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誘惑蝶

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ハル( deZwBe )
16/12/22 15:48(更新日時)

日に日にいらやしくなる私のカラダ

快楽に溺れる毎日は天国か地獄か

花から花へ、人から人へ
人の蜜を吸いに飛び回る私は
まるで蝶のよう

14/06/06 11:38 追記
一般の携帯小説から移動しました!
こちらでもよろしくお願いします(*^^*)

感想スレは以前のものを
引き継ぎで使いたいと思います♪

読者様にスムーズに読んで頂けるよう
何かあれば小説本文にはレスせず
こちらに書き込みをお願いします↓
(自レスのみの制限できないようなので書きました)

http://mikle.jp/thread/2102217/

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No.2102516 14/06/06 11:30(スレ作成日時)

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No.101 14/06/14 23:53
ハル ( deZwBe )

「っ…」

倉田くんはその場に座り込んだ。

「気持ち良すぎんだろ…」

「な?イクの我慢できねぇんだよ」

山川くんはニヤニヤして言う。

「おい、俺も早く入れてみてぇ。お前ら、抑えんの代われ」

坂下くんは山川くんと入れ代わると、

「俺はバックが好きなんだ。四つん這いになれよ」

と言ってきた。

私は首を振った。

「へぇ、まだそんな態度取る余裕があんのか。仕方ねぇな、このまま入れるか」

坂下くんはそう言うと、
ゆっくりと私のナカに入ってくる。

「ああああぁっ…」

私の身体は、
何度もイッているはずなのに
また感じはじめた。

「くっ…確かに気持ちいいなっ…」

坂下くんは顔をゆがめた。

「あっ…はぁっ…!」

自然と声がもれてしまう。
ナカが、またヒクヒクし始める。

「うっ…締まるっ…!」

坂下くんは我慢できない様子で、
腰の動きを早めた。

「あっ…あぁっ…!」

側で見ていた倉田くんが
私と坂下くんの結合部分を撫でた。

「はっ…はっ…」

坂下くんの息が荒くなる。

その手が、結合部分から移動して
私の突起に触れたとき、
私は悲鳴に近い声であえいだ。

どうしよう…
また、きちゃいそうっ…

無理矢理こんな事されて
何度もイクなんて…

さらに、抑えつけていた
山川くんの手が私の乳首を刺激した。

「あああぁんっ…!!」

さらに激しく奥まで突かれ、
クリトリスを撫でられると
私は目の前がチカチカした。

私は一気に襲ってきた快感に
堪えられず、またイッてしまった。

「…また、イッたのか。感度高すぎだろっ…うっ…さらに締まった…!」

坂下くんは私がイクと
我慢できなくなったのか、
力強く腰を打ち付けてきた。

パンパンパンパンッ!

「い…やぁぁっ…!」

坂下くんがぺニスを
出し入れするたびに
私の密が飛び散った。

「んぅっ…あぁぁっ…」

「もう…出るっ…!」

パンパンパンパンッ!

その動きが最高潮に達した時、
坂下くんは私の中で激しくイッた。

No.102 14/06/15 00:28
ハル ( deZwBe )

3人に連続で挿入され、イカされ、
私はおかしくなりそうだった。

「すげー…気持ち良すぎっ」

坂下くんはその場に
仰向けになり、ぐったりとした。

「おい、まだ終わりじゃねぇぞ。もう一回だ」

最初に挿入した山川くんが
また大きくなったモノを見せつけた。

「やっ…!」

これ以上やられたら、
壊れちゃうっ…!

もうやだ…
誰か助けて…!

そう思った時。

ガチャガチャッ!

資料室のドアを誰かが
開けようとする音がした。

…誰!?

「ハルちゃん、中にいるんだろ!?おい、開けろよ!」

この声は…

「蛍先輩…?」

来てくれたの?
どうして…?

「チッ…!バレたか!」

山川くん達は慌てて
自分の制服を直し始める。

すると、大きな音がして、
ドアが開いた。

「なっ…!?」

蛍先輩が資料室に入ってきた。

「ねぇ、何やってんの?」

蛍先輩は山川くんの胸倉を掴んで
低い声で言った。

「すっ…すみませっ…」

あまりの威圧感に
山川くんは怯んでいる。

「…許さないよ?」

蛍先輩は拳を振りかざす。

「先輩っ…やめて!」

私は思わず蛍先輩に抱き着いて
その行為を止める。

「ハルちゃん…?」

「蛍先輩、大事な試合の前なのに、ここで問題起こしたら試合に出れなくなっちゃう!だから、ダメですっ!」

「…だけどこいつら、ハルちゃんに酷い事したんだよ?」

「もう、いい…いいんですっ!」

私は泣きながら先輩にしがみつく。

「…おい、お前ら。もうハルちゃんに二度と近付くな。次に何かしたら容赦しないよ…?」

蛍先輩が強い口調で言うと、
山川くんたちは

「…おい、行くぞ!」

と言って、
上がりきっていない
ズボンを手で抑えながら
一目散に逃げていった。

No.103 14/06/18 00:27
ハル ( deZwBe )

資料室には、私と蛍先輩だけになった。

「ハルちゃん…ごめん、来るのが遅くなって…」

「先輩、どうして、わかったの…?」

「なっちゃんとアキホちゃんからメールが来てたんだ。ハルちゃんが危ないかもって。最後の授業が体育だったから携帯見るのが遅くなって…本当に、ごめんね」

蛍先輩は、私を力強く抱きしめた。

「…そんな!来てくれて、すごく嬉しかったですっ…」

「うん…もう、大丈夫だよ」

泣きじゃくる私を
先輩は優しく包み込んでくれた。
それだけで、傷が癒えていくような気がした。

「…落ち着いた?」

「…はい」

蛍先輩は私の頭を優しく撫で、
笑いかけてくれる。

先輩は私に制服を着させてくれた後、
教室まで送ってくれた。

蛍先輩と教室に入ろうとすると
ちょうど委員会が終わった
ナツとアキホが隣のクラスから出てきた。

「…ハル、大丈夫だった!?」

「…ごめん、ちょっと油断しちゃったみたい」

私はへへ、と笑う。

「ごめんっ…!やっぱり待たせとくべきだったね…」

「ハル〜…ごめんねぇ…」

そんな私を見て、二人は抱き着いてきた。

「二人が謝る事じゃないよっ!ほんとに、私が油断したから…。それに、蛍先輩の事呼んでくれたんだね。ありがとう」

私は、蛍先輩の顔を見て
思い出した。

「あっ!蛍先輩、部活!」

「いいよ、ハルちゃんの方が大事だから」

「でも…1番大事な時だし、今からでも行って下さいっ」

二人は私のその言葉を聞いて、

「ハルの事は、任せて下さいっ!」
「私とナツがいるんで大丈夫です!」

と、蛍先輩に向かって言った。

蛍先輩は迷っていたが、
にこっと笑って頷いた。

「…わかった。側にいてあげられなくて、ごめんね。ハルちゃん、また何かあったらすぐに言うんだよ」

「はいっ!」

「じゃあ二人とも、ハルちゃんをお願いね」

蛍先輩の姿が見えなくなると、
ナツとアキホが心配して言った。

「…ハル、これでよかったの?」
「蛍先輩に側にいてほしかったんじゃないの?」

No.104 14/06/23 12:43
ハル ( deZwBe )

「私、蛍先輩が今まで部活頑張ってきたのも、サッカー大好きなのも、知ってる。…だからね、最後まで全力で打ち込んでほしいの。一生懸命な先輩が、私は好きだから。これが、私の本心だよ」

するりと出てきた言葉。

それを聞いて二人は、

「ほんっっっとにハルは!」

そう言って私の頭を撫でくりまわす。

「寂しかったら、うちらが相手してあげるからね!」

「…アキホ、それ変な意味に聞こえる」

アキホの言葉にニヤニヤしながら
ナツがツッコミを入れる。

「ちっ、違うし!一緒に遊んであげるって意味で…」

「言い方変えたけど、いやらしさがあんまり変わらないような…」

「だから、遊ぶっていうのはそうゆうエロい遊びじゃなくって!」

「わかってるって〜」

二人の会話を聞いて
私は思わず笑った。

そして、素直に自分の気持ちを語る。

「…でもね、寂しいかって聞かれたら、寂しくないって言えないけど、ね」

「わかるよ!うちら、片思いファイターだもんね」

うんうん、とナツは頷く。

「片思い…?」
「ファイター…?」

私とアキホは、首を捻る。

「…あれ?ちょっと言い方クサかったかな…?片思い特攻隊とか、片思いレンジャーとかの方がよかった…?」

ナツはよくわからないネーミングを
次々とつぶやく。

「や、うちらが気にしてるのは、ナツのネーミングセンスに対してじゃなくて…」

「…?」

ナツは、きょとんとしている。
私とアキホの疑問の矛先が
わかっていないようだ。

「ナツ、好きな人いたんだ…?」

私がそう言うと、
途端にナツは顔を真っ赤にした。

「あっ…えっ?あれっ?言って…」

「聞いてないよ」

アキホがニヤ〜っとして
ナツに詰め寄る。

「ナツ、いつもうちらの事いじってばっかで自分の事は秘密だもんねぇ?」

私もアキホに便乗する。

「そこ、結託しないでよっ」

「ふふふ…誰なのぉ?」

「ちょっ、ここ廊下っ…!」

「…言わないと、躾ちゃうぞ?」

アキホがナツの耳元で囁く。

「わ、わかったよ!言う!言うからっ…」

ナツは耳まで真っ赤だ。

こんなナツ、初めて見たかも…。

No.105 14/06/23 14:22
ハル ( deZwBe )

「…とりあえず、教室入らない?」

ナツは苦笑いして言った。

…確かに。

教室に入り、ドアを締め切って
私達は女子会モード全開だった。

「…お嬢さん、誰なんだい?いい加減白状したらどうだい?」

机を囲んで座ると、
すでにテンションが上がりすぎて
壊れかけのアキホがいた。

「…笑わない?」

ナツがちらっと私とアキホを見る。

「笑わないよぉ」

私とアキホはニヤニヤして言葉を返す。

ナツは、胡散臭いなーと
言わんばかりの顔をしたが
仕方なく話し始めた。

「私さ、実は好きな人出来んの初めてなんだよね…」

ナツは恥ずかしそうに
目線を反らして言った。

「そうなの!?」

アキホは驚いている。

昔から一緒だったけど
確かにナツの好きな人の話しは
聞いた事がなかった。

ナツは今まで色恋沙汰とは無縁の
サバサバしたタイプの女の子だった。

…エッチな話しは大好きだったが。

「ごめん、隠すつもりはなかったんだけど、どう切り出せばいいのかわかんなくって!こんなの初めてで、もうどうしたらいいのか…」

黒髪にショートカットで
ちょっと言葉がキツい時もあるけど
しっかり者のナツ。

私は、そんなナツに
ずっと甘えてきたから
ナツが悩んでた事に
全然気付かなかったよ。

「ごめんね…私、全然気付かなかった…」

「へ?なんでハルが謝るのさ?」

「だって、私、頼りなくって…ナツが悩んでたなんて…」

「それを言ったら私もだよ!一緒にいるのに私だって全然気付かなかった…」

アキホも、しゅんとなる。

「いやいや!別に、すごい悩んでるとかじゃないんだよ!?なんちゅーか、私って恋愛には無縁なタイプに見えるじゃんか!二人にも話してなかったんだし、そんな謝らないでよ」

ナツはいつもの笑顔に戻ると、
一呼吸置いて口を開く。

No.106 14/06/23 14:48
ハル ( deZwBe )

「…じゃあ、言っちゃおうかな。私の好きな人は…」

私とアキホは、ごくっと唾を飲んだ。
ドキドキしながら、ナツの言葉を待つ。

「…ハチ先輩だよ」

ナツの口から出た名前を聞いて
私とアキホは一瞬固まる。

「蜂(ハチ)先輩って、サッカー部の…?」
「ホテルでナツとペアだった…?」

「うん、その、ハチ先輩…」

ナツは顔を赤らめて言う。

「…マジ?」

アキホはぽかんとしている。

「うん、マジ」

「え?いつから…?」

「皆でホテル行ってから、そのあとも結構会ってたんだよね。一緒に出かけたり、まぁ…いろいろね」

「うんうん」

「でも、やっぱり意識してたのは最初から…かなぁ。初めてキスして、抱いてもらって、ドキドキしちゃってさ。ハチ先輩、ちょっとマイペースだけど、カッコいいし優しいんだよね。蛍先輩ほどモテないけどねー」

ニヤっとしてナツは私を見る。
…だんだんいつものナツに戻ってきた。

「気付いたら、どんどん好きになっちゃってさぁ。もう、どーしたもんかねぇ」

ふう、とため息をつくナツは
すごく女の子の顔をしている。

「ナツ、変わったね。可愛くなった」

「えっ!どこが!?」

私が言うとナツは慌てる。

「今更だけど、最近よくトイレの後に鏡チェックしてるし、スカート短くしたり、髪もピンでとめたりしてるし…」

思えば、ナツはわかりやすい。
恋すると女は変わるって言うけど
ナツはその典型だ。

なぜ今まで気付かなかったのか。

「私もハルも、自分の恋で手いっぱいだったから、ナツのわかりやすい変化も見えてなかったのかも。変化に気付いてはいたけど、そうゆう事だったのね〜」

アキホはニヤニヤしながら頷く。

自分の事で手いっぱい、か。
確かに、その通りだ。

「べっ、別にそうゆうわけじゃっ…」

ナツはごまかそうと必死だ。
そんなナツが、とても可愛く見える。

「はいはい!我ら片思いファイター、目指せ両想い!」

アキホは笑って言う。
私とナツはつられて笑った。

No.107 14/06/23 14:56
ハル ( deZwBe )

教室の窓からグランドを見ると
蛍先輩は部活に励んでいた。

隣でナツもハチ先輩を見つめて
うっとりした顔をしていた。

ナツとアキホに支えられ、
私はさっきまでの出来事が
まるでなかったかのように
元気になっていた。

二人はそのあとも
私の事を心配してくれたけど、
心から明るく振る舞う私を見て
安心したようだ。

後日、山川くん達が
私に近付いて来る事はなかった。

ナツとアキホは警戒して
私の側を離れる事なく
一緒にいてくれた。

…まるで、ボディーガードだ。

No.108 14/06/23 15:24
ハル ( deZwBe )

資料室での騒動があって
しばらくしてからの事。

昼休み、私は社会の先生に呼ばれ
一人で職員室に来ていた。

ナツとアキホは心配していたけど
人通りの多い所しか通らないし
大丈夫と言って一人で職員室に来た。

「昼休みなのに悪いね。ちょっと頼みがあってなぁ。次、社会の授業なんだけど、先生ちょっと急な事情で帰らなきゃならなくてな」

「はあ…」

「自習にしようと思ってる。それで、図書室の奥の部屋にDVDがしまってあるんだが、それを取ってきて教室で流してくれるか?DVDの感想文を書いて、次の授業で提出するように言ってくれ」

「先生、人使い荒いですよぉ」

「いつも悪いな〜。授業の準備手伝ってくれてるから、頼みやすくてなぁ」

社会担当の中年教師は
申し訳なさそうに言った。

「これ、持ってきなさい。みんなには、秘密だよ」

私がむくれていると、にこっと笑って
○アラのマーチと書かれた
某チョコレート菓子を私に差し出した。

「いいんですか!?ありがとうございますっ」

私はそれを素直に受け取った。

「これ、DVDの題名書いたメモね。これを流してくれ。じゃあ、頼んだよ〜」

メモを受け取り、先生にお辞儀をすると
私は職員室を後にした。

…単純な私。
お菓子の誘惑に、負けた。

良い先生なんだけどね。
なんかこう、空気読めないというか…。

資料室の事と言い、
あの先生はトラブルメーカーだ。

何だか、嫌な予感がする。

正直、図書室の方には
行きたくなかった。

前に、蛍先輩が女の先輩と
エッチしてる所を見た場所だから…。

私はちょっと不安になって
ナツとアキホに一緒に
図書室に来てもらう事にした。

No.109 14/06/23 15:49
ハル ( deZwBe )

教室に戻ると、二人の姿はなかった。

机に手紙が置いてある。

『ハルへ

体育委員会で呼び出されたから
ちょっと行ってくるね!

ナツ・アキホより』

…二人とも、委員会かぁ。
待ってたら昼休み終わっちゃうかも。

私は仕方なく一人で図書室に向かった。

相変わらず、図書室のまわりは
人気がなく静まり返っている。

図書室の奥の部屋から
メモに書いてある題名のDVDを取り
私は図書室を出た。

何事もなくてよかった…
そう思い教室に戻ろうすると、
どこからか声が聞こえる。

甲高い声。
女の人の声だろうか。

「まさか、また…?」

誰かが、隣の空き教室で
エッチしてるんだ。

中にいるのが蛍先輩だったら、
どうしよう…。

怖いもの見たさとは
この事だろうか。

私は恐る恐る、
隣の空き教室に近付いた。

すると中から、
聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「あっ…ん!」

「んもうっ…ダメぇっ…」

「全部ユキナが絞り取ってあげるぅっ…」

…中にいるのは、ユキナ!?

相手は…?
隙間から除いてみる。

ユキナが男を床に押し倒し、
上に跨がり激しく腰を振っている。

一瞬だが、男の顔が見えた。

蛍先輩じゃ、ない…
でも、見覚えのない顔だ。

「あんっ…牧先輩っ…」

…先輩か。
なるほど、見たことのない人だ。

ユキナは蛍先輩が好きって
言ってたけど、変わらないなぁ…。
こうして、他の人ともセックスしてる。

「はっ…ユキナ、激しっ…!」

ユキナが誰とエッチしても
私の知った事じゃないし…
(蛍先輩以外なら)

「まぁいっか」

私は気にせず教室に戻る事にした。

No.110 14/06/23 16:38
ハル ( deZwBe )

社会の授業で私は先生に
言われた通りDVDを流し
感想文を書くように皆に話した。

しかし、気になる事があった。

…ユキナがいない。

昼休みが終わっても
ユキナは教室に戻って来なかった。

ユキナの事は許せないし
嫌いだけど、ちょっと心配になった。

自習の授業が終わり、放課後。

私はナツとアキホに
その事を話してみた。

「授業サボってエッチしてんじゃないの?」

ナツとアキホは、呆れた顔で言った。

「そうだよね、気にしなくていっか」

そんな話しをしていると、
バタバタと小野寺くんが
私達の教室に入って来た。

「ねぇ、ユキナ知らない?」

「え?知らないけど…」

「昼休みから連絡つかないんだ…」

小野寺くんは息を切らして話す。

「昼休みは図書室の隣の空き教室にいるのは見たけど…」

私がそう言うと、

「そう、ありがとう!」

小野寺くんはそう言って
教室を飛び出して行った。

「ねぇ、私達も行ってみよう!」

私がナツとアキホに言うと、
二人は黙って頷いた。

そして、小野寺くんに続いて
図書室の隣の空き教室に向かった。

そこにいたのは…。

手足を縄で縛られ、
アソコに極太のバイブを入れられ、
白い液体にまみれたユキナが倒れていた。

「ユキナ!」

小野寺くんはユキナを抱き起こす。

「あはは…しくじっちゃったぁ」

ビクンビクンとふるえながら
ユキナは笑って言った。
誰かに殴られたのか、
右頬が赤く晴れ上がっていた。

「…どうしたんだよっ!」

小野寺くんはバイブを引き抜き、
縄を解くとユキナを抱きしめた。

「彼女持ちに手出しちゃったみたぁい。仕返しされたの、自業自得ね…」

ユキナはくすくす、と笑う。

「ハルちゃん、来てくれたの…?ふふ、いい事教えてあげる。私、蛍先輩にフラれちゃったぁ」

「えっ?」

「この前、蛍先輩を誘ったんだけど断られちゃってね。私じゃダメみたい。だから、吹っ切ろうとこうして前みたいに色んな人に手出したら、この様よ…」

「ユキナ…」

私が話そうとすると、

「馬鹿」

小野寺くんが、言葉を遮った。

No.111 14/06/23 16:47
ハル ( deZwBe )

「どうしてお前は、いつもいつも自分や回りを傷付けて堕ちようとするんだよっ」

「だって…」

「お前、愛されたいんだろ!?それくらい、お前の好きだった蛍先輩じゃなくてもわかるよ!どんだけ一緒にいたと思ってんだよっ」

「………」

「俺がいるだろ?俺はずっとお前の事が…」

「「えっ?」」

そこにいた誰もが、
頭の上に疑問符を浮かべた。

「あっ…違っ…つい、勢い余って…別に言うつもりじゃ…!」

小野寺くんはあわてふためいている。

ユキナは、そんな小野寺くんを見て、

「知ってたよ」

けろりと、こう言った。

「「…え?」」

またもや、疑問符…。

「だって、小野寺くんすっごくわかりやすいんだもの。昔から、知ってた」

「な…な…!」

小野寺くんは、ぱくぱくと
口を動かし動揺している。

「でもね、ずっと言ってくれないから、ユキナ待ちくたびれちゃった」

ふふ、とユキナは笑う。

「ユキナも、小野寺くんが好きよ」

「ほんとに…?」

小野寺くんは、ほわんと
頬を赤く染める。

ここまでは、本当にいい雰囲気だった。
本当に、ここまでは…。

「でもぉ、ユキナ、小野寺くんじゃ満足できないの」

「…は?」

ユキナの一言で、
その場の空気が一気に冷めていく。

「だってぇ…小野寺くん、ちっちゃいんだもんっ」

小野寺くんの股間を
さわさわと触ってユキナは言う。

ナツとアキホは、絶句していた。
もう、何を言ったらいいのやら。

「ユキナは、ユキナを満足させてくれる人じゃなきゃダメなのっ。でも、ユキナも小野寺くんが好きだから、付き合っちゃう…?」

ユキナの感覚が、わからない。

小野寺くんは、自分のモノを
ずっと好きだった子に
『小さい』と指摘され、
ショックを受けているようだった。

固まってしまっている。

私達はすっかり呆れてしまい、
「帰ろうか」と
小野寺くんとユキナを置いて帰った。

No.112 14/06/23 17:26
ハル ( deZwBe )

後日、ユキナと小野寺くんが
手を繋いで下校している所を見かけた。

二人は、付き合ったらしい。
ユキナの性癖は変わらないようだが。

とにかく、丸く収まったようだ。

ユキナの事も、山川くん達の事も、
色んな事が解決していって
なんとなく心が軽い。

期末テストも終わり、
あとちょっとで夏休み。

蛍先輩は今日、サッカー部の大会が
あるとの事で、学校を休むと
メールで言っていた。

今日勝てば、県大会出場らしい。
頑張って勝ってほしい。

結果をメールするね、と
蛍先輩が言っていたから
私は一日中落ち着かず
そわそわと携帯を握り締めた。

ナツも同じ境遇だったようで
同じく携帯を手に握って
そわそわ落ち着かなかった。

それを見て、アキホは一人
ニヤニヤと笑っていた。

放課後、携帯を開くとメールが来ていた。

…蛍先輩からだ!

いそいそと受信ボックスを開く。

メールを見ると…

『負けちゃった』

こう一言、書かれていた。

「あ…」

私はじわっと目が熱くなって
泣きそうになる。

「ハルぅ…」

ナツも、泣きそうだ。

アキホは、そんな私とナツを見て
ポンポンと頭を撫でた。

今日は3人ともバイトがあったので
感傷に浸りたかったが、
仕方なく教室を出てバイトに向かった。

私のバイト先は、
家の近くにある本屋さんだ。
主に、レジと品出しをしている。

17時〜21時まで4時間、
週3、4日バイトしている。

バイトが終わり、
携帯を見る。

さっき、蛍先輩には
何て言ったらいいのかわからず、

お疲れ様でした、
残念でしたね、

というありきたりな
言葉しか返せなかった。

蛍先輩からの返事は、まだない。

家に帰り、ご飯を食べて
お風呂に入る。

洗面所でドライヤーをしてから
部屋に戻ると、ベッドの上に置いた
携帯がチカチカと光っている。

「蛍先輩からかな」

携帯を開くと、
蛍先輩からメールが来ていた。

No.113 14/06/23 17:51
ハル ( deZwBe )

『ハルちゃん、応援ありがとう。期待に応えられなくて、ごめんね。いまサッカー部の打ち上げ終わって帰ってきたんだ』

メールを見たあと、
私はいろんな感情が込み上げてきた。

蛍先輩、いま、どんな気持ち…?
私に、何か出来る事はある…?

私は、思い立ったように
パジャマを脱ぎ捨て近くにかけてあった
制服に着替えてカバンを持ち、

「お母さん、友達の家泊まりに行ってくる!」

そう言うと家を飛び出した。

「ちょっと、ハル!?」

後ろでお母さんの
心配する声が聞こえたが
私は駅に向かって走った。

電車に乗って、向かった先は…

「来ちゃった…」

蛍先輩の家。

彼女でもないのに、
重いかな…

勢いで来ちゃったけど…
私、蛍先輩の側にいたい…

唇を噛み締めて、
チャイムを鳴らした。

「はーい」

ぱたぱたと足音が近づいてきて、
目の前のドアが開いた。

「どちら様…って、ハルちゃん!?」

蛍先輩は驚きを隠せないようで、
目をぱちくりさせている。

「こんな夜遅くに、どうしたの!?」

「すいません、来ちゃいました…」

今頃恥ずかしさが込み上げてきて、
私は先輩の顔を見れなかった。

「まだ23時か…終電は間に合うな…ハルちゃん、帰ろう。送ってくから」

「えっ…?」

蛍先輩は私の手を引く。

「お母さん、心配してるんじゃないの?」

「いま、家出てきたんです。友達の家に泊まるって言ってきました」

「明日、学校じゃん」

「制服で来たし、カバンもあります」

「はぁ〜…」

蛍先輩はその場にへたり込む。

「せ、先輩っ?」

「不覚だけど、すげー嬉しいなぁ…」

蛍先輩は、そう呟くと、

「でも、ダメだ。今日は帰ろう」

すくっと立ち上がり、
再び私の手を引いた。

「嫌です…私、蛍先輩の側にいたいです…!」

恥ずかしかったけど、
素直に言った。

暗くてよかった。
顔、きっと真っ赤だから…。

「ハルちゃん」

低い声で、蛍先輩は言う。

「俺、今日は何するかわかんないよ…?」

「…!」

蛍先輩は、ぐいっと私を引っ張り
家の中に引き込んだ。

No.114 14/06/23 18:43
ハル ( deZwBe )

どんっ!

ドアに押し付けられ、
蛍先輩の唇が、私の唇と重なる。

「んむ…」

甘く激しい、キス。

蛍先輩はお風呂上がりなのか
少し髪が濡れていて、
Tシャツに黒いスウェットの
ズボンをはいていた。

私は、きゅっと先輩のTシャツを掴む。

「んっ…は…」

深く口づけられ、苦しい。

「ふっ…んんっ…」

軽く唇を離しては、
何度も深いキスを繰り返す。

「んっ…はぁっ……」

ようやく唇が離れると、
蛍先輩は私の耳元で囁いた。

「今日も、家に俺しかいない。…この意味、わかるよね?」

蛍先輩の手が、私の胸に置かれる。

「こうゆう事されるの、わかってて来たんだろ…?」

「っ…!」

いつもの、優しい先輩じゃない。
でも、蛍先輩が望むなら…。

「……んっ…!」

首筋に唇が当たる。

制服のボタンを全て外し、
私にキスを落としながら
蛍先輩は太ももを撫でた。

ブラのホックが外され、
蛍先輩の手がじかに私の胸に触れる。

「あっ…!」

胸の突起を指で弄られ、
私はびくっと反応する。

「やぁ…そこはっ…!」

蛍先輩の手がパンツごしに
私のアソコを刺激する。

ちゅっ…ちゅっ…

「乳首…吸っちゃ…あぁっ!」

パンツの中に蛍先輩の手が入ってきて
下の口に指を出し入れする。

ちゅく…ちゅく…

「んっ!あぁっ…!」

ズチュッ…!

「んあぁっ…せんぱ…ひぁっ!」

「抵抗しないんだ?感じてんの…?」

蛍先輩が耳元で囁く。

「やっ…意地悪しないで下さっ…!」

クチュ…クチュ…

「あ…ん!だって…久しぶり…で…」

つぷ…ぬぷぷっ…

「んっ…嬉しい…からっ…」

蛍先輩は、攻めるのをやめて
私を力強く抱きしめた。

「ハルちゃん」

「…はい?」

蛍先輩は私の靴を脱がせ、
私を抱き抱えて階段を上がった。

暗い部屋に入ると私をベッドに寝かせ、
上からのしかかってきた。

呼吸ができないほど心臓がうるさい。

「好きだよ…」

蛍先輩はそう言うと、
再び深く口づける。

「…!?」

いま、好きって…?

No.115 14/06/23 20:06
ハル ( deZwBe )

「んんっ…ふっ…」

何度も何度も、深いキスをかわす。

頭がぽーっとして、
さっきの甘い言葉が
まるで幻だったかのように
思えてくる。

蛍先輩が、私を好き…?

わからない…

「あっ…んっ!」

先輩は、考える余裕さえも与えない。
どんどん私を快楽の底へと
引きずり込んでいく。

パンツを下ろし、
私のそこに口づける。

「〜〜〜〜〜〜ッ!」

ねっとりと、私のアソコを
蛍先輩は舐め上げる。

ジュッ…ジュルッ…

「んぁっ…はあぁぁんっ…!」

指を入れられ、
強く吸い上げられると
私はあっという間に
イカされてしまった。

「…もうイッちゃったんだ?暫くしないうちに、ずいぶんと感度が上がったんだね…」

「はっ…はぁっ…」

「いつの間に、仕込まれたの…?」

「あああぁぁ―ッ!!」

蛍先輩のが、入ってきた。

ズプッ…ズププッ…

「あっ…あっ…!」

「まだ、入れただけだよ…?」

ビクビクと身体が跳ね上がる。

それだけで、意識が飛びそうなくらい
私は感じてしまう。

「や…あっ…蛍先輩の、入って…」

「相変わらず、凄い締め付けだね…」

先輩はゆっくりと腰を動かす。

「んっ…!んっ…!」

「腰が…止まらなくなるよ…」

そう言うと、深く、突く。

「あ…あッ―!!」

「また、イッちゃった?」

「んぁっ…蛍先輩、気持ちいい…よぉっ…」

ぎゅうっと蛍先輩にしがみつく。

ちゅ…ちゅっ…

繋がっている間も、
蛍先輩はキスを交わす。

「んはっ…!溶けちゃうぅ…!」

ちゅっ…

「…んっ…んん…」

No.116 14/06/23 20:08
ハル ( deZwBe )

蛍先輩は身体を離し、腰を引く。

「や…待って…!」

「…待てない」

ズンッ!

「あ…んッ!!」

一気に深く突き上げられ、
いやらしい音が部屋に響く。

「あ…あっ…!激しく…しちゃ…あぁっ…!」

蛍先輩は、激しく腰を動かす。

わざとクリトリスが擦れるように、
感じやすい上の膣を押し上げながら、突く。

「あぁっ!その動き方、ダメぇっ…!ふぇ…壊れちゃうぅ…」

ジュプッ…ジュプッ…

「はあぁん…いやぁぁ…」

ズプッ…ジュプッ…!

「あっ…!またっ…イッ…クぅっ…!」

ビクッビクンッ!

身体が痙攣し、私はまた昇り詰めた。
何度イッただろう。

身体が熱を帯びて、火照る。

このまま結合部分から、
蛍先輩と本当にひとつに
なってしまいそうな気がした。

蛍先輩は、激しく腰を打ち付ける。

「あっ…!あぁっ…!イッたばっかりでっ…そんな動いちゃ…んあぁっ!」

パンパンパンパン!

「だ…めっ!」

パンパンパンパンパン!

「あっ…突く!突くっ…!また…きちゃうっ…あぁ……」

狂ったように、私はイッた。

「俺も…もう…」

「蛍先輩…きてっ…」

「くっ…!」
「あぁっ…!」


蛍先輩は、
ビクッビクッと身震いした。

私も、同時に深くイッた。
そのまま、意識を失ってしまった。

No.117 14/06/23 20:50
ハル ( deZwBe )

目が覚めると、隣で蛍先輩が寝ていた。

まだ、外は暗い。
窓から月明かりが差し込んで
部屋を照らしている。

「私、寝ちゃったんだ…」

蛍先輩と、初めての夜…。

それどころか、男の人と一緒に
寝る事自体、初めてだ。

蛍先輩の寝顔は、とてもキレイだった。

静かに寝息を立てる先輩に
私は見入ってしまう。

引き付けられるように、
蛍先輩の唇に、自分の唇を重ねる。

自分から、キス、しちゃった…。

一人で照れてドキドキしていると、
蛍先輩が目を覚ました。

「ん…起きた?」

「あっ!すみません、私、寝ちゃって…」

「大丈夫だよ」

いつもの、先輩だ。
優しく、にこっと笑ってくれる。

…よかった。
キスした事、バレてない。

「それに、いきなり来ちゃって…迷惑かけましたよね…」

「ハルちゃん」

蛍先輩は、ぐっと私を抱き寄せた。

「…先輩!?」

「…さっきは、荒々しく抱いて、ごめんね」

「え…?」

「本当に、嬉しかったんだよ。ハルちゃんが来てくれて。俺、情けないけど、試合に負けてすっげーへこんでたから…」

「…先輩」

「これで終わりなんだなって。サッカーはこれからも出来るけどさ…部活で、同じメンバーでやるのは、もう…」

「………」

「同じ時間は、二度と巡っては来てくれないんだもんな。時間は、戻せない。…俺、まだ終わりたくなくて…」

蛍先輩は、私を抱きしめる力を強める。

先輩の痛みが、伝わってくる。
涙が、溢れてきた。

「ハルちゃん…ありがと…泣いてくれて」

「蛍先輩が、泣かないから…」

「はは、俺は男だからね。女の子の前では、泣かないよ」

そう言って、私の涙を拭う。

「でも、今は、ちょっと…」

再び、私を抱きしめる。

先輩の顔は見えないけど、
肩、震えてる…

私は、いつも蛍先輩の腕の中で
守られてばかりだったけど…

今日は、私が蛍先輩を包み込んであげたい。
そう、思った。

私は、自分の胸に蛍先輩の顔を埋め、
ぎゅうっと、抱きしめた。

蛍先輩は何も言わず、
私の腕を振りほどかなかった。

そのまま、二人で朝を迎えた。

No.118 14/06/23 21:12
ハル ( deZwBe )

チュン…チュン…

「朝…?」

「ハルちゃん、おはよ」

目を開けると、
隣で蛍先輩が囁いた。

「おはよう…ございます…」

私は恥ずかしくなって
布団を引っ張った。

「なになに?照れてんの?」

頭に布団を被る私を、
蛍先輩はいじる。

「昨夜は、大胆だったなぁ。寝てる俺にキスして、自分の胸に俺の顔埋めさせるなんて…」

「っ!?起きてたんですか!?」

私は、がばっと起き上がる。

「恥ずかしいから、寝顔はじっと見ないで欲しいな」

にこにこと笑って言う。

…いつもの、意地悪な蛍先輩だ。

「あ…!いま、何時…?」

「もうすぐ6時だよ」

「あ、まだ、そんな時間なんだ…」

今日は、蛍先輩の家から
学校に行かなくては。

「…先輩!朝練は!?」

私は思い出したように言う。

「俺、昨日で部活引退したから、ないよ」

寂しそうに笑う先輩。

「あ…そっか…。すみません…」

「いいよ、謝る事ないよ。少しずつ、部活がない生活にも慣れてくよ。それに、部活がないって事は、これからはハルちゃんに会える時間が増えるからね」

蛍先輩は、私の頭を撫でる。

きゅうぅんっ…

久しぶりに頭を撫でられて、
胸が締め付けられる。

「昨日は、落ち込んでたといえ、めちゃくちゃにしちゃったからね。ごめんね。次に抱くときは、優しくするからね」

「私、どんな蛍先輩でも、好きですっ!だから、色んな先輩を見せて下さいっ」

あ…

いま、好きって…

「…うん、ありがとう」

蛍先輩は、私の額に
軽くキスをする。

「朝ごはん、食べるよね?支度するから、シャワー浴びてきな」

蛍先輩はそのまま部屋を出て
下に降りていってしまった。

あれ?

私、今好きって…

昨日、蛍先輩も
好きだよって…

もしかして、両思い…?

私達、付き合うの…?

No.119 14/06/23 21:36
ハル ( deZwBe )

シャワーを浴びて、
蛍先輩の家のリビングで
一緒にご飯を食べる。

お味噌汁と、ご飯と、焼き魚…

「おいしい…!」

「はは、そうかな?」

「蛍先輩、料理できるんですねっ」

「うーん、そこそこね。俺、家で一人暮らしみたいなもんだしさ。ハルちゃんは?」

「料理は、好きですよ。よく作ります」

実家で、私もよく料理をしていた。
お母さんはいつも家にいるけど、
時々私がご飯を作ったりしていた。

「へぇ〜。今度、ハルちゃんの手料理、食べてみたいなぁ」

「お台所かしてくれれば、いつでも作りますよ。お口に合うかわからないですけど…」

「ハルちゃんの作るものだったら、絶対美味いよ」

褒められて、私はうれしくなる。

「でも、蛍先輩の方が上手だったらどうしよう」

「ははっ、それはないよ」

「わからないじゃないですかぁ」

「ハルちゃんの方が上手だって」

たわいもない会話をして、
二人で笑った。

まるで、新婚さんみたいだ。
私達、まだ高校生なのに…。

嬉しいような、恥ずかしいような、
考えると照れるから、やめよう。

「お皿、私が洗うんで蛍先輩シャワー浴びてきて下さい」

「ほんと?ありがとう。じゃあ、お願いしちゃおうかな」

蛍先輩は、シャワーを浴びにいった。

お皿を洗い終わり、
私はリビングのソファーに腰掛ける。

「変な感じ…」

好きな人の家で一夜を過ごして、
朝を迎えて、こんな風にご飯を食べて…

幸せ、と言ったら、その通りだ。

だけど、いくつか引っ掛かる事もある。

まだ、聞けない彼女の事。
携帯のストラップの事。

なんで、好きだよって言ったの?
私の好き、伝わってる?

お互いに気持ちを
伝え合ったはずなのに、
形にならない二人。

蛍先輩の気持ちが、わからない…。

聞きたいのに、聞けない。怖い。

今日はこれから学校だし、
朝からそんなヘビーな話しは出来ない。

タイミングを逃したら、
いつ言えるかわからない…。

でも、今日は…

「もう少し、幸せに浸っていても、いいよね?」

私は、蛍先輩に大事な事は聞かず、
そのまま一緒に学校へ向かった。

No.120 14/06/23 21:49
ハル ( deZwBe )

学校に着いた。

「ハルちゃん、本当にありがとうね。俺、ハルちゃんに支えられたよ。感謝してる」

「私こそっ、突然おじゃまして、すみませんでしたっ」

「いいよ、またおいで」

そう言うと、蛍先輩は
ぽんぽんと私の頭を撫でる。

「…夏休みさ、一緒にどっか行こうか」

「はいっ!」

「次は、ハルちゃんの行きたい場所、だったよね」

「はい、もう考えてありますっ」

「はは、そっか!楽しみにしてるよ。それじゃ、またね」

蛍先輩と別れ、教室に向かう。
デートのお誘いに、私は浮かれていた。

ナツとアキホに、
昨日の出来事を話すと
二人は跳び上がった。
きゃあきゃあと興奮している。

それと、またナツに
いい加減大事な事を聞けと
怒られてしまった。

あさっては終業式。
もうすぐ高校最初の夏休みが始まる―。

No.121 14/06/23 22:28
ハル ( deZwBe )

夏休み。

毎日、蝉の鳴き声が
うるさいくらいに聞こえてくる。

外はジリジリと日が照り付けて、
ものすごく暑い。

「夕方なのに、あづいよー…」

今日は、蛍先輩と
夏祭りに行く約束をしている。

夕方、お母さんに浴衣を着せてもらった。

紫に近い、淡い紺色の地に
ピンクの桜柄の浴衣。

「帯は…濃い紫にしようかね。昔はピンクが可愛かったけど、ハルも高校生だもんねぇ」

お母さんは、濃い紫の帯を
きゅっと締めて、

「ほい、完成!」

と言った。

長い黒髪をアップにして、
かんざしをさす。

「髪もできた…お母さん、ありがとう!」

「もう行くの?」

「うん、18時に待ち合わせなのっ」

「ハル、今日は帰ってくるんでしょ?」

「う、うんっ」

「気をつけなね〜」

「いってきまぁす」

下駄を履いて、
蛍先輩との待ち合わせ場所に向かった。

「履き慣れないから、足痛くなりそう…」

カラン…コロン…

音を立てて歩く。

電車に乗って2駅。
隣町のお祭りは、大きい。

昔から毎年家族や友達と
一緒に来ていた。

でも今年は…

私は、一人でニヤニヤして
蛍先輩を待った。

すると、

「あれ?ハルじゃん」

よく知っている顔が見えた。

「ゆぅくんっ…!」

ゆぅくんとは、あれ以来
よく一緒にご飯を食べに行ったり
地元をまわったりしていた。

「お、今日は浴衣なのか。似合ってんじゃん」

「あ、ありがとっ!」

「…すげぇ、可愛い」
ゆぅくんは、ぼそっと呟く。

「えっ?」
よく聞き取れなかった。

「…なんでもねぇよ」

「えー?なぁに?気になるじゃんっ」

「だーっ!もう、いいだろ!?うるせぇっ」

ゆぅくんはなぜか顔を赤くして言った。

「けちーっ。…ゆぅくん、これからどっか行くの?」

「ん?あぁ、祭りの手伝いに行くんだ」

「そうなんだぁ」

「お前は、祭りに行くんだろ?」

「うんっ!」

「…そっか」

私の嬉しそうに笑う顔を見て、
一瞬寂しそうにゆぅくんは笑った。

…気のせいかな?

No.122 14/06/23 22:38
ハル ( deZwBe )

「昔、俺が引っ越すまでは毎年一緒に行ってたよな」

「そうだねぇ。私、今でも覚えてるよ。迷子になった私を……」

私が言いかけると、
ゆぅくんは言葉を遮った。

「ハル、連れが来たみたいだぜ。俺も行くわ。じゃーな」

そう言うと、ゆぅくんは
人混みに紛れていった。

振り返ると、そこには
蛍先輩がいた。

「蛍先輩っ!」

「ごめんね、今回は俺が待たせちゃった」

…蛍先輩、仁平だっ!!
和服、めちゃくちゃかっこいい…!

「いえ、私だいぶ早く来ちゃって…ほら、まだ15分前ですよっ」

「はは、ありがと。今の、友達?」

「はい、幼なじみなんです」

「あぁ…この間階段にいた子か。幼なじみって、あの子の事か」

ふんふん、と蛍先輩は頷く。

「蛍先輩、行きましょっ!私、お祭り大好きなんですっ」

「はは、俺も祭りは好きだよ。この町の祭りは大きいから、俺も友達とよく来てたよ」

「そうなんですかぁ」

すっと蛍先輩が手を差し出す。

「手。はぐれないように、ね?」

「…はい」

蛍先輩の手を取り、歩き出す。

「ハルちゃん、浴衣可愛いね。すごく、綺麗だよ」

蛍先輩は、はにかみながら笑って言ってくれた。

「…ハルちゃん、さっきから、見すぎだよ…」

「へ?あっ、すみません!蛍先輩の仁平姿があまりにもかっこよくて…!すごく似合ってます!」

「はは、嬉しいな。ありがとう。でもあんまり見られると恥ずかしいからさ」

ぎゅっと、手を握る力が強まる。

大きくて、あったかい…。
蛍先輩の手、大好き。

No.123 14/06/25 11:12
ハル ( deZwBe )

駅を抜けて大通りに出ると、
道路が通行止めになっていて
出店がたくさん並んでいる。

まだ夕方で明るかったが、
町は溢れる人で賑わっていた。

私は蛍先輩と手を繋いで
大通りを歩く。

「…嬉しいなぁ。大好きなお祭りに、蛍先輩と一緒に来れるなんて…」

顔が、熱い。

恥ずかしけど、お祭りのテンションで
今日はちょっと大胆になれる気がした。

「俺も今日はハルちゃんと来れてよかったよ。誘ってくれてありがとうね」

「こちらこそっ!あ、蛍先輩、7時30分から花火が上がるんですよ」

「そうなんだ。じゃあそれまでに見える所に移動しないとね」

「それなら、任せて下さい!私、よく見える場所知ってるんで!」

「へぇ、そんな場所があるんだ。さすがお祭り娘だねぇ。期待してるよ!」

蛍先輩は、にこっと笑うと
優しく私の髪を撫でた。

「あ、先輩!りんごあめ食べていいですかっ?」

照れ隠しで、わざとらしく
はしゃいでしまう。

「うん、いいよ」

「やったぁ!あ、でもチョコバナナもいいなぁ…わたあめも捨て難いし…」

「はは!食いしん坊だな〜。好きな物、いっぱい食べな」

そういって穏やかに笑う先輩は、
本当にかっこいい。

そんな蛍先輩に見とれていると
慣れない下駄を履いていたせいか
転びそうになる。

「…わっ!?」

「おっと!」

蛍先輩に支えられ、
身体が密着する。

「あ、ありがとうございますっ…」

「大丈夫?気をつけてね」

「はいっ…」

蛍先輩とはいやらしい事
たくさんしてきたはずなのに
ちょっと触れ合うだけで
こんなにもドキドキする…

No.124 14/06/25 11:58
ハル ( deZwBe )

日が暮れて、屋台の明かりが
じんわりと辺りを照らし始める。

「そろそろ移動しましょうか」

「そうだね」

私は蛍先輩とある場所に向かった。

「…すごいな。大通りを抜けてちょっと歩くと山があるんだもんな」

「この町もどちらかと言えば田舎ですからね。この階段を上がると、小さな神社があるんです」

「へぇ〜。詳しいんだねぇ」

「昔、夏祭りの夜に山の中で遊んでたんです。小さな山だし、参道もちゃんとしてるから迷わないんですよ」

ガサガサ…

「でも、ここに抜け道があって…。ちょっと、細い道ですけど、ここを抜けると…」

開けた場所に出ると、
蛍先輩は目の前に広がる景色に
感動したようだった。

「綺麗だ…」

ぽつりと、感想を漏らす。

「ふふ、綺麗ですよね。お祭りの様子もここからよく見えるんですよ。町の明かりが、すごくキラキラして…。ここ、私の秘密の場所なんです」

「うん、すげーいい所だね。連れて来てくれてありがとう」

「前に、蛍先輩がお気に入りの場所だっていう河川に連れていってくれたから、私も蛍先輩をここに連れて行ってあげたいなって思って…」

「うん、俺もこの場所、すごく気に入っちゃった」

そう言うと、蛍先輩は
私の頬に触れる。

蛍先輩の顔が近付いてきて、
私は目を閉じてその行為を受け入れる。

唇が重なる。

河川の時と同じ
長い長い、フレンチキス。

唇が離れる。
見つめ合う、二人。

…今日こそ、聞かなきゃ。
私は、蛍先輩にずっと
気になっていた事を聞いた。

「…蛍先輩」

「ん?」

「ユキナのこと、フッたんですか?」

彼女の事を聞くつもりが、
ストレートに聞けず
ユキナの事を聞いてしまった。

確かに、これも気になってたけど…
私の意気地無し…

「うん、フッたよ。ユキナちゃん、あれから身体を求める前に告白してきたんだ」

「そうなんですか…」

「俺は、ちゃんと気持ちを向けてくれる子は、抱けない。俺が同じ気持ちを返せないから、ね」

…じゃあ、私は?

言葉が、喉の奥で突っ掛かる。
ここまできているのに、
声になって出てきてくれない。

No.125 14/06/25 12:42
ハル ( deZwBe )

「でも、断ったらユキナちゃん、素直に引いたんだ。もっと食い下がるかと思ったんだけど…ちょっと成長したのかな?」

確かに。

あのユキナが、黙って引くなんて
考えられなかった。

ちょっと前までは欲しいものの為なら
どんな手段も厭わなかったのに。

…蛍先輩に、毒抜きされたのかも。

そう考えると、蛍先輩って
やっぱりすごい。

「そうかもしれませんね。蛍先輩、やっぱりかっこいいなぁ」

そしてまた、たわいもない話しに
戻ってしまう。

…言わなきゃ。
言わなきゃ、伝わらない。
どこにも進めない。

「蛍先輩」

「どした?今日、なんか変だよ」

蛍先輩は心配して
私の顔を覗き込む。

「あの…ずっと聞きたい事があって…」

「うん?」

しばし沈黙した後、
私は決心して聞いた。

「蛍先輩、彼女、いるんですか…?」

その瞬間、心臓を叩くような
大きな音が響いて
鮮やかな光が私と蛍先輩を照らした。

「花火…」

次々と、七色の大輪が
夜空に咲き誇る。

蛍先輩の視線が
花火から私に戻る。

そして、蛍先輩は笑って答えた。

「いないよ」

その笑顔が、なんだか切なく見える。

「ほんと…?」

「うん。ほんとだよ。…ハルちゃん、俺の過去が気になる?」

「…!」

見透かしたように、
蛍先輩は私に問う。

「話した事、なかったもんな。こうゆうちゃんとした話し、ずっとしてなかったよね。いつかは、話そうと思ってた。でも、こうしてハルちゃんに聞かれてから話すなんて、俺、ズルいよな…」

そして、花火の音に
掻き消されないように、
ちゃんと私に聞こえる声で
蛍先輩は語った。

No.126 14/06/25 13:12
ハル ( deZwBe )

俺が、高校に入学して
サッカー部に入ったばかりの頃。

サッカー部のマネージャーで、
一つ上の女の先輩がいたんだけど
俺、その先輩に一目惚れしたんだ。

名前は、サクラ先輩。
すごく綺麗で、優しい人だった。

そんなある日、部活中にサクラ先輩が
部室で他の先輩とヤッてる所を
見ちゃったんだ。

他の先輩と付き合っていたんだって
その時は思ったよ。ショックだったね。

だけど、その翌日、他の先輩とも
部室でヤッてる所を見た。

俺はその後、思い切って
ヤッてた先輩にサクラ先輩と
付き合ってるんですかって聞いた。
だけど、付き合ってなかったんだ。
サクラ先輩は、フリーだった。

…サクラ先輩はサッカー部で
性処理係的な事を自ら望んで
やっていたんだ。

それも、部員のほぼ全員と。

俺は、サクラ先輩がどうしてそんな風に
なったのかを聞いた。

サクラ先輩が1年の頃。
サクラ先輩にはその時彼氏がいて、
その彼氏がサッカー部に入ったから
一緒にマネージャーとして入部した。

先輩達は、美少女だった
サクラ先輩に手を出したくて
仕方がなかったらしい。

この学校がヤリ校って呼ばれてるなんて
入学したてのサクラ先輩は
知らなかったんだろうね。

何も知らずにきっちり
マネージャーとして働いてたらしい。

そんなある日、サクラ先輩の彼氏が
体調を崩して部活を休んだ。

真面目なサクラ先輩は
彼氏が部活を休んだからといって
自分まで休むのは駄目だと部活に出た。

…自分が、狙われてた事も知らないで。

サッカー部の先輩達は、
部活が終わってから
部室にサクラ先輩を引きずり込んで
サクラ先輩の事をマワしたんだ。

そして、先輩達はサクラ先輩に
性処理係になれと言った。
断れば、彼氏にバラすと脅して。

サクラ先輩は、処女だった。
マワされた事を彼氏に
知られたくなかったんだろうね。

黙っていてもらう代わりに、
性処理係になる条件を飲んだんだ。

それから、毎日、先輩達は
サクラ先輩の身体を弄んだ。

そしてついに、彼氏に
先輩とヤッてる事がバレちゃったんだ。

No.127 14/06/25 13:36
ハル ( deZwBe )

サクラ先輩が部室で先輩とヤッていた時
彼氏が忘れ物をして部室に入ってきた。

彼氏に、セックスしてる所を
見られてしまったんだ。

サクラ先輩は彼氏に
理由を話しても聞いては
くれなかった。

どんな理由があるにせよ、
自分の知らない所で
彼女がたくさんの男に
抱かれていたなんて
許せなかったんだろうね。

そして、二人は別れてしまった。

サクラ先輩の彼氏は
部活を辞めて荒れていった。

サクラ先輩は、彼氏と別れた
悲しさを埋めるように
自らセックスをねだるようになった。

サクラ先輩は、セックス依存症に
なってしまったんだ。

そして今も、先輩や同級生と
セックスを繰り返す毎日。

俺は、それでもサクラ先輩が好きだった。
なんとかして、救ってあげたかった。

そんなある日。

「ねぇ、蛍くん。私といいコトしようよ」

部活が終わった後、
サクラ先輩が俺を誘ってきた。

俺は正直、嬉しかったけど
その誘いを断った。

その後もサクラ先輩は
毎日のように俺を誘ってきた。
俺は断り続けた。

ここで簡単に許したら
他の奴と一緒になってしまう。

しばらくして、部活の後
サクラ先輩は俺を体育倉庫に
連れ込んで、こう言ったんだ。

「蛍くん、私の事、キライ…?」

涙を浮かべて言われて、
俺は正直に自分の気持ちを打ち明けた。

そして、

「私も蛍くんが好きだよっ」

サクラ先輩はそう言って
俺にキスしてきた。

好き、と言われて
舞い上がっちゃったんだよな。

そのまま、
サクラ先輩と繋がった。

でも、セックスが終わってから
サクラ先輩はこう言ったんだ。

「はぁ〜、これでやっとサッカー部の1年生全員とセックスできたぁ」

俺はそれを聞いて、
好きって言ったのは
恋愛的な意味が含まれた
ものじゃなかったと、
理解したんだ。

No.128 14/06/25 14:04
ハル ( deZwBe )

それでも俺は、サクラ先輩を
救いたかった。

だから、ちゃんと告白した。

返事は、

「…気持ちは嬉しいけど、私、蛍くん一人じゃ満足できないよ」

サクラ先輩は、
ちょっと寂しそうな顔をして
そう言ったんだ。

純粋な恋愛は、私には
もうできない…

こう言っているように聞こえた。

「サクラ先輩が満足出来るように、俺、上手くなります」

そう言ってサクラ先輩を抱きしめた。

「ありがとう…蛍くん…」

サクラ先輩は、泣いてたよ。
俺を受け入れてくれた。

それから俺は毎日のように
サクラ先輩とセックスした。

サクラ先輩は、
俺に"女の抱き方"を徹底的に
教え込んだ。

感じる場所、気持ち良い所…

サクラ先輩が、過去に先輩に
開発されるように、
俺はサクラ先輩に開発されていった。

それでも、サクラ先輩の
セックス依存症は治らなかった。

サッカー部の奴らは
俺とサクラ先輩が付き合ったのを
薄々知っていながら
サクラ先輩に手を出し続けた。

ハチと兜は、俺の気持ちを知ってから
サクラ先輩とするのを
やめてくれてた。

そして俺が2年、
サクラ先輩が3年になって
先輩達は部活を引退した。

俺とサクラ先輩の交際は続いていた。

だけど卒業間近になって、
サクラ先輩は俺に言ったんだ。

いつものように、セックスした後に。

「蛍くん、上手くなったねぇ…。ふふ、でも蛍くん、スパンが長くて良いんだけど一回イッちゃうともう出来なくなっちゃうよね。私の知り合いに何回も連続で出せる人がいてねぇ、その人とした時、すごぉく気持ち良かったんだよぉ」

今まで、そんな事言わなかったし
他の奴とヤッている事も
ずっと黙ってたのにどうして今更?

その時の俺は、
あなたじゃ満足できないのって
言われているようにしか
捕らえる事ができなかった。

今思えば、サクラ先輩なりの
精一杯の優しさだったのかな。

俺に気持ちを向けられなくて
セックスから抜け出せなくて
わざと酷い事を言って
俺の気持ちを消そうとした。

そして、「蛍くん、別れよう」

目に涙をいっぱい浮かべて
サクラ先輩は言ったんだ。

No.129 14/06/26 01:24
ハル ( deZwBe )

―俺じゃ、この人を救えない。
そう、思ったんだ。

それから、俺は変わった。

サクラ先輩と別れてから
いろんな女の子とセックスした。
セフレをたくさん作るようになった。

サクラ先輩が、別れた悲しさを
他の人で埋めたように、
俺もまた、悲しさを紛らす為に
快楽に溺れていった。

そして時は流れ、
サクラ先輩は卒業していった。

卒業式の日、下駄箱に
手紙が入ってたんだ。

ルーズリーフに
黒いボールペンで書かれた
小さくて、可愛い字。

『ちゃんと蛍くんだけを
見てあげられなくてごめんね』

宛先も、差出人も書かれていない手紙。

だけど、それは紛れもなく
サクラ先輩からだった。

俺は、後悔したよ。
あのまま俺が諦めずに
気持ちを向け続けていたら
何か違っていたんじゃないかって。

もしかしたら、サクラ先輩を
救えたんじゃないかって。

俺はそれから、さらに荒れた。
後悔に苛まれて何もかも嫌になった。
自分を汚してしまいたくて
いろんな女の子と身体を重ねた。

3年になってから
俺はようやく少し落ち着いた。
いろんな子と身体の関係は
続いていたけど
狂ったようにセックスに
走らなくなった。

サクラ先輩がいなくなってから
みんな真面目に部活に
打ち込むようになったし
よかったと思えた部分もあった。

これが、俺の高校生活の全て。

全てを話し終え、
蛍先輩はいつもの笑顔に戻る。

でもやっぱり、
その笑顔がどこか寂し気に見えた。

花火が打ち上がる中、
私はじっと蛍先輩の話しを聞いていた。

先輩が、過去にそんな経験を
してたなんて、想像もしていなかった。
蛍先輩は私から見たら、
かっこよくて、すごく大人で…。

でも、やっぱりまだ
蛍先輩は、サクラ先輩の事が…。
そんな気がした。

No.130 14/06/26 22:50
ハル ( deZwBe )

「蛍先輩、今でもサクラ先輩の事が好きなんですか…?」

私は、恐る恐る聞いた。

「しばらく引きずってたけど、今は違うよ。もう、好きじゃない」

迷いなく、蛍先輩は答える。

「でも、あの携帯のストラップは…」

「あぁ、これ?」

蛍先輩は仁平のポケットから
ストラップの付いた携帯を取出す。

「確かに、これはサクラ先輩にもらったやつだけど、サクラ先輩の代の先輩達が引退する試合の前に、部員全員にサクラ先輩がくれたものなんだ」

「え…?そうなんですか?」

「うん。だから、ハチも兜もカバンにつけてるよ」

「えぇっ!!」

そこまで、見てなかった…。

「見た目ペアなのがちょっとねー。くじ引きでペアストラップを誰と分けるかやったんだよ。俺は確か、後輩とペアになって分けたんだよね」

「じゃあ…二人でお揃いとかじゃないんですね?」

「二人のお揃いじゃないよ。部員全員のお揃い、だね」

「そうだったんだぁ…」

私は、一気に力が抜けた。

ユキナの問題が解決した事。
蛍先輩に彼女がいない事。
ストラップは部員でお揃いだった事。

不安が全て消えたわけじゃないけど
蛍先輩の口から、過去の話しが聞けて
私は嬉しかった。

…ちょっと、サクラ先輩に
ヤキモチもあるけれど。

いまの話しを聞いて、
蛍先輩が今まで言っていた
言葉の意味深さが
ちゃんと見えた気がした。

初めてデートした時に
好きって言葉を簡単に
言ってはいけないと
蛍先輩に言われた事。

蛍先輩のコンプレックス
とも言える悩みの根源。

それは全部、過去の恋愛から
引きずってしまっている
蛍先輩の心の傷なのだろう。

No.131 14/06/27 09:39
ハル ( deZwBe )

「俺、すっげー情けない奴なんだよ。自分の好きだった人が自分の事見てくれなかったからって、荒れて、勝手に後悔してさ」

蛍先輩は、苦笑いして言う。

「先輩…」

「ハルちゃんも、今の話し聞いて引いたでしょ?いつも先輩ぶってるけど…ほんと、格好悪いよなぁ」

「そんな事、ないです!」

私は、大きな声で言った。
花火の音に負けないくらい、大きな声で。

「自分の好きな人に振り向いてもらえないなんて、辛いに決まってるじゃないですか!そんなの、誰だって潰れちゃいます!ずっと一方通行の恋は、辛いですよ…」

私は、蛍先輩をぎゅっと抱きしめた。

「それに、先輩の言葉はサクラ先輩の心にも響いてたと思うし、嬉しかったと思います。蛍先輩が一途に自分を思い続けてくれた事…。絶対、どこかで救われてたはずです!」

「ハルちゃん…」

「ユキナだって、蛍先輩のおかげで少し変われたんです!蛍先輩、すごく素敵です。すごく、すごくカッコイイです。だから、自分の事を情けない奴だなんて、言わないで下さい…」

声が、震える。
花火の音に負けないで言えたかな?
ちゃんと、伝わった…?

蛍先輩は、くすくす、と笑った。

「…年下の女の子に、励まされちゃうなんて、やっぱり俺、格好悪いよなぁ」

蛍先輩は、私の肩にもたれ掛かる。

「あっ…偉そうな事言ってすみませんっ…」

私、年下のくせに
でしゃばった事言っちゃった…

恥ずかしさと、後悔の念が
押し寄せて来る。

「謝らないで。俺、嬉しかったからさ。ありがとう。ハルちゃんにすげー救われたよ」

「そんな!私、生意気でっ…」

「ははは、気にしない、気にしない。ハルちゃんは、小さいのにすごいパワー持ってるよなぁ」

そう言って、私を力強く抱きしめる。

「あとちょっとで花火終わっちゃうから、ゆっくり見ようか」

「…はい」

蛍先輩の右の掌が、
私の左の掌を包み込む。

夜空に打ち上がる花火を
二人で見上げた。

No.132 14/06/27 12:27
ハル ( deZwBe )

蛍先輩と見上げた花火は、
とても綺麗で、儚く感じた。

すごく特別な時間なのに、
幸せに浸りきれない。

私はこの前、蛍先輩が私に言った
『好き』の意味をずっと考えていた。

あの言葉は、やっぱり
幻だったのだろうか。

聞き間違い?
そんな訳、ないよね…。

私と蛍先輩の関係は、
一体何なんだろう?

付き合ってもいない、
セフレとも違うような、
先輩後輩、友達、親友…

どのカテゴリーにも入らない、
中途半端で、生温い関係。

蛍先輩の気持ちが、
わからない…。

もどかしいけど、居心地の良い関係。
甘酸っぱい、だけど、
そんな時間が愛おしい。

「好き…」

私はぽつり、呟いた。

花火に掻き消されるように
わざと、小さな声で。

花火に消された言葉を、
ちゃんと言える日は来るのかな…。

「これで、フィナーレかな」

花火が、祭りが、終わる…

最後、一際大きな花火が
夜空に打ち上がった。

キラキラと、光の粒が
闇夜に消えていく。

「花火、終わっちゃったね」

「そうですね」

「ハルちゃん、戻ろうか」

「はい…」

蛍先輩に手を引かれ、
山道を下りる。

ずっと立ちっぱなしで
花火を見てたせいかな…
だんだん足が痛くなってきた。

「ハルちゃん、大丈夫?足、痛いんでしょ?」

「だ、大丈夫ですっ」

「神社で少し休んで行こうか」

「…すみません」

「いいよ、謝らないで。慣れない下駄で擦れちゃったんだね」

隠そうとしても蛍先輩には、
すぐに気付かれちゃう。

二人で神社の石畳に腰掛けた。

「お祭りだけど、この神社には誰も来ないんだね」

「本殿は下にある大きな社なんです。ここは摂社なんで、あまり人も来ないんですよ」

「へぇ〜。山の上に本殿があるのかと思ってたよ」

「そうですね。神体山の上に本殿がある神社って多いですけど、神社よって建物の配置が違いますからね。それに、山の下に本殿があった方が参拝しやすいから、いいですよね」

「ハルちゃん、詳しいんだねぇ」

「小さい頃からお祭りとか初詣に毎年来てるから、この神社の宮司さんと仲良しで、色々教えてもらったんです」

No.133 14/06/27 21:59
ハル ( deZwBe )

「…そっかぁ。じゃあここには、人が来ないんだ」

「そう…ですね。あまり、来ないですね…」

「…襲っちゃおうかなぁ」

そう言うと、蛍先輩は
私の首筋にキスをした。

「…んっ!」

「神様の前でこんな事するなんて、何だかいけない気持ちになるよね…」

「先輩、罰当たりですよ…」

「…ダメ。もう我慢できない。ハルちゃん、浴衣すげー可愛いんだもん」

そう言うと、蛍先輩は
私の顎を持ち上げ、口づけた。

「んんっ…」

息をつく暇がないくらい、
激しくて深いキス。

あ…浴衣、はだけて…

「っ…」

蛍先輩の唇が、
首筋や肩に触れる。

その度に身体が
ビクンと反応した。

「やっ…あぁっ…」

ちゅっ…ちゅく…

乳首を吸われ、
いやらしい声が漏れる。

蛍先輩の手が
浴衣の中に入ってきて、
私の太ももを撫でる。

そしてパンツごしに
私の敏感な所を擦り上げた。

「あぁっ…!」

「もうこんなに濡れてる…。乳首もコリコリだよ」

胸の突起を指で転がす。
乳首をきゅぅっとつままれると、
大きな声であえいでしまう。

つぷ…つぷぷっ…

「あっ…せんぱ…指っ…」

蛍先輩の指が、ナカを掻き回す。

くちゅくちゅ…

「あっ…あぁっ…!」

ズプッ…ジュプッ…

「ああんっ…そこっ…あっ…」

「ハルちゃん、エロすぎだよ…浴衣、そそられちゃうね…」

私の耳元で蛍先輩は囁く。

「先輩こそ…、あっ…そんなエロい声で…囁かないで下さい…」

蛍先輩に耳に、甘い吐息がかかると
先輩は、ぴくんっと反応した。

微熱を帯びるカラダ…

「あ〜っ…、ほんとに、我慢出来ないなっ…!」

蛍先輩はそう言うと、
私のアソコに指を2本入れて
激しく出し入れした。

「あっ…!せんぱいっ…激しっ…!」

そして、私の一番感じるトコロを
強く押し上げた。

「んぁっ…やあぁっ!先輩、イッちゃうっ!あぁッ―…!」

ビクッビクッと身体が跳ね、
私はイッた。

No.134 14/06/27 22:04
ハル ( deZwBe )

「さすがにこれ以上は、やめとこうか…。浴衣、めちゃくちゃになっちゃう」

「あ…」

浴衣は前がはだけて、
乱れまくりだ。

まだ引っ張ればなんとか
形になりそうだけど…

脱いだら自分じゃ
着付けが出来ないから
ヤバいかも。

「ハルちゃん可愛いすぎて、俺も我慢の限界なんだけどね。それに、襲うって言ったけど、やっぱ外はさすがに…」

「私、蛍先輩の、欲しいです…」

「……えぇ!?」

私の大胆発言に、
蛍先輩は驚いた顔をした。

…同時に、ちょっと嬉しそう。

「私も、我慢出来ないです…蛍先輩、入れて…?」

「ちょっ…ハルちゃんっ…」

じりじりと、蛍先輩に迫る。

自分から誘うなんて
大胆でいやらしい事、
きっとなかなか出来ない。

だけど、こんな日だから、
お祭りの夜ってゆう
特別な日だから、言えたんだと思う。

蛍先輩とひとつになりたい…。

さわさわ、と蛍先輩のモノを触る。

「ダメ…?」

「っ…。ハルちゃん、そんな風に煽って、後悔しても知らないよ?」

「きゃっ!?」

蛍先輩は私を抱き上げ、
茂みに入ると私を立たせて
木に手をつかせた。

「ごめんね…足、痛いよね」

「大丈夫ですっ…」

蛍先輩は浴衣をまくり上げ、
パンツをずらして
そのまま立ちバックで挿入した。

「あぁっ…!」

蛍先輩のアツいのが、
一気に入って…

ジュプッ…ジュプッ…!

「ん…あぁっ…ナカ、擦れて気持ちいいっ…あっ…先輩っ…立ってらんないっ…」

気持ち良すぎて、膝が笑う。

「…ダメ。イクまでこのままだよ」

「やぁ…んっ!」

No.135 14/06/27 22:23
ハル ( deZwBe )

蛍先輩は私の身体を抑えつけて
そのまま激しく腰を振り続ける。

「あっ…あっ…!」

後ろから胸を揉まれながら
突かれると、気持ち良すぎて
足に力が入らなくなる。

「せんぱいぃ…もう、ダメぇ…」

「ダーメ。イクまでこのままだよ。ほらっ」

蛍先輩はクリトリスを弄りながら
奥まで突き上げた。

「あっ!あぁ―っ!」

ビクッビクッと身体が震える。

「先輩ぃ…足にっ…力入んな…んぁっ…」

「ほら、ちゃんと立たないと、やめちゃうよ?」

蛍先輩は打ち付けていた
腰の動きを止め、
ぺニスを抜こうとする。

「いやぁっ…やめないでぇ…」

「…じゃあ、しっかり足で踏ん張って…ね!」

ズンッ!

「あ―ッ!!あぁ―ッ…!!」

目の前が、チカチカして…

「…イキそう?」

蛍先輩は見透かしたように、
耳元で囁く。

「やぁぁっ…んぅっ…もう…イッちゃうぅ…!」

「俺も、イクよ…」

パチュッパチュッパチュッ…!

「あっ…!蛍先輩っ…イクぅッ…!」

「……くっ…!」

二人で同時に昇り詰め、
私はその場にへたり込む。

「はぁ…はぁ…」

…野外エッチって、スゴい…。

「ははっ…ハルちゃんの誘惑には勝てないなぁ…」

「だって、先輩としたかったから…」

恥ずかしくて、先輩の顔が見れない。

夜になって涼しくなったとはいえ、
かなり暑い。汗ぐっしょりだ。

「お風呂入りたいですね…」

「そうだねぇ…」

しばし沈黙した後、

「うち、来る?」

蛍先輩は言った。

行きたい、けど…

「今日は帰るって家族に言っちゃったんで、帰りますね」

私は断った。
浴衣だし、お母さんも
心配するだろう。
今日はまっすぐ帰ろう。

「そっか。じゃあまた今度、泊まりにおいで」

蛍先輩はそう言って笑うと、
優しく私の頭を撫でた。

No.136 14/06/27 23:20
ハル ( deZwBe )

はだけた浴衣をなんとか直し、
歩き出そうとすると、

「ハルちゃん」

蛍先輩が私を引き止める。

「はい…?」

「いまので足の痛み、酷くなってるでしょ?無理しちゃダメだよ、ほら」

蛍先輩は、その場に
膝をついて腰を落とした。

「おぶってあげる」

「歩けるから大丈夫ですよっ」

「いいから」

「でも、私、重いしっ…」

「大丈夫だから、おいで」

強がる私を、蛍先輩は
優しくなだめる。

「じゃあ、お邪魔、します…」

私は遠慮がちに
蛍先輩の背中に、しがみつく。

「ははっ!お邪魔しますって、ハルちゃんおもしろいなぁ。…しっかり捕まっててね」

「わっ!」

「大丈夫?落っこちないでね。…まぁ、何があっても、俺が落とさないけど」

いたずらっぽく蛍先輩は笑う。

おんぶしてもらうなんて、
いつぶりだろう。

広くて、大きな肩。
蛍先輩の背中、あったかい…。

蛍先輩は私をおぶって
駅まで歩いてくれた。

「ハルちゃん、全然重くないよ。むしろ軽い。ちゃんと飯食ってる?」

「えぇっ!?私、大食いってよく馬鹿にされるくらいでっ…」

「あぁ、そういえばさっきお祭りの時、いっぱい食べてたなぁ。やっぱり重たくなってきたかも」

「嘘ッ!?」

「ははは、冗談だよ」

「…いじわるっ」

「いっぱい食べる女の子って可愛いじゃんね。いいと思けどな」

駅に着くと、夜遅いのに
お祭りの日だからか人が結構いる。
外は暗くてよかったけど、
駅は明るいから恥ずかしいな…

「先輩、私降ります。人、たくさんいるし…」

「大丈夫。恥ずかしかったら、目をつぶっていて」

「でも…」

「いいから。このまま、送って行くから」

「えっ!そんなの悪いですっ!」

「俺も男だからさ、これくらいはさせてよ。足痛めてる女の子をそのまま歩いて帰らせるなんて、出来ないよ」

強がってはいたけど、
だいぶ足も限界だ。

下駄の花緒が当たるだけで
ズキズキと痛む。

私は蛍先輩の優しさに甘えて、
家まで送ってもらう事にした。

No.137 14/06/28 08:31
ハル ( deZwBe )

私は蛍先輩に言われた通り、
駅通る時、目をつぶって
先輩の背中に顔を埋めた。

改札口を通る時、
電車を待つ間、
電車に乗るときは
先輩の背中から下りたけど
私の地元の駅から
蛍先輩はまた私をおぶってくれた。

家に着くと、私は蛍先輩に
深々と頭を下げた。

「蛍先輩、今日は本当にありがとうございましたっ!」

「いいんだよ。こちらこそ、今日はありがとう!すごく楽しかったよ」

「私も、楽しかったですっ」

「じゃあ、またね、ハルちゃん。足、お大事にね。おやすみ」

「はい、おやすみなさい!」

蛍先輩が見えなくなるまで
見送ると、私は家に入った。

浴衣は人前を歩けるくらいには
直したけれど、
お母さんに見られたら
マズイかも…。

私はそう思って、
急いで階段を上がり
自分の部屋に入った。

そして、素早く浴衣を脱ぐ。

「ハル、帰ってるの〜?」

案の定、お母さんが来た。

「うんっ、いま帰ってきたのっ」

「入るわよ〜。あ、着替えてたの、ごめんね。ご飯、屋台で食べてきたの?お腹すいてない?」

「うんっ、大丈夫!」

「…そう。暑かったから、汗かいたでしょ?お風呂わいてるからね〜」

「わかった!ありがとう!」

「ふふ、若いっていいわねぇ。おやすみ〜」

お母さんはニヤニヤしながら
出ていった。

さすがに、エッチした事は
勘繰られていないにしても、
男の子とお祭りに行った事は
バレバレだったようだ。

「はぁ…」

結局、告白もできないまま、
蛍先輩の気持ちもわからないまま…。

でも今日は、いろんな事
蛍先輩と話せたし、
ちょっと、前に進めたよね。

No.138 14/08/20 14:11
ハル ( deZwBe )

8月。

朝から暑くて何にもやる気が起きない。
私はベッドの上でごろごろしていた。

「暑いなぁ…暑すぎて寝てらんないよ…」

夏休みだから昼くらいまで寝ていようと
思ったが、暑くて目が覚めてしまった。

起きようか迷っていると
枕元に置いてある携帯が鳴った。

「アキホから電話だ。…もしもーし」

「ハル、おはよー」

「おはよぉ。どうしたの?」

「ハル、海行こう、海!」

「えぇ!いまから?」

「ううん、日にちはまだ決めてないんだけど、昨日兜先輩に誘われたんだよね。それで、みんなで行こうって話になったからさー。」

「みんなって?」

「ハルとナツと私と、兜先輩と蛍先輩とハチ先輩だよー」

「蛍先輩、来るの!?」

「うん!だから行こうよー!アタックチャンスだよ!」

「行く!絶対行く!」

「よし、決まりね!日にちはみんなの予定聞いて決めるね」

「わかったー!あ、でも私、水着ないかも…」

「ハル、今日なんか予定ある?」

「ないよー」

「じゃあ一緒に買いに行こう!私も水着見たいし!ナツも誘ってさ」

「さんせーい!」

「じゃあ、13時に××駅で待ち合わせしよ」

「おっけー!」

「海の話も兼ねて私がナツに連絡しとくわ」

「了解!またあとでねー」

アキホからの誘いでテンションが上がった私は
暑さを忘れたかのように飛び起きた。

…蛍先輩と海かあ。すっごく楽しみ!

時刻は8時。
私は出かける支度を始めた。

No.139 14/08/20 18:03
ハル ( deZwBe )

支度を終え、お昼ご飯を食べて
そろそろ家を出ようかと思った時。

ピンポーン…

インターホンを押す音が聞こえた。

「誰だろ…はぁーい!」

家族はみんな外出していたため
私は玄関へと向かった。
玄関のドアを開けた先にいたのは…

「よっ!迎えにきちった」

にかっと笑ったナツだった。

「ちょうどよかった!私も今出るとこだったんだ。待ってて、カバン取ってくる!」

私は急いでカバンを持って外に出ると玄関の鍵をかけた。

「お待たせ。あっちーねー」

「ほんと、猛暑だよねぇ」

ナツと歩きながら話す。

「てか、来るなら言ってよぉ」

「いいじゃん、近所だしいつものことでしょ」

「まあね。でも入れ違いにならなくてよかったよ」

「へへ。ハル、そんなことより…」

ナツはニヤニヤしている。
ナツの言いたいことはすぐわかった。

「そうだねぇ…」

「アキホに感謝だよねぇ」

「ほんとにね」

「「海、楽しみーっ!」」

二人できゃいきゃい盛り上がり、
アキホとの待ち合わせ場所に向かった。

No.140 14/08/20 19:34
ハル ( deZwBe )

待ち合わせ場所につくとすでにアキホがいた。

「アキホ、お待たせ!」

「ううん、私も今来たとこだよ」

「それならよかった。アキホ、海誘ってくれてありがとー!」

私とナツはアキホにべたーっとくっついた。

「二人とも、暑いよぉ」

アキホはそう言いながらも笑っている。

「頑張ってね。二人の恋が上手くいくように私も出来る限り協力するからさ」

「うん、ありがとー!」
「アキちゃん大好きっ!」

「だからぁ、暑いってば!ほら、買い物行くよっ」

アキホは自分の腕に絡みつく私とナツをそのまま引っ張って
近くのショッピングモールに入って行った。

水着コーナーに着くと、それぞれ気に入った水着を
試着したり、試着の見せ合いっこをして楽しんだ。

何件かお店を見て回って、みんな気に入った水着を
見つけて買うことができた。

恥ずかしいけど、アキホのアドバイスとナツの押しで
初めてビキニにチャレンジすることにした。

アキホは赤系の大人っぽいビキニ、
ナツは青系のシンプルなビキニ、
私は黒地にピンクの花柄のビキニを購入した。

買い物を終え、3人で駅の近くのカフェに入った。

「はぁ」

テーブルに着くなりナツがため息をついた。

「どうしたの?」

アキホが聞いた。

「…ふたりとも、ムネがあってうらやましい」

「え?」

「水着の試着の時も思ったけどさぁ、ふたりとも、育ったよね」

私とアキホの胸をじろじろ見てナツは言った。

「ナツは体のラインが細くて綺麗じゃんか」
「そうだよっ。特にバックシャンが…」

「うるさい、巨乳に貧乳の気持ちがわかるかぁっ」

ばしばしとテーブルをたたきながらナツは怒鳴る。

No.141 14/08/20 19:35
ハル ( deZwBe )

「…アキホ、何カップ?」

「へ?」

「おっぱいのサイズだよっ。いくつか吐けぃ!」

「私はDだよ」

「高1にしてDとは!けしからん胸だ!ハルは?ハルはいくつじゃ!」

「私もD…」

「ふたりとも…D?」

若干壊れ気味のナツ。
自分の胸に手を当てると、またため息をついた。

「…ない」

「え?」

「胸が、ない…」

「ナツ、ぜんぜんないわけじゃないじゃん」
「そうだよ、膨らみはあったよ」

「いいなあ、胸…」

「ナツ、サイズいくつだっけ?」

「B…に近い、A…」

「ハチ先輩に揉んでもらいなよっ!揉まれるとおっきくなるって言うし!」
「そうだよ、まだまだ成長途中なんだからっ」

「ふたりと海に行くの、怖くなってきた」

「大丈夫だよ、胸の好みなんて人それぞれ…」

「うう…」

テーブルに突っ伏したナツに隣に座っていたアキホが声をかける。

「なっちゃーん…?」

ナツはむくっと起き上がるとアキホの方を向いた。

「…ふたりの胸を揉めば、ご利益でおっきくなるかも」

「え?」

「アキホ、おっぱい揉ませて」

「ナツ、ここお店の中だからっ」

「いいじゃん、ちょっとくらい…」

「ダメだよっ!ちょ…!」

「やわらかい…」

「なっちゃん!手つきがヤラシイってば!…あっ!そこはっ…!ハル、ナツを止めてっ」

「面白いからみてる」

私はニヤニヤして言った。

そこに、注文を取りに来た男の店員さんが来て
気まずそうに私たちの横を通り過ぎた。

そこで私たちは恥ずかしくなり、我に返った。

No.142 14/08/21 00:17
ハル ( deZwBe )

「もうっ!恥ずかしかったじゃん~」

アイスティーをストローで吸いながら
顔を赤くしてアキホは言った。

「ごめんごめん、ちょっと暴走しすぎちゃった」

ナツはぺろっと舌を出した。

「そういえばハル、蛍先輩とお祭り行ったんでしょ?どうだったの?」

話題を変えるようにナツが切り出す。

「楽しかったよ!花火も一緒に見れたし…あ、蛍先輩、彼女いないって!」

「マジで!?」
「ハル、よかったじゃーん!」

「えへへ…それでね、あのストラップは部活のみんなでお揃いなんだって」

「そうなんだぁ」

「うん、ほんとによかったぁ。やっと聞けたよ。二人のおかげ、ありがとー!」

「いいってことよ!」

そのあとも女子トークで盛り上がり、
気づけばけっこうな時間になっていたため私たちは帰ることにした。

アキホと別れた後、ナツとも家の近くで別れ、
私は家に帰ってきた。

そのあとすぐアキホから連絡がきて、
来週海に行くことが決まった。

No.143 14/08/21 01:12
ハル ( deZwBe )

ジリジリと照りつける太陽。
どこまでも広がる青い空と海。
海風で揺れるヒマワリ畑。

キラキラと寄せては返す
青い宝石みたいな波打ち際に
私達は立っていた。

「夏だー!海だー!」
「あっついよー!」
「いえーいっ!」

それぞれに叫びたい事を
思いのままに叫ぶ。

地元の駅から電車に揺られて1時間、
私、ナツ、アキホ、蛍先輩、兜先輩、ハチ先輩の6人で海に来た。

親子連れや若い男女も多く、
海辺は凄まじく賑わっていた。

砂浜に海の家で借りたビーチパラソルを立て、
持参したビニールシートを敷いた。

「じゃあ、着替えようか」

先輩たちについて行き、それぞれ海の家の
隣にある更衣室で着替える。

「やっぱり私、自分のカラダに自信ないよ…」

ナツはやはり、胸が小さいことを気にしていた。

「ハチ先輩も、二人の胸に視線釘づけだよ…」

そんなナツを見て、アキホは後ろから
ナツの胸を揉みしだいた。

「ひゃあああああっ!」

「この間のお返しっ!ほら、ハルもやっちゃえ!」

「ラジャー!」

私は一緒になってナツの胸を触った。

「ちょっ…!じかに揉むのは反則っしょ!ちっ、乳首あたって…!ダメぇっ!」

「どーぉ?女の子に揉まれる感想は?」

「どうもこうもっ…あひぅあっ!?くすぐったいってばぁ!」

「もっとキモチイイこと、しちゃおうかなぁ…?」

「もっ…わかった!わかったからっ!って、いたたたた!痛ーい!」

「ハル、ナツのこと抑えててね」

痛がるナツをアキホに言われた通り私が抑え、
胸周りをぐいぐいマッサージするように押した。

アキホと私から解放されるとナツはその場に
へなへなとへたり込んだ。

No.144 14/08/21 01:38
ハル ( deZwBe )

「ナツ、ちょっと胸大きくなったでしょ?」

「へ?」

ナツは息を荒げながらアキホを見た。

「水着、来てごらん」

私もアキホの言う胸が大きくなったでしょうという
言葉の意味がイマイチよくわからなかった。

言われたまま、ナツが水着を着た。
すると…

「うそっ!ちょっと大きくなってる!なんで!?」

「胸が大きくなるマッサージしたの。この間、TVでやってたんだよ。見てたら結構効果ありそうだったからさ」

「へぇー!すごいねっ」

「見よう見まねだけどね。ぼいーんにはしてあげられないけどさ、ナツ、もっと自信持ちなって!せっかくスレンダーないいカラダしてるんだからさ」

「…うん、ありがと」

ナツは少し照れくさそうに笑った。

「さ、先輩達待ってるから早く着替えて行こ!」

私達は着替えて更衣室の外に出た。

「おおっ!良い眺めですな~」

兜先輩は隠す気もなく、スケベ全開だった。
いっそ清々しい気もするが。
私達を上から下まで舐めるように見た。

「この、スケベゴリラ!」

アキホは兜先輩の背中を思いっきり平手でひっぱたいた。
乾いた音とともに、若い男の悲鳴が海に響いた。

「ハルちゃん、可愛いね。水着似合ってるよ」

「そうですか?ビキニなんて、初めて着たんで恥ずかしくて…」

私は自分の体を見られるのも恥ずかしいし、
たくましく引き締まった蛍先輩の体も直視できず、
もじもじしてしまう。

蛍先輩とは何度もエッチして
裸だって見られているのに…

どうしよう、すっごいドキドキしてる…
先輩のこと、見れないよ…

私がもじもじしていると、蛍先輩が
ふいに近づいてきて、

「水着ってさ、エッチしてるときの裸とはまた違うエロさとか、色っぽさがあるよね。俺、こんなに可愛いハルちゃん見てたら我慢できないかもよ?」

ぼそぼそと耳元でささやいた。

夏の暑さのせいか、先輩の言葉のせいか、クラクラしてしまう。

No.145 14/08/21 11:18
ハル ( deZwBe )

隣では、ナツとハチ先輩が会話している。

ナツ、本当に女の子の顔してる。
可愛いなあ…。

何話してるんだろう。
二人の会話にそっと耳を傾ける。

「なっちゃん、水着かわいいよ~。ちょっとセクシーで色っぽいねぇ」

「そ、そうですかっ?ありがとうございます」

「うん。やっぱりなっちゃんは青とか、寒色系がすごくよく似合うねぇ」

「可愛い色とか似合わないしキャラじゃないんでっ…」

「そう~?可愛いのもいいと思うけどなぁ」

「や、でもほんと似合わないんですよー」

「じゃあさ、今度俺とデートするとき可愛い恰好してきて。俺、そうゆうなっちゃんも見たいなぁ」

「えっ!か、可愛い恰好…ですか?」

「うん」

「ど、努力しましゅ…」

「ぷっ…!いま噛んだでしょ~?」

「うぁっ、いや、あのっ…てんぱっちゃってっ…」

「ふふ、可愛いな~なっちゃんは。なに緊張してるの?」

「…水着、恥ずかしくって…」

「ああ、なるほどね~。大丈夫だよ、なっちゃんスタイルいいんだから」

「でも、あの、ほらっ…む、胸が…ない、し…」

「胸?ああ~、女の子は悩みいっぱいで大変だよねぇ。小さいの、嫌なの?」

「…はい。やっぱり男の人はおっきいの好きですよね…」

「男の人、かぁ。確かにそうゆう奴多いけど…俺は気にしないけどなぁ」

「えっ?」

「それにさ、大きくしたいんなら、俺が手伝ってあげるよ」

「なななななななっ…!」

「あははっ!真っ赤になっちゃって、カワイイ~」

…バカップルの会話にしか聞こえないなぁ。
ハチ先輩って意外と大胆なんだなぁ…。

「ハチってちょっとヌケてるとこあるっていうかさ、天然なんだよな。まあ、なっちゃんとは相性いいんじゃないかな?」

隣にいた蛍先輩が言う。

…二人の会話聞いてるの、バレてたんだ。
蛍先輩には、ほんとに何でもわかっちゃうなぁ。

それにしても、ハチ先輩の話し方って、ユルいなぁ…。

No.146 16/12/22 15:48
匿名さん146 

お邪魔します(*^_^*)

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