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2016/06/29 20:33(更新日時)


どこかに、痛みを感じない愛なんてあるの?




14/09/20 19:38 追記

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No.2139945 (スレ作成日時)

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No.251


恥ずかしくなって、顔を下げると

「私もこの紅茶、綺麗で好きなんですよ」

店員さんが優しく微笑んでくれた。

No.252


「ありがとう」

さえぐささんが、自然とフォローしてくれた。

(何て素敵な人達なんだろう)

私は、その空間に自分が存在していることがこの上なく幸せに思えた。

No.253


私は、カップに紅茶を注ぐ。

ポットの中で花びらが踊るのを見て、ますます見惚れてしまう。

「いい香りだ」

さえぐささんも満足そうにコーヒーを口にした。

No.254


さえぐささんが、色々な話しをしてくれて、1時間ぐらいがすぐにたった。

「まきちゃん、お腹すかない?」

No.255


「すきましたね」

「夕飯食べようか、大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

No.256


食事用のMenu表を持って来てもらい、さえぐささんにMenuを説明する。

No.257


(さっきまであんなに辛かったのに、今はこんなに幸せな気分になれるなんて)

私は、嬉しくてたまらなかった。

No.258


Menuは、5種類程でどれもスープがついている。

二人で別々な物をオーダーすることにした。

No.259


異性といても緊張なく心地よく感じるのは、私にとってはさえぐささんが、初めての存在。

さえぐささんの出す空気感がほんわりとして、心が和んだ。

No.260


料理が運ばれてきた。

「お待たせしました」

私の物はワンプレートで、さえぐささんの物は別々のお皿に盛り付けられていた。

こちらからは何も言わなかったけれど、察してそうしてくれた様だ。

No.261


私は、時計周りで何が置かれているかさえぐささんに説明する。

「ありがとう、じゃ、食べようか」

「はい、いただきます」

No.262


メインのお料理を少しかえっこして食べる。

2人で、美味しいねと言いながら食事が出来ることが私にはとっても幸せなことだった。

No.263


食事が終わり、飲み物が運ばれてくる頃には、私は少し前迄泣いていたことすら忘れていた。

No.264


さえぐささんの醸しだす優しい雰囲気とお店の雰囲気がぴったりで居心地が本当に良かった。

No.265


「ご馳走していい?」

お会計前にさえぐささんがきちんと尋ねてくれる。

「ありがとうございます、でも自分の分は、自分で支払いたいです。」

No.266


「解った、じゃそうしよう」

別々に会計をしてもらい外に出ると、少しひんやりした風が吹いている。

No.267


「少し、寒いね」

さえぐささんが肩に置いた手が温かい。


「そうですね」

No.268


何気ない動作、何気ない言葉にぬくもりが伝わってくる。

No.269


アパートの前までくると、見たことのない綺麗な女の人が立っている事に気がついた。

No.270


(さえぐささんのお客さんではありませんように)

彼女が見えた瞬間に願った。

No.271


夜風にのって、彼女の甘い香水の匂いがした時に、

「ゆう?」

さえぐささんがそう言うと

「うん!」

No.272


彼女は、さえぐささんの隣にすっと立つ。

「この子がまきちゃん」

No.273


さえぐささんが彼女に私を紹介する。

「……」

彼女の口が開きかけた瞬間に

「こんばんは、じゃ、私見たいテレビがあるので」

No.274


それだけ言うと部屋に駆け込んだ。

No.275


水道の蛇口を目一杯ひねり水を飲んだ。

No.276


綺麗な髪に優しい表情、脚もすらっと長くて、物凄くもてそうな人。

(私なんて、1ミリもかなわないや…)

No.277


布団を引っ張り出して頭から被る。

(今頃、あの二人……)

No.278


布団から出て、台所の水道の栓を目一杯ひねった。

コップから溢れる水を一気に飲み干してその場に崩れ落ちた。

No.279


「あははは」

自分の乾いた笑い声が聞こえた。

(やっぱり、私ばかだ…さえぐささんが、自分のものだとも思ったの?)

No.280


床を撫でるとひんやりとして気持ちいい。

もう一度立ち上がり、部屋の窓から空を見上げると、丸い黄色の月が見えた。

No.281


ママの鏡台の前に座り、ママのブラシで髪を梳かす。

一重瞼に団子鼻。

鏡にうつる自分にため息が出た。

No.282


ママは美人ではないけれどどこかはかなげなところがあり、そこが魅力的。

子供の私から見てもそう見えた。

私には、まったくその要素がないから、きっと父親に似てるのだろう。

No.283


何かを考えると全部が絶望的な気持ちになりそうな気がしてやめた。

No.284


再び窓辺で月を眺めていると少しずつ気持ちが落ち着いてきた。

(何かを望もうとするな…目の前の真実のみを淡々と受け入れろ…そうしていれば時間は過ぎるはず)


呪文のように心の中で繰り返した。

No.285


布団に戻り、横になったものの眠れずに朝を迎えた。

No.286


起き上がろうとするも体が泥のように重い。

(今日は、休んで寝ていよう…きっと眠れば大丈夫になる)



No.287


いつものように学校に電話して休む旨を伝え、布団に戻るといつの間にか眠ってしまっていた。

No.288


「ドン…トン…すいません、こんにちは」

誰かが扉を叩く音と声が聞こえた。

No.289


時計を見ると15時を過ぎていた。

(何かの集金?勧誘?)

私は、とりあえず起きて扉を少し開けて相手を確認することにした。

No.290


「どなたですか?」

扉を開けると早川君が立っていた。

「心配で来た…迷惑だったかな?」

No.291


早川君の何とも言えない表情を見て、胸が切なくなった。

(そうだ、早川君がいた…)

私は、1人ぼっちになった淋しさから救われた気分になった。

No.292


「ううん、来てくれて嬉しい…あがって」

私は、早川君を部屋に招き入れた。


No.293


私は、布団を急いで2つ折りにしてお茶を出す。

(そっか…だめなんだ…私じゃ……)

No.294


「ありがとう」

早川君がお茶を一口飲む頃に汚れている自分を思い出した。

No.295


早川君がお見舞いにおやつや飲み物を沢山くれて、私は冷蔵庫に片付けていると。

No.296


「お母さんは?」

早川君の声を背中で受けた。

まさか家出中、しかも男の所なんて言えない…。

No.297


「今、出張中なんだ。来週には帰るし、よくあることだから平気だよ」

「…そうか…大変だな…」

No.298


早川君は、それ以上何も言わずに静かにお茶を飲んだ。

No.299


私は、思わず早川君をじっと見つめる。

(睫毛が長いな…綺麗な顔だな……)

今更ながらに、早川君のかっこよさをしみじみと感じた。

No.300


「あのさ…いいんだけど……いやっ、ちょっと嬉しくもあるんだけどさ…けど、やっぱりそうじっと見つめられると照れるよ」


早川君が、少しはにかんでみせた。

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