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子供の頃の話

No.204 19/05/06 09:12
匿名さん ( 42 ♀ )
あ+あ-



「高木さん」

それまで黙って見ていた荒川先輩が私の名前を呼んだ。

訝しげな顔の西山先輩と違い、荒川先輩の顔つきはいつもと変わらず落ち着いた感じだ。

けれど整った顔の荒川先輩の表情は少し冷たく見えるのがいつもの事で、その時もその表情が私はやはり怖かった。

何となく返事が出来ずにいたが荒川先輩が続けて話す。

「なんかさっき照明や音響がどうとか言ってたけど、どういうこと?何かあるの?」

「あ!はい!……あ、えと、そうなんです、ちょっとカンケイあって」

私がそう答えると今度はまた西山先輩が

「関係??」

と、首を傾げる。

他にもその場にいた先輩方皆が私を見ていた。

やっと本題に入る事が出来そうになってホッとした。



新入生歓迎会での勧誘を兼ねた劇は、文化祭や演劇大会とは違い上演時間が短い。

その為に劇の出演者も少なくなり、先輩方から優先的に役に付くのが慣習だと顧問の花巻先生から既に聞かされていた。

新入生歓迎会の舞台の脚本は部室にある脚本集の中から候補が3本出されていて、春休み明けすぐに1本に絞る予定になっている。

候補になっている3本の脚本はやはりどれも短めで登場人物も少ないものだった。

今の1年生は殆どが裏方に回るのは確実だ。

先輩方が今いる場所、つまり部室前方には舞台稽古で使うラジカセとスタンドタイプの照明機具が置いてある。



しどろもどろになりながら、現状を掻い摘まむ感じで何とか話し

「……というワケでですね、あの、前の方だと音響とか…色々つかうのが1年生になるので…………場所を………その」

「あー!!なんだ、そういうことー?」

西山先輩が大きな声をあげた。

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