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2016/06/29 20:33(更新日時)


どこかに、痛みを感じない愛なんてあるの?




14/09/20 19:38 追記

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No.2139945 (スレ作成日時)

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No.51


「シャンプー代の無駄よ」

ママはそういうと、私の髪をハサミで切る。

No.52


「ママにだって、自由はあって当然よ!解った?二度と逆らわないことね」

ママはそういうと、カバンを持って部屋を出て行った。

No.53


ヒールで階段を降りる音が響く。

私は、ママに切られた髪を集めてゴミ箱に入れていた。

No.54


《せっかくもうすぐポニーテール出来そうだったのにな》

No.55


「ドンドンドン」

扉が叩かれる。

No.56


《大家さんだ》

扉の叩き方ですぐに解った。

No.57


私は慌てて、ママの鏡台の前で髪を結ぼうとしたけどあっちこっち長さが足りずに無理で、目の前にあったカチューシャをして、扉を開けた。

No.58


「また、かぁーちゃんと喧嘩したのか?」

そういうと、勝手に部屋に上がりこむ。

No.59


60歳は過ぎてるだろうけど年齢を聞いたことはなかった。

「夕飯食ったのか?」

No.60


「いいえ、まだです」

私が答えると

「じゃ、おいで」

そういうとぐぃっと私の腕を引っ張った。

No.61


大家さんの部屋に連れて行かれて、ちゃぶ台の席に座らされる。

次第にいい匂いがしてくる。

No.62


(今日は、何の煮物だろう)

大家さんは、いつも喧嘩の後にママが出て行くと現れて食事をご馳走してくれていた。

No.63


温かいご飯

こいもといかの煮物

ほうれん草のごまよごし

きんぴらゴボウ

大家さんの漬けた漬物


No.64


「おかわりあるからね」

そういうと、テレビのリモコンを渡してくれる。

No.65


私は、普段見れない学校で話題のバラエティー番組をつけさせてもらう。

「これ見てもいいですか?」

「何でも好きなのでいいよ」

No.66


大家さんは、ぶっきらぼうだけど、いつも優しい。

私とママの喧嘩についてもあれこれ聞いてきたりもしない。

No.67


ご飯のおかわりをいただいてお漬物をパリパリ音をさせながら食べる。

テレビからは、楽しそうな声が聞こえている。

(幸せだな…)

しみじみとそう思った。

No.68


「食べるかい?」

冷凍庫から、アイスを出してくれた。

「ありがとうございます」

No.69


カップのまわりに霜が沢山ついている。

いつ、私が来ても食べれるように用意してくれている証拠。

大家さんはそんな事は言わないし、私も言わない。

No.70


食べ終わった頃、時計を見ると、もうすぐ22時になりそうになっていた。

「遅くまで、すいません」

No.71


私は、慌てて食器を流しに持って行き洗おうとすると、

「早よ帰って宿題しな、片付けはいいから」

No.72


そういうと、しっしと手で私を追い立てる。

優しい言葉が苦手な大家さんの照れ隠し。

No.73


「ご馳走さまでした、おやすみなさい」

「おやすみ」

私は、部屋に戻り掃除をした。

No.74


鏡台の前に座り髪を整えてみる。

(右側、切ってみようかな)

No.75


裁縫用のハサミを使い、合わせ鏡をして後ろの方も出来る範囲で切り揃える。

「もうすぐ、ポニーテールだったのにな…」

独り言がもれた。

No.76


宿題をしようとノートを広げてみたけれど、やる気になれない。

(…散歩に行くかな……)

No.77


夜風にあたると、心地よい。

(誰も知らない場所に行きたいな…早く大人になりたい)

No.78


人通りの多い道を過ぎたあたりで、

「ねぇ、ちょっと」

No.79


パッと見て気持ち悪い感じの男に声を掛けれた。

私は、無言で足を早めて離れる。

No.80


「ちょっと待ってよ」

男も足を早める。

No.81


「逃げなくてもいいのに」

そういうと、私の肩に手を置く。

「やめて下さい」

No.82


その気持ち悪い手を振り払おうとしたけれど、男の力に叶わない。

「写真とらしてよ、可愛くとってあげるから」

No.83


男の気持ち悪い手から逃れたくて、激しくもがく。

「ちょっと、写真とるだけだから、ねっねっ」

臭い息遣いがたまらなく嫌だ。

No.84


「まき!」

男の後ろから、名前を呼ぶ声がした。

No.85


「早川君!」

同じクラスの男の子。

「おっさん、警察呼ぶよ」

No.86


「なっなんだよ…ふん」

男は、未練がましい目で私を見ながら、立ち去って行った。

No.87


「乗れよ」

早川君が、自転車の後ろに乗るように促す。

「ありがとう、歩いて帰るから」

No.88


「1人だと危ないぞ、乗れよ」

ぐいっと腕を捕まれた。

No.89


「…わかった」

私は、諦めて自転車の後ろに乗る。

No.90


早川君は、学校内でも有名な子だった。

勉強もそこそこ出来て、スポーツ万能で、所謂スター的存在。

No.91


「お前の家、高台の方だよな」

私を乗せて重くなったので少し息があがっている。

No.92


「重いでしょ?降りるよ」

坂道に差し掛かり声をかけると、

「ばか、大丈夫だよ」

No.93


たちこぎをして、一気に坂を上がりきってしまった。

No.94


(肩幅から背中がまだ子供だな…)

ふと、今迄見てきた大人達と比べてしまって、慌てて頭を振った。

No.95


アパートの近くで自転車を降りて、

「ありがとう、もうすぐそこだから」

No.96


早川君は、急に自転車を降りられて、少しよろめいている。

「びっくりした!…なぁ、喉渇いたからお茶いっぱい飲ませてよ」

No.97


私は、断るわけにもいかず部屋に通した。

「親は?」

No.98


早川君が、部屋に誰もいないのか確かめるように聞く。

「あぁ、ママはちょっと出かけてるの」

No.99


私は、お茶を渡すと少し離れた場所に座った。

(何か嫌だな…)

No.100


まだ子供だけど、早川君から男のにおいがする気がして、早く帰って欲しかった。

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