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No.173 2018/10/06 19:55
匿名さん ( 41 ♀ )
あ+あ-



5月も終わりに近づいた。

その頃から私は瀬納くんとよく話す様になっていた。

瀬納くんは結構本を読む子で、それを知った私が本を借りたのが切っ掛けだった。

そこからお互い本を貸し借りしたり感想を言い合ったりした。

瀬納くんの本のチョイスは私とは大分違っていて面白かった。



私は瀬納くんの事を「イチ」と呼んだ。

「せの」がなかなか覚えられなかったのと発音的に言いづらかったからだ(最初にせのっちと呼んだら「それやめて」と言われた)。

イチの方では私を何故か「オバサン」と呼んできた。

たまに「キミ」とか「あんた」とか言う時もあったが、大体は「ちょっと、オバサン」などと呼ばれた。

始めは正直ムカついたが慣れてしまった。



イチは陸上部に入ったらしく、毎日放課後はジャージに着替えてグラウンドで走っていた。

演劇部の部室の窓からはグラウンドが一望出来る。

イチが基礎練習をしたり走っているのが良く見えた。

特に意識して見ていた訳では無かったのだが、走るイチを見て(あいつ、けっこー足速いんだなぁ)と思った。



イチと私は中一だったしまだ身長も体重もほとんど同じくらいで、どちらかと言えば私の方が背が高かった。

まだ新しい、だぼっとした学ランを着たイチ。

まさかこのイチとその後10年近く関わりを持つ事になるとは私はこの時は思っていなかったが、それはまた別のお話。

173レス目(219レス中)
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