎるわよっ!」

「話せばわかったかも知れないでしょ」

「闘うのは話が決裂してから!。あの人、弱かったじゃない!」



不満そうに口答えするあおい

「だってぇ、危ない人だったしぃ・・・それにわたし、手を出してないよ?出したのは脚だもん。」

「あんた・・・顔面蹴ったら手を出したのと同じでしょ!」

紫蘭のゲンコツがあおいの頭に落ちる




一方、この全てを見ていたサナ。

凄いっ!あんなに小さな女の子が、なんて格好いいの!



サナはあおいの隣に座っていたカネコに歩み寄ると、そっと話かけて車内の奥にカネコと移動する。

「ねえねえ、あなたたち、この街の子じゃないでしょ?」

「この辺じゃあまり見ない制服だもん」

「どこの小学校なの?」


『わたしたち黒百合女学院山手校初等部よ』

『今年夏服が今までのと変わったから知らない人多いけど』
 

「ええっ!あの名門の・・・」

「それでね、わたし強い女の子が好きなんだ」

「さっきもの凄いキック見せた子のこと教えて」

「わたし都小学校の梅宮サナよ」


『わたし桃井カネコ、あの子は赤井あおいちゃん』

『あおいちゃん、道場の子でとっても強いの。あんな小さいのに中学生の部の試合で優勝してるのよ。わたしをいつも庇ってくれるし優しいの』


「ふーん、わたし、あの子のこと気に入っちゃった。わたし中学は黒百合に行こうかなあ。」

「ねえねえ、お願い。住所教えてくれない?お友達になって欲しいの」



従姉の赤井紫蘭に叱られていたあおいは同じ電車に乗っていながら、このとき親友のカネコがサナと友達になったのを知らない。

この年、クリスマスにあおいとサナは、すれ違いの出逢いではなく顔を合わせて出逢うのだが、それは先のほんの少しだけ未来のお話。



この日の帰宅後、サナはママに興奮気味にお願いする。

ねえ、ママ、わたし中学は黒百合女学院行きたいの!お願いっ!

だって、だって、わたし好きな女の子が出来ちゃったもの!

No.70 18/12/24 02:25
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

《クリスマスのサナの百合な片恋》


954.955.956.957.....この石段、どこまで続くのぉ・・・。

果てしなく続く石段に喘いでいるのは

あの夏の日、あの電車で自分よりかなり小さい。でも、もしかしたら自分よりずっと強いかも知れない。

そんな少女に出逢い、一目惚れしてしまって

中学は黒百合女学院中等部に進学するんだ!と決意し、あの子に逢いたいと、その日から片恋にずっとずっと胸を焦がしてきたサナだ。



あれから四ヶ月。街はすっかりクリスマス色。



たまたま悪友と学校を抜け出したところ

とある教会のクリスマスコンサートのチラシを、優しいお姉さんの引力に引き寄せられたかのように受け取ってしまい

それをママに見せたら

「あなた、黒百合女学院に行きたいのよね?。あそこはクリスチャンスクールだから一度くらい入学まえに礼拝に行ってみたら?」

と背中を押されたのだ。それで石段と格闘しているのだ。



近県九県No.1のお嬢様とはいえ活発なサナ。

スポーツに空手に剣道が大好きで、普段は毎日の道場の走り込みすら嬉々として歓喜の顔で取り組む彼女だが

さすがにインフルエンザを拗らせ肺炎で死にかけた病み上がりの身だと息も絶え絶えなのだろう。ついつい

「なんで病み上がりのわたくし、こんなに歩かされてるの?」

「こんなに長い石段とは聞いてなくてよ。」

「うちの運転手の早川はどこでサボってるのかしらね。」

「おんぶくらいしてくれてもいいのに」

と呟きながら。 



すると不意に木枯らしが。

「きゃっ!」

木枯らしについつい女の子の本能で、必死に両手でスカートを押さえたら帽子が飛んでしまった。悪いことに石段のかなり上のほうまで。

「あーあ、上まで登る理由が出来ちゃった」

No.71 18/12/24 12:49
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 70
その前夜の赤井家では

と言うか、さらにその前夜、あおいの姉の緑は長電話している。

相手は緑の後輩、黒百合女学院高等部のしおりだ。

このしおり先輩を

実の姉の緑が恋のライバルだし、とんでもなエロ馬鹿姉なので、あおいが彼女を実の姉のように、お姉ちゃんと甘えきり慕っている。

もちろん百合の意味でなく

先輩後輩の意味で。姉妹の意味で、である。

緑がしおりと話している内容はだいたい

「向こうの塾の仕事、クリスマス休みで正月まで瞬くんが帰ってくるからデートしちゃうの。もしかしたらあたし、ファーストキス、瞬くんにあげちゃうかも・・・」



これをしおりと聞いていたまなみ

このまなみ、黒百合女学院中等部のまなみは

しおりに百合な恋をしていて

しおりがあまりにあおいを妹同然に可愛がるものだから

あおいにしおり先輩を取られちゃうと、勝手に思い込んでいる。

もちろんしおりもあおいもノーマルで

たまにふざけあってくすぐり大会しても

百合の意味での女の子同士のイチャイチャは興味ないのだが。

それはさておき、その情報を仕入れたまなみ、百合なライバル蹴落としたい邪心から表明上は仲良くしてるあおいに早速に電話する。



「ねえねえ、あおいちゃん、緑先輩は明日ね、真鍋のお兄ちゃんとデートだって。ファーストキスあげちゃうんだって!」




これを聞いたあおい

想い人の真鍋を緑に奪われかけているあおいは、瞬間湯沸かし器のごとくに怒りは一瞬にして沸点を超え怒りMAXだ。

緑と真鍋の記念すべきファーストキスな甘いデートに突然現れて、甘い雰囲気をぶち壊してしまった。

それだけでは怒りが鎮まらないあおい、半分怒りモードのままクリスマス会当日になり、怒りモードでそれに出ている。



合同クリスマス会当日。この日は黒百合女学院幼稚部から高等部まで年間に唯一、私服登校が許可されている日だ。

No.72 18/12/24 13:48
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 71
今日は黒百合女学院の幼稚部と初等部の合同クリスマス会である。

黒百合女学院では年一度だけ

各校のクリスマス会の日のみ、私服登校が許されている。



羽織り袴に三つ編みで

はいからさんが通るになりきり自転車登校したあおい。

「おはよー!」

元気よくクラスの引き戸を開ける。



「わあーあおちゃんかわいい!」

「ゆかりもかわいいよ。そのドレス、綺麗ね。」

「あおちゃん、わたしのミニスカ、似合ってる?」

「美佐ちゃんかわいいサンタのミニスカね。」



そんな毎年のクリスマス会朝の日常



ゆかりはクラスでクリスマスの飾り付けをしている、想い人の待った先生にカネコや美佐と話しかける

「ねえねえ、松田先生、あおちゃんかわいいよね!」

「わたしたちの写真、早く早くぅ!」



振り向いた待った先生

「お、おう!おはよう。赤井は今日もかわいいな。」



だが、待った先生、カメラを構えながら何かイメージしたのか、お洒落してる女の子に口が裂けても言ってはならない一言を



「なんかあ、大正時代のはいからさんから羽織りを身ぐるみ剥がして着込んだ美少女強盗って感じ?」



あおいの機嫌を損ねて平手打ちされてを繰り返しても、この待った先生は女の子の心に鈍くて、学習しない天然なのだ。

姉のせいで前夜から怒りはMAXなあおい。当然のごとくに怒りの火に油を注いだ待った先生に

女の子に恥かかせるなんて最低!と

怒りのキックが待った先生の股間に的中する。



のたうちまわる待った先生にあおいの罵詈雑言

「ふんっ! わたしはねえ、代々うちの女の子は黒百合だから通ってるだけで、あんたみたいなネジ抜けた童貞がいるなんて知ってたら黒百合なんか通わないわよっ!」

待った先生ラブなゆかりだけが

「ひどいっ!お○ん○ん蹴るなんて、あおちゃんっ!わたしが待った先生とえっち出来なくなったらどうするの!」

そんな中ただ一人だけ待った先生ラブなゆかりが、女心にうとい待った先生を庇ってるのに、またもこの天然な待った先生、余計な一言を

「た、高田、誤解を招くことは言わないでくれ、あくまで俺は先生でお前は生徒だ。」


「先生ひどい!わたしが好きって言ったくせに!」

「結婚詐欺だぁ!」

泣き出すゆかり

No.73 18/12/24 15:10
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 72
「先生、わたしのはだか見たくせに!」

「好きって言ったくせに!」

「先生ひどいっ!結婚詐欺だぁ!」

泣き出すゆかり



女の子に恥かかせるなんて最低!と

あおいにお○ん○んを蹴られた待った先生を

六年一組でただ一人、待った先生ラブなゆかりが庇って

「わたしが先生とえっち出来なくなったらどうするの!」

と庇っているのに

「誤解を招くことは言わないでくれ。あくまで先生と生徒だ。」

と待った先生がまたも女の子の気持ちに鈍い一言を放ったせいだ。

ゆかりのはだかを見てしまったのも偶然の事故であり

ゆかりを好きと言ったのも、優しいところが好きだからこのまま優しい女の人に成長してくれ、の一般教育論なのだが。



ともあれ、この騒ぎは初等部校舎と中等部校舎に挟まれたグランドで体育している中等部に筒抜けで、中等部いちばんの鬼教師の黒木先生が

「松田先生、いい加減に毎日のようにクラスで騒ぎを起こすのはやめてくださいっ!迷惑でしょうが!」

と怒りの形相で飛び込んでくる。

その黒木先生に六年一組全員のブーイングが。

「黒木先生、クリスマス会の日は幼稚部も初等部も何をしても先生に叱られないルールつか伝統ですよぉ!」

と、あおい。そう言われては引き下がるしかない黒木先生。




時は少し過ぎて1時間後

講堂で幼稚部と初等部クリスマス会が開かれている。



あおいは中央に設置されたテーブルのグラスを五つ取り、うちの二つにコーラを注ぎ、粉わさびを仕込んでいる。

さっき怒鳴り込みに来た黒木先生。中等部に侵入しイタズラするたびに捕まって説教される、その黒木先生。

そして想い人を奪いつつあるOB代表参加してる姉への

日ごろの仕返しにわさびジュースを飲ませるつもりだ。

これはグラスを配る係のあおいの、どの先生にどのジュースを配るか決める伝統の特権乱用。嫌われてる先生は毎年誰かが痛い目をみるのだ。

いたずら大好きな悪魔なあおいがグラス係と知り戦々恐々の先生たち

ちなみに優しい優しい優しい待った先生や学長と校長には、あおいはひっそりこっそり隠して持ち込んだワインを葡萄ジュースだと、グラス一杯だけプレゼントするつもりだ。

No.74 18/12/24 21:36
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 73
山手校学長の挨拶で始まった幼稚部初等部合同クリスマス会。

初等部教頭の音頭で乾杯がなされたが、グラス係があおいと知る初等部の先生は、中々ジュースを口にしない。

嫌われてる先生一名には、グラス係からとんでも味のジュースが配られる伝統だし、何より今年はいたずら好きな悪魔なあおいがグラス係だ。

全員のグラスがとんでもジュースな可能性が有り得るのだから。



「先生方お飲みになりませんの?」

そう怪訝そうに聞いているのは中等部教師代表参加の黒木先生だ。

いや~喉が渇いて飲みたいのは山々なんですが、今年はグラス係があの赤井あおいですからなあ。

そんな戦々恐々な雰囲気の中

俺は嫌われてないぞ!と自信満々に初等部校長がグラスに口をつける。校長先生はセーフだった。



よかった。赤井に嫌われてない先生がいた。もしかしたらわたしも嫌われてないかもしれない。

そう思いながらも、中々グラスに口をつけない初等部教師を不思議がりながら黒木先生がグラスに口をつける。

いちばん嫌われていたのは、黒木先生だ。もちろんわさびジュースである。ジュースを口から吹き出してしまう黒木先生。

なんでわたしなのよ!

と、わさびが強すぎたか泣いている。

例年であれば、グラス係のターゲットは幼稚部と初等部の教師だが、クリスマス会当日は叱られない伝統を逆手にした、伝統をはみ出して中等部教師をターゲットに絞ったあおいによる、黒百合女学院いちばんの鬼教師の黒木先生への、日ごろの仕返しだった。




講段で黒木先生がジュースを口にしたのを確認したあおいが講段からマイクでアナウンスする。

「当たりが出ました!」

「グラス係による今年の貧乏くじ先生決定は」

「中等部の黒木先生でしたぁ!」

「あとは約一名のOBを除いて他の先生とOBはセーフです。」

「安心してね」



そんな頃

あおいに百合な憧れをもつサナはあの長い長い石段を克服し

黒百合の裏山頂上の公園に辿り着き

石段で歩照った体を北風に休ませていた。

No.75 18/12/24 22:24
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 74
わさびジュースを黒木先生が口にしたのを確認した、クリスマス会のグラス係のあおいによる

「今年の貧乏くじ先生決定は黒木先生でした」

「あとはOG一名だけです。先生たちは安心してね」

とのアナウンスに今度はOGが戦々恐々とする。

嫌われてる先生にはグラス係からとんでもなジュースが配られる伝統が、今年はクリスマス会を手伝いに来たOGも対象になっているのを始めて知るのだ。

グラス係は十名だが、決定権を握ってるのはあおいだ。
 


そんなあおいが

「お姉ちゃん、ジュースをどうぞ」

昨夜までの緑への不機嫌はなおったかのようなニコニコ笑顔で、OG参加している姉の緑にジュースを注ぎに来た。

まさか姉の自分にわさびジュースは来ないと思っている緑。疑うことなく口にして吹き出してしまう。

「あおいっ!よくも姉のわたしに・・・待ちなさいっ!」

「わたしの恋を邪魔するからよ!」

逃げるあおい。






一方、黒百合女学院の裏山に辿り着いたサナ

歩いて来た石段を振り返ると、素晴らしい景色がひろがっていた。そんな景色を見ながら、石段に歩照った体を休めつつも、今朝のことを思い出している。



「ねえねえ早川さん」

話し掛けられているのは、サナのおつきの運転手の早川だ。

「このチャペルに歩いて行きたいの。道を教えて下さらない?」

『サナ様、それは叱られてしまいますので無理にございます。』

「どうして?ママには黙っててあげるから」

『そういう問題ではございません。サナ様は今までお一人ではバスや電車どころか、タクシーすらお乗りになられてないのが心配なのでございます。』

「失礼しちゃうわね。子供扱いはもうやめてよ。」

「わたくし、春には中学生なのよ!」


押し問答を繰り返したものの、結局、石段の下までは早川に送ってもらったサナである。

『この石段をお登りくだされば、頂上に公園がございます。あとは坂道をお下りくだされば、どの道をお通りになられても、そのチャペルに着くはずにございます。』

『車を停めて参りますので暫しお待ちくださいませ。地図を書いて差し上げますから。』

そう言うと早川は駐車場に向かった。

しかし待てども早川は来ない。駐車場が見つからないのかな?と、サナは一人で長い長い石段を登ったのだ。



No.76 18/12/24 23:17
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 75
いろいろと思い巡らせている最中のサナ。

チャペルへの道を聞いたとき、運転手の早川は確か

『黒百合女学院山手校はこの山の麓にございます』

と言っていたわよね



チャペルに行くのをやめて、あのあおいちゃんのいる黒百合に行ってみようかしら?。あのうるさい早川がいない今は自由気ままに歩き回れるチャンスだわ。



そう思い始めると



あの夏の日、あの電車で出逢ったあの女の子

あんなに小さいのに、電車の乗車マナー悪い男を電車から蹴り出した強くて格好いい女の子の顔が想い浮かぶ。

あの日はあおいちゃんとはすれ違っただけだけど

一目で片恋してしまった、大好きなあおいちゃんに早く逢いたい。



ダメダメ!今日はママに言ったとおり、ちゃんとチャペルに行かなきゃ。わたくしが迷子になったら街をあげての大騒ぎになっちゃう。



そう思い出しながら公園になっている裏山の周辺を見回してみる。

ふーん、お洒落な公園にお洒落な団地ね。

あの日お友達になったカネコちゃんは、黒百合の裏山はわたしたちの遊び場って言ってたわよね。あおいちゃんといつも遊んでるんだ!って。

そう思って公園の中を歩いてると、小さな祠が目に入った。

歴史好きなサナはついつい歩いていく。


No.77 18/12/25 00:30
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 76
「ねえねえ、君かわいいね!」

「君ぃ、どこの高校?」

「俺たち黒川高校だけど、バレー混ざらない?」 



サナが公園内の祠の由緒由来を記す看板を読んでいると、そんなナンパの声がする。

振り返り自販機スペースを見ると

声をかけられて固まっているのは、あの日あの電車でお友達になったカネコ

サナがすれ違いに一目惚れして片恋する、あおいのクラスメートで親友のカネコだ。



クリスマス会が終わってあおいたちと遊ぶ約束でカネコは一人、一足先に来ていたのだ。

小学生にしては発育が良すぎて、誰がどう見ても高校生な顔と体型。

いつもいつも高校生に間違われてしまうカネコであるが、さすがに高校生にナンパされちゃうのは初めてで

外見は大人寸前な高校生でも、心はまだやはり小学生、性的な社会常識すらほとんど知らないカネコ。

 

高校生だ!怖いよぉ!

ナンパ断ったらわたし、どうなるの?

連れて行かれて殺されちゃうの?

そう思ってるのがわかるほどの困惑した怯えぶりだ。



あれは、漫画やドラマでよくあるナンパかしら?

ナンパって、世の中に現実にあるんだ!

そう思いつつも

カネコちゃん、高校生にナンパしつこくされて、怯えてるんだわ!助けてあげなきゃ!



でも、その前に頭を使うサナ

実はサナ、空手剣道優勝経験者であるが、猪突猛進のスピードで押しまくって闘うあおいと違い、知的に作戦を組み上げるタイプだ。

周りを見回してみる。 

ふーん相手は三人ね。他に同じ制服の仲間はいないみたい。

公園内にも道路にも大人はいないから自分たちだけでなんとかしないとなのね。

アパートはあるけど昼間だから大人はいないかもしれないわね。

武器になりそうな物は濡らせばムチとして使えるコットンのスカーフとペンしか持ってないのよねえ。

でもジャングルジムが間に挟めば楯に使えそうで、入口の狭いトイレがある。トイレ入口に行ければ一対一と変わらないわ。

あおいちゃんの遊び場らしいし、黒百合学園の近くで黒百合の人が来てくれるかも知れないよね。

問題はカネコちゃんの足の速さだけど、文武両道の黒百合の子なら大丈夫でしょ

あとは戦術ね。

ママのお色気作戦、早川の仮病作戦、借りちゃうわ。



カネコちゃん助けてあげたらあおいちゃんは喜ぶかも。

なら助けてみせちゃうわ!

No.78 18/12/28 17:04
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 77
ママのお色気作戦、早川の仮病作戦、この際だから借りちゃうわ。



夏休みにあおいとすれ違い、一目惚れし初恋してしまったサナ。

そのあおいの親友のカネコの危機に、悪い高校生を懲らしめると決めたサナ。

近県九県No.1お嬢様のサナ。普段は大人しいものの空手も剣道も優勝者。実は猫被りのかなりのお転婆さんなのだ。

その喧嘩手段は、頭を使う知性派。悪く言えば卑怯派。しかし自分より強いかも知れない、いや確実に自分より強いであろう、歳の離れた男子高校生と喧嘩するのは・・・初めて。

大丈夫か?

傍から見てる人がいれば

なんて無謀無鉄砲な小学生と思うはずである。

が、・・・



風邪なのに無理して長い長い石段を歩いたため、熱でフラフラになった病児をサナは装う。そして

そして、カネコをナンパしようとシツコク付き纏う高校生三人に話しかける。

「ねえねえ、カッコイイお兄ちゃんたち、わたくし風邪をぶり返して熱が出たみたいで苦しいの。」

「おまけに財布落として喉がカラカラで。」

「家に帰ろうと石段登ったらしんどくて熱くて」

「ねえ、お願い、あなたのジュース、分けてくださらない?」

と高熱にうなされフラフラ感たっぷりの千鳥足を装い抱き着く。



幼いころは子役してコマーシャルや地元ドラマに出たこともあるサナは、まぶしいほどの美少女だ。おまけにカネコと同じ優等生でしかも実年齢より大人びて見える。

カネコにナンパしていた高校生たちはサナに魅とれて、ついつい優しくなり油断を。

サナを椅子に座らせ、各々がジュースやらミネラルウォーターやらお茶やらを買い与える。



「ありがとう。お兄ちゃんたち優しいね。」

そう言いながらカネコに向かいウインクしながら、スカーフを水で濡らしつつ

「あっ!ハンカチもティッシュも落としちゃったみたい。カネコちゃん、持ってる?」


そう聞かれたカネコ 

カネコは黒百合女学院初等部No.1の優等生である。初等部どころか中高部も大学部までも首席卒業するのでは?と、黒百合教師たちの期待の生徒だ。



電車で友達になって文通してるサナちゃんだ!

夏休みに一度しか会ってないにも関わらず、そう気づく。その上サナが口にしない意図を正確に把握した。

「ティッシュならトイレにあるかも!」

トイレに駆ける、否、公園から逃げ出すカネコ。

No.79 18/12/28 17:44
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 78
「あっ!わたくし、ハンカチもティッシュも落としちゃったみたい。」

「カネコちゃん、持ってる?」

そうサナに聞かれたカネコ。



トイレに行く振りして、わたくしに任せて、ナンパにシツコクするストーカーもどきなこの男子高校生から逃げなさい!。

サナは言外にその意味で言っているのだ!今まで一度しか会ってないにも関わらず、スーパー優等生なカネコはそう気づく。

「トイレにあるかも!」

そう走り出したカネコに

「君ぃ、逃げないで待ってよ!」

高校生たちが逃がすまいと声をあげるが

サナは今度はお色気作戦を繰り出す。



「ねえ、お兄ちゃん、わたくしのジャケットの背中の首のとこのホック、外してくださらないかしら?」

そんなサナに気を取られた三人の高校生。ひとりが体を屈めてサナの背中に手を伸ばす。

その瞬間、サナは立ち上がり正面のひとりにスカーフを振った。

もともと護身のために四隅に五円玉を縫い付けてあるスカーフが、水に濡らされたことで、さらに重たいムチと化した。

目くらましの水しぶきを撒き散らしつつスカーフは見事に命中する。

「痛え!」

正面の男子高校生がそう声を上げる間もない瞬間

サナの背中のホックを外そうと、エッチな下心を出して身を屈めた右側のひとりに上段回し蹴りが。続けて背後のひとりに上段正拳が決まる。



「お兄ちゃんたち、わたくしもお友達もまだ小学生なのに、しつこくナンパした天罰と思ってね!」

サナはそう言葉を残して逃げようと駆け出すが、公園の出口を振り返ると、この三人と同じ制服を着た人たち何人も。

まさかお仲間?

サナがそう思う間もなく

「お前らそいつを捕まえろ!」

背後の三人が叫ぶ。



しまった!逃げられない!

そう思うサナ。しかし想定内だ。

一緒にいたカネコは逃げきっている。きっと黒百合女学院の先生やあの強いあおいちゃんも、お巡りさんも、来るのは時間の問題なだけである。

サナは全速力で、最初からの想定通りに入口の狭いトイレに向かう。狭い空間ならば敵が何人いても、一対一と変わらないのだから。

トイレに駆け込み、トイレにあった箒を構えるサナ。剣道にはハッキリ自信がある。

わたくし、この際は少し派手に暴れさせていただきますわよ。

そう覚悟を決めるサナ。


No.80 18/12/28 19:08
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 79
一方、サナのおかげで窮地を脱したカネコは、一目散に団地の下にある自らの学校、黒百合女学院山手校初等部に急いでいた。

先生に

そして初等部のクリスマス会山手校高等部OGとしてお手伝い参加していた、親友のあおいの姉

黒百合女学院中央校大学部の緑に急を知らせ助けを求めるために。



文通しているお友達のサナ

来年度に中等部に学外入試での入学希望者のサナが

自分を身代わりにして逃がしてくれた

と、先生たちや緑、そしてその妹の大親友のあおいに伝えるために。






そんな時、初等部の裏山。団地の坂道を歩いて登って来たのは、クリスマスのデート待ち合わせに公園近くの喫茶店を目指していた緑だ。

「あら、カネコちゃん、血相を変えて、どうしたの?」

「緑センパイっ!お友達が大変なんです!高校生に!」

そう告げるカネコ。

「なんですってえ!。」

婚約者の真鍋の手前、表面上だけだが、いつも猫被りして大人しいお嬢様お嬢様な女の子してる緑。普段のお嬢様キャラから本性のヤンキー緑さまに豹変する。

このへんは、やはり中国武術家の孫だ。







その頃、団地上の公園トイレではサナが男子高校生と睨み合いの膠着状態だ。

男女共用の手洗い所で、入口の狭い女子トイレに箒を構えて隙を見せないサナを攻めあぐねている。

箒を掴み取ろうとするたびに、散々に小手を打たれ、お腹に突きを打たれで、散々な目にあっているのだが、女の子それも小学生に負けたなんて、しかも手加減されて負けたなんて

面子を壊されてなるものか!と粘っているゆえの膠着状態だ。



そして、ついにひとりが女子トイレ個室の小さな小さな窓から侵入するのに成功した。

背後の戸をそーっと開け忍び足で近づいた一人に、ついに両腕ごと羽交い締めにされてしまうサナ。

「今だ!飛び掛かれ!」

サナを羽交い締めにした一人がそう叫んだ瞬間

No.81 18/12/28 20:33
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 80
サナを羽交い締めにした一人が

「今だ!飛び掛かれ!」

そう叫んだ瞬間の出来事だった。



サナの目にいくつかの煌めきが走ってトイレの床に落ちる。

その煌めきに男子高校生たちは

「痛っ」

と顔を押さえる。

床に落ちた煌めきを見ると、それは五百円玉サイズのコインだった。

それはただのコインではなく、コインの縁が念の入ったことに、まるで刃物のように研ぎ磨かれて鋭くなっている。

そして男子高校生の顔からは血の滴りが。



「こ、これは中国武術の暗器(隠し武器)の蘿漢銭!」

まさか、あおいちゃんが助けに来てくれたの?

そう思うサナに煌めきの主の声が喋る

「そうよ、蘿漢銭」

「金銭票(金偏)とも言うけどね」

そして、その主の甲高い叱り声が

「アンタたち、小学生相手に何やってんのっ!」



「あんた誰だよ!邪魔すんな!」

そう強がる男子高校生にその主は名乗る

「黒百合女学院、赤井緑様、参上!」

「その制服は元系列の黒川学園高校。よくも妹の友達を可愛がってくれたわね!。わたしを怒らせちゃって、覚悟は出来てるわね?」


可哀相に始めは男子高校生は悪くはなかった。ナンパにシツコク冴えしなければ、だが。

なぜならそれは、カネコが小学生にしてはあまりにも発育が良すぎたゆえの、カネコを女子高生と勘違いしただけだから。

しかし、カネコの小学生とは思えぬグラマーさに、ついついシツコクしてしまった上に、助けに入ったサナに、これまた美少女なサナへのエッチな下心から、サナのジャケットの背中のホックを外そうとしたり

その上、女子トイレに侵入してサナを羽交い締めにしてしまい。

誰がどう見ても、彼らのやらかした事は変質者の悪事

おまけに彼ら、緑の顔は知らなくても、彼らは黒百合女学院の昔は系列の黒川学園生徒だ。合同行事は年に何度かある関係で緑の武勇伝は伝わっている。


地面に頭を擦り付けんばかりな、そんな深いお辞儀を緑に繰り返し謝るしか、助かる術は彼らにはなかった。



そんなこんなを見て、自分が初恋したあおい、そのあおいの姉の緑に助けられたことに安心し、ヘナヘナとへたり込むサナ。

無理もない。まだ小学校六年生だ。

そのサナに駆け寄るカネコ

「サナちゃん!大丈夫?」

「ありがとう!本当にありがとう!」

へたり込むサナに抱き着くカネコ。



No.82 18/12/28 22:12
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 81
へたり込むサナに駆け寄るカネコ。

「サナちゃん大丈夫?。それと、ありがとう!」

「カネコちゃん、無事に逃げてたのね。良かったぁ。」





そうしてサナは緑を見て、きちんと姿勢よく立ち上がり

「あおいちゃんのお姉さんですよね。わたくし梅宮家の長女のサナと申します。お見苦しいところをお見せして申し訳ありません。」

「そして助けていただき、ありがとうございました。改めて母とお礼に御自宅に伺わせて頂けないでしょうか?。」

と丁寧にお辞儀をする。



サナの丁寧な挨拶に驚くと同時に感心する緑。緑もお嬢様だが、さすがに育ちが違い、サナはあおいと同年齢では近県九県No.1お嬢様なだけはある。

「あ、あなた、あの梅宮家の・・・こんな無茶してダメじゃない。」

「ところでサナちゃん、あなた、お家遠いのに、なんでここに?」



「わたくし、実は夏休みにあおいちゃんを見かけて、あおいちゃんが大好きになって。中学校からはどうしても黒百合に入りたくて」

「たまたま昨日、この下のホーリネス希望チャペルのクリスマスコンサートのチラシをいただいて。ママにそれを見せましたら、来年は黒百合に入るんだから一度は教会に行って体験なさいって。」

「そこの石段まで早川に送らせましたが、一人で歩いてみたくて、石段から歩いて参りましたが、たまたま仲良くなったカネコちゃんをお見かけいたしましたので。」



そんなサナに応える緑

「そうだったのね。うん、あなたにいいニュースを教えてあげるわ。あなたの目的地のチャペルは黒百合女学院の牧師のチャペルよ。」

「うちのあおいが好きだからと黒百合に入らなくても、毎週日曜日の朝に来たらあおいに会えるわよ。」

「でも、あなたなら難関の外部入試も楽勝でしょうね。少し早いけど可愛い後輩が出来て嬉しいわ。」

「ようこそ!黒百合女学院に!歓迎しちゃうわよ。」

「今日はねえ、幼稚部と初等部の合同クリスマス会してたのよ。まだお菓子残ってるからいらっしゃい。一緒に楽しみましょ。」

「あおいもまだいるはずだし、夕方からはチャペルのコンサートにあおいも聖歌隊で出るから、見て行ってあげてね。」

「ママと早川さんにはわたしから電話してあげるからね。」




黒百合の山手校の初等部に向かう三人。サナと緑とカネコはもう打ち解けている。

No.83 18/12/28 23:15
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 82
サナとあおいの姉の緑にあおいの親友のカネコ、三人はもう打ち解けていて、黒百合の山手校の初等部への道すがら

「ねえ、緑お姉さんとカネコちゃん、わたくし、女の子なのに女の子のあおいが好きになっちゃったの、恥ずかしいからあおいちゃんにはまだ内緒にしてくださいね。」

「まだ中等部を受験合格したわけでもないし、まだあおいちゃんにそう言う勇気ないんですもの。」

と言うのはサナ。



「ん?。女子校だと女の子が好きな百合はよくあるのよ。恥ずかしがらなくても、みんなそんなに気にしないわよ。」

これは緑。サナはまだあおいの姉が同人エロ雑誌の作者とは知らないのだ。緑もそれはあおいに殺されかねないので言えない。あおいと冷戦の真っ最中なのだから。



そしてサナは

「カネコちゃん、あそこはあおいちゃんとの遊び場でしょ?。」

「あおいちゃんは?」


「あおちゃんはね、怖い怖い中等部の黒木先生にね、日ごろの仕返しだぁ!ってね、わさびジュース飲ませちゃったの。」

「初等部はクリスマスには先生にイタズラしても叱られない伝統なんだけど、中等部の先生にしちゃったから叱られてたよ。」

「たぶん、反省文を書かされてるかと。」



そこに緑が

「サナちゃんには悪いけど、あおいはね、わたしの婚約者の真鍋瞬さんに片想いしちゃってるの。」

「それで今日ね、瞬くんとわたしがデートするのを知って、やけ食いに走ってね。」

「食べ過ぎたぁ!なんて保健室で唸ってたわ。」

「可哀相に幼稚部の子たち、ご馳走をあおいにさらわれた子が出たの。」

「ケーキ1ホールでしょ、握り寿司三人前でしょ。チキン二人前でしょ。食い気に走り出したあおいはわたしが見ても怖いわよ。目が血走ってるもんね。」



これを聞いたサナ

「あおいちゃんは、ますますわたくしの理想のお婿さんです。」



「違うのよ、サナちゃん。あおいはあれでも女の子なんだから」

そう言う緑に

「もちろんわかってますぅ。でもそこが好きになっちゃったんです」

No.84 18/12/29 00:12
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 83
カネコはサナに聞いている。

「ねえねえサナちゃん、あおちゃんに好きって言わないまま帰って本当にいいの?」





数時間前、黒百合女学院の保健室のベッドで

「しまったぁ!みんなと遊ぶ約束、忘れてたぁ!」

そう目覚めたあおい。慌てて学校の裏山の公園に走ると、公園から坂道を下りてきた緑やカネコと鉢合う。



「あおちゃん、紹介するね。」

「この子はペンフレンドのサナちゃん。来年うちの外部入試受けて中等部に入るんだって!。仲良くしてあげてね。」

そうサナをあおいに紹介するカネコ。

「わたし、赤井あおいよ、そこにいる緑さんの妹です。よろしくね。」

緑に対してトゲのある言い方だ。緑はまだ機嫌がなおってないのかと思うが、道々、あおいはサナと仲良くしてるので

まあ、いいか。と、時の流れに任せようと。



学校隣のチャペルでコンサートが始まるまでゲームしよう!発案したのはあおい。

あおいとあおい組五人娘のみずき、美佐、ちはる、カネコとゆかりに混ざるサナ。

ひとしきり楽しいゲームの時間が流れ、そのうちにちはるが恋バナを始める。

「あおちゃんの隣ん家の剛くん、最近カッコイイよね。昔は弱虫だったのに」

「ええ~ちはるはあんなスカートめくり魔のがいいんだ?」

「だってあおちゃんに鍛えられて、最近は強いしスポーツ上手いし何よりお洒落になったじゃない。あとは頭の中身がわたしたちに釣り合えば文句ナシでしょ。」

「ゆかちゃんはやっぱり待った先生に片想い続けるの?」

ひとしきり、そんな楽しい時間が過ぎて夕方になり、チャペルでクリスマスコンサートが始まる。


聖歌隊服のあおいにサナは興奮気味だ。

「あおいちゃん可愛い!」

そんなサナに

「わたし歌は苦手なのよね。サナちゃんも祈っててね。」


そうしてチャペルに響く讃美歌

喜べイスラエル♪
久しく待ちにし主よ とく来たりて 
御民の縄目を 解き放ちたまえ 
主よ 主よ 御民を 救わせたまえや 
万軍の主 救わせたまえや♪ 

あおいちゃん、やっぱりカッコイイ!

そんなサナに

「あおちゃんに好きと言わないで帰っちゃうの?」

そう聞くカネコにサナは

「うん、まだあおいちゃんにわたくし釣り合わないから」



来年の四月の中等部入学式の再会を楽しみにサナは家路に。 





次は正月物語。

No.85 19/01/01 19:56
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

《小六と大一の二人に挟まれてな正月物語》

実はこのとき、叔父に御神酒すすめられ、飲んじゃって。

小六にして酔ってしまっていたらしい主のわたくし、一部記憶が曖昧なんだけど、次レスから物語はじまりはじまり。


No.86 19/01/01 20:14
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 85
書き初めは
 ひめはじめなる
  ふでおろし 
   墨のしずくは
    帯解く口実

「あおい~何してんだ!書き初めか?」

そう声をかけてあおいの部屋のガラス引き戸を開けた真鍋。

その目に飛び込んだのは冬休みの宿題らしき書き初めだが

なんともエロ満載な短歌の記された短冊。

「なっ!なななっ!何を書いてんだお前は!」



つい、叫んでしまう真鍋。

あおいの姉の緑のエロ同人癖が妹のあおいに感染という、おそろしい自体に怯えている。

でも、ここは兄代わりとして冷静に・・・と思うと




が、あおいの息はまだお酒くさい。

「お、おまえ、まだ酔ってるな。小学生にして二日酔いかよ!」

「親父!💢ちょっと来いよ!💢」

「てめえが酒飲ますからあおいが!💢」

そう叫ぶ真鍋。実は暮れから正月二日まで父とあおいの家に泊まっていたのだ。

話は遡り大晦日

No.88 19/02/09 15:40
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 87
拙い小説風実話、お読みくださる皆さま、予想外に早く2100ヒット超え、ありがとうございます。

そして前レス、いま見比べましたら下書きを間違え、訂正してない下書きで書いておりました。おっちょこちょいなわたくしでゴメンナサイね。

今日明日中には訂正し書き換え、続きもup出来ればと思っております。

でもわたくし、なにぶん塾経営者でもあり多忙で、もし遅れましたらゆるしてね。

No.89 19/02/10 21:28
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 86
訂正版

話は遡り大晦日。

ここは赤井家の、広い広い道場のある古い武家屋敷。大晦日の今日ばかりは、緑の婚約者であおいの想い人の真鍋も、あおいの同級生の美佐も、遠戚を理由に大掃除に駆り出されている。

クリスマス付近の、あおいと緑の自分を巡る恋の激しい冷戦に、気が気ではない真鍋は、不安についついチラチラと二人をチラ見して、二人の機嫌に気を揉んでいる。

が、その冷戦関係に適応している美佐が、二人の間をうまく立ち回っているため、真鍋の心配をよそにあおいも緑もご機嫌である。





ふと、そんな雰囲気に安心の昼ご飯時に、皆が録画されたドラマを見ながら仲良く食事している中のキスシーン。いきなり美佐が

「ねえねえ緑お姉ちゃん、ファーストキスってどんな感じなの?」

「いいなあ、憧れちゃうな」

「あおちゃんや緑お姉ちゃんは瞬お兄ちゃんともうしてるの?」

とエロ発言。



キスシーンいきなりの美佐の質問に、それぞれの父母を前に気まずく目が泳ぐ、あおいと緑そして真鍋の瞬である。美佐は美佐で、なんで三人は目が泳ぐの?な、疑問な表情。

もちろん三人は未経験で、でも普段のエロ同人執筆で全く家族に信用されてない緑に

「緑っ!おまえって奴は、婚約式もまだなのにもう瞬くんと?」

そう問い詰めてるのは父の幸一郎だ。そんな中、放任主義の祖父の晋太郎は理解あるニコニコな笑顔を見せているものの、さすがに気まずい居づらい緑は

「美佐ちゃん、馬鹿言ってないで早くお掃除片付けましょ」

と子猫の襟首を持ち上げるように美佐を連れていく。「恋敵のあおいがいるからその話はしないでね」の意味もあるようだ。



一方のあおいは

「わたしの初めては瞬お兄ちゃんがいいなあ!」

「お兄ちゃんっ!キスを教えて!」

No.90 19/02/10 22:24
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 89
一方のあおいは

「わたしの初めてのキスはお兄ちゃんがいい!」

「お兄ちゃんっ!キスを教えて!」

隣に座る真鍋に甘えて抱き着き目を閉じるあおい。

「ち、ちょっと待て!。おまえ小学生だぞ。」

「俺でいいのか?。もっと格好いい仲良いボーイフレンドいるだろ?」



これはあおいの家の正面向かいに住む、あおいの同い年の幼なじみの剛くんのことだ。真鍋は剛くんのあおいへの恋心を見抜いてるのだけれど、あおいは

「えッ?剛くん?。あれは家来よ!」

「それにいつもスカートめくってさ」

「お風呂も一人で入れない弱虫でさ」



いやいや、スカートめくりは低学年の時の話なのに。好意あるから去年までお風呂いっしょだったくせに。

いたずら好きな悪魔なあおいを、好きゆえに、正直者の信条を曲げて今まで何度も何度も、いたずらバレたあおいを庇って来ているのに、可哀相な剛くんである。確かに、正直者ゆえに庇いきれてはいないゆえの家来という軽輩扱いされてるのだが。



そうこうしているうちに、皆が昼ご飯を食べ終わり、祖父の晋太郎が仕切る。

「さあ、昼は道場障子の張替えと床のワックス。大広間の畳の取り入れ。皆さん頼みましたよ。」

その声に、それぞれ担当部署に散る赤井家の面々。



晩御飯の年越蕎麦とすき焼きの材料買い出しに出ている、あおいと従姉の紫蘭。

「わたしこのお菓子だいすき!」

そう言いながら、ブルボンエリーゼを何箱もレジのカゴに放り込もうとするあおい。

「あおいっ!あんたのおやつを買いに来てるんじゃないの!」

「だってえ、まだお小遣にカード没収されてるもん!緑お姉ちゃんのエロバカのせいで。」

「まったく。じゃあ一つだけ買ってあげるから。あおい、そこが瞬ちゃんに妹扱いされる原因じゃない?」






大掃除も終わり、すき焼きを囲んでいる赤井家の面々。大きな炬燵の上には、もちろんお酒がビールが

No.91 19/02/13 20:04
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 90
すき焼きを囲む食卓前で、あおいはパンツ一枚姿で楽しそうに歌い踊っている。あおいは下品が大嫌いなのに、なんでこうなったのか?。それは・・・





大掃除も終盤、ママの桃子に言われ、すき焼きの材料やらを買い出しに出たあおいと紫蘭。先に帰宅したのは、紫蘭とかけっこした勝者あおいだ。だが

だが、父の幸一郎は

「馬鹿っ!お前はなんで帰って来んだよ!。いいトコだったのに!」



そんな幸一郎に真鍋の父の勝兵は

「幸ちゃん、やっぱ来たのは女の子だったな!これで二万円だな!」

と勝ち名乗りを。



「なんでお前が勝ちなんだよ!」

「あおい、お前、見せてみろ」

と幸一郎。あおいは

「見せろ!って・・・パパ、わたしに何を見せろと?」

「パンツ脱げばいいねん!」

「だから、なんでわたしがパンツ脱がなきゃいけないのよっ!」

「あーやっぱり言わなきゃアカンか。びっくりするなよ。お前は本当は男や。わし、もう一人女の子が欲しくてな、お前の取ってもろうたんや・・・だから証拠にお前に穴はない!」



「・・・?・・・もしや?!」

カンと記憶力のいいあおい。「ははーん」と気付く。



「パパはじゃりん子チエ好きやったよね?。まさか、いま賭けをしてたんか?」

「そうや!お前のせいで負けたんや!」

「それで嘘ついてパンツ脱げと?」

「そうや!わし、お前にお年玉やりたい・・・」

の言葉が終わらぬうちに、それならと、じゃりん子チエになりきり箒を握りしめるあおい。赤井家の女は気がものすごく強いのだ。

「暴力反対や!」

パパに言いわけする間も与えず

「その二万円、没収や!賭けにわたしを使うなっ!。」

「嫌や、わし、勝って生徒みんなにお年玉やりたい!」

「ふーん、まだそゆ事言う?」

おもむろに思いっきり深呼吸するあおい。そして

「ママぁ!おばあちゃん!お姉ちゃん!。パパが賭け事してるぅ!。賭け事やめるって約束してたのにぃ!」



「ば、馬鹿っ!わし殺さるる!」

慌ててあおいの口に手を塞ぐ幸一郎の傍ら、ラッキー!と二万円を握りしめるあおい。

「口止め料や!。あと、お小遣いが多すぎるパパにはお年玉もちゃんと貰うからね。」

「あの日、わたしのお小遣い没収した天罰や!」


幸一郎は
「やっと勝ちだしてんのに鬼や悪魔や」



そんな事の後のすき焼きなのだ。

No.92 19/02/13 21:35
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 91
すき焼きを囲んでいる、あおいと緑の赤井家とその分家の紫蘭たち、遠戚の瞬と真鍋家に美佐と立花家。楽しい今年最後の夕食である。

そんな中、あおいのパパ幸一郎がお肉に箸を伸ばそうとすると、その手を箸でピシャリと叩くあおい。

「パパは白滝でも食べてなさい!」

「そんなあ、ボクは優しい優しいパパだよ~」

「ふーん、ねえ、パパはじゃりん子チエが好きなのよね」

さっきのパパの秘密のギャンブルに、遠回しに遠回しに、チクリと刺し刺しするあおい。

「おまえ、絶対に前世は悪魔や!」



そんな中、最後の遅れていた遠戚、昔に赤井家が武家だったときの主君筋の安岐家の美智代とその子の晶が来た。

「今年一年お世話になりまして。」

そう挨拶するあおいの祖父の晋太郎と父の幸一郎。

「いえいえ、こちらこそありがたく」

そう返す美智代。

「ねえねえ、あの子誰?」

そうパパに聞くあおい。

「あおいは始めてだったか?お前のお婿さんだよ」

そんなあおいの父、幸一郎の返事に

「え、えええーっ!」

騒然となる一同。そんな中、三つ指をついてあおいに挨拶する晶。

「お初にお目にかかりますが、婿の晶です。ふつつかながら、生まれながらの婚約の挨拶に参りました次第、以後よろしくお見知り置きを。」



あまりの予想外の展開に、あおいは開いた口がふさがらない。無理もない。あおいは幼稚園のときから真鍋の瞬お兄ちゃんに一筋で、結婚するのは自分、そうでないなら姉の緑だと。

これは赤井家と真鍋家の約束だと、そう思っていたのに、祖父に黙って別の婚約話を父がしていたとは・・・・

「これ、どうやって断ればいいのよ!?」



それを察した晶、面白そうに笑い出すと

「あおいさん、実はうちのおばあちゃん、あおいさんの性別を聞いてなくて、それにわたくし、女の子ですから、この話は最初から無理だったんですのよ。安心なさってね。」



「パパ?。もしかしてのもしかして、パパは晶さんの性別を確かめずに約束したの?。」

あおいの言葉が終わらぬうちに逃げ腰になってる父の幸一郎。

なんでわたしが女と婚約させられてたのよ!。性別くらいなんで確認しないのっ!

あら、綺麗な男の子。

と一瞬だけどそう思ったあおい。その表情すら見ずに逃げ出す幸一郎。

「なんでパパはこうダメなのかしら」

No.93 19/02/14 00:08
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 92
なんで、こうパパはダメなパパなのかしら?

そうため息するあおいの正面に座ってるのは姉の緑だ。すき焼きのお肉やら豆腐やら椎茸やら、婚約者の真鍋瞬の好物の具材を取り分けてやっている。

その姿にムカムカしてきたあおい。無理もない、七歳の誕生日に

「わたし、瞬お兄ちゃんのお嫁さんになりたい!」

姉の緑が恋を瞬に告げる何年も前にそう言ったあおいに 

「それは楽しみだなあ。待ってるぞ。」

そう答えたのは瞬お兄ちゃんだ。それに毎日のようにヤンキーな喧嘩を繰り返す緑が祖父晋太郎に叱られているときの、おじいちゃんの台詞

「お前のお婿さん候補の瞬くんは、大人しいあおいの方をお嫁さんに欲しいと言って、お前を見捨ててるぞ」

ママの桃子が、まだまだ内気な泣き虫お嬢様だったあおいを瞬お兄ちゃんに

「あおいを貰ってくれてもいいのよ」

と言っていたときの瞬お兄ちゃんの答え

「あおいさんがもう少し緑さんみたいに強くて活動的なら」

を全て聞いて知っているあおいなのだ。お兄ちゃんが彼女に最初に選んだのは、緑お姉ちゃんじゃなく、このわたし!。

そう思って待ちつづけているのを、緑はお嬢様らしいお嬢様だった自分の昔のキャラになりすまし、ヤンキーのくせに可愛い子ぶりっ子して、自分から瞬お兄ちゃんを騙し奪い取ろうとして、超ムカつく!

そう毎日思ってるあおいなのだ。



「お姉ちゃん、今日はまたなんで瞬お兄ちゃんにそんなに優しくしてるの?。まるで猫のお客様みたい。借りてきた覚えないのにね。同人エロ女が可愛い子ぶりっ子なんて似合わないわよ!」

「パパもパパよ、相手の性別すら確かめずに、わたしを女の子に嫁がせようとするなんて」

「ママもよ!。あの日お小遣い没収されたのはわたしだけ。事の発端のお姉ちゃんは無駄遣いばかりしてるのに。それにわたしが騒ぎを起こして庇ったから、お姉ちゃんは退学にならずに済んだのに」

「なんでわたしが貧乏くじなのよ!いい加減にしてよ!」

と思いっきり机を叩いてマジ切れしたあおい。おじいちゃんに叫んだのは

「おじいちゃんっ!もうパパとお姉ちゃんを排嫡してもいいんじゃないの?。うちの家業はわたしが継ぐからっ!。駄目パパと駄目お姉ちゃんなんて、おじいちゃんの後継ぎになるとでも?」


No.94 19/02/14 03:38
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 93
「おじいちゃんっ!もうパパとお姉ちゃんを排嫡してもいいんじゃないの?。うちの家業はわたしが継ぐからっ!。駄目パパと駄目お姉ちゃんなんて、おじいちゃんの後継ぎ務まらないわよ!」

秋口から今日までエロ同人ばかりに精を出す姉の緑の尻拭いするハメが続いていたあおい。

賭け事やめたはずのパパが賭け事してたのを見つけたのもあり、パパが性別も確かめずに女の子に自分を嫁がせようとしてたのがバレたのもありで

一年の締めくくる大晦日だからと、今日は良い子してたあおいだが、ついにキレた。



キレたらもう誰も抑えられない、猪突猛進のあおい。帰省中の兄の貴志が「まあまあ」と間に入ろうとするも

「家業継ぐのを嫌がりおウチを出た、東京で官僚してるお兄ちゃんは黙ってなさいっ!」

もはや誰にも、あおいの数ヶ月分の怒りの火は止められない。そんなはずだった。そんな中、空気読まない女の子が。



「ねえねえ、これジュースだと思ったらお酒だったのね。でも美味しいわぁ!」

そう言ってるのは、あおいの従姉の紫蘭だ。緑がさっき注いだグラスをジュースと思い、一気飲みしたらしい。

「もう、本家はいつもうるさいんだから、だいたい今日はあたしの誕生。みんな忘れてるなんてひど過ぎる!。何よ!もう真面目になんかしないもん!」

とでも思ったか、小さな空き瓶がズラリの前で

「でもでも、やっぱり女子高生がお酒なんて、ダメよ!いけないわ!」

「よく言うよ!こんなに呑んどいて」

とは、瞬お兄ちゃんのパパの勝兵だ。



が、勝兵おじちゃんは案がひらめいたようで

「あおいちゃん、それだけ喋れば喉渇くだろ?。これで喉を潤して」

と、あおいにグラスを渡す。

勝兵おじちゃんは想い人の瞬お兄ちゃんのパパだからと、疑わず口にするあおい。

「何これ!苦ぁい!」

「ごめんごめん、甘さを足すの忘れてた」

蜜柑を絞る勝兵おじちゃん。そう、それはビールをつかったカクテルである。

「ほら、今度は美味しいジュースになった!飲んでみ」

No.95 19/03/02 10:35
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 94
「ほーら苦かったのが、今度はおいしいジュースになった。飲んでみ!」

そうグラスをあおいに渡す、あおいの想い人の瞬の父、真鍋勝兵。

と言うのも、父の幸一朗や姉の緑に数ヶ月分の怒りをぶちまけるあおいによる、長~い長~いお説教を終わらせたいからだ。

「ほんとう?」

すすめられたグラスを疑いながら怖々と口にするあおい。

さっき思いっきり苦くて拒絶した液体が、ほろ苦さは残るものの確かに甘くなって蜜柑の味とかおりが混ざって飲みやすい。

「ほんとだ!おいしいっ!」

「でも炭酸が少し足りないような・・・」

それでもあおいは、それが実は勝兵がビールと蜜柑で即席で作ったカクテルと知らずに

「勝兵おじちゃん!もう一杯飲みたいっ!」

「はいはい。待ってなよ」

あおいの祖父の晋太郎はお酒に弱いし幸一朗は全く呑めない下戸。遺伝的にあおいは弱いか下戸では?と、勝兵は酒によるあおい黙らせ作戦に打って出たのだ。



♪ピンポーン♪

赤井家の門のチャイムが鳴る。

「はーい!」

インターホンに出た桃子が迎えに行こうとするのを、ワシが行く!と玄関に向かう幸一朗。

勝兵があおいの気を引き付けている今が、あおいの怒りからの逃亡チャンスだからだ。

あおいは気まぐれゆえに、わずかな時間でも自分があおいの視界から消えてれば、勝兵があおいの気分を変えてくれるはずだ。そう思い、同じくあおいの激怒の被害に遭っている緑に目配せする。

まして今あおいは、下戸なワシの娘あおいは、カクテルをジュースと思い込み、おかわり要求しているから、恐らくすぐ潰れるだろう。そんな淡い期待を胸に

冷え込んでいる大晦日の夜。はんてんを着ながら、今年最後の客は誰だ?と、幸一朗は緑と門に向かう。


No.96 19/03/02 11:40
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 95
冷え込んでいる大晦日の夜。今年最後の客は誰だろう?。

そう思いながら出迎えに門に向かう、あおいの父の幸一朗とあおいの姉の緑。玄関の引き戸を開けて外に出る。

「寒っ!」

「わぁー雪だぁ!冷えるはずよね」

そう言いながら門に行こうとしたとき、寒さにしびれを切らした客の声が

「ゴルァ!幸一朗! 貴様あ、己の先生をさっさと出迎えに来んかいっ!」

「そっ、その、その声は・・・」

震えだす幸一朗。それを「何で?」と思う緑。

「勝手に入るでえ!」

門扉から手が伸びてカンヌキをまさぐる手が叫ぶ。

「あ、あいつや!。わわわワシの天敵が来よったんや!」

「みみみ、緑、わ、ワシは今日は留守やぞ!」

そう残し家に逃げ込む幸一朗。

逃げるなら外のほうが安全なのに、頭が回らないほど怯える相手って誰?。脳天気なお花畑が珠に傷でも、父の幸一朗は一応は武術家だ。それが逃げる相手?。



門から入って来た狂暴なる不審者に少し身構える緑に声の主は

「緑ちゃんか?大きくなったなあ!。ワシだよ渡だよ。」

寒さに顔が半分隠れるほどに巻き巻きしたマフラーを外し、そのせいでほぼ曇ったレンズの眼鏡を外し、目深に被った帽子を取った声の主は、緑と父幸一朗の幼いときの空手の先生だ。もっとも緑は当時は幼すぎて、習っていた記憶は殆どないのだが。

「渡先生、お久しぶりです。何年ぶりかしら?」

「おまえの同人、読んだでえ。なかなか面白う書きよるやんか!。ワシ、おまえのファンや!。で、幸一朗はどした?」

「パパ逃げちゃいました。賭け事がバレて、あおいに説教されてて、逃げようとしたら先生がいらしたのでビックリして(笑)」

「そうや、あおいちゃんにも逢いたいなあ、今いくつや?」

「十二歳で来年中等部です」

「そうかそうか」

微笑む渡先生。



緑はこの渡先生に聞いたことがある。

「渡先生、どうしてパパは先生を怖がるの?」

「あのなあ、あいつはカナヅチなんや。泳げんから教えてやろうとしたら暴れてな、ボートから海に放り込んだら溺れよったんや。ふつうは必死に本能的に泳ぐんやが、あいつは死にかけた。だからや。」

「だからあいつは今でも水が怖いカナヅチなんや。海や川やプールにおまえら連れて行かんやろ?。」

「しかもワシ、まだ若うてな、情けなさに目覚めたあいつを張り倒してしもたんや。」

No.97 19/03/02 12:38
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 96
「なんや幼児恐怖体験のトラウマは一生つきまとうんかなあ?」

「今日はな、なんか皆と呑みたくてな酒持って来たんや。緑ちゃん上がらせてもらうで。」

そう緑としゃべりながら大広間に入った渡先生。緑とあおいの祖父の晋太郎に

「赤井老師、久しぶりですなあ。お招きありがとうございます。皆さんにお酒お持ちしました。」

と挨拶し、隣のあおいのパパママのお部屋に向かう。



押し入れをガバッと開くや渡先生は

「ゴルァ!幸一朗!三つ指ついてワシに挨拶せんかい!」

と幸一朗の首根っこを掴んで引きずり出す。

「せ、せんせい、空手の師範言うてもせんせいに習たんは幼稚園のたったの一年ですやん。それに何度も言いますけど、空手、今はせんせいと流派違いますやん」

「やかましいっ!。武林は義気千秋いうてな、武術の義侠心は一生ものや!。おまけに武林是一家いうてな同門は家族。空手は流派違ても八極門同士なんやから挨拶せんかい!」

渋々に挨拶する幸一朗。だが空手の礼式ではなく八極門の礼式だ。ささやかな抵抗なのである。



再び赤井家の大広間。

「今日はな、おまえと呑も思うて来たんや。ほら呑めっ!」

「ワシが下戸なん先生知ってますやん」

「オマエ、まだ若いわが弟子の呑み会に現れて賭け事教えて巻き上げたらしいやんか。呑めん奴が何で呑み会に来たんや?。いいから呑めっ!」

「クッソぅ!師範や思て大人しいにしてたら・・・暴れたろか?」

そう思う幸一朗に渡先生の平手打ちが飛ぶ

「オマエ、いまワシに不快な電波出したやろっ!呑めっ!。オマエは単純やから目に出てるんや!思てることがな。」

「呑みますがな。叩かんといてください。娘の前でえらい恥かかせてくれてからに」

「オマエが赤井家の、いや人ん家のことは口出しはせんが、オマエが八極門の歩く恥やろが!呑めっ!。賭け事やめた思たら、舌の根も乾かんうちにすぐに始めおってからに!」

とお椀にすぐに酒を注ぐ渡先生。そう、賭け事がバレてない。そう思っていたのは幸一朗本人だけだったのである。



一方、大広間の別の一角では、想い人の瞬お兄ちゃんの父の、勝兵おじちゃんが勧めるお酒に、気分が変わり上機嫌になりつつあるあおいがいた。

ふと見ると、見知らぬ男性がパパを叱っている。

No.98 19/03/02 13:51
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 97
あおいがふと見ると、見知らぬ男性がパパを叱っている。

大広間の別の一角で、想い人の瞬お兄ちゃんの父の勝兵が勧めるカクテルに、上機嫌になってるあおい。

「ねえねえ、勝兵おじちゃん、あのガタイのいい強そうなおじいちゃんは誰?。はじめて見るんだけど?」

「ああ、あおいちゃんはまだまだ小さかったから覚えてないんだな。同じ八極門で、あおいちゃんのパパが幼稚園くらいのときの空手の先生の渡忠人先生だよ。」

「それから、あおいちゃんのおじいちゃん晋太郎さんの師兄弟で、あおいちゃんのパパの仲人さん。」

「仲人さんってなあに?」

「あおいちゃんのパパとママをくっつけた人のことだよ。」

「な、なんでそんなママに可哀相なことを」

「それはあおいちゃんのママがパパを好きだったから。あおいちゃんのパパ、今はああだけど、昔は強かった無敵男だから。」

「ふーん、そうだったんだぁ・・・」

「わたし、ちょっと挨拶してくるね」



「渡先生、お久しぶりです。パパの三女のあおいです。もっともお顔を覚えてなくて挨拶が遅れて、ほんとうにごめんなさい。」

一度部屋を出て、渡のいる辺りの襖を開き、渡の顔を立てて、きちんと渡の流派の空手の礼式で三つ指をつくのを二回繰り返し、挨拶するあおい。

知らずにカクテルを飲んでほろ酔いても、まだ正気を保っていたあおいだ。

「おおー!あおいちゃんか!大きくなったねぇ!」

「来年は中等部だって?。だったら一度うちに習いにおいで!。」

「あおいちゃんはまだ八極拳しか習ってないんだよね。でも日本の武術も知らないとね。」

「でも渡先生、おじいちゃんが一招、一つの技に熟しなさいと。小技を集めても意味ないからと」

「学ぶべきなのは日本武術の、例えば空手だと戦闘スタイルとその思考なんだよ。中国武術と異なる思考。」

「ベースは八極拳があおいちゃんには一番合ってるだろうけど、敵を惑わすためには、他の武術の戦闘スタイルを知らなきゃね、いつか命取りになる。」

「これはワシやパパみたいな空手家も同じなんだよ。」

そう言いながら、あおいの父、幸一朗の頭を叩く渡先生。

「鳶が鷹を生むとはこのことだ!。オマエ父親として躾は出来たみたいやが、肝心のオマエが歩く恥で恥ずかしゅうないんか!」

「さあ幸一朗、呑めっ!」

「先生、パパはほんとうに呑めない人なので」

No.99 19/03/02 15:06
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 98
「先生、パパはほんとうに呑めない人なので」

そうパパの幸一朗を庇うあおいに渡先生は

「あおいちゃん、今年は君には厄年みたいなもんだったんやてなあ。」

「パパの賭け事発覚と台風直撃。緑お姉ちゃんのエロ同人発覚して停学の巻き添えの行き倒れで。」

「それに大好きな瞬君とは、今年は一度もデート出来ずで。」

「ワシはクリスチャンやないからキリスト教はわからんけど、こういうときはお酒で吹き飛ばして忘れるんが一番ええんや!。」

と、あおいの側のグラスに日本酒を注ぐと

「さ、あおいちゃんも呑んで騒ぐんや!」

「先生、わたしまだ小学生なのにお酒呑んでいいのぉ?」



「渡先生、小学生に日本酒はダメですっ!」

酒豪の渡先生に小学生のあおいを付き合わしてはいけない!。さすがにそう思った瞬、あおいの想い人の真鍋瞬が渡先生の暴走を止めようとする。

「うるさいわい!。オマエの机上の教育論はどうでもいいんや!。大切なのは年の区切りに気分変えることや!。」

「だいたい瞬っ!。オマエが緑ちゃんとあおいちゃんを天秤棒にぶら下げっ放しなのが二人の不機嫌の原因やろ?!。」

「いい加減、どっちを選ぶんかハッキリせいっ!。」

「いや、どっちか選べんなら、それはそれで二人平等にデートしてやるもんやっ!」

「ワシはオマエにも巻き込まれてるんやっ!。」

思わぬ雷を渡先生に落とされた真鍋はそれでも優柔不断で 

「渡先生、選べと言われてもあおいはまだ小学生なんですよ?」

そんな真鍋に

「瞬っ!。誰がいますぐ一人を選んで結婚の誓いのチューをせいと言ったんや!。あおいの乙女心をわかってやれと言うてるんや!💢」



そして渡先生はあおいに

「いくら立派な建前でも建前では人を救えへんのや。人を救うんは共感する心や。そうやろ?あおいちゃん。」

「わたし、呑むわっ!」

No.100 19/03/02 15:52
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )

削除投票

>> 99
「わたし呑むわ」

このあたりで記憶の途切れてるあおい、つまり作者のわたし。

なんや、うっすらとパパと瞬お兄ちゃんが、ものスッゴく気持ち悪そな真っ青な顔で苦しそうに吐いてる姿が、おぼれげに脳裏にあるんやけど。

朝、瞬お兄ちゃんや緑お姉ちゃんに、従姉の紫蘭お姉ちゃんや同級生の美佐ちゃんに、昨日お友達になった晶ちゃんからも、おじいちゃんやパパや勝兵おじちゃんにママとおばあちゃんからも

「おまえパンツ一枚で踊ってたで!」

「パンツ一枚で瞬お兄ちゃんにキスをしつこく迫ってたで!」

なんて、口々にからかわれたけど、顔が真っ赤になるのがわかるほど顔から火が出てるな思うたけど、お転婆やゆうてもお嬢様のわたしがそんな下品なこと、するわけないやん。

なかったことにするんや!。みんなが同じ初夢を見てたんや。





明けましておめでとうございます!。

大晦日が明けて新年の朝、目覚めた一同は赤井家の道場で挨拶しあっている。

日本武術の礼式を教えるため、クリスチャンの赤井家の道場なのに何故か存在している

普段は「神前に礼!」でなく「正面に礼!」で稽古が始まる

そんな赤井家敷地内の道場の神棚にお神酒を捧げる、あおいの祖父晋太郎。この新年の朝だけは日本文化というか日本そのものに敬意を払い、「神前に礼!」で一同がこうべを垂れる。

道場の台所からお雑煮の味噌のにおいが漂ってくる。それが使用人により、お膳に盛りつけられ道場に運ばれる。着物姿で平らげる赤井家と関係者。

クリスチャンの赤井家だが、先祖の眠る靖国神社に表敬訪問し皆が着物から普段着に着替えるなか、あおいは何かをひらめいたようで部屋に急ぐ。





「新年いちばんのデートはあおいとしてね。」

気を利かせた婚約者の緑に言われ、あおいの部屋に行く瞬。ガラス戸越しに筆を握るあおいの姿が。

「あおい~何してんだ?。書き初めか?。デート行ってやるよ!」

そう声をかけて戸を開いた瞬の目に飛び込んだのは



書き初めは ふでおろしなる ひめはじめ 
 墨のしずくは 帯解く口実

冬休みの宿題か、墨も鮮やかなエロ満載な短歌の記された短冊。

緑のエロ同人癖がその妹のあおいに感染か?。そう怯える瞬は赤井家に一緒にお泊りしていた父を呼ぶ。

「親父!ちょっと来い!。てめえが昨日あおいに酒呑ますから!💢」



正月物語 完

レス絞り込み
スレ主のみ
このスレに返信する

お知らせ

7/9 検索機能の対象期間変更

関連する話題

新しくスレを作成する