黒百合女学院中等部 恋の時間割

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あかいあおい( 36 ♀ sq6JBe )
2020/01/11 03:11(更新日時)

ここは古くから在る街の山手地区。大通り奥の細道に入れば、昔からの武家屋敷や豪商の町屋が今なお残っている街。

そんな街に物語の舞台、黒百合女学院の大学を除く幼初等部・中高等部の集まる、黒百合女学院山手校はあった。無論、ここはお嬢様学校であり、女子校である。

その黒百合女学院山手校の正門がある大通りは、裏手の大規模団地を降りきった、この山手地区の繁華街でもある。

そんな通りに面した半地下の喫茶から通りを見ると、一人の幼女が歩いている。

18/07/20 16:12 追記
 
主人公は物語開始時まだ小学生です。初恋の人に幼稚園時代に出会い、中学時代に再会し・・・と主人公や主要登場人物の幼稚園時代や大学生時代に話を飛ばしながら物語は進みます。

二つに分けて書いていたのを、一つにまとめた物語にしたほうがいいかな?と思ったもので。再構成しつつ書き損じを訂正しながら書き加えていくものです。



18/07/23 17:43 追記
 
この物語はわたしが小学生時代から書いていた日記や記憶、同級生らとの思い出話による、ほぼ実話です。もちろん個人特定されないようにしていますが。

物語は「初等部篇の恋のエスケープの時間」から始まっています。

わたくし、普段はミクルにしかいないんですが、大人ミクルに入り浸りしているであろう、我がエロ姉氏と違い、文才も画才もありませんので、クレームは受け付けません。

No.2679596 2018/07/20 07:34(スレ作成日時)

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No.1 2018/07/20 07:52
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

一人の幼女が歩いている。

いや、彼女は本当に幼女なのか?。確かに幼女にしては背が高い。でも少女にしては体がちっちゃい。そして少女にしては顔が幼すぎる。顔だけ見たら幼稚園児か小学校低学年である。



彼女がこちらに近づくにつれて、距離は近くなる。この距離ならわかる。彼女はこの街のお嬢様のひとり、黒百合女学院の功績者の赤井菊女史の曾孫の、黒百合女学院初等部六年生の赤井あおいだ。



おや、彼女がふらついている。マスク姿からして風邪で高熱でもあるのだろうか?



そこにお巡りさんの声が響き渡る

「そこの小学生、いい加減に止まりなさい!」

「いや、あおいさん、お止まりください!」


そう叫んでいるのは四年前までは、この少女、あおいの祖父の赤井慎太郎の道場生かつ塾生だった田中巡査部長だ。



彼女の身に起きてしまった悲劇、いや喜劇とはいったい何なのだろう?。それがこれから始まる物語である。

No.2 2018/07/20 13:51
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 1 話は前日の朝に遡る。



「おはよー!」

元気良く六年一組の戸を開けるあおいに幼稚部時代から彼女と仲良しのゆかりが

「おはよう!」

と答える。

「あれ?カネコは?。 ゆかりぃ、朝はいつも一緒でしょ?」

と聞くあおいにゆかりは

「カネちゃん、風邪で休むんだって」

「あー、わたしも風邪かなぁ?。熱っぽいし少しお腹痛いし。つか、すでに下ってるし。」

そんなあおいに

「えっ? あおちゃんの場合はいつもいつもの食べ過ぎじゃないのぉ?」

と、冷静なのはゆかり。

「こいつぅ、人が苦しんでるのに!」

あおいはゆかりに飛びつき、ゆかりの腋をくすぐる。

「ごめんなさいと言えー!」




日常の朝の風景にチャイムが鳴り、教室の戸が開き、先生がはいって来る。イケメンではない。はっきり言えば残念な顔だが、しかし彼は初等部では一位二位を争う女子児童に人気の若手男性教師だ。


級長のカネコが休んでいるので、副級長のあおいが叫ぶ

「起立!」 

「礼!」

クラスの女の子皆があいさつする

「先生、おはようございます。今日も宜しくお願いします!」

担任の待った先生が皆に応えてあいさつする

「おはよう!今日も頑張ろうな!。皆さん着席!」

No.3 2018/07/20 15:53
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 2 クラスの出欠を取った待った先生

いや、彼には松田という名前があるのだが、昨年五年一組つまり今のこの六年一組の担任になったとき、軽い気持ちで将棋というものがあるのを生徒に教えようとして

あおいと将棋を指したのだが、あおいに

「待った!」

を連発してしまい、さらに負けてしまって今や

「待った先生」

と呼ばれている彼が厳しい口を開いた。






「昨日の放課後、用務員さんが蛍光灯を変えるのに皆の机を動かしたら、見えてはならない物たちを発見してしまったそうだ。誰と誰の物から言わないが・・・」

と話をしている最中に

班ごとに机をくっつけている教室の、あおいと同じ班で隣の席のゆかりが慌てて自分の机の中を覗く。そして 

そして、くずおれるかのようにゆかりは

「わたし、終わった。」

「さようなら、わたしの初恋」

と、つぶやきながら机に突っ伏した。



いや、初恋が終わったほど深刻か?は別にして

「わたし、終わった」状態で固まってるのはゆかりだけではなく、これもあおいと同じ班であおいの正面の美佐も、隣の班のみずきもそうらしい。

????状態のわけがわからないあおいは机の下で美佐とゆかりの足を

「え? 何? 何がどうなってるの?」

と言いたげに突っつく。


正面の美佐があおいに小さな声で知らせる。

「ゆかりちゃんのあの本、見つかっちゃったみたい。わたしのも無くなってるもん。」



「なんであんな本を学校に置いとくのよ?」

と、あおい。



「持って帰られるわけがないでしょ!。ママに見つかったら叱られちゃう!」

「お兄ちゃんに見つかっちゃったら恥ずかしいじゃん!」

「持って帰ってどこに置けと?。うちはこども部屋ナイもん!」

あおいにハモるかのように同時にそれぞれの言葉を返す、美佐とゆかりにみずきである。

No.4 2018/07/20 17:31
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 3 話はさらに三ヶ月遡る。

デートしている二人。別にイチャイチャしてるわけではないが親密そうで仲良さそうだ。

二人はあおいの九つ上の姉の黒百合女学院大学の緑と、その婚約者で緑とは遠戚の、あおいとは一回り年上の現在は県外の塾講師の真鍋瞬だ。

そんな二人を羨ましそうに、しかし何かを疑い見つめる二つの赤いランドセルがあった。あおいの同級生の高田ゆかりと立花美佐だ。






このあおいの姉の緑は、先週は違う男とここで仲良さげに話し込んでいた。その前日はまた違う男と。

実は美佐もゆかりも、あおいが姉の婚約者の真鍋瞬に片思いしてるのを知っている。それで緑が違う男と会っていたのをあおいに知らせるべきか迷っているのだが、今日は緑が真鍋とデートしてるので、それに遭遇してしまった二人は 


男女のことに興味もありで、ついつい様子を伺っている。

そんな二人だが、消極的な性格のゆかりが耐え切れずにデートしている緑と真鍋に遠慮するかのように

「もういいでしょー早く帰ろうよぉ!」

とでも言いたげに美佐の袖を引っ張るのだが、極めて積極的な美佐は自分も緑とは遠戚でもあるしで、思いきって

「緑お姉ちゃん、こんにちは!」

「立花の美佐です!お久しぶりです!」

と、話しかけてしまった。仕方なくゆかりも

「緑先輩、こんにちは」

と挨拶する。





美佐と会うのは何年ぶりかの久しぶりで、顔を忘れていた緑。人違いされてるの?と一瞬思ったものの、名前を聞いて思い出したのと毎日のようにあおいと遊びにおうちに来てるゆかりが一緒だしで

「こんにちは。きちんと挨拶できて偉いわね。」

と微笑んでみる。しかし積極的な性格の美佐は核心を探ろうとする。

「いいなぁ、緑お姉ちゃんには彼氏がいて。」

「どうしたら幼稚部から大学部まで女子校の黒百合で出逢えるんですか?。わたしも彼氏欲しいです。」

と、聞いてきた。しかもすぐに核心に触れる。



「わたし、先週もここであおいちゃんと待ち合わせしてたんですけどぉ、緑お姉ちゃん、いらしてましたよね?」

「あのお兄さん、格好良かったなぁ!わたしのタイプなんです」

と、まるでナイショ話するかのように、緑の耳元にささやいてくる。



まるで自分の浮気を疑っているかのような美佐の質問に驚きを隠せない緑


No.5 2018/07/20 19:19
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 4 まるで自分が浮気をしていたかのように聞く美佐の質問に、驚きを隠せない緑。



この緑は実は同人とハンサムハンターが趣味なのだ。今の時代ならイケメンハンターとでも言うべきか。

それはさておき、繁華街など若者のたむろする場所を歩き回り、ナンパされてはいいところの寸前でタイミング見ては振るを繰り返す緑は、浮気を疑われる身の覚えは山ほどにあるのだが

今回の美佐にかけられた浮気疑惑には全く身に覚えはなく、しかし、ハンサムハンターは愛しの婚約者にはヒミツにしており、しかも目の前に愛しの真鍋がいるしで、怪しさ満載に目が泳いでしまう。

実はこのハンサムハンターも、別にプレゼントを貢がせたり、あんなことやこんなことな大人な関係してるわけもなく、ワケあってのことだが、そのワケは学校側に知られてはならない、同人のネタ探しなワケで、余計に目が泳いでしまう。黒百合女学院はエロ方面には厳しい学校だから。

それに、わたしエロ同人してますなんて、遠戚の美佐にすら、女の子の口からは言いがたい。

この事態、美佐やゆかりが学校側に喋りでもしたら、自分の学生生活が「終わってしまう」状態になりかねない緑の危機なのだ。

言葉を探すものの、適切なる言いわけが出てこない緑。



時間を持て余しゆかりが美佐に

「ねえねえ、さっきのナイショ話、何を聞いたの?」

「まさか先週と先々週の緑先輩のデート?」

と聞きはじめた途中で真鍋が助け船を出す。

いや、普通の女の子ならば自らの恥ずかしい趣味を自分の口からではなく、他人の口からカミングアウトされてしまう恥ずかしい状態で、
決して助け船になってないと思われたりするかもだが、今の緑にはやはり助け船だ。


「こいつ、緑は大学では漫画部なんだよね。恋愛漫画研究部。とは名ばかりで実態は同人エロ漫画だけどね。」

「先週と先々週にこいつと会ってたのは俺の後輩。知ってるだろ?黒百合女学院とは系列だった黒川学院大学の漫画部。」

「で、作画の分担の打ち合わせしていたわけなんだよ」

「俺も後輩会いたさとこいつとのデートに遅れて来てたしね」



でも、真鍋に片想いしているあおいと仲良しの美佐は、またまだ納得していないようだ。緑が真鍋という婚約者がいながら、妹のあおいから真鍋を奪っていながら誰かと浮気していると、まだ思い込んでいる疑惑の眼差しは変わっていない。

No.6 2018/07/20 20:42
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 5 緑は浮気してないと、その彼氏の真鍋が助け船出しても、緑を見つめる美佐の眼差しは変わらない。

無理もない。あおいやゆかり、そして自分のパパママから聞く緑のイメージは優しい優等生の緑お姉ちゃんで、そもそも黒百女学院は地元名門お嬢様学校の狭き門で、しかも学校は不純なるエロ方面には極めて厳しい。

緑とエロ同人がどうしても結び付かない。



自分を浮気したかのような責める眼差しを変えない美佐にため息した緑は

「仕方ないわね。二人ともそこに座って」

と美佐とゆかりに言うや、カバンから小さめなスケッチブックを取り出しペンを走らせると、驚くべき短時間に二枚の絵が出来上がる。その絵を二人に渡しながら

「はい、こっちは二人の簡単なスケッチ」

「こっちは二人をキャラ化して、ソフトな百合漫画風に書いてみました。」

「これでわたしが浮気してたんじゃなく、部活の作画の打ち合わせで黒川学院大学の漫画部の人とここにいたのを信じてくれるかな?」

と、言いながら足元の紙袋から製本されたばかりの本を出す。

「あとね、これはわたしら黒百合女学院大学漫画部と黒川学院大学漫画部の合作ね。美佐ちゃんとゆかりちゃんはまだまだ初等部だから中身は見せてあげられないけどね。」

「で、わたしの彼氏はこの瞬ちゃん(真鍋)だけ。ややこしくなるからあおいには変なこと吹き込まないでよ。」

「あおいは今もこの瞬ちゃんを追いかけてるんだから」



緑に描いて貰った絵と緑の同人誌の表紙を見て

「すっごぉい!緑先輩は絵も上手かったんですね!」

と、驚く美佐とゆかり。



誤解は解け、最近の初等部の恋愛事情をネタに得ようとする緑と初等部の美佐にゆかり、来年度から黒百合女学院高等部に就職の決まっている真鍋は缶ジュースを飲みながら仲良く話してると

近くの会社から終業を知らせるチャイムが鳴る。あなたたちも早く帰るのよと、真鍋の車で緑と真鍋はデートに向かったものの

公園の椅子に座る美佐とゆかりは、さっきまで緑が座っていた椅子の足元に同人の入った紙袋が忘れ去られているのに気づいて

「これ、どうすんの?」

と聞く美佐にゆかりは

「明日学校であおいちゃんに渡して、あおいちゃんから緑先輩に返して貰おうよ」

No.7 2018/07/20 22:28
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 6 場所は変わり、ここはあおいの家。昔からある武家屋敷だ。市内ではかなり広い部類のおうちだ。そして時間的にこの日は、この物語の冒頭であおいの同級生の高田ゆかりが

「さようなら、わたしの初恋」

と机に突っ伏した日の前日だ。





この日は日曜日なのに遊びに出かけずに、珍しくもテスト勉強しているあおい。

頭の中身がエロ同人だけの姉の緑のようにはなりたくない一心で、エスカレーターで行ける黒百合女学院中等部ではなく、共学の地元国立大学の附属中を目指す気になり、風邪気味にも関わらず苦手教科に取り組んでいる。

別にあおいは科目の苦手得意で成績が変わるのではなく、実は記憶力の抜群のあおいは全く勉強しなくても、その気になりさえすればいつでも百点満点を連発するのだが

あおいには致命的な欠点が。

超気分屋の超気まぐれなため、その日の気分で成績が乱高下。ロケット打ち上げの如くに百点満点連発記録を作り成績急上昇させたかと思えば、次の週にはスカイダイビングしたかのように学年最下位を記録するかのような成績急降下。

それでクラス上位三分の一の成績に甘んじているのである。このころのあおいはまだ自分の致命的な欠点、自分は気まぐれ気分屋とは全く気付いていない。ゆえに勉強より座禅でもしたほうが成績のためなのだが。



とにかく、この日は翌日あるであろう抜き打ちテストの予感に珍しくも机に向かっているのだが

あおいが珍しくも机に向かって勉強してるのだが






襖向こうの緑の部屋からは、イヤぁんバカぁん的なエロへの誘惑の音声が駄々漏れで。部屋の主の緑が婚約者の真鍋と愛を確かめているのではなく、同人ネタ探しに緑がエロビデオを見ているのだが。






たまらずに

「お姉ちゃん、わたし勉強してるんだからね!」

「小学生にエロビデオ聞かせていいとでも思ってんの!💢」

「わたし、お姉ちゃんみたいなエロ馬鹿女になりたくないんだから!💢💢」

と怒鳴るあおい。襖を開けて飲み終わったコーラの缶を緑にぶつける。すると



「諦めなっ!」

「わたしの妹に生まれた不運を素直に受け入れなさい!」

と言い返す緑がいた。



No.8 2018/07/21 13:13
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 7 草木も眠る丑三つ時。

「出たぁー!」

ではなく、前日の快晴ゆえに冷えた深夜というべきか早朝というべきかの時間、勢い余って徹夜勉強していたのだが、いつの間にか机に突っ伏して眠ってしまったあおい。

「出たぁ!テスト勉強のヤマカン的中!」の場面で、「これは夢に違いない!」と、目覚めたあおい。なんだか寒気がする。姉の緑が毛布をかけてくれてはいたのだが・・・。



あおいはキッチンでひとりミルクを温める。そのうちにクシャミが出始め、やがてくしゃみの間隔も狭まり鼻水も止まらない。お腹も冷えたみたいで、慌ててトイレに駆け込む。

こうなるんだったら風呂上がりに素直に寝るんだった。そう思いながら、猫舌のくせに温めすぎたミルクをちびちびと飲むあおい。

時計を見ると、まだ朝3時。あと3時間はお布団の中で暖まれるわねと、部屋に戻り布団に潜りこむ。

No.9 2018/07/21 13:55
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 8 そして話は学校に隠していたエロ同人が担任の待った先生に見つかってしまい、ゆかりが

「さようなら、わたしの初恋」

と、くずおれるかのように。机に突っ伏して固まってしまったシーンに戻る。



くしゃみと鼻水、お腹の不調に今日は学校休もうと思ったのだが、せっかく勉強したのにテスト休むなんて考えられない!と、気を取り直して登校した。が、しかし

同じクラスの立花美佐・諏訪野みずき、そして待った先生が好きな高田ゆかりが机に隠していた同人誌、姉の緑が忘れて行ったのを、ゆかりと美佐があおい経由で緑に返そうと学校に持ってきた。

それをみずきが見つけ、開いてみようってことになり、そこにあおいも混ざって読んでいるうちにクラスの皆が集まってしまった。

そして、副級長のあおいが級長のカネコと待った先生に呼ばれているうちに、美佐とゆかりとみずきが机の中に隠しておくことになり、それがこともあろうに、ゆかりの大好きな初恋の人の待った先生に見つかってしまったのだ。



この待った先生、あおいの想い人の真鍋とは大学時代の先輩と後輩の仲。実はあおいは、初恋の真鍋を姉の緑に奪われたあとも、密かに想い続けていて、緑の目を盗んでは真鍋に「お兄ちゃん」と纏わり付くうちに、真鍋と待った先生は今や親友の関係と知っている。

男女のことには厳しい黒百合女学院である。こともあろうに、黒百合女学院の大学生しかも教育学部の緑が、後輩の初等部に同人誌、それもエロ同人誌をくれてやったことになってしまったら、それにまだ初等部なのにそれを読んでいたあおいゆえ。

姉の緑のせいで、楽しい黒百合女学院での小学生生活が終わってしまうかもな危機だと気付くあおい。それだけではない 

自分も混ざってエロ同人を読んでいた。なんてことは、待った先生がクラスの皆の優しいお兄ちゃん先生でも、なにかの世間話の弾みででも、待った先生から真鍋に知らされては、恥ずかしくて困ってしまうあおいなのだ。

No.10 2018/07/22 09:46
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 9 と、あおいが考えているうちに、待った先生の朝の会のお話は話題が変わっている。



真鍋先生はお話している。

「皆さん、先週の金曜日に近くの小学校では、不審者がトイレに侵入して逮捕されました。世の中には違う意味で、小さい子が大好きな変な大人たちもいます。」

「くれぐれも甘い言葉で誘われても、ついて行ってはいけません。必ず助けを呼んで逃げましょうね。」

「とくにそこの赤井!、お前、ついて行くなよ!」



考え事で上の空で話を聞き流していたあおいは、待った先生に名指しされてしまった。

「なんでロリコンについて行く女がわたしなのよっ!」

と、あおい。

「お前、去年の水泳大会も運動会も、水着にブルマ撮られまくりしてたよな!?」

「あんなのについて行くなよ!と言ってるんだ。それに水泳大会も運動会も、関係者以外立入禁止になったのは、お前ら三人組のせいなんだよ。」

「ああいう大人が危ないと教えてやってるんだ。」

と待った先生。



「え~っ!。待った先生、わたしら三人じゃなく、あおいちゃんだけ名指しするなんてぇ、あおいちゃん人気にぃ、ヤキモチですかぁ!」

すかさず美佐が茶々を入れる。あおいもふざけて

「待った先生もだったの?。先生は優しいから言ってくれたら撮らせてあげたのに。でも写真だけだよ、わたし好きな人いるもんっ!。」

「それにぃ、わたしぃ、先生みたいな意味じゃなくて、真鍋のお兄ちゃんみたいに真面目な意味でこども好きな人がいいもん。」

あおいの言葉が終わらぬうちに待った先生の雷が落ちた。

「俺は真面目な話をしてんた!ふざけるんじゃない!。それに俺はロリコンじゃねえ!ノーマルだ!」

待った先生に出席簿の角で頭を叩かれたあおいと美佐。

「痛ぁい!。なによ!童貞!」

思わず罵詈雑言がでるあおいと美佐。



「お前らだって処女だろが!逆セクハラしやがって!」

と言いたいのを堪え、待った先生は授業モードになる。

「話が長くなりましたので一時間目の授業に入ります。お手洗い行く人はすぐに戻ってくださいね。それでは国語の教科書を・・・」

No.11 2018/07/22 14:52
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 10 教室でブルマ姿にお着替え中のあおいたち六年一組と二組。一時間目の国語の授業が終わっての今は休憩中だ。



黒百合女学院初等部は女子校なので、特別に用意された更衣室など存在しない。さすがに水泳の時間だけは、男性の教師や事務員などの職員もいるのでプール更衣室でのお着替えになるのだが

そして今日は六年二組の女の子たちも六年一組でお着替えだ。これは学校外部からの覗きや侵入しての窃盗を学校側が警戒して、お着替えに使う教室は隣り合うクラス同士で日替わり交代でと決まっている。



その六年一組の教室前の廊下、休憩時間にタバコ吸うつもりで屋上に行く途中。ポケットをまさぐる待った先生、ポケットにない。教室にでも落としたか?と戻ってきた。



教室からはみずきが

「あおちゃん、そのベビードールかわいい!どこで買ったの?」

なんて、廊下まで聞こえる声を出している。

「ベビードール?赤ちゃんの人形か?」

「男っぽい赤井あおいにも女の子らしいかわいいトコあったんだ!」

と思い込み

「赤井~その人形見せてくれよ!」

と、勢いよく教室の戸を開けてしまった。いつもは例え急ぎでも女子校ゆえ、とくに体育前後は

「着替えたりしてるのいないよな!」

と声をかけるのだが。

案の定、戸の方向に振り向いた六年一組と二組が一斉に大きな悲鳴をあげる。中にはおっぱいを手で隠してしゃがみ込むのもいる。

「す、すまんっ!。わざとじゃない!事故だ!」

慌てて戸を閉める待った先生。

かわいそうに、あおいのいたずらにひっかかった待った先生、初等部だけでなく中高等部でも一位二位を争う女生徒に人気の待った先生、彼のファンクラブの小中学生、高校生はこの日に激減したのは言うまでもない。

No.12 2018/07/22 15:29
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 11 あおいたちは教室でブルマ姿に着替えている。

今日は一年生との合同自由体育だ。黒百合女学院初等部では、初等部六年生と一年生、初等部六年生と中等部三年生との合同自由体育がある。

昔これが始まったのは、学年を越えての交際力・交渉力・指導力を身につけさせるためなのだが、今や楽しいレクリエーションのお遊戯の時間と化している。



ともあれ、着替えながら四人娘にが話をしている。

「あの本、待った先生が没収して持ってるのかな?。まさか主任先生じゃないよね?。主任先生なら後で呼び出されて怒られちゃうよね?」

と心配してるのは美佐。

「わたしがあんな本を持ってたなんて、待った先生に知られて、さようなら、わたしの初恋」

と、待った先生に片想いしているゆかりは嘆いている。

あおいは・・・


さっきの朝の会で、同人誌を教室に隠していたのを、待った先生にチクリと指摘された四人娘。

実は今日風邪で休んでいる級長の桃井カネコを含めての、五人娘のあおい組なのだが、そのリーダー格のと言うより、喧嘩早さゆえに初等部リーダー格のあおいは、着替え中にとんでもないアイデアが浮かんだようで、

片想い相手の待った先生にとんでもない本を見つかってしまったと嘆くゆかりと、五人娘の美佐やみずきに、何事かをささやくと

「今日はカネコが休んでるから、自由体育、わたしが代わりをするね!」

と宣言して、いち早くグランドに駆け出す。

No.13 2018/07/22 16:06
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 12 着替えを済ませて校庭で先生たちを待つ、あおいたち六年一組二組と一年生一組二組の女の子たち。今日は六年生と一年生合同の自由体育だ。



「あっ!先生たち来たわよ」

と、あおいの肩をつついて知らせているのは美佐だ。立ち上がったあおいは、その小さすぎる体に似合わぬ大声で

「いいこと?。さっき話したように、今日の自由体育は隠れ鬼をしまぁす!」

「逃げ隠れる範囲は、幼稚部に中高等部を含めた、黒百合女学院山手校の全域でーす!」

「最初の鬼はぁ、先生たち四人だよっ!」

「みんなぁ!逃げろぉ!隠れろぉ!」

「隠れ鬼、始めーっ!」

と叫ぶあおい。



今日は級長の桃井カネコが休んでいる六年一組。均等にクラス編成したつもりが、なぜかイタズラ好きばかりが集まってしまった六年一組。

その中で唯一の良識派の級長の桃井カネコが休んでいる今日、副級長のあおいがもし、自由体育を乗っ取り仕切ってイタズラに使ってしまったら・・・と不安を感じていた六年一組と二組に一年一組と二組の先生たち。それでも今朝

「あおいは体調不良なので体育は休ませてくださいね」

と、あおいママからの電話で油断してしまった四人の先生たち。



「こらぁ!お前らふざけるな!」

「待てっ!逃げんな!」

「待ってえ!止まってえ!」

「準備運動まえに走るんじゃない!」

と、止めようと叫ぶも後の祭り、彼ら彼女らが静止する間すら与えず、蜂の子だか蜘蛛の子だかを散らかすように、あおいの号令で一斉に逃げ散らかる六年生と一年生。



盛大なる隠れ鬼ごっこが始まってしまった。

No.14 2018/07/22 17:46
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 13 自由体育であおいは叫ぶ

「隠れ鬼始めっ!。鬼は先生たち!。みんな逃げて隠れろ!」

油断した隙をあおいに突かれた待った先生たち四人の先生。一瞬、何が起きたか理解できずにいたものの、一早く待った先生はハッ!と気を取り直した。

そして「待てっ!」と、主犯のあおいを捕まえようと、走り出そうとするものの、いつの間に纏わりついたか、ゆかりが自分のジャージの裾を握りしめて放さない。

どうした?と思い、ゆかりの目の高さに合わせてしゃがむと

「松田先生、わたし、わたし、お腹が痛い!」

と、ゆかりが言い出した。



「えええー!こんな時に!」と、ますますパニックになる四人の先生たち。

「そうだ!保健委員の立花美佐、高田ゆかりさんを保健室に!」

と言おうとするも、ゆかりが追い打ちをかける。

「美佐ちゃん、あおいちゃんと逃げちゃいました!」

「じゃ、体育係の栗山ちはる、高田ゆかりさんを・・・」

「ちはるちゃんは保健室です」

と、ゆかり



時間が過ぎれば過ぎるほどに騒ぎは大きくなると考えた、六年二組の石原哲也先生が

「松田先生、先生が高田ゆかりを保健室に!。赤井あおいと皆は僕らで捕まえます!。あと職員室に報告を!」



「あーもう!」と仕方なく、ゆかりを保健室に連れて行くと決めた待った先生

「高田、歩けるか?」

と聞くと

「ダメえ、わたし歩けなーい」

「先生、おんぶして連れて行って!」




仕方なくゆかりをおんぶする待った先生。六年二組と一年一組二組の先生に後をお願いするしかなかった。ふと見ると、みずきも寒気がせると、保健室行きを希望している。



二人の気を紛らわせようと

「風邪が流行り出す時期かな?秋にしては今日は寒いよな。体調悪くなるのも無理ないよな。」

「赤井につられて逃げなかったお前たちは偉いぞ!いい子だぞ!」

とか甘いことを言っている。あおい組のこの二人も実はあおいの共犯なのに、それに気付かず疑いもしない、待った先生こと松田先生は人のよい先生である。

No.15 2018/07/23 12:23
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 14 「先生の背中って、大きくて温かくて気持ちいい」

保健室への渡り廊下で、自由体育の時間に腹痛を訴え、待った先生こと松田先生におんぶされたゆかりは、甘えきって先生の耳元にささやく。思わぬ女生徒の言葉に待った先生は聞こえないふりをしている。

この先生、幼稚園から大学まである黒百合女学院では、女生徒や女性職員の人気一位二位を争う男性教師なのに、年齢イコール彼女いない歴なのは、その天然な鈍さゆえ、彼女が出来るチャンスを自ら壊してきたのかも知れない。

「先生って、女の子の気持ちに鈍感ね!」

とでも言いたげに、

「ゆかりちゃんに気の利いたこと言いなさいよ!」

とでも言いたげに、みずきは待った先生のジャージの袖を引っ張ってウインクしている。






保健室のある本館校舎に入るころ

「先生、わたし寒すぎるから、先に教室に戻って制服に着替えます。」

「保健室は自分で行けるので、ゆかりちゃんを先に連れて行ってあげてください。わたし、着替えたら後で行きます。」

と、初等部高学年校舎の教室に帰って行った。

No.16 2018/07/23 13:11
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 15 「ねえ、松田先生」

と、ゆかりがおんぶしてくれている松田先生の肩越しに話している。

「さっきの朝の会のお話って、わたしたちの机に隠してた、あの本のことでしょ?。あれね、わたしのでも、美佐ちゃんやみずきちゃんや、もちろんあおいちゃんのでもないの」

「元を言えば、あおいちゃんのお姉ちゃんの、大学部の緑先輩のなの。」

「この前、美佐ちゃんと裏山の公園に行ったら、緑先輩が真鍋さんとデートしてて、挨拶したら緑先輩がわたしたちの絵を描いてくれて、それで話し込んでたら、緑先輩と真鍋さんが忘れて行っちゃった物なの。」

「それで、美佐ちゃんと話し合って、あおいちゃん経由で緑先輩に返すつもりで学校に持ってきたら、みずきちゃんがカバー開けて開いちゃって、何よこれ!な騒ぎになって、みんなが集まってしまって」

「いつの間にか、みんなで読もうよ!になって、わたし、話の途中でトイレ行って戻ったら、いつの間にか、みんなで隠そうってなっちゃってたの。」

「あおいちゃんも一緒に読むには読んだけど、あおいちゃん、委員会と先生のお手伝いに途中から行ってて、」

「だってエッチな本だから、それに開いちゃったし、皆の意見は割れて、隠して持っていることに。だって恥ずかしくて持って帰る勇気もみんな無くて。」

「だけど先週、やっぱり返そうって話で」

「松田先生はあおいちゃんの好きな人の真鍋さんの先輩なんだよね?。それ、わたし、あおいちゃんに聞いて知ってたから、先生から真鍋さん経由で緑先輩に返してもらおうって。」

「みんな、あおいちゃんには黙って持ってたから、あおいちゃんはわたしたちから緑先輩に返してると思い込んでるし、あおいちゃんにも渡しにくくて、緑先輩にも今さら返す勇気なくて、あおいちゃんも緑先輩も怒ったら怖いし、それで職員室に行ったの。」

「でも先生は男の人だから、こんなの読んでたなんて、みんな恥ずかしくて、結局、先生にも言えなくて。だからなの。校則違反してごめんなさい。わたしが悪いの。」
  

No.17 2018/07/23 14:12
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 16 保健室でゆかりは松田先生に全て打ち明ける。事の発端を。そしてさっきの自由体育での、隠れ鬼ごっこ集団エスケープも話し始める。

「それとね、さっきの隠れ鬼ごっこエスケープ作戦も、あおいちゃんは悪くないの。先生にあの本を見つかって、わたし恥ずかしくて落ち込んじゃったの。松田先生が好きだから。」

「あおいちゃん、わたしが先生を好きなの知ってるから、先生と二人っきりにしてくれるって。先生と話しておいで!って。」

「あおいちゃんが言うには、あの本はお姉ちゃんが原因なのに、もし初等部のみんなを校則違反で処罰なら、それはおかしい!って。」

「抜き打ちの持ち物検査なんて、黒百合はしたことないのに、いきなり没収はおかしいし、それは泥棒じゃん!って。わたしたちのいないときに持って行ったんだから!って。」

「初等部はあまりいないけど、中高等部には学校に要らない物を持ってくる人はたくさんいる!。中高等部を味方につけて、全員を共犯にして学校が誰も処罰できなくしてやる!って。」

「前例ない持ち物検査と没収なんて、自由と生徒自治の黒百合で、用務員さんや松田先生や初等部だけの独断で出来るわけがない!とまで言ってました。あおいちゃん頭いいから。」

「こんなこと出来ちゃうあおいちゃんは怒ったら怖いけど、普段は思いきり優しくて。あおいちゃんが騒ぎ起こしたのは、わたしが緑先輩の忘れ物を直に緑先輩に届けなかったからなの。」

「だから、あおいちゃんは悪くないんです。叱らないでください。悪いのはわたしなの。」

「わたし、先生が好きだけど、先生はこんな悪い子のわたしは嫌いだよね。」

事のあらましを思い詰めた顔で話すゆかりに、待った先生は時間をとって向き合うことにした。

No.18 2018/07/23 15:47
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 17 「わたし、パパがいないから、それで先生に憧れちゃったのかな?。わたし、わたし、先生が好きなの。でもわたしは悪い子だもん。」

「それに、わたしはまだこどもだから、先生はわたしに振り向いてくれないのも知ってるもん。」

「先生が好きだから特別扱いして欲しいとか、それは確かにあるけど、ちゃんと叱って欲しいの。わたし悪い子だから。」

との、ゆかりの言葉に待った先生は、今の六年一組、つまり去年五年一組の担任になったときに読んだ業務日誌を思い出した。



赤井あおい
幼稚部年長時に長姉が目前で交通事故死により一時失語。大学部の赤井緑は次姉。曾祖母の赤井菊は本学内部奨学制創設者。同級の立花美佐とは曾々祖父を共にする遠戚。幼稚部より内部入学。

諏訪野みずき
父子家庭。先天的形態異常治療ミスにより左耳を失聴。席順などに配慮を要する。外部入試入学。

高田ゆかり
初等部入学早々に父と兄が食中毒死。父性ある指導を継続し行う。母親、本学大学部首席卒業。系列校の柊幼稚舎より内部入学。

立花美佐
母子家庭。赤井あおいとは曾々祖父を共にする遠戚。母親、多忙かつ病弱により不在がち。母性と父性の両方を持った指導を母親は希望。本学幼稚部より内部入学。

桃井カネコ
母子家庭。父親の災害死で現在貧困世帯。初等部初の学内奨学生。配慮を要する。赤井あおいとは姉妹同然。赤井あおいの一時失語と外部入学生による桃井へのイジメにより、赤井家と赤井あおい、母親と本人の希望により、初等部卒業まで赤井あおいと同クラスとする。学力極めて優秀。本学幼稚部より内部入学。



赤井あおいも結構な部類のお嬢様だし、高田ゆかりも母子家庭とはいえ富裕層だ。立花美佐も。

いや、そんなことはどうでもいい。しかし担任になったときの疑問。

赤井あおいや高田ゆかりをはじめ、この五人組が他のお嬢様ぶっている生徒たちとは、なぜか自ら距離をとっていて、あまりつるまず、お高くとまってない理由。

赤井あおいや立花美佐と高田ゆかりが自分がお嬢様なのを隠し、むしろ庶民みたいに振る舞っていて、親しみやすく感じる理由。

また、それでもなぜか赤井あおいの言うことには、無茶苦茶なことでも、クラスの皆が従ってる理由が、今ごろになって、ようやく解った気がした待った先生だ。



自分のクラスを理解した待った先生はゆかりに語る。

No.19 2018/07/23 17:23
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 18 待った先生はゆかりに語る。

「高田よ、お前のしたことは、あまり良くない。いや、はっきり言うと悪いことだ。これは赤井も諏訪野も立花もだ。エスケープ作戦したり、忘れ物の本を本人に返さず勝手に読んだり、それにこどもが読んだらいけない本だっただろ?」

「それは授業妨害だし、拾得物横領だし、こどもが読んだらいけない本があるのは、犯罪からこどもを守るためだからだ。」

「でも、お前はいい子だ。もちろん、みんなもな。」

「だって、世の中には忘れ物や落とし物を自分の物にしちゃって、それを恥じず罪悪感も持たない人もたくさんいる。でも、お前らは返そうとしたし、恥ずかしいと思ってたし、罪の意識も持ってた。それに叱られるまえに、自分から謝った。」

「集団エスケープもそうだ。イタズラしても謝らないで知らんぷりする人もたくさんいる。でも、お前は自分から白状した。それに、そうなった理由もちゃんと説明したし、赤井の立場も言いぶんもちゃんと代弁できたし、ちゃんと弁護できた。」

「友達だからと、してはいけないことを庇うのは、時にそれは隠蔽という、もっと汚いことにつながるけれどな、お前は自分と友達の間違いをちゃんと報告できたし、ちゃんと代弁も弁護もした。」

「それはお前が素直で正直で優しくて強い証拠なんだよ。先生はそのお前の優しさが好きだよ。もちろん、赤井も諏訪野も立花もな。」

「で、お前は気持ちは大人に近づいてるけど、やっぱり世間ではまだこどもだから、でもな、お前が今話した通りのいい子でいて、もう少し大人になって、優しい女の人でいられたら、改めてもう一度好きと言ってくれよ。」

「どうせ先生は女の子の気持ちに鈍いからさ、多分まだ独身かも知れないぞ。それに、そのころは先生より素敵な王子様もお前を探してるかもだしな。」

「みんなもだが、お前が先生を好きなら優しい女に育ってくれよ。いいか、今からはお前は自分で自分を育てるんだ。先生とか親とかじゃない。そろそろ自分自身でな。」

「でも自分自身でどうにもならないときは、ちゃんと今みたいに相談するんだ。これはお前が大人になってもな。相談しに来てくれ。」

「お前が初等部卒業しても、お前は先生のいい子なんだからな。」

No.20 2018/07/23 17:35
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 19 これで

黒百合女学院中等部 
 恋の時間割

の初等部篇の、恋のエスケープの時間 
の前半が終わりました。 
次はこの後半から、
イクまでイケませんの時間につながります。

No.21 2018/07/23 19:43
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 20 『初等部篇 恋のエスケープの時間の後半』



「先生が好き」

高田ゆかりにそう言われてしまったからか、柄にもないことを言ってしまった!と、内心で照れながら保健室を出た待った先生。

すると、血相を変えた中等部一番の鬼教師の黒木良枝先生に捕まってしまった。

「中等部の廊下を走り抜け、何やら喚き散らして行ってるのは、松田先生、あなたのクラスの生徒ですよね!」

「新任先生でもないのに、生徒に脱走されたんですか?。市立じゃあるまいし学級崩壊ですか?。情けない!。」

「中等部はより良い学校目指して外部の高校に進学したい子もいるんです。それにほとんどが内部進学希望でも、成績上げて高等部で自分を有利にしたがるんです!。内部での高等部や大学部進学は枠がありますからね。」

「初等部とは違うんですよ!。皆に迷惑でしょうが!。さっさと中等部に行って捕まえて来なさいっ!」



「申し訳ありません!」

そう叫んで中等部に走って行く待った先生。

一方、その頃、六年生と一年生共同の自由体育で隠れ鬼ごっこ集団エスケープ騒ぎしたあおいたちは?と言うと。



美佐は六年一組と二組で分担して、中等部と高等部に斯々然々と伝えた後、皆を初等部六年の各教室に戻していた。

みずきは六年の他のクラスに斯々然々をして、その後、ちはると一年生をそれぞれの教室に戻していた。

ちはるは、みずきが一年生をそれぞれの教室に戻せるよう、一年生を呼び集めていた。と、言うより最初から一年生を班ごとに集まる場所を決めておいて、先生に見つからぬよう移動させていた。

先生たちがわたしらを必死に探してるのに、なぜかみんなが教室にいて、いい子で自習してるって、おちょくっていて楽しくない?の、あおいの発案のままに。



そして、黒百合女学院初等部リーダー格で、この隠れ鬼ごっこ集団エスケープの主犯のあおいは、この騒ぎでほぼ無人と化した初等部職員室の隣の用務員室にいた。

待った先生によれば、ゆかりとみずきに美佐の机の中からあの本を見つけたのは、用務員さんらしいからである。また、あの本が職員室全体の問題になり、教頭先生や主任先生の手にあの本が渡ったか?を確かめるには、職員室を無人にする必要があって、職員室を調べるつもりだった。

小学生の彼女なりの目には目である。勝手に没収したのだから、勝手に取り返してやる!だ。


No.22 2018/07/25 11:45
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 21 この騒ぎに無人と化した初等部職員室隣の用務員室に忍び込み、あの本を捜索しているあおい。待った先生によれば、美佐やゆかりたちの机の中からあの本をまず見つけたのは、用務員さんらしいからである。

でも、用務員室をいくら捜索しても、あの本は出て来ない。考えられる可能性は、

①用務員さんたちがお持ち帰りした。

②用務員さんたちが捨てたか誰かにあげるとかした。

③用務員さんの口からすでに公になり教頭先生や学年主任先生に知られ、教頭先生か主任先生の手中にある。

④待った先生が用務員さんから聞いてお持ち帰りした。

⑤待った先生の職員室の机とか更衣室のロッカーの中。

⑥待った先生の教室の机の中。


うーん・・・いちばんに可能性あるのは・・・と考えるあおい。用務員さんや教頭先生に主任先生たち、担任の待った先生の今までの言葉や行動とか性格を考えてみる。

あおいの頭に結論として思い浮かんだのは、

待った先生に今まで。さんざんにイタズラを仕出かしてきたあおいたち。

いくら待った先生を怒らせようとしても、いつもいつもイタズラを笑い飛ばしてくれて、たまにひど過ぎるイタズラして叱られても、あおいの両親や主任先生に言い付けたりしなかった待った先生だ。クラス内で起きたことはクラス外の人たちには関係ない!と、一貫した待った先生の態度だ。

ならば、あの本は、待った先生の教室の机の中にあるに違いない!と、結論を出したあおい。待った先生の性格ならば、職員室に持って行って、自ら騒ぎにするわけないからである。

それに、もしかしたら

もしかしたら・・・

あおいは先週の金曜日、本館購買室奥にある茶話室にコーヒーとちょっとしたお菓子を買いに来た黒百合女学院山手学長が、出くわした初等部校長と世間話ついでに話していた内容を思い出していたから。

No.23 2018/07/25 12:25
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 22 あおいは先週、黒百合女学院山手校学長と、その初等部校長が立ち話していたのを再び思い出していた。その立ち話は

「最近の黒百合女学院の女の子たちには、反骨精神や反抗期がないかのような、そんな大人しすぎる女の子ばかりで、お嬢様学校だから静かで良くても、ちゃんと自分の意思を貫ける大人になるかを考えたら、心配でもある」

だいたいこんな話だったし、その場に待った先生も黒木先生もいた。

姉の緑のエロ同人誌忘れ物事件は偶数でも、今日いきなりの、つか先週金曜日放課後の、生徒無人状態での抜き打ち持ち物検査したかのような

美佐やゆかりたちの机の中のアノ本を没収事件は、もしかしたら学長か校長が仕組んだ?

と、最初からあおいは疑っていたのだ。今まで持ち物検査なんかしたことない黒百合女学院である。持ち物検査したら校則違反の不要物持ち込みはいくらでも見つかる。

この学長、黒木先生をお気に入りにしている。その黒木良枝先生は中高等部時代は、学校側に反発ばかりして、デモまがいの騒ぎを散々に仕出かした伝説は、いまだに黒百合に残っている。そして校長と黒木良枝先生はかつては師弟関係だ・・・。

仕込みにわたしたち、ひっかかった?。と気付いたあおい。

それでもあおいは、アノ本が公になるまえに取り返したい。姉の処分を回避するためにも、仲良しの美佐やゆかりやみずきが自分を含めての処分を回避するためにも、自分の真鍋への恋路のためにも。

やっぱり一度教室に戻って、待った先生の机の中を調べるべきね。

そう呟くと、あおいは用務員室を出る。すると、自分を探しにきたゆかりと
鉢合わせした。 


No.24 2018/07/25 13:30
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 23 「待った先生が好き」と、待った先生に告げ、待った先生の優しさに触れたゆかり。あおいの仕出かした、隠れ鬼ごっこ集団エスケープ事件の共犯になった理由が

「待った先生が好きだから」

と、ゆかりから聞いた待った先生の

「お前が優しい女の人に成長して、まだ俺が好きだったら、改めてもう一度好きと言ってくれよ。先生は女の子の気持ちに鈍いからさ、ゆかりが大人になったとき、どうせまだ独身かも知れないぞ。」

との言葉に希望を繋いだのもあり、また、待った先生がかわいそうになり

「教室に戻ります!」

と保健室を出ると、ちょうど教室に戻ろうとしていあおいと鉢合わせした。



ゆかりはあおいに語る。

「ねぇ、あおちゃん、さっき待った先生ね、あおちゃんも美佐ちゃんもみずきちゃんも、優しいとこが先生は好きって言ってたよ。」

「あの本があおちゃんの緑お姉ちゃんのってのもあるけど、あおちゃんの好きな真鍋さんのこともあるけど、待った先生って、わたしたちのイタズラをいつも笑い飛ばしてくれて、事を大袈裟にするような先生じゃないよね。」

「あの本のこと遠回しで言ってくれたのは、返すからそっと取りに来なさいって意味じゃないの?。わたしたちがエッチな本ばかり読むような女の子じゃない!って、信じてくれているんだと思うの。」

「それとね、さっき中等部の黒木先生も、怒って来てたよ。」

「あおちゃんの考えは、生徒がいないときに抜き打ち持ち物検査して、生徒がいないときに没収なんて泥棒と同じだ!。それに黒百合女学院は自由と生徒自治の学校だから、先生が生徒に任せずに没収するのはおかしい。だから中等部と高等部を巻き込んで、誰も処罰できなくしてやる。でしょ?」

「もう中等部の黒木先生も動いてくれてるから、もう目的は果たしたよね。もう充分だから謝りに行こうよぉ」

「あおちゃんが歳の離れた真鍋さんを好きなように、わたしも待った先生が好きなの。待った先生がかわいそうだよ。それに待った先生はあおちゃんにも、緑お姉ちゃんにも、真鍋さんにも、きっと悪いようにはしない先生だよ。」

「ねえ、もうやめよう。」

No.25 2018/07/25 17:46
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 24 待った先生に片想いしてるゆかりや美佐たちと話し合ったあおいは、自宅に電話をかけている。

待った先生に素直に謝ることにしたのだが、問題は中等部一番の鬼教師の黒木先生が騒ぎに絡んでしまったことだ。

受話器の向こうで呼び出し音が長く繰り返された後、前夜の合コンの夜更かしから目覚めた、姉の緑が出た。

「お姉ちゃんあのね、今ね、わたし学校で大騒ぎ起こしちゃったの。原因はお姉ちゃんだからね。」

「お姉ちゃんが教育学部のくせに、初等部の美佐ちゃんたちにアノ本見せるから。アノ本ね、美佐ちゃんやゆかりちゃん達が持ってて、それを待った先生に見つかっちゃったからだからね。」

「それでお願いなんだけど、おじいちゃんかパパと初等部に来てちょうだい!急いで!」



あおいの

「黒木先生が絡んじゃったから」

この一言に一気に青ざめる緑。緑はあおいのような内部進学組ではない。公立中学から外部受験で高等部から黒百合女学院に入ったのだ。中等部からの内部進学組からは、黒木先生の恐ろしさを嫌というほど聞いていたし、初等部のあおいたちからも噂は聞いていても

初等部はそうでもないのだが、中等部と高等部は校舎共用部分が多くて、根がお転婆の緑は高等部にもかかわらず騒ぎをやらかしては、黒木先生に見つかっては、何度もこれでもかと雷を落とされていた。

自分と黒木先生をあおいに

「まるでトムとジェリーね」

と冷やかされて、確かに黒木先生とは時に気は合うのだが、怖い先生なのは間違いなく。大学部に内部進学して、やっと黒木先生から解放された!と思っていたのに、自分が描いたエロ同人誌のせいで

時にヒステリックで、中等部校長が相手でも持論は絶対に曲げない。大学部でも黒木先生に頭が上がらない先生や学生は多い。そんな黒木先生は、黒百合女学院理事長の娘。

と、なると、あおいたちだけではない。あおいに巻き込まれて我が身が処罰されている姿が嫌でも脳裏に浮かんでくる。

「ち、ちょ、ちょっと待ってなさい!おじいちゃん連れて行くから!」

そう叫ぶと、受話器を放り投げ、離れのおじいちゃんの部屋に慌てる緑だった。

No.26 2018/07/25 20:51
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 25 あおいが初等部から家にかけてきた電話で事のあらましを聞いた、あおいの九つ上の姉の緑。

「ちょっと待ってなさい。おじいちゃん連れてすぐ行くから!」

受話器を放り投げ

「おじいちゃん、あおいが大変!」

元を糾せば、自分のせいで妹のあおいが大変!となるはずだが、それは頭にない緑。でも、おじいちゃんに泣きつくしかないから、慌てておじいちゃんの部屋に飛んで行った。

わたしのおじいちゃんは黒百合女学院元理事。わたしのひいおばあちゃんには、たとえ黒百合女学院の総学長でも頭が上がらない。おじいちゃんはその息子。ひいおばあちゃんの御威光でおじいちゃんに、黒木先生が絡んで角々する話を丸くしてもらうしかない。

そう思う緑は昼寝中のおじいちゃんを揺り起こす。






赤井あおいとその姉の緑の祖父、赤井慎太郎が来校したことで、早急に意思を決めねばならなくなった黒百合女学院山手校は揺れていた。しかし、山手校の先生たちの色んな思いをよそに、放任放置主義の慎太郎は、あおいや緑を庇うような言葉は一言も発しなかったが。

今や、黒百合女学院山手校の意思がまとまらない原因は、中等部一番の鬼教師の黒木良枝先生にあった。

黒木先生は中等部での会議で、こんな騒ぎを仕出かした赤井あおいたち初等部六年生への、中等部への内部進学拒否を主張し続けたが、いくら何でも初等部の小学生にそれはやりすぎとされると、今度は初等部の会議に顔を出し、初等部での赤井あおいたちへの処分の必要性を説いていた。



No.27 2018/07/25 21:26
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 26 そして今、黒百合女学院の山手校学長室には、あおいの起こした騒ぎに巻き込まれた、中等部校長と黒木先生、初等部校長と待った先生たち六年生担任、当事者のあおいたち、その祖父の慎太郎と姉の緑がいた。

幸い、あおいが最も怖れた黒木一郎理事長は、こどものイタズラに阿保らしいと、さっさとゴルフか何かに行ってしまったらしい。あおいたちを処分すれば教師たちを指導力不足と処分せねばならなくなり、それは娘の黒木良枝先生を処分しなきゃならなくなる可能性を含むからだ。誰が自分の娘を好き好んで処分したいものか。



そんな中、関係者が集まった学長室で安部幸太郎学長が口を開く。

「黒木先生、どうしても赤井あおいくんを処分しなきゃ駄目かね。君も中等部学生時代は、結構な元気良すぎる生徒だったはずだが。」

黒木先生が言い返す

「学長、確かにわたしは騒ぎをやらかしてしまう生徒でした。しかし他校、つまり幼稚部や中等部さらに高等部、挙げ句の果てに大学部まで巻き込むような大騒動など、起こしたことは一度もありません。」

「赤井あおいは初等部に異議があるならば、初等部の問題として行動すべきで、幼稚部から大学部まで巻き込んだこの騒ぎは明白にやりすぎです。」

すると安部学長

「だがね、昔の君は中等部校長の娘と、周りが気を遣うのが嫌で本学に反発していたのではなかったかね?。それと反権力・反伝統で。だとすると、君は反伝統の改革者たる教師でなければならない。それが論理一貫性と言動一致と言うものだ。」

「ところがだよ、君の処分必要論を聞くと、伝統とか校風とか校則とか常識とかの、ありふれた保守的な教師の論でしかない。君は改革者なのかね?。それとも、君の生い立ちや学生時代の言動に矛盾する伝統派なのかね?。」

「それにだよ、この赤井あおいくんは本学の内部奨学制度創設者の赤井菊女史の曾孫で、その祖父慎太郎氏は本学元理事だ。先祖や父親の社会的立場で窮屈な思いをしていた、昔の君と似たような生い立ちではないか。」

さらに学長の言葉は続く。安部学長は黒木先生に問い質した。

「黒木先生、本学の生徒心得を述べてみたまえ。」

No.28 2018/07/25 21:54
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 27 さらに安部学長の言葉は続き、黒木先生に問い質した。

「黒木先生、本学の生徒心得を述べてみたまえ。」

黒木先生は流暢に応える。

「一、旗の下に群がる烏合の衆とはならず、自ら旗を掲げる者であれ」

「一、己が掲げた旗は無責任に降ろすぺからず」

「一、旗を掲げた者は自らその先頭たるべし」

「一、ゆえに本学生徒は文武両道たるべし。些かもこれを怠るべからず。」

「一、これをもって汝は善き奉仕者たる国民となれ。」

安部学長は言う。

「黒木先生、君は学生時代は本学に対し、伝統打破を叫んでいた。確かに本学は君の主張は時期尚早とその大部分は受け入れなかった。しかし、だからと君を処分したかね?。時間をかけて丁寧に君の主張を聞き取り、改める時期にあることは改めた。ゆえに今の黒百合女学院はある。」

「それなのに君は自分が掲げた旗を無責任にここで降ろすのかね?。君が本学教師になったのは、引き続き本学改革をしたかったからのはずだ。」

「一方、赤井あおいくんは初等部生徒という年少ながら、自由体育前の休憩時間という、極めて短時間に初等部六年生と一年生を統率掌握した。そしてそれは、瞬く間に中等部と高等部の共感を勝ち得た。そればかりか異なる場所にある大学部にまで波及した。」

「さらに動機は同級生や大学部の姉への、本学の不当なる処分を回避するためと、不当なる抜き打ち持ち物検査と没収への抗議のためで、正当である。」

「また、それを旗を隠し背後に隠れての人頼みではなく、堂々と旗を掲げた。そして、確かに方法を間違えてしまいましたと謝罪している。それでも主張には些かの誤りもない!と胸を張っている。」

「そもそも本学は生徒の主義主張は最大限に尊重し、それを育てるのが学校創立目的だ。そして」

No.29 2018/07/25 22:37
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 28 安部学長はさらに黒木先生に諭すように語る。

「確かに初等部の高田ゆかりくんと立花美佐くんは、本学には好ましくない本を持ち込んだ。だがね、それはその本を忘れ物した大学部の赤井緑くんに、妹の赤井あおいくんを通じて返すためだ。君は人様の親切心を踏みにじるのかね?。」

「さらに赤井緑くんの制作したこの同人誌だが、確かに不純なる性の問題は本学の処分対象だ。だが君はこれを読んで発言したかね?。これは同人誌ゆえ多少の猥褻さはあった。しかし中身はちゃんとした恋愛物だ。原作を理解せねばこの同人誌の言いたい主張は理解できないものになっており、これはただの猥褻図書ではない。」

「さらにこの同人誌の制作は本学の学生によるものだが、学内では制作されていない。恋愛漫画研究部としての、通常の恋愛漫画の研究とは別に学外で制作されている。しかも元系列校の黒川学院大学も制作に関わっているから、本学生徒だけを処分して済む話ではない。」

「それからだね、生徒に無断でしかも生徒の在宅中の校内不在時に、反論の機会すら与えずに生徒の机の中から没収したのが、騒ぎの原因であって、不在時に断りもなく没収したのは窃盗だ!との、赤井あおいくんの主張も、黒百合は自由と自治の学校だから、持ち物検査や没収したければ、生徒代表を選び生徒にある程度は判断を任せるべきであるとの、赤井あおいくんの主張も、極めて適切で正当である。」

「おまけに、その無断没収は本学教師の本学教育方針の理解不足による不当なる処分である。」

「最後にこれは黒木先生の責任問題だがね、そもそも君は中等部の風紀担当教師だ。赤井あおいくんが騒動を起こしても、それが中等部に波及するのを阻止するのが君の職務だ。初等部六年生が授業中に中等部に入った際、それを止めるのが君の役目だったはずで、反初等部松田先生の波を中等部に波及することを許してしまったのは君の注意力不足によるものだ。」

「よって本学黒百合女学院山手校は、赤井あおいくんを始め初等部六年生の四人を処分できない。それは彼女らを処分するならば、本学関係教師への処分を外せなくなり、元系列校の黒川学院大学の学校自治に本学が口出しすることも出来ないからだ。」

「黒木先生、わかったかね?」

No.30 2018/07/25 23:33
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 29 安部学長は一息つき、今度はあおいたちに話し始めた。

「初等部の赤井あおいくん、そして諏訪野みずきくんと高田ゆかりくん立花美佐くん、安心したまえ。あの問題の本の件では大学部のある黒百合女学院中央校と本学黒百合女学院山手校の意思は、初等部の君たちと大学部の赤井緑くんへの処分はありません。」

「そして今から話すことは、お説教とか処分とか思わないでほしい。」

「今回の騒ぎは、君たちが方法を間違えましたと謝罪したように、大変な大問題になった可能性があるのだよ。」

「この街の市立小学校に不審者が侵入して逮捕された話は、朝の会で聞いたはずだね。もし、この騒ぎの最中に不審者が侵入したらどうなったかな?。先生たちは君たちの命も預かっているんだよ。まだ本学になれていない初等部一年生を巻き込むのは良くないね。」

「それに謝罪出来たのは迷惑をかけた自覚があるからだよね。実際に幼稚部から高等部までが騒ぎになったのだから、反省してくれないと困る。何か行動を起こしたいときは、危険はないかとちゃんと考えないといけないね。これを生兵法は怪我の元と言う。」

「というわけで、この騒ぎに対する本学黒百合女学院山手校としての本学初等部への処分を伝えます。」

「赤井あおいくんは二日の自宅謹慎。このついでに風邪を治したまえ。諏訪野みずきくん、高田ゆかりくん、立花美佐くんは一日の自宅謹慎。どうせ明日は創立記念日でお休みだし明後日は祭日だ。私の独り言に君たちが感動してくれて、なぜか勝手に謹慎してくれる。つまり正式には処分ではない。」

「ここら辺が落としどころでどうかね?。」

「赤井あおいくん、君の行動力は方法を間違えねば賞賛に値する。でもね、自分色の旗を振るだけでは争いは解決しなかったりするが、互いが一歩譲ることで、互いの旗が弓矢で傷つかなくて済む。この辺で納得してくれたまえ。」

「以上だ。もうすぐ初等部は総下校時間だね。初等部六年生に処分はないし帰宅してよし。赤井あおいくん、君の口から六年生の皆にそう伝えてくれたまえ。」

No.31 2018/07/28 01:39
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 30 安倍学長の決定で騒動を起こしたあおいに処分なしとされ、あおいたちが改めて謝罪し帰宅の途にある頃、学長室では、あおいの祖父の赤井慎太郎と学長の安倍幸太郎そして中等部教員の黒木良枝が話をしていた。

「いや~黒木先生、惚れ惚れする鬼教師役の演説、ご苦労様でした。あおいも緑も少しは身に染みたと思います。学長も訓戒、素晴らしかったですな。」

とは赤井慎太郎。



「親父さん、お世辞は止してくださいよ」

と応えているのは安倍学長。



黒木先生も

「そうですわ。赤井先生の前で演説させられるなんて、わたし、穴があったら入りたいです。」

「でも、初等部と中等部合同の抜き打ち持ち物検査を松田先生と相談したときは、まさか、あおいさんにここまで行動力があるとは思いませんでした。」

「赤井先生、あおいさんのお転婆ぶりを嘆いてらしても、実は内心は喜んでらっしゃるのでしょう?」



安倍学長は赤井慎太郎に語る

「ご存知のように、本学では持ち物検査などしたことはありません。それを急に抜き打ちに理不尽に行い、有無を言わせずに厳しく没収する。これで反発してくれないようでは情けなさすぎますな。」

「しかし、あおいさんは期待に応えて反応してくれました。まあ、少し度が過ぎましたが、こちらにも落ち度ありますので。」

「まさか、うちの用務員があの本を見つけてしまい、松田先生に渡してしまうとは。松田先生も抜き打ち持ち物検査予定日でもないのに、想定外でした。」



すると赤井慎太郎

「いやいや、予想外に予定が変わるのは有り得る事です。それにうちのあおいは怖いもの知らずなだけですから。」

「前にもお話しましたように、私は長くありません。それで我が塾は孫のあおいに任せたいんですが、まだ幼くてですね。緑が中継ぎしてくれるとは思いますが。我が長男は教育に不向きで。それであおいが教員取ったらこちらで鍛えて下さい。」



これを聞いた安倍学長

「そんな弱気を仰有らないで下さいよ。先代学長が骨抜きにした本学を創立時の質実剛健な学校に戻す。お嬢様学校でも、いずれ卒業して人様の上に立つには強さは必要ですからね。それで赤井家の支援は本学にはまだまだ必要なんです。」




No.32 2018/07/28 01:46
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

これで

初等部篇 
恋のエスケープの巻

は終わりです。次は

恋する人のお誕生日に婚姻届?の巻

No.33 2018/07/28 03:32
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 32 「ひどぉい!。わたし、わたし、先生か好きなのに。先生を信じてたのに!。」

と泣き出すゆかり。何があったのか?。それは・・・



初等部であおいたちが起こした、隠れ鬼ごっこ集団エスケープ騒ぎから三日目の木曜日、あおいたちは元気に登校していた。チャイムが鳴り、朝の会が始まる。待った先生こと松田先生が

「それでは、点呼代わりに宿題の読書感想文を出席番号順に出して下さい。まず一番の赤井あおい」

呼ばれたあおいは教壇まで行くと

「先生、わたし、お転婆しないで大人しく寝て、謹慎中に風邪を治しなさいって学長に言われたので、良い子で寝ていたわたし、宿題、やってませ~ん!」

「でもね、あの時のぉ待った先生のぉ、わたしへのぉ熱~い想いが嬉しかったからぁ、庇ってくれたお礼にぃ、はいっ!プレゼントあげちゃう!」

と、一枚の紙を差し出す。松田先生が手紙か?と思って見ると、なんとそれは、ご丁寧にも松田先生とあおいの名前が書かれ、しかも二人のハンコまで押された婚姻届。

「なんだこれは!」

思わず叫んでしまう松田先生。すると、ゆかりが立ち上がり叫ぶ。

「あおちゃんズルイっ!。」

「五人みんなで渡す約束でしょ!」




「松田先生、わたしも婚姻届、書いて来ました!」

そう言いながら教壇に押しかけるゆかりたち。わけがわからないし、小学生を口説いたなんて全く身に覚えのない、ロリコンではない松田先生

「まっ!待て!。なんでこうなる?」

普段はおとなしいゆかりのはずだが

「先生、好きって言ってくれたじゃない!。優しいからわたしたちが好きだ!って言ってくれたじゃない!」



これを聞いた、クラスの六年生の女の子たちが「え~!」と叫ぶ。中には口笛をヒューヒュー鳴らして冷やかしてるのまでいる。



「い、いや、それは教育上の一般論!。お前たちには優しい良いところがあるから、このまま優しい女の人になってくれ!の意味だ!」

と必死な松田先生



「先生、大人なら自分の言葉に責任持つべきだと思いま~す。でも今すぐ結婚してね!ってわけじゃないから安心してね。」

と、あおい。ゆかりまで

「もう少し大人になって、俺に改めて好きと言ってくれ!。って先生はわたしに言ってくれたばかりなのに!」

「わたし、わたし、先生を信じてたのに!。ひどぉい!結婚詐欺だぁ!」

と泣き出すゆかり

No.34 2018/07/31 03:22
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 33 「先生ひどい!結婚詐欺だぁー!」

と泣くゆかりに慌てる待った先生。実は泣き真似なのに気付かずに。そして何でこうなった?と、記憶を辿る。



確かにあの日、待った先生はゆかりに

「お前たちは優しい良い子だから好きだよ」

と言った。もちろん恋の意味ではない。その日ゆかりはあおいと隠れ鬼ごっこ集団エスケープを仕出かした後、待った先生の人の好さに耐えられず

「わたしは悪い子だから、先生はわたしを好きになってくれないよね」

と泣いた。まさか泣いている生徒を放置できるわけもなく、ゆかりたちの優しさという長所を出しての、励ます意味での

「優しいお前たちは好きだよ」

だったのだが、ゆかりが先生を好きと知るあおいのゆかりと仕組んだ今日の

「先生はわたしが好きって言ったばかりなのに!」

の泣き真似イタズラに、自分が小学生を口説いたうえに振った、悪いロリコン教師みたいな立場になってることに動揺し、こうなれば頼りはクラス唯一の良識派の級長の桃井カネコだけだと

「桃井、笑って眺めてないで助けてくれ」

と懇願するも、ニコッと満点の微笑みを見せたカネコはあおいたち同様に

「先生、ゆかりちゃんに聞いたんですが、先生はわたしも好きなんですよね!。わたし嬉しいです!わたしとの婚姻届けにもサインして下さい!」

と言い出す始末。

「大人のくせに小学生を何人口説いてんのよ!」

のクラスの女の子皆の冷たい視線に耐え切れずに、学年主任が担任している六年四組の教室に

「主任!助けてください!」

と逃げ出す待った先生だった。



「上手くいったね!ドッキリ成功!」

とハイタッチするあおい五人組。でもあおいはすぐ真顔になり

「美佐ちゃん、あれはドッキリですって先生呼んできて」

と言うと

「みんな~宿題出してね~そして先生が来るまで自習しようね」

とカネコと感想文の宿題を集めて回る。その感想文の一番上には文末に

「この前は騒ぎを起こしてごめんなさい。そして皆を庇ってくれてありがとうございます。今朝のはゆかりちゃんと皆でのお礼の、先生大好きドッキリを誕生日プレゼントです。」

と書かれたあおいの感想文と同様に書かれた、待った先生を大好きなゆかりの感想文があった。

No.35 2018/07/31 20:02
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 34 「わたしを好きだと言ったのに先生ひどい!」の、六年一組全員での泣きまねイタズラに堪らずに逃げ出した、待った先生。

「あれは先生大好き!ドッキリです。先生なんか大嫌い!ドッキリより嬉しいんじゃないんですか?。みんな自習して待ってます。」

と、あおいに頼まれ呼びに来た美佐に言われてクラスに戻ると、いつの間に自分の誕生日を調べたのだか、六年一組の全員に

「先生、お誕生日おめでとうございます!」

と迎えられた。



よーし、今日も張り切って授業するぞ!と、イタズラ好きなあおいたち六年一組に揉みくちゃにされても、教師するのも悪くないな!と思い、目が潤んでくるのであった。

ドッキリの話を知られて職員室で先生たちに

「松田先生は六年生の女の子にモテモテですわね、このプレイボーイさん!。」

とまでからかわれる始末で、この日はついついテストの採点も甘くなる幸せいっぱいな松田先生であった。



が、しかし、そんなしあわせも束の間、テストを返す際についつい

「赤井、お前は点数乱高下がひどすぎる。お前は本来は出来る子だ!。」

「もっとテスト中は気持ちを落ち着けてれば、この前みたいに、また百点満点連発かも!。落ち着いて頑張ろう!なっ!?。」

と、あおいと目の高さを合わせて、あおいの両手を力強くギュッと、愛情込め込めして握りしめた瞬間に、それは来た。



「点数悪かったのが皆にバレちゃうでしょーが!女の子に恥かかせるなんて最低!このドーテー!💢」

クラスで一番に、いや、初等部で一番に気が強く手が早いあおいに股間を蹴り上げられて、待った先生はのたうち回るのだった。

No.36 2018/08/01 01:01
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

《修学旅行で告白?》 

冬休み前の修学旅行に出発する、黒百合女学院初等部の六年生たち。一昨年までは五月に行われたのだが観光旅行に形骸化したために、昨年からスキー合宿になっている。



六年一組の教室では、担任の待った先生が訓示している。

「くれぐれも黒百合女学院の名門の名を汚さぬよう、軽はずみな恥ずかしい言動はしないように!」



「待った先生の淑女論がまた始まった」

と、あおいたちは聞き流している。

それに気付いた待った先生、ついつい叫んでしまった。学習しない天然なのである。

「特にそこの赤井あおいの五人組!、いや、桃井は良識派だから四人組か。お前らが先生は一番に怖いんだ!。くれぐれもイタズラしたり姿くらますなよ!」

それを見てニヤリとほくそ笑む、あおいと美佐。



級長の桃井カネコは思う。

「先生、逆効果です!。寝ている鴨の子に葱を持たせて鍋に入れ、かまどの火に油を注いでしまってます!」

No.37 2018/08/01 01:37
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 36 担任の待った先生に恋するゆかりの隣の席、修学旅行のバスの窓際の席のあおいは、水を水筒のお茶で温め、キティちゃんのリュックサックから水鉄砲を取り出す。それを見て不思議がるゆかり

「ねえ、あおちゃん、何してんの?」

「まあ、見てて。待った先生って去年も今年もバス遠足、ガイドさん任せで寝てたでしょ?。今日もきっと寝るわよ。」



お水が冷たくないレベルに温まったころ、あおいとゆかりが確認すると、通路挟んで反対側の席の待ったは、あおいの言ったとおりに眠りこけている。小学校教師は意外や多忙ゆえに。

温めた水を水鉄砲に入れるあおい、待った先生のズボンを狙い引き金を引いた。そして頃合いを見計らい、あおいは待った先生の後ろに座る美佐に合図を送る。



待った先生の隣に座り替えた、子役経験ある美佐は切迫したような声で叫ぶ。

「待った先生、大変です!起きてください!大変なんです!」

「な、なんだ!?どうした?。事故か?怪我か?病気か?喧嘩か?」

目を覚まし慌てて立ち上がった待った先生は叫ぶが、美佐が追い打ちをかける。

「先生ぇ、何を漏らしたんですかぁ?。ズボン濡れてますけど。みんな困るので早くズボン履き替えてください。臭~い!(笑)」



わけわからない待った先生、お漏らしの自覚は全くない。でも、見ると確かにズボンは濡れている。なんで?・・・

「まっ待ってくれ!誤解だ!間違いだ!」

「先生は漏らしてないぞ!」

「先生、お漏らしじゃないなら、何を漏らしたんですかぁ?。先生エロ~い!。先生のえっちぃ!へんた~い!」

と騒ぐ六年生たちに叫んでしまう待った先生

「な、なっ!違う!俺は変態じゃねえ!ノーマルだ!」



すると、反対側の窓際の席からクスクス声がしたかと思えば爆笑に変わる。

「先生それはただの水ですよ。安心してください。それより先生、寝てないでちゃんとわたしたちを見ていてください。」

しまった。赤井がイタズラしないわけがない!油断してしまった。そう思う待った先生だった。

No.38 2018/08/03 07:49
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 37 「カネコはおっぱい大きくていいなぁ!。わたしにもおっぱいちょうだい!」

「あ、あおちゃんダメだよぉ!。わたしたち女の子同士なのにダメだよぉ!」

騒いでいるのは・・・



舞鶴港でバスからフェリーに乗り換え、バスに乗り換えてスキー場に着いた、黒百合女学院初等部六年生。学校貸し切りのログハウス風のかわいいペンションで

「今日はこれから皆で夕食作りと食事、班ごとに入浴!それ以外は朝まで自由行動!。」

「ただし、暗いからここの敷地以外には外出禁止!。外に出て遭難するなよ!」

待った先生が訓示している。学校を出発したときは、あおいを名指ししてイタズラすんなよ!と、つい言ってしまい寝た子を起こした失敗から、今回はあおいたちイタズラ娘五人組を放置している。

皆で夕食を作り、皆で夕食を食べ、ひとしきり雪合戦とペンション探検をしているうちに、あおいたちの入浴の番がきた。



カネコのブラを見てゆかりが羨ましがっている

「あー!カネちゃん、そのブラかわいい!。どこで買ったのぉ?」

「カネコはおっぱい大きいからいいなぁ!。わたしにもおっぱいちょうだい!。」

あおいはカネコに飛びついて、高校生サイズはありそうなカネコのおっぱいを揉んでいる。悶えるカネコ

「だっダメだよぉ!。あおちゃんダメぇ。わたしたち女の子同士でダメだよぉ・・・・・!」

とかなんとか可愛い声できゃーきゃー騒ぐあおいたち。その声は隣の男風呂にも筒抜けで・・・。入浴指導を女性教師にお願いしてお風呂で一息ついている男性教師たち、もちろん、その中には待った先生もいてため息をついている。

「あいつら女同士で何してんだよ。筒抜けの丸聞こえなのに・・・」

No.39 2018/08/03 17:09
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 38 「せっ、せんせい、なんで女風呂に入って来てんのっ!」

思わず湯舟で立ち上がり、待った先生に叫ぶあおい。時は数分遡る・・・



不思議な穴を発見したカネコは一緒に湯船に浸かるあおいたちに、その穴を指を指している。

「ねえねえ、あの穴って何のためにあるのかな?」

カネコが指差してる辺りをあおいたちが見ると、湯船から立ち上がる壁と湯船の底が交差する辺りに、こどもが通れそうな穴がある。

「温泉があそこから湧いてるか繋がってるとか?」

「いやいや、このペンションは温泉の町じゃないから。」

「じゃあ、向こうは井戸か涌き水?」

みずきが

「探検してみようよ!」

小学生にしては体が大きく発育の良い、よく高校生かと間違われるカネコは

「え~わたしあの穴くぐれないよぉ。みずきちゃんも無理じゃない?」

「わかった!。わたしとゆかりちゃんなら小ちゃいから楽勝ね!。帰ったら報告したげるね。」

そう言うと、あおいとゆかりは湯船の湯に潜る。行き着いて顔を湯船から出したら、そこには・・・



「せっ、せんせい、なんで女風呂に入って来てんのっ!」

「きゃあ!。松田先生のエッチぃ!。覗きですか!?」

思わず湯船に仁王立ちしてしまうあおい。一方ゆかりはおっぱいを手で隠し縮こまる。
 
その声に思わず額の上の眼鏡を目元にずらし、振り向いた待った先生

「お、お、オマエらどこから入った!。つか、いつどこから涌いて出たっ?」

「こっちは男風呂だぞ!出てけよ!」

No.40 2018/08/04 09:39
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 39 カネコが見つけた不思議な小さな穴。調べよう!ってことになり、あおいとゆかりが潜ってみると、湯船に開いた不思議な小さな穴の向こうに着いてみれば



「きゃーっ!。せんせい、なんで女風呂に入って来てんの!覗き?サイテーっ!」

「潜り込んできたのはオマエらだろが!」

「こっち見るなよっ!。このロリコンのホーケーのドーテー!」

飛んでくるあおいの罵詈雑言、普段は誰にも優しい、みんなのお兄ちゃん先生な待った先生、この日はついに一瞬だがキレた。そして思わず叫ぶ。口から出たのは

「うるせえ!見れたヌードでもないこのまな板のガキんちょが!」

「先生は苞茎だけどな、童貞じゃねえ!。それにロリコンでもねえ!熟女のほうがいいんだ!小便臭いガキは対象じゃねえ!」

と、まあ恥ずかしいカミングアウトをしてしまった待った先生。でも天然ゆえに自覚してるかどうか・・・。しかしそれを聞いた、待った先生ラブのゆかりは

「せんせいひどい!。せんせい、わたしが好きって言ったくせに!。しかも今わたしのハダカ見たくせに!」

慌てる待った先生。「お前は優しい良い子だから好きだよ」と、一般論で諭した際に、高田ゆかりに告白されていたのを思い出した。先生だからそれは受け入れはしなかったが。

「ち、違うんだ。高田はいい子だ。ご、ごめん!」

「じゃあ、先生、責任とってくれる?・・・」

「・・・なあんてね。先生、今恥ずかしいカミングアウトしちゃったの気づいてますか?」



一方、壁一枚向こうの女風呂に筒抜けた待った先生たちの声に

体の成長は六年生でいちばんでも、心の成長と言うか性的な一般常識が追いつかないカネコは首を傾げる。

「ねえねえ、美佐ちゃんにみずきちゃん、童貞とか苞茎って何のこと?」

「カネちゃん、それは生命の神秘なの」

と、ごまかす美佐とみずき。純真無垢で天使なカネコを守りたくて。それでも

「待った先生、自分が苞茎と認めちゃった!。しかもマザコンだったとは・・・。顔だけが残念じゃなくてアソコも女の趣味も・・・」

カネコに聞こえぬようナイショ話する美佐たち。このカミングアウトは瞬く間に広まったのは言うまでもない。

  • << 44 スキー合宿先のお風呂で髪を洗っているあおい。隣では、六年生になってやっとシャンプーハットのお世話にならずに髪を洗えるようになった美佐が髪を洗っている。 目を閉じたまま前方をまさぐる美佐。トラベルセットの二本がセットになっているシャンプーとリンスのケースを探し当て、リンスを掴み蓋を開け傾ける。が、 「あー!これ空き瓶だあ!」 「あおい、リンス貸してぇ」 あおいにそう言うも、あおいは遠戚の美佐をあてにしてシャンプーすら持って来てなくて、ゆかりに借りている。それで美佐もゆかりにリンス貸してと頼むも 「美佐ちゃんが自分ん家のお店の新作リンス、持って来てくれるって言うから、みんなリンス持って来てないよ?」 「あー!そうだったぁ!」 「みんなゴメンね、わたし、すっかり忘れてた」 あおいの班の次にお風呂に入る、ちはるたちの班の声が脱衣室に漏れてくる。 「ねえ、ちはるぅ誰かのリンス貸してぇ!」 脱衣室のちはるらに美佐がそう大声を出すと、空からリンスが降ってきた。いや、飛び込んできて、あおいの背中に命中する。声を荒げるあおい 「誰よぉ!わたしにリンスぶつけたのは!」 「ねえねえ、あおちゃん、これ男風呂から飛んできたわよ」 脱衣室から顔を覗かせていたちはるがあおいに言う。ゆかりはそのリンスの蓋を開けて鼻をクンクンさせて、香りを嗅いで言う。 「これ、松田先生の髪のにおいだよ」 目を合わせて見つめ合うあおいたち。しばらくしておもむろに深呼吸すると、示し合わせたかのようにハモるかのように一斉に、これ以上ない大きな大きな悲鳴を 「きゃーっ!待った先生のえっちぃ!へんたーい!チカーン!覗き魔っ!」 隣の男風呂では待った先生こと松田先生が 「なんで俺が悪者にされてるんだよ」 と心の中で泣いていたとかいないとか。 (訂正版)

No.41 2018/08/04 22:49
匿名さん41 

ブルボンヌちゃん
悪いけどごきげんようの挨拶なく白百合を彷彿させる学校名使われたくないw

No.42 2018/08/04 23:20
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 41 おほほほ(笑)

ロリコン左翼さんいらっしゃい(笑)

ストーカーぶりが笑えるわね。

No.44 2018/08/06 20:32
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 40 カネコが見つけた不思議な小さな穴。調べよう!ってことになり、あおいとゆかりが潜ってみると、湯船に開いた不思議な小さな穴の向こうに着いてみれば… スキー合宿先のお風呂で髪を洗っているあおい。隣では、六年生になってやっとシャンプーハットのお世話にならずに髪を洗えるようになった美佐が髪を洗っている。

目を閉じたまま前方をまさぐる美佐。トラベルセットの二本がセットになっているシャンプーとリンスのケースを探し当て、リンスを掴み蓋を開け傾ける。が、

「あー!これ空き瓶だあ!」

「あおい、リンス貸してぇ」

あおいにそう言うも、あおいは遠戚の美佐をあてにしてシャンプーすら持って来てなくて、ゆかりに借りている。それで美佐もゆかりにリンス貸してと頼むも

「美佐ちゃんが自分ん家のお店の新作リンス、持って来てくれるって言うから、みんなリンス持って来てないよ?」

「あー!そうだったぁ!」

「みんなゴメンね、わたし、すっかり忘れてた」



あおいの班の次にお風呂に入る、ちはるたちの班の声が脱衣室に漏れてくる。

「ねえ、ちはるぅ誰かのリンス貸してぇ!」

脱衣室のちはるらに美佐がそう大声を出すと、空からリンスが降ってきた。いや、飛び込んできて、あおいの背中に命中する。声を荒げるあおい

「誰よぉ!わたしにリンスぶつけたのは!」

「ねえねえ、あおちゃん、これ男風呂から飛んできたわよ」

脱衣室から顔を覗かせていたちはるがあおいに言う。ゆかりはそのリンスの蓋を開けて鼻をクンクンさせて、香りを嗅いで言う。

「これ、松田先生の髪のにおいだよ」



目を合わせて見つめ合うあおいたち。しばらくしておもむろに深呼吸すると、示し合わせたかのようにハモるかのように一斉に、これ以上ない大きな大きな悲鳴を

「きゃーっ!待った先生のえっちぃ!へんたーい!チカーン!覗き魔っ!」

隣の男風呂では待った先生こと松田先生が

「なんで俺が悪者にされてるんだよ」

と心の中で泣いていたとかいないとか。

(訂正版)

No.45 2018/08/06 21:00
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 44 「せんせい、わたしたち結婚しましょっ!」

そう逆プロポーズしてのキスシーン。枕を抱きしめて枕にキスしてるゆかり。しあわせな夢の中のゆかりを起こすあおい。朝が来た。と言うより黒百合女学院の合宿の伝統の早朝礼拝の時間だ。外はまだ暗い。

泊まっているログハウス風のペンション群の大きなお庭に集まってるあおいたち。ラジオ体操の後、学年主任に指名された待った先生のお話を聞く。聖書が開かれた。



諸々の天は神の栄光を表し 
大空は御手(みて)の技を示す。
この日、言葉をかの日に伝え 
この夜、知識をかの夜に贈る。
語らず言わず、その声も聞こえざるに 
その響きは全地にあまねき 
その言葉は地の果てにまで及べり。

それはそれは美しい夜明け前の星空の下、待った先生は語りはじめる。

みんなは黒百合女学院で聖書に触れて、神様がいるのを知っている。しかし人生は長い。神を忘れる、そんな悲しみの日は来るかも知れない。でもね

神は人類を創るまえに、この素晴らしい大自然を創り調え人にプレゼントされた。わたしたちは大自然が調えられて最後の最高の作品として創られ生かされた。だからどんな時も

神に感謝して人様にもおかげさまでと言える、そんな女性に育ち、最高の作品のあなたの心と体を大切にできる、そんな人に育ってください。

待った先生のお話の後、賛美歌を歌い終わる頃、美しい日の出が皆の顔を照らし始める。



この中には、待った先生ラブの待った先生に恋する乙女がいて、ゆかりは目をうるうるさせている。そしてそして、

「「自分をたいせつに」せんせい、わたし、わたし、わかったわ!。だから、だから・・・わたしたち結婚しましょ!」

おとなしいゆかりに似合わぬ大声でそう叫ぶと、「せんせい、抱っこぉ!ハグして!」と、飛びつこうとするゆかりから逃げ回る待った先生。

「待ってくれ!なんでこうなる!」

「お前がもう少し大人になったら、もう一度好きと言ってくれ!って、先生はわたしに言ったじゃないの!」

待った先生を大好きなゆかりはいつまでも追いかけ続ける。

No.46 2018/08/06 22:36
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

《イクまでイケませんの時間》 

修学旅行という名のスキー合宿から帰ってきたあおいたち。街は冬に装いを替えたクリスマスシーズンで、あおいの通う黒百合女学院初等部もクリスマス準備に入っていた。もちろん、あおいのお家もクリスチャンホームで、内面では神に感謝しつつも、やはり浮かれている時期なのだが、例年は。

でも今年はそれどころではなく、あおいと姉の緑の間には、ベルリンの壁より厚い冷戦の壁が築かれていた。

ことの発端は、あおいが仕出かしたあの初等部六年生集団エスケープ騒ぎの原因になった緑の趣味、エロ同人誌制作再開にあった。話はその当日に遡る。

これは悲劇。いや、喜劇である。いや、やはり本人あおいには、これは悲劇であろう。





あの日、話のわかる寛容なる学長の

「私の独り言に何故か皆が感動してくれて、何故か勝手に謹慎してくれる。よって謹慎処分は正式な処分ではない」

との決断でお咎めなしとなったのに。そもそも、このエロバカ女の姉をエロ同人作成の処分から救うために妹のあおいは騒動を起こしたのに、このエロバカ姉はその日、帰宅すると早速に反省どころかエロ同人作成を再開して

発熱に寝ているあおいに

「エロ同人執筆の資料を大学部の恋愛相性研究漫画部に持って来い!」

と電話をかけてきた。小学生にえっちな資料を持って来い!と言う緑。


それでも仕方なくリュックサックを探すもない。お気に入りで大切にしてきた、キティちゃんのピンクのかわいいリュックサックなのに。そういえば今朝、お姉ちゃんが部屋に来てわたしのクローゼットを物色していたっけ。

「やられた!お気に入りなのに!💢」

と思いつつも

「お小遣い、弾んであげるから!」

の緑の言葉に、エスケープ騒ぎの罰でママにお小遣いから貯金からカードまで没収されちゃってるあおいは、確かにお小遣いは魅力だったものの、仕方なく本当に仕方なく、姉の緑のえっちなコレクションをランドセルに詰め込む。

ついつい桃色吐息が、いや、ため息吐息が漏れてしまう。

No.47 2018/08/07 00:29
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 46 桃色吐息が、いや、溜息吐息が出てしまうのは、姉の緑の無茶苦茶な要求のせいだ。エロ同人執筆の資料を忘れたから持って来い!なんて、わたし、まだ小学生だよ!と溜息。



えっちの意味すら知らなかった去年と違い、体が小ちゃくて六年生の中でいちばんに発育の遅いあおいでも、さすがに少しは気持ちは思春期突入しているのだ。異性やえっちを意識し始める年頃の恥ずかしさもあるけれど、

姉の緑は喧嘩に手加減出来ない筋肉バカ女。自分も相当に手が超絶に早い性格。あんなエロバカ筋肉女と喧嘩はイヤだ。

と、ほんとにホントに本当に仕方なく、えっちな物たちをランドセルに詰め込み制服に着替えたあおいは、緑のいる黒百合女学院中央校大学部に向かう。さっきまで私服で行くつもりだったけれど、黒百合女学院ブランドで純真天使になったほうが安全だと思って。

神様、どうかランドセルの中身を見られませんように・・・と祈りながら。






第一関門は向かい隣の、昔は黒百合女学院初等部とは系列だった黒川学院小学校に通う剛くんだ。

あおいの通う黒百合女学院が、今日は創立記念日でお休みなのと同じく剛くんもお休みだから。そしてこの男の子に「それ」が見つかると話がリピート再生されてしまい、あおいはエロ女だったことになってしまいかねない、人生の危機なのだ。

この剛くん、正直さと真面目さで、あおいに好意を少なからず持たれているが、友達の座から彼氏になれないのは度が過ぎる正直さゆえなのだ。



自宅ドアの隙間から、そーっと剛くんの部屋の辺りを伺うあおい。剛くんいないみたいね。と安心も束の間、あおいの家の柿の木の上から剛くんの声がする。

「よお!あおい!風邪はもういいのか?。ランドセル背負ってどうしたんだよ?今日はお休みだぜ!。起きてるんなら部屋に来いよ!ゲームしようぜ!」

実はあおい、憧れの初恋の真鍋がいなければ今ごろは剛くんに夢中になったかも知れない。何しろ去年まではお風呂も一緒なほど、誰もがふたりを兄妹か姉弟かと勘違いした程の仲良しだから。が、

が、今日だけは話は別だ。今日のあおいは姉の緑のせいで、ランドセルの中身がえっちな物だらけだから。

「イヤぁ!剛くん、今日だけはついて来ないで!お願い!」

顔を両手で隠し、自慢の駿足であおいは脱兎のごとく剛くんから逃げ出した。

No.48 2018/08/07 13:39
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 47 「イヤぁ! 来ないでぇ!。来ちゃダメぇ!。来ちゃイヤぁ!。」

姉の緑の無茶苦茶な要求。エロ同人執筆の資料を忘れたから持って来て!。の電話に仕方なく、えっちな大人な物たちをランドセルに詰め込み、緑の待つ大学の漫画部に向かおうとするあおい。

が、家を出ようとするとき、あおいの家で木登りしていた剛くんに見つかってしまった。彼は別名、レコードくん。正直ゆえに見たこと聞いたことを、強く問い詰められたら、ありのままリピートしかねないゆえの、別名レコードくんの第一関門の剛くん。

大の仲良しの好意も持ってる剛くんだけど、今日だけは事情が事情ゆえに、彼にだけはランドセルの中身がえっちな物とは知られたくなくて

「イヤぁ!剛くん、お願いだから今日だけはついて来ちゃイヤ!」

持ち前の小柄な外観からは想像すらされない、自慢の駿足で剛くんをあおいはなんとか振りきった。だが早くも第二の関門があおいの前に立ちはだかる。



あの日、ゆかりが隠してた緑のエロ同人誌。それがゆかりの想い人の待った先生に見つかったあの日、風邪で学校休んでいた桃井カネコの自宅だ。

彼女もあおい五人組と言われるほどの、あおいの仲良しなのだが、彼女のあまりの奥手さのあまりの純真天使ぶりに、あおいたちは緑のエロ同人活動は彼女にはヒミツのナイショにしてきたのだ。

彼女だけはえっちな方面に汚してはいけない!と。

姉妹も同然の彼女独りを仲間外れするわけじゃないけれど、今日だけは彼女に出会いませんように・・・と祈るあおい。

こっそりひっそりこっそりひっそりと、彼女の自宅の前をびくびくしながら通り過ぎる。

泥棒さんの抜き足差し足忍び足ではないけれど、なーんにも悪いことしていないのに、今日のあおいは泥棒さんの泥棒しようとするのを見つかりたくない、抜き足差し足忍び足の心境が、今日だけはなんだかわかるような気がして。

さいわい、彼女はお出かけしているのか、彼女には出会わなかった。

さあ、次なる第三の関門は思いきりレベル高し!だ。

No.49 2018/08/07 19:11
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 48 ランドセルにえっちな物たちを詰め込んで姉の緑の待つ、大学にある恋愛漫画相性研究部へと歩くあおい。

その恋愛漫画相性研究部なんてのは、エロ方面には厳しい黒百合女学院大学の緑が教授たちを欺くために考え出した建前で、実態はエロ同人製作同好会なのだが。

「資料忘れたから持って来て!お小遣い弾むからお願い!」

高熱に寝込んでいたあおいは無茶苦茶なお願いをされてしまい、それでも第二関門までは無事に、ランドセルの中身がバレることなくクリアした。が、しかし

いま目の前にある第三関門はレベル高し!だ。



メイクしなければ、大学生なのに誰がどう見ても小学生な、スーパー童顔の姉の緑が、学校サボりの小学生か中学生かと勘違いされ、大学生だと信じてもらえずに何度か補導された商店街が今、あおいの目の前に広がっている。

ここは近くの市立中学の悪ガキたちのたまり場になっていて、この中の本屋さん、ゲームセンター隣の本屋さん、緑が密かに、否、公然と、執筆したエロ同人漫画からエロ同人小説を置かせてもらっている本屋さん。

そこは万引きの名所となっていて、お巡りさんや補導員のおばちゃんや万引きGメンが、いつもウロウロしてもいる商店街だ。



補導員のおばちゃんたちは

「創立記念日でお休みなのをうっかり忘れて、学校に行っちゃった帰りなんですぅ!」

と、姉の緑と同じ童顔ゆえに、純真無垢にしか見えない清純笑顔と、名門の黒百合女学院初等部の制服でクリアできた。明けても暮れてもイタズラすることばかり考える、内面が悪魔なあおいすら天使に見えてしまう制服。黒百合女学院ブランドは凄い!と言うべきか・・・。



しかし、その万引き名所の本屋さんには、あおいの恐れた通りにパトカーが停まっていた。

な・なっ・なんで?。また万引き?。

よりによって今日パトカー来なくても・・・。まさか、田中のおじちゃんなの?

それは数年前までおじいちゃんの塾や道場に通っていて、めでたくお巡りさんになった、仲良しの田中のおじちゃんが勤める署に配備のパトカーだった。この田中のおじちゃんは確かに仲良しだけど、あおいにとっては迷惑この上ないおじちゃんでもあり

ハードルはさらに一気に高くなる。

No.50 2018/08/07 21:25
あかいあおい ( 30代 ♀ sq6JBe )

>> 49 わたしのランドセルにはえっちな物が・・・の事情ゆえに、慎重に物陰からパトカーの中を伺うあおい。仲良しな本屋さんに停まるパトカーから降りたのは

あおいの祖父の道場に通いめでたくお巡りさんになった、これまた仲良しの田中のおじちゃん。でも、あおいにとっては迷惑な存在でもある田中のおじちゃん。

姉の緑とは違い記憶力抜群のあおいは、実は全く勉強しなくても学力優秀。だから「超」が三つは付くスーパー優等生のカネコや、これまた優等生のゆかりとも、話も気も合うのだが、あおいには致命的な欠点が。

超気まぐれの超気分屋のため、気分により日替わりで成績乱高下。百点満点連発記録更新したかと思えば、次の週は学年最低点をマーク。それでも学年上位三分の一の常連だ。実は

悪ふざけ大好きでもあり、落第候補にやる気にさせるためにたまにある、サービス満点の⭕❌式のテストを、⭕イコール目玉焼きイコール大嫌い、よって大好きな三角おにぎりが連想できる▲を書いて出したら、激怒した担任の待った先生に本来なら百点なのに零点つけられたり。

ともあれ、それで零点だったテストを、冗談がわからない待った先生はムカつくと、帰宅途中に破り捨てたのだけど、それを見ていた田中のおじちゃん、ご丁寧にもそれをかき集め、テープ貼って修復し、よりによってママに手渡し、それもママがライバル視してるママ友の目前で。

当然にその日は鬼の如くに激怒したママに、思いきりお尻を叩かれまくったあおいだ。もう痛くてしばらくは椅子に座れなかったほどに。

このおじちゃんにランドセルの中身を見られて、えっちな物たちを発見されたら・・・。高熱だから寝てなさいと、ママに言われていたのに、姉の緑のせいでお布団から抜け出すハメになっているあおい。鬼と化したママの顔が目に浮かぶ。

でも、あおいには味方がいた。
   

  • << 51 《イクまでイケません!の時間の後編》 姉の緑のせいで高熱なのに、ママの言うことに背いてお布団から抜けだし、エロ同人漫画の資料を緑に届けに行くハメになっているあおい。鬼のように激怒してるママの顔が目に浮かぶ。 今までの第一関門と第二関門はクリアできた。が目の前の第三関門はレベル高すぎて、途中にある本屋さんの前にはパトカーがいた。 でも、あおいには味方がいた。と言うよりは・・・。自分自身を悪魔だと自覚するあおい、用意は周到万端だ。取り出したのは、眼鏡とマスクそしてリバーシブルの帽子だ。 隣に住む仲良しの剛くんに、「おとこ女」と言われるまでは、男の子っぽい格好が大好きで、男の子っぽくいつも帽子をかぶっていた。最近はさすがのあおいも思春期突入で、女の子らしくと、この帽子はめったにかぶらなかったが。 でも、持っていて良かったと、早速に眼鏡とマスクをし帽子を被る。そうして、田中のおじちゃんに見つかりませんようにと、俯き加減で歩き出す。 お巡りさんしてて、おじいちゃんの元生徒の仲良しの田中のおじちゃんの勤めるパトカーの停まってる書店、第三関門まで、距離は少しずつ縮まっていく。 パトカーのドライバーシートに座ってた、田中のおじちゃんの部下であろう、イケメンな優しそうなお巡りさんは、下校中の小学生としか思わなかったのだろう。ニッコリと優しそうに微笑んでくれた。その車内に田中のおじちゃんはいない。先に降りて書店の中だろうか。 うまく田中のおじちゃんという第三関門をクリアできた!と、安心も束の間、あろう事か書店の向かいのおもちゃ屋さんから出てきたのは・・・
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