黒百合女学院中等部 恋の時間割
No.101 19/03/02 18:30
あかいあおい ( 37 ♀ sq6JBe )
あ+あ-
《想い人はバレンタインが大嫌い?の時間》
♪キーンコーンカーンコーン♪
「やったあ!ギリギリセーフ!」
そう叫びチャイム寸前に黒川学園高校の玄関に飛び込んだのは、ここの生徒の真鍋瞬だ。
慌てて下駄箱を開けると、何やら物体がたくさんたくさんこぼれ落ちて、廊下に音を響かせる。
ため息をつきながら
「そうか、今日は俺の誕生日だった。またバレンタインか。」
そう呟きながら、廊下に落ちた何物かの山を拾い始める真鍋。
職員室から出て来た女性担任と目が合う。彼女は彼にコンビニ袋を渡しながら
「真鍋くん、慌てなくていいから、ゆっくりクラスに来なさいね。でも毎年たいへんね、このプレイボーイさん」
「先生っ!からかうのはやめてくださいっ!。こっちは全くうれしくないんですからっ!」
そう、下駄箱からこぼれ落ちた山はチョコレートの山なのだ。
もはや毎年の風景。
ここ黒川学園高校は幼稚部から大学部まで男子校なのに、なぜ彼の下駄箱にバレンタインの今日、チョコレートの山が入っていたか?。
それは・・・
近所に彼の彼女の赤井緑の通う、昔は系列だった、幼稚部から高等部まで女子校の黒百合女学院の山手校があり
車ですぐの場所には同じく女子校の大学部と専門校がある黒百合女学院中央校があり
さらに近隣には市立の女子高まであるからだ。
おまけに彼は宇宙人顔だが整ったハンサムボーイで、しかも学力優秀でスポーツ万能、空手や拳法の市大会で優勝を重ねており
さらにユーモアたっぷりで会話が面白く、優しく真面目。
トドメにこの街の誰もが知るお嬢様の赤井緑の遠戚、すなわち、お金持ちとくれば、近くの学校の女の子が彼を放置するわけがないのである。
彼の欠点は優柔不断と小柄なこと、そして甘いものが大嫌いで女の子とは食の好みが合いにくいことくらいだ。
そんな彼の悲劇はバレンタイン生まれなことだ。
「俺、今日は生きてお家に帰られるのか?」
彼の通う黒川学園高校は男子校ゆえの学友の妬み怒りが怖い意味と
毎年バレンタインは下校時間に、女の子の群れが彼を待ち伏せ、無理矢理にでもチョコレートを食べさせようとする意味で
二重の恐怖なのだ。
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